二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

IFの魔女「ヴァルハラの乙女1947 その3」

2021-05-10 23:42:27 | ヴァルハラの乙女



1947年時点のゲルトルート・バルクホルン。
中佐に昇進し、原隊の第52戦闘航空団の司令官として指揮している。
首には授与された黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章を着けている。

元々第52戦闘航空団は数多の撃墜王を輩出した武勇で知られる部隊だったが、
1947年からはついに撃墜機300機超えを成し遂げ、今後も破られることがない偉大な記録を残した3人。
俗に「トリプル・スリー・ハンドレット・オーバーズ」と称賛されるウィッチが、戦闘航空団司令、飛行隊司令として指揮を執るようになった。

戦闘航空団司令はゲルトルート・バルクホルン。
第Ⅰ飛行隊司令はエーリカ・ハルトマン。
第Ⅱ飛行隊司令はハンナ・ユスティーナ・マルセイユ。

以上の3人がそれぞれ指揮をしている。
気心が知れた3人による部隊指揮能力は際立っており、
カールスラントを代表する精鋭部隊としてその名を轟かせている。

もっとも、昔を知る仲間達は先にウィッチとしての寿命を迎えてしまい、
多くは後方勤務に移動、ないし退役するなど一線から退いてしまったため、部隊にはいない・・・。

ベルリン解放後の南カールスラントの奪還とオストマルク解放において戦果を挙げており、
これまでの武功と合わせて考慮された結果、3人揃って黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字章の授与が決定された。

まさか自分が「あの」ルーデルと同じくらい偉大な存在になれたことにバルクホルンは感動し、
他の仲間と違って意外とウィッチとして戦えたため、このまま部隊勤務を望んでいたが、
とうとうウィッチとしての寿命、終わりに直面し、今後の身の振り方について悩んでいた矢先に・・・。

 

 

 

 

 

 

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幕間の魔女「騎士鉄十字の家系」

2021-04-25 23:30:28 | ヴァルハラの乙女

バルクホルンはその確実な家系をゲルマニア騎士団まで遡ることができる古いユンカーの家柄である。

その傍証は騎士とウィッチがことごとく死した1410年のタンネンベルクの戦いの後、
生き残った数少ない騎士とウィッチに対し支払われた給料支給記録においてフォン・バルクホルンの名を確認できる。

「ユンカー」

という言葉を扶桑語で直訳すれば貴族または地主貴族になるが、その実態は、

「武士」

と表現するのがより正しい。
それも太平の世で世襲官僚化した織田幕府時代の武士ではなく、
あり方は自ら荘園を経営し、戦に馳せ参じる鎌倉時代の坂東武者に近かった。
時代が資本主義、産業主義に向かうにつれて大部分が困窮化していったことも武士に似ていた。

余談だが、筆者は最近東プロシャに旅行した。
カールスラントでも北の辺境、土地は貧しく、冬は白夜が見える北の厳しい大地である。
が、数世紀にわたって開拓を続けた結果、カントをはじめとする著名な文化人を数多く生み出した歴史ある土地である。
同時に長年の困難が、命令に対し絶対的な服従を誓う軍国プロシャ王国の精神的気風を育てたのがその特徴といえる。

そして、このあたりにユンカーが多い。
ユンカーというその本来の意味は、

「若殿」

という意味らしい。
侯爵や伯爵の息子たちがゲルマニア騎士団に属して騎士として戦ったいたからだそうだ。
ゴトフリード・ノルディング・フォン・バルクホルンもそんな若殿の子孫の末裔であるため、同時代のあらゆるひとびとから、

「最後のプロシャ騎士」

とか、厳つい顔立ちからフレデリック大王時代の豪傑極まる騎兵将軍ツィーテンの再来などといわれた。

しかし、本当はどうなのであろう。
事実かれは代々軍人の家系にも関わらず、軍人になろうというきもちはまったくなかった。

かれが東プロシャでおくった少年と青年時代。
顔と名こそ厳ついが、その実おだやかで心優しい惣領息子であったにすぎない。
事実、かれは読書と庭いじりを愛し、戦火の後には晴耕雨読の日々を夢見ていた。

「あの人は戦争が無ければ、大尉あたりで予備役になって、どこかの大学の優しい助教授になれただろう」

と、義妹のゲルトルート・バルクホルンは、
メッケル少佐が関ヶ原合戦図を見て「西軍の勝ち」と断言したように、親しい人にいった。

しかし後年まさかこの優しい助教授の妻に自分がなろうとは、夢にもおもっていなかった。
戦時中、エーベルトから義兄と許嫁ないし、婚約を勧められた際には大いにおどろき、

「とつぜん、清水の舞台からとびおりるよう、いわれた気分」

と、扶桑人の坂本と宮藤に自身の動揺を扶桑の諺と共に語った。
相手が同じ騎兵将校か、この辺のいきさつが秋山好古に求婚された多美に似ている。

はなしは、もどる。

騎士団幹部の大半、騎士団総長すらも戦死を遂げた悲惨極まる戦いを生き延びたのは大変な幸運であり、
人は戦いに参陣したバルクホルンのウィッチに何らかの特異な固有魔法を有してあったかのように考えがちである。
(実際、今日においてはウィッチとして数々の奇跡を成し遂げた宮藤芳佳の例を挙げて、そう結論づける者は多い)

だが、それ以降において、まったく名を残しておらずそれは否定せざるえを得ない。
たとえ、特異な固有魔法を有していたとしても、それだけで戦場を生き延びるのはむつかしい話だからだ。
次にバルクホルンの名前が出て来るまでに、長い中世の停滞から抜け出した時代、近世初頭までまたねばならない。

しかしそれも男は傭兵ランツクネヒトの中隊長として、女は古参兵ウィッチとして名前が出る程度である。
要するに戦乱の世において、ならず者たちを率いて、戦争という商売をしていたに過ぎないらしい。

しかし、1640年に一つの転機が訪れた。

後年、数で勝り、当時最強とうたわれたバルトランド軍を独力で倒し、後に大選帝侯と称えられる君主、
ブランデンブルク選帝侯の位を継いだフリードリヒ・ヴィルヘルムが指揮する常備軍の幹部将校団の一員に加わったのだ。

そして、ここからバルクホルンの歩む道が定まった。
男は将校として、女はウィッチとして歴代に渡ってプロシャ王国へ仕えるようになったのだ。

バルクホルンの名が一躍有名になるのは、1756年の七年戦争だった。
騎兵将校ゲルハルトと義妹にしてウィッチのルイーゼがロスバッハの戦いで騎兵突撃の一番槍を果たしたのた。

プロシャ軍は約2万、対するガリア、ザクセン、オストマルクの連合軍は合計5万。
その大軍の真正面から騎兵突撃を敢行して、これを成功させたのだ。

「バルクホルンは男女ともに、騎兵将校の平均をはるかに超えるまで馬術に習熟し、命令には忠実で、部下の扱いがうまい勇者」

と、騎兵将軍ツィーティンが手放しで誉めちぎったように、
現在に至るまで巷で言われている「勇武のバルクホルン」の原型がここで既に完成された。

義妹のルイーゼも気難しいことで知られるフレデリック大王からの覚えもよく、
自身の身辺を警護する近衛ウィッチとして昇進を打診され、家門の将来は安泰のはずだった。

しかし、ルイーゼは栄達よりも義兄の妻、家庭の実質的支配者の地位を選んだ。
ゲルハルトも戦後は軍や宮中での栄達よりも、義妹の夫であることを選び、自らの領地へ引きこもった。

普通なら、バルクホルンの軍事的栄光はここで終わりである。
だが2人の間に出来た子供や孫たち、その子孫はプロシャ王国が関わる戦争の全てに参加した。

(中略)

対してゴトフリードの父は戦争を好まぬ人物であった。
だが商売に関して才があり、多くのユンカーが経済的に没落してゆく中で逆に資産を増やすことに成功した。

しかも増やした資産を惜しげなく慈善事業や、領民の生活向上に投資していたため、名士、君子人と誰からも慕われた。
母もそんな父に似合いの人で、たいへん明るい質を持つ、常になにかを愛さずにいられない女性であった。

結果、かれはユンカーの世継ぎというよりは、
適度に裕福な商家の頼りなげな惣領息子と呼ぶのがふさわしい、人柄のよい人物となった。

かれの悲劇は軍人になってしまったことである。
しかも、人柄とは裏腹に外見はまったく厳つかった。
悪くいえば馬鈴薯のようだと評し、良くいえば勇武の相だといわれた。

ゆえに、かれはそうした評価にあわせて生きなければならなかった。
特に先祖代々が勇武をもって知られる家系であるから、それに従わざるを得ず、そうなった以上はそう生きねばならなかった。

とはいえ、かれが軍に入った当初、欧州は未だ平穏そのものであった。
扶桑海事変が勃発した時も叔父が指揮する槍騎兵連隊で平時の将校として勤務していたに過ぎない。

だが、その叔父がまったくの親心からかれの将来を再度決めてしまった。

「これからの時代は戦車だ」

騎兵将校として教育を受けてきたかれは、そのことでまた面食らうことになった。

今日でこそ、戦車こそ陸戦の王者で騎兵の末裔という立ち位置であるが、
当時、戦車とは最新兵器でありながらも未だ海のものとも、陸のものとも区別がつかないゲテモノであった。

そもそも第一次ネウロイ大戦の最中に開発された戦車とは、

「陸上戦艦」

という発想で生み出された。
くわえて、この開発を後押ししたのは海軍大臣のウィンスト・チャーチルであった。
つまり、陸戦兵器でありながら、潮のかおりが漂う異質同体、それが戦車であった。

正直なところ、叔父を好くべきなのか憎むべきなのか、かれにはよくわからなかった。
相手が善意に満ているぶん、始末におえないからだ。

そんな最中、かれの実家に遠戚の少女が新しい家族としてやって来た。

ゲルトルート・バルクホルン。

後に第501統合戦闘航空団、通称ストライクウィッチーズの部隊創設に携わり、
ネウロイの巣を破壊、しかも複数回関わった上に自身も世界有数の偉大な撃墜王として君臨することが約束されていた。

この時ゲルトルートは親と兄弟姉妹を妹のクリスを除き、全てを亡くした孤児に過ぎなかった。
しかし、世界が戦争という暗い波濤へ乗り出しつつある時代、騎士鉄十字の家系はその準備を整えたのであった。


※福田定一著「騎士鉄十字の家系」(東京広告技術社刊)第三版より引用



 

 

 

 

 

 

 

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第40話「魔女たちの夜戦 中」

2021-04-18 20:51:38 | ヴァルハラの乙女

ネウロイの攻撃は来なかった。
エイラは未来予知が外れてショックを受け、宮藤とサーニャは困惑したままであった。

だが、ワタシは知っている。
必ずネウロイはやって来ることを。
だから勘違い、と周囲が思い込んで弛緩した空気が流れるよりも先に先手を打つ。

「宮藤、サーニャ。
 念のため2人ともそのまま周辺を警戒するんだ。
 エイラ、未来予知でネウロイの攻撃を『視た』のは間違いないな?」

「あ、あたり・・・いや当然だって!
 だって私の固有魔法は予言文章なんかじゃなくて、
 必ず訪れる未来を『映像』で『視て』予知するんダゾ!」

語気を強くしたエイラが言う。
これまで頼ってきた固有魔法に疑問を抱かれている、と思ったからだろう。

「勘違いするな、エイラ。
 ワタシはエイラを信じているし、信頼している」

エイラの未来予知、という固有魔法は一見胡散臭いが、
何にでも解釈できる某ノストラな予言文章と違って必ず、
「映像で視認する」のでこれまでネウロイの攻撃を一発たりたとも被弾してこなかった。

ゆえに、ワタシはエイラの実力に対して疑問を抱いていないし、
普段は冗談な事ばかりしているが、戦場で嘘偽りを口にするような子でないのを十分知っている。

「だから、記憶が薄れない今の内に、ネウロイの攻撃がどの方向、
 高度、角度から来たのか?その結果どんな未来が見えたのか?具体的な情景を説明してくれないか?」

「っ・・・!!!」

そう言うと何故かエイラは驚いたような顔を浮かべ、少し間を開けてから具体的な内容を口にした。

「・・・高度は同じで、正面からネウロイの光線が凪ぎ払うように飛んで来たんダ」

正面か・・・あの時、我々正面の方角は大陸。
ガリア方面、ノルマンディー地方に向いていて、
もう少ししたら地上のレーダーから支援を受けられなくなる距離だから、
旋回して、ブリタニア側へ戻る哨戒ルートの途中だったな・・・。

「サーニャ、魔導針に反応は?」
「・・・あ、ありませんでした」

こちらの質問に対してサーニャは申し訳なさそうにしている。
成程、つまりサーニャの魔道針が感知できる範囲にはネウロイはいなかった、と。

しかし、エイラは未来予知でネウロイの攻撃を視た。
ネウロイを目撃しなったサーニャの証言と矛盾しているけど・・・。

「いや、それだけでも十分だ。
 ネウロイは我々を待ち伏せしていた可能性が高い。
 大雑把だがネウロイの方角はノルマンディー方面だろう」

「え?ま、待ち伏せですか!!
 で、でも、サーニャちゃんは探知していないのに・・・」

ワタシの断言に宮藤が疑問を露わにする。

「宮藤、別に難しく考える必要はない。
『サーニャの魔道針の有効探知範囲外でネウロイが攻撃を試みたが、
 エイラの未来予知で先んじて回避行動をしたから、結果的に攻撃は来なかった』だけだ」

「だ、だけど。
 こんな夜中にネウロイはどうやって、狙い撃てたんダ?」

顔を青くしているサーニャの手を握るエイラが質問する。

「それも仮説だが根拠はある」

芋大尉、ではなく。
「歴戦のカールスラント軍人」として、
視線や基地の無線中継で聞かれているのを意識しつつさらに言葉を綴った。

「ネウロイはサーニャを知っている。
 サーニャが発している魔導波を逆探知し、
 探知範囲外の遠距離からのアウトレンジ攻撃するーーーーこれなら目視できずとも攻撃できる」

魔導針は魔導波を照射し、
相手に当てた魔導波が反射されて戻って来るまでの時間、
それと方位を計測することで相手の位置を探る魔法でレーダーと仕組みはまったく同じだ。

レーダーと同じように魔道針も、相手から反射された魔導波が明後日の方向へ逸らされたり、
反射した魔導波の力が弱かった場合、相手を認識できない時がある。

しかし相手は『自分が魔導波を照射されている』事実を認識した上で、
『自分が魔導波で探られている』事象を距離こそ不明だが方位だけは把握できる。

これが、逆探知だ。

【原作】でもネウロイは『サーニャの歌を乗せて無線妨害を実行した』ので、
ネウロイが電波を理解しているのは間違いなく、逆探知という概念も持ち合わせているはずだ。

加えて【前世】の歴史ではこの『発せられた電波の方向を探知する技術』を利用して、
あのコロンバンガラ島沖海戦ではアメリカ側の電波を先んじて探知した上で優位な位置へ移動し、勝利を納めている。

同じような事をネウロイはしようとしたかもしれない。
ロングランスの名を頂く酸素魚雷の変わりに光線によるアウトレンジ攻撃を試みたが、
直前になってエイラが察知して回避行動をとったので、ネウロイは攻撃を中止した・・・そんなところだろう。

矛盾なんてものはない、エイラとサーニャはもどちらも正しい報告をしている。

しかし、改めて考えると厄介極まる話だ!
もしもエイラがこの場にいなかったら、最悪全員何が発生したのかも把握できず、撃墜されたかもしれないなっ!!

数年前、今だネウロイが銀色の個体だった時なんて、コアさえ破壊すればなんとかなったのに・・・。
それが今ではあの手この手で搦め手を使うようになるなんて、間違いなくネウロイは進化している。

そう思えば【原作】の宮藤たちはネウロイの戦術判断のミスで勝てたかもしれない。

前世の記憶、というよりも「記録」によれば
『雲海の中からサーニャを狙い撃てた』ぐらいに狙撃能力に秀でた厄介なネウロイだ。

例え未来予知能力のエイラがいても、エイラだけなら兎に角。

ストライカーユニットを半分壊されたサーニャ。
シールド防御に優れていても経験が浅いのでまだまだ足手まといな宮藤。

この2人を援軍が来るまで守り通すのは端的に言って難しい任務だ。

もしもネウロイがエイラに対し、
接近戦に挑まず雲海から遠距離狙撃の一撃を加えて離脱、
これを延々と繰り返していたら危なかったかもしれない。


いくらシールドでネウロイの光線を防げる、
と言っても長期戦になれば魔法力が消耗してしまうし、
精神的にも肉体的にも疲労した挙げ句、なぶり殺される形で撃墜されただろう。

何故ネウロイがこの戦術判断をしなかったのか分からない。
想像になるが一番の脅威と判断したサーニャを負傷させたと誤認して止めを刺すつもりで接近戦に挑んだのか?

しかし、『サーニャが一番の脅威とネウロイが判断した』そうなると別の視点がまた見えてくる。

「そうなると、サーニャの攻撃から逃げたあのネウロイ。
 あれは、魔道針の探知範囲を探る威力偵察だったかもしれないな・・・」

思った仮説を口にする。
前世も含めあのネウロイは先ほどに至るまで精々ネウロイの偵察、または哨戒という程度しか考えていなかったが、
人類側の探知技術を脅威と見なし、積極的に収集、把握しようと試みている、となると話は大きく違う。

『ネウロイは脅威を判断認定ができる思考能力を有している。
 しかも直接戦う相手ではなく、人類が発している電波情報を理解しようとしている』

仮説に仮説を重ねて得た結論だが我ながら理屈は通っていると思う。

しかし、これは物語の裏側。
たまたま深淵を覗いてしまったような気分の悪さを覚えるっ・・・!?
確かに人型ネウロイの存在は『知っている』けど、人という『形』で模倣していない分、気味が悪い。

まさか、あの感動の話においてこんな裏があったなんて。
それが分かってしまう現実の戦争なんて、やっぱりクソだ。

ネウロイとは何年も戦っているがまだまだ、こう気づかされる事があるなんて、
やはりワタシは、いいや、人類はネウロイについて未だ分かっていない所が多すぎる。

『・・・バルクホルン大尉、
 訓練を中止しなさい、全員の帰還を命じます』

基地からの無線でミーナの命令が来た。
「トゥルーデ」ではなく「バルクホルン大尉」と呼び掛けている辺り、事態の深刻さを重く受け止めているようだ。

「ミーナ、言い出しっぺのワタシが言うのもアレだが、
 ネウロイを直接見聞きしたわけでもなく、現段階では全て仮説にすぎないが」

『貴女を信用しているし、信頼しているわ。
 それに先ほどレーダーの担当者と確認したけど、
 トゥルーデの仮説に間違いはないし、理にかなっているのが分かったから』

『まあ、そう言うわけだバルクホルン。
 貴様なら兎も角、夜戦の経験がない宮藤には荷が重いし、状況が変わったからな。
 一度基地へ帰投して戦術の見直しを図った方が良い、そうミーナと判断したんだ』

こちらの確認に対してミーナと坂本少佐が答えた。

「妥当な判断です、少佐」

一度撤退せずに戦う。
という方法もたしかにある。

エイラの未来予知。
サーニャの魔導針。
主人公にしてメイン盾である宮藤。

最後に異世界TS転生者という歪な存在ながら、
ネウロイを張り倒す事に関しては3人よりも場数を多く経験し、
腕前もなかなかの物、世界の頂点まで来れたと、自負している自分。

この4人ならば戦う時間帯が昼でも夜でも最後はギリギリ何とかなるだろう。

だけど、

「あんまり、無理しないでね。
 夜間戦闘はカールスラント以降はしてないし」

エーリカがしてくれた助言に従おう。
空についてはエーリカの言葉は常に正しく、確かな物だから。

「聞いたな、皆。
 これより帰投する」

基地への帰還、と聞いて自分以外の一同がほっ、と安堵の表情を浮かべる。

「いやー、ミーナ中佐が話が分かる指揮官でよかったなー、宮藤」

「うん、月明かりがあるけど、
 夜に戦うなんて、私まだまだだし・・・」

エイラの軽口に対し、宮藤が同意する。

「なんたって、今夜も大尉やサーニャに手を握って貰わないと飛べるなかったしナー、にひひ」

「うえぇ!
 い、今はそうですけど。
 その内一人で飛べるもん!!」

エイラの弄りに宮藤が頬を膨らませて抗議する。
柴犬の耳とか尻尾を威嚇している辺りが、かわいい・・・。

『はっははは、
 確かに今の宮藤では難しいが、
 その内できるようになるさ、私も含め、皆最初はそんなものさ』

と、少佐が元気よく言う。

『それにしても、バルクホルン。
 戦うだけでなく、技術面でも色々知っているし、それを実戦に生かせるとは、本当に凄いな!』

「勉強会に参加していただけですよ。
 それに、自分は試作機のテスト役をよくしているので、自然と色んな知識が増えた次第で」

基地への帰投ルートを飛びつつ答える。
『あの』大空のサムライに称賛されるなんて、少し気分が良く、笑みが溢れそうになる。

『うむ、人生は勉強だな!
 だが、バルクホルンは魔法少女を演じたといい、
 軍隊生活が長い割に色々できるから、私も見習わなくてはな!!』

人生は勉強。
まったくその通りである。
異世界転生者であろうと学業、学問からは逃れられない。

ましてや近代の軍隊なんて学力がなければ、まず入れない。
ウィッチといえど学力が要求されるから、昔は勉強で四苦八苦して・・・・・・ん、んん?

「あー、少佐。
 そ、そのですね・・・魔法少女とは?」

嫌な予感しかしない単語について確認する。
身に覚えはあるけど、いや、まさか・・・。
よもや・・・あの姿と、あの演技がテレビ放送されたっ!?

「魔法少女?」
「なんだそりゃ?」
「バルクホルン大尉が演じた?」

魔法少女、などと言う単語を聞いて。
宮藤、エイラ、サーニャの頭上には疑問符が浮かんでいる。

しかし、他の隊員。
特に出撃前に目撃したペリーヌの大爆笑からして・・・。

『ん、ああ、それは・・・』

一瞬戸惑いつつも、坂本少佐が言葉を綴ろうとした時。
無線の音声に大きな雑音が急に発生し、数秒で基地との無線中継はできなくなってしまう。

そしてその変わりに別の「音」とメロディーが割り込んで来た。

「これ、サーニャちゃんの歌・・・」
「う、そ・・・」
「ネウロイがサーニャを知っているなんて、本当に大尉の予想通りだ・・・」

サーニャが普段から口ずさむ「歌」。
しかも父親が自分のために作ってくれた歌がよりにもよってネウロイが歌っている。
この事実は3人にとって衝撃が強すぎるのか、揃いも揃って顔を青くしている。

「全員、気を引き締めろ!
 ネウロイは我々を狙っている!
 エイラと宮藤は、目視で周囲を警戒!
 サーニャは魔導針で周囲を警戒するんだ、この場で迎撃する!」

指揮官として、そんな年下魔女たちを大声で叱咤激励する。
場数を踏んでいるエイラとサーニャは命令を聞いて、即座に任務に取り掛かった。

「き、基地まであと少しだし、このまま・・・」

「雲の下に飛び込めば、目視できずネウロイから一方的に撃たれるだけだ。
 よって、月明かりで目視できるこの場に踏みとどまり、少佐たちの援軍が来るまで持ちこたえる」

翻って宮藤は恐怖に震えていた。
新兵の異議申し立てに対して軍人として言葉を発する。
首を動かさず、視界の隅に入った宮藤の表情は『主人公』ではなく本当にただの『少女』だった。

「安心しろ、宮藤。
 ワタシが・・・私が必ず、宮藤を守る」

ただの『少女』だが、いずれ英雄であることを約束された『主人公』だ。
ワタシは必ずこの世界を変えてくれる宮藤芳佳を守るため、今日まで生きてきた。

これはワタシ、私だけが知る誓約。
誰も知らず、誰も理解できない誓約だ。

「あっ・・・!」

そんな時、サーニャの声か、宮藤の声か。

どちらかは判断できなかったが、
サーニャの魔導針が眩しく輝いたと思うと、
宮藤とサーニャのストライカーの魔道エンジンが唸り声を上げて急上昇した。
2人が上昇した刹那の時、地平線の彼方の雲の中からキラリと赤い光が見えると、光線が飛来してた。

「大尉!宮藤が!!」

血相を変えたエイラが叫ぶ。
だけど一瞬の出来事で、体が動くよりも先に悪い現実が先行する。
音よりも早く、幾条の雲を蒸発させながらネウロイの光線が2人に迫る。

「サーニャちゃん、危ない!!」
「えっ・・・!?宮藤さん!!?」

宮藤がサーニャを押しのけ、
サーニャの代わりにネウロイの光線が直撃するコースへ躍り出る。

そして、得意のシールドを展開しようとするが、
シールドが完全に展開し終えるよりも先にネウロイの光線が直撃。

ストライカーの爆発と共に宮藤は墜落した。



 

 

 

 

 

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IFの魔女「ヴァルハラの乙女1947 その2」

2021-04-07 23:17:33 | ヴァルハラの乙女

 

ワタシ・・・私は異世界TS転生者だ。
しかも「ストライクウィッチーズ」という物語の主要な人物、ゲルトルート・バルクホルンに転生した。

とはいえ、ウィッチであるこのを除けば特別際立った技能なんてなかった。
それよりも自分が転生者であると自覚した直後に、記憶と言語が混濁して色々大変だった。
しかも、いわゆる【原作知識】があっても【原作】にたどり着くまでの道中は文字通り手探りで模索するしかなく、

それでも今日まで無事戦争を生き残り、悲願であったネウロイを撃破。
ブリタニア、ガリア、ベルギガを経由してついに首都を解放し、故郷の奪還を成し遂げた。

だが、戦争が終わった先はどうすれば良いのか私は何も知らない。
転生者だから20歳を過ぎてもウィッチとして空を飛べる、なんて淡い期待も虚しく、
坂本少佐と同じくシールドで防げた筈の攻撃が貫通するなど、魔法力の減退は徐々に始まりつつあった。

ウィッチとして築き上げて来たこれまでの自分と別れを告げねばならない事態に対し、
私は何かと理由や言い訳をして現実逃避して来たが、ハンナとエーリカが私にこう述べた。

「バルクホルン中佐・・・いや、バルク、後は任せろ。
 昔、アンタが私を守ったように、今度は私が部隊の部下を、
 後輩魔女たちを守ってみせるさ・・・ハルトマンと一緒に、な」
 
「私だけじゃ、不安だろうけど。
 ハンナと一緒なら、トゥルーデだって安心でしょ?」

この時、私は悟った。
私がいなくとも、意思を継ぐ者はいる。
そして私の、ゲルトルート・バルクホルンがなすべき物語の役目は終わったのだと・・・。


 

 

 

 

 

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幕間の魔女「アフリカの魔女は語りけり」

2021-04-04 21:51:17 | ヴァルハラの乙女

最近、基地は奇妙な熱気で覆われている。
それはアフリカという土地柄で気温が暑い、という意味ではない。
高揚感、良い意味で皆が夢中に、そして熱心に一つの事象に対して注目していた。

「やあ、今日は出撃はないのか?」

出会うなりロンメル将軍がそう切り出した。

「残念ながらないわ、今のところ」

「そうか、それは残念だ。
 私はマルセイユが先に撃墜300機達成する方に賭けたんだ」

かつてマルセイユは1日17機撃墜という記録を打ち立て、驚かせたけど。
1944年になってからは、いよいよ前人未到の領域、撃墜数300機も夢ではなくなりつつあった。

現状、撃墜300機達成の一番槍をマルセイユ、ハルトマン、バルクホルンの3人で争っており、
誰が先に達成できるのか、ロンメル将軍のように最前線ではこれを賭けのネタにしている。

・・・とういうか、さあ。

「将軍閣下が賭け事に参加して良いのかしら?」

こっそり隠れてするならともかく、
こうも堂々と言うなんて軍規的にどーなのよ?

「何も問題ない、
 実をいうと軍主催でこの賭け事の胴元を担当しており、
 賭けで出た儲けは戦時国債や慈善事業の資金として運営される事が確定している。
 しかも皇帝陛下もこの賭けに参加されており、毎朝『今日の撃墜数は?』と尋ねるくらいだ」

カールスラント軍に皇帝陛下ェ・・・。
何というか、お堅いカールスラント人もやっぱり欧州人なのか、
こうしたイベントには本当ノリノリでするわよねぇ・・・文化の違いかしら?

まあ、最前線で戦う兵士にとって良い暇潰しになるし、
賭け事なんて取り締まってどうせやるだろうし、いっそ胴元になって、
儲けは国債とか慈善事業とか、ちゃんとしたのに使うというのは悪くない考えよね。
変に真面目な扶桑だと「けしからん!」と言い出す人間が出そうだから、なかなか出来ないわ、これは。

「へえ、将軍は私に賭けたのか?」

などなど話をしていたら話題の渦中にある人物、
ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ、そのご本人が出てきた。
後頭部に髪を束ね、手は泥で汚れているから趣味の陶芸に打ち込んでいたのだろう。

「ああ、頼むよ。
 出来れば今すぐ飛んでネウロイを撃墜してもらえないか?」

「お断りだな、
 今日の私は非番で趣味に忙しいところなんだ」

ロンメル将軍の懇願に対してマルセイユはきっぱりと断った。
数年前なら将軍の命令、というよりも戦うのが趣味なところがあるから『ネウロイを撃墜する』ために即座に出撃。

そして見事にネウロイを殲滅し、
戦闘のストレスを発散するために飲酒喫煙を延々して健康を害しただろう。
しかし最近のマルセイユは元上官のバルクホルンから『戦う以外の趣味』を見つけるよう手紙で諭され、

華族出身の真美から茶道とか書道とか色々試したり、
それと部隊で焼き物をしている人間から陶芸を学んでそれらが趣味になった。
その影響でストレス発散にしていた飲酒喫煙を多少なりとも控えるようになった。

そのお陰で精神的に落ち着いただけでなく、
肉体的に健康が促進されて前よりもさらに撃墜ペースがグングン延びて今に至った。

マルセイユの飲酒喫煙について前から私も危惧していたけど、
止めようにも、止められなかったからバルクホルンには感謝しかない。
もっともバルクホルン自身は「なんでさ」「どうしてそうなった」と困惑しているようだけど・・・。

「まっ、将軍が焦らなくても問題ない。
 ネウロイは向こうから勝手にやって来る上に、
 私だって、これを機会にハルトマンとは決着をつけたいところだからな」

そう言いつつマルセイユは牛乳を一気に飲み干した。

「そう言えば、エーリカ・ハルトマンとは確か同期だったわよね」

ハルトマン、という人名を耳にした時。
従軍記者として初めてマルセイユと出会った際、
彼女が私へ一晩中語り明かした話をふと、思い出した。

「ああ、そうだ。
 私とハルトマンの因縁は5年前まで遡る。
 あの当時はハルトマンと訓練学校で主席を巡って争っていたな。
 いや、当時はそう思っていたが、私が一方的に突っかかっていただけだったな、今思えば・・・」

どこか遠くを見るような目でマルセイユが語る。
50年、60年生きる長い人生からすれば5年はたった5年だけど、
20歳で世代交代を強いられるウィッチからすれば「5年も昔」な話である。
しかも10歳、11歳に得た強烈な人生経験、戦争の思い出はずっと残るし、彼女からすれば遠い思い出だ。

「ど、同期だったのですか!?
 あのエーリカ・ハルトマンと!」

私は以前聞いた事があるから知っていたけど、
知らなかった周囲の面々は真美ほどではないが驚いていた。

「ん?マミは初耳だったが?
 よし、いい機会だから話そう。
 エーリカ・ハルトマンとは訓練学校で同期だけでなく、
 訓練学校では同じ部屋で同居し、初めて配属された部隊も同じ部隊、
 さらに所属していた中隊も同じ中隊で共に戦っていたんだ・・・昔の話だが」

そう懐かしそうにマルセイユが語った。
部隊だけでなく、所属していた中隊まで同じだから面白い縁よね。

「どんな中隊だったんですか?」

今日はティーガーが重整備中なので、
天幕に遊びに来たシャーロット・リューダー軍曹、シャーロットが手を上げて質問する。

「知りたいかシャーロット?マミ?
 ふふ、顔ぶれは豪勢だぞ、何せこの私がいた中隊だからな。
 中隊は戦闘航空団司令フーベルタ・フォン・ボニンが航空団長と中隊指揮を兼任し、
 教育係としてエディータ・ロスマン、さらに中隊長の副官にはゲルトルート・バルクホルンがいたからな、ふふん」

「え、あ、あれ?」

言われた意味を咀嚼しきれていない真美が困惑している。
まあ分からなくもない、割合ビックネームがポンポン飛び出しているから。
数年前はそうではなかったけど、今では全員統合戦闘航空団に所属しているエースたちなのだから。

まずはフーベルタ・フォン・ボニン。
第503統合戦闘航空団、通称「タイフーンウィッチーズ」の副司令として現在も活躍しているウィッチだ。
1943年の末に一度ヘルシンキで会ったことがあるが「空中で指揮する資格は階級よりも撃墜数」と豪語し、
「フォン」の名があるように生まれは貴族だけど、油汚れた上着を常に羽織ってる現場第一主義者である。

流石に現在はウィッチとしてアガリを迎えた年齢のため、
直接戦闘するよりも調整や相談役といった仕事に従事しているようだけど、
それでも現場第一主義者なのに変わりなく、なかなか好感が持てる人物なのを知っている。

次にエディータ・ロスマン。
撃墜数は確か90機程度とリベリオンやブリタニアのウィッチと比較すれば大エースクラスの撃墜数だが、
撃墜数100機なウィッチが大勢所属するカールスラント空軍では目立った撃墜数ではない。

しかし、それ以上に彼女が称賛される理由は、
カールスラントのエースたち・・・彼女たちの言葉を借りるならば、
エクスペルテ(腕利き)として絶賛されるのは人を育てる事に長けているからだ。
彼女の教えを受けた生徒は悉くウィッチとして大成することで、とても有名な人物である。

ヒスパニア戦役以来のベテランウィッチで、
今は第502統合戦闘航空団、通称「ブレイブウィッチーズ」に所属しており、
グンドュラ・ラル少佐によれば呼び寄せるのにあの手この手の『裏技』を使用したそうだ。
つまり、『裏技』を使わねば決して統合戦闘航空団に来る事がない貴重な人材と周囲から認められ、尊敬される人物である。

その証拠にロスマンについて、
普段は唯我独尊なマルセイユも彼女については「先生」と尊敬を込めて呼ぶくらいだ。
マルセイユ自身もだけどライバル視しているエーリカ・ハルトマンも彼女に育てられ、
2人揃ってついに世界の頂点までたどり着けたのだから、本当世の中は色んなウィッチ、色んな人がいるわよね・・・

最後にゲルトルート・バルクホルン。
マルセイユの元上官であり、撃墜数300機の先陣争いに参加しているエースウィッチだ。
しかも単に強いだけでなく試作機や兵器の試験運用が担当できる程度に技量が熟達している。
最近は「究極のレシプロストライカーユニット」なんて言われているTa‐152を使用して戦果を挙げているのが有名である。

さらに、世界初の統合戦闘航空団。
通称「ストライクウィッチーズ」の設立に関して隊長のヴィルケ中佐、
戦闘隊長の坂本少佐に隠れがちだが、設立当初から部隊の運営と補佐役をこなした影の主役でもあり、
しかも原隊では飛行隊司令、すなわちマルセイユと同じ撃墜王でありながら3個中隊を指揮する能力も認められている凄いウィッチだ。

そして、そんな彼女とは実は面識がある。
出会いは私が一度空を諦め、記者として活動していた数年前のブリタニアである。

今でこそ少佐だが当時は中尉だったグンドュラ・ラルへのインタビューをしている最中、
戦友であるラルの見舞いに来たのが私と彼女との出会いであり、私の戦歴を知っていたのもあるけど、
カールスラント人にも関わらず、扶桑語が扶桑人とそう変わらない水準で会話できたから当時はすごく驚いた。

久々に母国語で会話できたら思わず熱心にアレコレ話をして、
その際アフリカ行きの船がなかなか見つからないから、いっそ、オラーシャにでも行こうかなぁー。
なんて口にしたらバルクホルンは何故か慌てて、オラーシャに行くなんて勿体ない。

それよりも如何にマルセイユが素晴らしいか、マルセイユは凄いぞぉ・・・。
などと言いだして同席していたラル中尉が少し引くほど延々と語っていたなぁ・・・。

ともかく彼女は人一倍マルセイユに会うよう私に強く勧め、
アフリカ行きの船便を彼女の上官が有する伝手を通じて手配までしてくれた。

アフリカに来たお陰で私は再び空を目指すようになり、充実した今があると断言できるから彼女には感謝している。
今も彼女と繋がった縁は途切れておらず、手紙を通じて愚痴を零したり、有益な情報や物資の交換をしている。

以上、回想終了。
話を聞いていた周囲の様子を伺うとしよう。

「全員、名が知られている有名人っ・・・!」
「ほ、ほわ~~~、昔から凄かったんですね!」
「ひ、ひぇーーー!天上人ばかっかり~~~っ!?」

シャーロットと真美、古子が実に分かりやすい感情表現を披露している。

「ティナと出会って間もない時。
 当時も同じことをティナから聞きましたが、
 今ではその時とは随分違った意味合いを帯びるようになりましたね」

付き合いの長いライーサが苦笑と一緒に語る。

当時、といっても僅か数年前に過ぎないが、
マルセイユが口にした人物は皆まだまだ有名ではなかった。

しかし今ではシャーロットや古子のような反応を皆するようになった。
その事についてライーサが「違った意味合い」と端的に指摘している。

「ふふーん。
 凄いだろシャーロット、マミ、ルコ。
 いいぞー、もっと私を褒めろー、崇めろ~、そして崇拝しろ~」

若手のウィッチから純粋な好意を向けられたマルセイユがこれ以上ない程ドヤ顔を浮かべ、
訳の分からぬ間に「マルセイユ万歳、万歳!」と絶賛したり、拍手が始まったりと賑やかになる。

そんな風に大騒ぎしている年下のウィッチ達を見ていると思わずにやけそうになる。
なんだか発想が年寄りくさい感情だけど、まあウィッチとしては年寄りだから、かもね・・・。

私がウィッチとして名を挙げた扶桑海事変は1937年、
1944年の今から遡れば7年も昔の話であるし、もしも7年前の私に、

『アガリを迎えた扶桑人ウィッチがカールスラント人と共に北アフリカで怪異と戦っている』

なんて現状を言っても扶桑海事変当時の自分は絶対信じないだろし、
未だ空を飛べている喜びよりも「まだ戦争は続いているの?」と困惑するに違いない。

しかも扶桑海事変当時よりマシとはいえ、
理不尽と不条理が徒党を組んでいる軍隊に未だ所属しているのに対して呆れるかもしれない。

でも、今の私はこの生活に満足している。
もしもその時の私に会えたらこう言うつもりだ。

確かに毎日悩んでいるし、
色々忙しいし大変だけどやりがいはある。
でも国籍、人種は違えど、年下のウィッチを助け、戦えるなんて、
なかなか出来ない素敵な仕事だし、何よりも空を飛ぶことはいつまでたっても楽しいから、と。

そんな素敵な仕事と楽しみを彼女、ゲルトルート・バルクホルンは作ってくれた。
もしもあの時、アフリカへ行かずオラーシャへ言っていたら私は従軍記者のままだったかもしれない。

あの時、ブリタニアで彼女と出会ったお陰で今がある。
だから彼女のために、私自身のために、飛べなくなるその最後の日まで飛び続けるつもりだ。

国籍、年齢は違えど同じウィッチ。
愉快で素敵な仲間たちと共にありたい、そう私は願っている。




 

 

 

 

 




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