二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

GATE~続いたネタ28 夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-04-28 22:05:26 | 連載中SS

箱根 旅館「山海楼」

伊丹達が炎上する旅館の中を駆け抜ける。
火災と逃げまとう人々で周囲は既に混乱状態だ。

「本気で正気を疑いたくなりますね!
 一般人が大勢いるというのに巻き込むなんて!!」

栗林が悪態を口にしながら先頭を走る。
手には鹵獲した敵の銃を持っている。

「それだけする価値があるからでは、ボーゼスさん達には。
 何せ総理にスキャンダルネタを突き付けて特戦群の護衛を引かせたぐらいですから」

ピニャとボーゼスを守る位置で移動している富田が相槌を打つ。
やはり手には支給された護衛の拳銃ではなく鹵獲した機関銃を持っている。
そして無意識だと思われるがピニャ殿下を差し置いて「ボーゼスさん達」と富田は口にした。

「そしてトラック突入から始まった一斉襲撃で、
 拳銃ぐらいしかない俺たちはそれで一巻の終わりだったが…いや、ホント。ロウリィが居てくれて助かった」

伊丹がそう回顧すると共にロウリィという名の少女に視線を移動させた。

「あははははは、
 あははははは、
 あははははははーーーー!!!」

栗林よりもさらに前を走るロウリィは目の前に現れた敵、
賓客の拉致を企んだ特殊部隊の隊員を続々を血祭りに上げていた。

室内戦のため殆ど遭遇戦でしかも距離が近いため、
ロウリィが戦斧を振るごとに一方的な虐殺劇とミンチミートが大量生産されつつあった。

拳銃程度の武装しかなかった伊丹が生き残り、
さらに武装を強化できたのもロウリィがこうして暴れているお陰である。

「石仮面か何かかな、ロウリィは?」

「うーん、石仮面というよりオフレッサーよねあの子」

「石器時代の勇者か、戦斧だからか?
 言われてみればそうだな…って梨沙、無理するな!」

襲撃とロウリィの虐殺劇場で気を失い、
伊丹が脇で抱えていた元妻が意識を取り戻す。

「あー大丈夫大丈夫、
 段々見慣れて来たし先輩が担いでくれているから、大丈夫」

「ならいいけど……。
 いやいや、良くない。まったく良くない!」

元妻の発言に伊丹が真っ向から反論する。

「いいか、梨沙。
 慣れたからってあまり見るんじゃないぞ」

「…わかったよ、先輩」

自衛官の自分はともかく、
元妻がそうした光景には慣れてほしくない。
その伊丹の願いに梨沙が素直に頷いた。

(それにしても、ここまで逃げる道中で出会った連中は中国、
 ロシア、韓国、アメリカと随分と国際色豊かな上にお互い潰しあっているみたいだし無茶苦茶だ)

僅かな服装の違いと出てきた言語の違いからこの襲撃に関わった国を伊丹は推測する。
さらに特地の賓客を狙いつつも互いを潰しあっている事実から事情を朧気ながら理解する。

(だから特殊作戦群の護衛は完ぺきだった。
 中露、米韓で組んでいたとは言え両陣営内部では、
 互いを出し抜くことしか考えていなかったからうまく各個撃破したんだな)

いくら数が多いといえ、
各国の特殊部隊はバラバラ行動していたため、
護衛である特殊作戦群に一方的に撃退されそのまま全滅しても可笑しくなかったが、

(そして追い詰められた敵は、政治的手段。
 総理にスキャンダルネタを提示することで解決しようとした)

だからこそ中国の、
「護衛を引かさないと与党崩壊レベルのスキャンダルをばらす」という脅しが発生し、
総理の機転で「特地の人間が抵抗してもこっちの責任ではない」という言質を勝ち取り、
オタ友人にして上司の防衛大臣を経由して伊丹に「ゴスコリ少女を敵特殊部隊に嗾ける」
という要請に答えた結果が今の状況であった。
 
(だが民間人を巻き込む作戦なんてしやがって!)

しかし、特殊部隊が襲撃する直前。
無人のタンクローリが旅館を直撃し大規模な火災が発生。

混乱の渦中に落とされ、
その混乱に乗じる形で中国の特殊部隊が突入。
いくらロウリィが無双していたとはいえ、混乱の中では流石にうまく行かず。

伊丹達自衛官は命を落とし、
賓客は奪われる寸前であったが、
各国の足並みが揃っていなかったのが伊丹達の命を繋いだ。

が、自分が生きながらえたことよりも、
民間人を巻き込むこと前提のやり方に伊丹は怒りを覚えおり、
必ず任務を達成し、敵の目論見を粉砕することを誓った。

「っ…!」
「!?」

その時だった。
伊丹の左横で特殊部隊の戦闘員が視界に入った。
通路脇の廊下にいたため先頭を走るロウリィの魔の手から逃れたのだろう。

伊丹は咄嗟に銃を構えようとするが、

(しまった!梨沙が邪魔で間に合わない!)

左わきに抱える元妻のせいで突発的な対応ができない。
対して相手は伊丹が体の向きを変えたり、逃げるよりも早く発射できる態勢にあった。

(せめて梨沙だけでも…!!)

間に合わないと覚悟した伊丹が、
背中を敵に向けて庇うように体を動かし、その時に備えた―――。

 












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おススメSS 鬼神西住

2016-04-25 22:05:26 | おススメSS

鬼神西住

劇場版の売り上げが予想以上に高いガルパンのSSです。
本SSの主題は「もしも西住みほが軍神ではなく鬼神であったなら」
という考えで再構成されたSSで、原作のような優しさはなく修羅の娘となります。

勝利のために味方を犠牲にするにも躊躇せず、
自身のカリスマで犠牲にされた味方もそれに疑問を抱かせない。

全国大会では射線の邪魔、
という理由で前の車両を川に突き落とし10連覇を達成。
しかし、そのやり方に恐怖を覚えた母親によって追い出される。
そして大洗に来た西住みほは信頼できる生徒という仮面を被り周囲の信頼を得つつ行動に移す…


「みほ、みほ! 
 お前は射線の邪魔になるのなら仲間を川に突き落とすのか、
 あの氾濫する川に。仲間がどうなるのか考えなかったのか。みほ、答えろ!」

 今までしほに目を合わせていたみほは、まほの方を向いた。

「状況によるなら、そうするでしょうし、
 そうしました。仲間? 射線の邪魔になる仲間はその時仲間ではありません、それは障害物です」

「お前本気で、言っているのか」

「本気もなにも、だって、そう思いませんか。邪魔だな……って」

 やはり平然として応えるみほの顔に、まほは寒気がした。どうしてこんなことが平然と言えるのか。

「私の知るみほは、もっと……優しかったはずだ」
「優しさ。最も尊ぶべきものですね、私はそう思います」
「なら、どうして……」
「撃てば必中、護りは硬く、進む姿は乱れなし。鉄の掟、鋼の心」

 みほは目を閉じて西住の流儀を諳んじた。
 目を開けて、二人を交互に見る。

「実行しました、ええ、間違いなく。
 西住の流儀に何一つ悖る所が有りません。
 そして勝ちました。馬鹿げた真似? 本当にそう思われるのですか。
 西住流の後継者が、本気でそう思っているのですか」

 娘が何を言っているのか、母親は理解出来なかった。
 だから、ただ一つ分かることを口にした。

「みほ、あなたは正気じゃない」

 狂っている……母の隣で青ざめた顔をしてまほは呟いた。

「此処から出ていきなさい。あなたに戦車を動かす権利はないわ」

 みほは驚いた顔をして、
 その後俯いた。「なんで……」と俯いたまま、か細く言った。

「なんで分かってくれないの……」

 人目には、母と姉に拒絶された可哀想な妹に見えた。
 だが実際にみほを目の当たりにしている二人には、全く別のものに見えた。

「それなら」

 みほは顔を上げて、悲しそうに笑った。

「西住流なんて、いらない」

 母と姉には、妹がまるで地獄の軍団長に見えた。

















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GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり27

2016-04-24 22:57:45 | 連載中SS

アルヌスの丘 訓練地

平成の日本と昭和の日本が事態の悪化に驚愕している中、
アルヌスに駐留している自衛隊と日本軍は先のイタリカの戦いもあって合同訓練中であった。

『だ~~んちゃく、今!』

笛を吹くような飛翔音が終えた瞬間、
続々と自走砲から放たれた砲弾が着弾し爆発音を響かせる。

『命中、目標を制圧中。
 残る目標は撤退を図る模様』

『よろしい、追撃を行う。
 第1戦闘団はただちに前進せよ。
 それと島田中佐にも追撃をお願いできないか?』

「問題ありません大佐殿…失礼一佐殿。
 こちらも合わせます、連隊前進、突撃せよ」

砲撃が続く中、指揮官達の決断で74式、
三式あるいは九七式と称される鉄獅子が一斉に咆哮し前へ進む。
鉄獅子の後方には日本軍のハーフトラックに自衛隊の軽装甲機動車と装輪装甲車が続いており、
少し前に大陸で実戦を経験した島田にとっては見慣れた光景がそこにあった。

「戦車の性能差、
 無線や命令貼付の違い。
 色々あったが…何とかできそうになったな」

戦車に揺られつつ独白する島田中佐。
元々肩を並べて戦うことはアルヌスの丘を占拠し、
その後の反撃を撃退するまでの間に経験済みであったが、
双方の機動戦力、特に機甲部隊の連携には様々な問題が立ちふさがった。

まず無線はアナログとデジタルで違いがあった上に、
戦車の性能が違いすぎているため行軍速度が合わない…等々。

ハード的な問題があった上に、
命令解釈の違い、運営思想の違いとソフト面でのすり合わせが大変であった。

『第2中隊、遅れているぞ!』

『…っ申し訳ございません!履帯に不具合発生!』

無線で聞こえる自衛隊側の報告に島田は思考の海に潜る。

(練度は文句はない、だが不整地におけるノウハウが我々より不足してるな)

さらには日本軍にとっては実質中世から近世レベルのインフラしかない大陸で、
戦車の運営を経験していたので、この遅れたインフラしかない世界でも対応できたが、

自衛隊にとっては初めて経験することであり、
しかも国内では大規模かつ、思う存分戦車を動かることは稀であり、
近年の戦車削減方針と相まって実戦でしか習得できないノウハウが不足していた。

(こうした問題は訓練を重ねていけば解決するだろう。
 来る帝都攻略には問題はなくなるはずだが…兵力が足りない)

現在日本軍と自衛隊が有する機動戦力は島田中佐の戦車連隊と加茂一佐の戦闘団のみであり、
攻略こそ簡単であっても、帝国首脳部の逃走を防ぐだけの頭数は足りておらず、事態が長期化する恐れが大いにあった。

加えてピニャ殿下の証言から皇帝が焦土作戦を検討していることが判明した上に、
焦土作戦を考えている以上、自らの弱さを悟った帝国が民間人に紛れ込んでゲリラ戦を仕掛けてくる可能性が高いと判断された。

(だからこそ、連携強化のための合同訓練。
 増援としてわが軍からは空挺部隊が新たに来る。
 そして帝都に部隊を潜ませることが決まった)

ゆえにもしも帝都攻略作戦を発動した時は、
首脳部が逃げる隙を与えない速さで制圧することが求められており、
自衛隊との連携を深め、連携不足によって逃げられるという醜態を防ぐ。

さらに機甲部隊に先立って帝都制圧部隊として大戦時には間に合わなかったが、
新たに日本軍の空挺部隊、第1挺進連隊がアルヌスに派遣されることが決定した。
また、情報収集と開戦時には帝都内部から呼応するための部隊を潜ませることもすでに決まったことだ。

(まだ銀座に攻めて来た敵との戦いは始まったばかりだ。
 交渉のテーブルを繕うにもピニャ殿下との接触で帝国とのパイプがようやく出来たばかりで、
 そんな中もしも帝国の強硬派が積極的に動けば…もう一度アルヌスの丘に死体の山を築くことになるだろう)

丘の周囲に築いた死体の山を思い出し島田は顔を顰める。
軍人の仕事の内とはいえ、ああも一方的な展開は島田にとって正直気分が悪かった。

が、そうした一方的な戦争展開が、
新聞や一部声が大きい議員、野心的官僚、軍人などの煽りもあって世論が過激化しており、
先の戦争の成功体験と相まって世論は現在進行形で血に酔っていた。

曰く、無敵皇軍恐るるに足らず。
なぜ進撃しないのか?

兵力不足、地理不案内、
その他諸々の不安要素を無視して叫ぶ人間に政府と軍は頭を痛めていた。

「…真に脅威なのは無能な味方、か」

なるほど、確かにわが軍と自衛隊はこの世界では無敵だ。
しかし、それを十全に発揮できる環境を整えることなく行えば失敗する。

帝国の軍事力は脅威ではないが、
後ろの味方からの妨害がもっとも軍の最適な行動を阻害しており、
自衛隊も方向は違うがその行動を妨害しているのは後ろの味方で島田が乾いた笑いを漏らす。

(とはいえ、自分は連隊長に過ぎない。
 例え準備不足であっても行けと言われたら行くしかない)

大日本帝国の軍人として、
そう言葉に出さずに島田は呟き、訓練に意識を戻した。
















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【予告】ヴァルハラの乙女 第25話「パスタ娘の悪戯」

2016-04-20 23:20:23 | 習作SS

バルクホルン、シャーリー、そして芳佳が食堂で夜食を取っている中。
わずかな明かりしか灯していない格納庫に小さな人影が動いていた。

より具体的に描写すると日に焼けた肌、
短いツインテールに縞パン…ではなく縞ズボンを履いた少女が格納庫で人を探していた。

「シャーリー?
 ねえ、シャーリーいないのー?」

501で最も年少のルッキーニだ。
彼女もまた小腹を空かして消灯時間に起きてこっそり夜食を食べた人物である。

そのまま寝る気にはなれず、
いつもなら格納庫でユニットの整備をしているシャーリーと遊ぼうと、
格納庫に来訪したが食堂にいることを知らずルッキーニは探し回っていた。

「シャーリーがいないなんて…。
 まだ眠くないのに、もう、つまんなーーい!!」

天井までよじ登って探してもシャーリーが見つからず諦めたルッキーニが駄々をこねる。
ミーナがいれば子供は黙って寝る時間と諭すような時間帯であったが、
昼間や夕方に寝た分まだまだ元気なルッキーニは退屈していた。

「あーこうなったらサーニャと遊ぼうかな…。
 でもサーニャの夜間哨戒が終わって戻ってくるのは朝だしなぁー」

格納庫の梁の上に寝ころびながらルッキーニが呟く。
夜に活動しているのは基本サーニャ・V・リトヴャク、サーニャだけだ。

実のところルッキーニとサーニャとの接点は割とある。
夜遊びの時間と哨戒のために夜の格納庫で待機しているサーニャとの時間が同じで話す機会があるからだ。

シャーリーと違って大好きな胸は薄いが、
それでもシャーリーと違う優しさを持つサーニャのことをルッキーニは好感を抱いていた。

「退屈だなーーー」

寝がえりし、呟く。
周囲に面白いことや、面白い事を起こしてくれる人物はいない。
その事実を享受しつつ、しばらくルッキーニはぼんやりと時間を過ごす。

しかし、時間が5分進んだ時。
ルッキーニはこの退屈な時間を乗り越える策を唐突に閃いた。

「そうだ!
 悪戯しちゃおう!」












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おススメSS ゲート 自衛隊 彼の地にて斯く戦えり ~帝国の逆襲~

2016-04-18 22:20:37 | おススメSS

ゲート 自衛隊 彼の地にて斯く戦えり ~帝国の逆襲~

アニメでは大いに盛り上がりましたが、
SSの投稿数はまだまだ少ないゲートです。

ゲートの二次創作の大抵は日本tueeで基本話が進みますが、
本作品は「もしも皇帝が日本の強さを接触当初から悟り、対応していたら?」
というもので、焦土作戦で難民を押し付ける、人海戦術による各個撃破。
そして門の破壊で自衛隊側の本国との連絡を絶たせる…。

原作より遥かに早い段階で本国との連絡を絶たれた自衛隊の行方がどうなるか非常に気になります






「議員、話は分かった……。余とて、講和が叶えばどれだけ有り難いかと思っておる。……だがな」
「陛下……?」

疑問の声を漏らすゴダセン議員に、皇帝は疲れたように応えた。

「―—連中が、和平などに応じるものか」


先の戦いで歴史的大敗を被った帝国は、
国民の不満と反乱に日々怯える有様だ。
まともな国家なら、こんな好機を逃すはずがない。

ゆえに、皇帝は決断せねばならない。異世界の軍勢から、彼の治める国を守るために……。

「ゴダセン議員、徴兵の準備を進めろ」

皇帝はよく通る声でそう告げると、ゆっくりと立ち上がった。

「それから余は、少し帝都を離れる」

「ど、どちらに向かわれるので?」

「秘密だ。余が帝都を離れている事も、無駄な混乱を起こさぬよう他言は無用。――よいな?」

ピニャはまだ何か言いたげだったが、
皇帝はそれを無視して、決然とした足取りで庭を後にする。


――少し、会ってみたい者があるのでな。

そう言い残して。
 
 














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