二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS Fate/EXTRA NEET

2016-02-20 11:50:07 | おススメSS

Fate/EXTRA NEET

「もしもジナコが隠れることができず、聖杯戦争に参加したら?」そんなIFストーリーのエクストラのSSです。

本来戦争に参加せずひたすら隠れていたが、
聖杯戦争が終わると同時に学校ごと消される事実に耐え切れず、発狂。
記憶を失い月の裏側に落ちる、それが本来の物語であったがAIであるサドマゾシスターカレンによって強制参加。

嫌だ面倒だと状況に流されつつも、初戦の対戦相手でありながらもジナコを導いた臥籐門司。
マスターの自堕落ぶりに辟易しつつもジナコを決して見捨てないサーヴァント、カルナ。

さらに多くの強敵や困難に出会うたびに徐々にジナコの意識は変わり、聖杯戦争を己の意思で駆け抜けるようになる…。

あったかもしれないIFストーリ。
それもジナコ主役と非常に珍しいSSです。
2013年から掲載を開始し現在もボチボチと連載しており今後の更新も期待できそうです。


「いいんだよカルナ。アタシの聖杯戦争は終わったんだ」

そう言いながらアタシは用務員室のドアに手をかける。
そこで違和感に気がついた。

「あ、開かない!?」

用務員室のドアは押しても引いてもビクともしなかった。

なんで!?
どうして!?
さっき来た時はすんなり開いたのに!

「カルナ!」
「俺にも無理だ。かなり強固に施錠、いや『封印』されている」

アタシはその場にへたりこんだ。
今この時決定的な ”何か” がずれ始めている気がしたのだ。
理由のない悪寒がアタシの体を走り抜ける。

「ふふ……残念でしたね。そこは閉めさせて頂きました」

その時突然響いた声と共に虚空から一人の少女が姿を現した。
黒い修道服に身を包んだその少女はスカートの裾をつまむと銀色の髪を揺らしながら優雅に一礼する。

「今回の聖杯戦争で皆様の健康管理AIを務めさせて頂きますカレン・オルテンシアと申します。以後お見知りおきを」

「あんたっスか。ここを封印したのは!
 ジナコさんの理想郷を返すっス!この場所があればジナコさんの心は不死身っス! 何度でも蘇るっス!」

「だまりなさい。このメス豚が」

優雅な態度としかしその口から出た暴言とのギャップにアタシの頭がフリーズする。

え? 今なんて言ったのあの子?
メス豚? メス豚って言ったよね?
えっとこっちにいるのはボクとカルナさんでー。
カルナさんは男だからー。
メス豚ってアタシのことかゴラァァァァァァァァァァァ!

「戦いもせずに安全な場所で怠惰に死を待つ。
 そんな生き物は人ではなく豚でしょう。ブヒーって鳴いてもいいんですよ?」

「ジナコさんをブヒらせたいならショタなサーヴァントでも連れてくるっス!
 小娘がぁ、年上に対する口の利き方を教えてあげないといけないようっスね! カルナ先生やっちゃってください!」

「落ち着けジナコ。その女は聖杯戦争を司る上級AIだ。俺でも手出しはできん」

動かないカルナを見てカレンは微笑む。

「その通りです。豚にしてはいい犬を連れていますね。豚に真珠とはこのことかしら」

また豚って言ったよこの小娘。
ジナコさんはむっちりボディなだけなんスよ!
しかもまだピチピチの20代っス!

「ギリギリだがな」

シャラップ! ジナコさんは永遠の23歳っス!

「私に健康管理AIの役目が回ってきた以上怠惰に死を待つなど許しません。 
 あなたにはきちんと ”戦って” 死んでもらいます」

「健康管理AIの言うことじゃないっスね。バグってるんスか?」

「あら、別におかしなことではないでしょう? 
 生かすも殺すも『管理』するという点では同じこと。
 あなたは特に念入りに管理して差し上げますわ。主に殺す方向で」

そう言ってカレンは嬉しそうに笑う。
こいつは絶対にサディストだ。
それも飛びっきりの。

呆然と地面にへたりこんでいるアタシの様に満足したのかカレンはこちらに背を向けた。

「では、ごきげんようジナ豚さん。
 くれぐれも戦いから逃げようなどと思わないことです。
 あなたは必ず戦いの中で ”殺して” 差し上げますから」

そう言うとカレンの姿は掻き消えた。

逃げられない。
漠然とだがそう確信できる。
戦う? アタシが? この聖杯戦争で?

「あのようなAIがいたとはな。戦いは避けられそうにないぞジナコ」

カルナの声が遠くに聞こえる。
アタシの聖杯戦争が今、始まったのだ。













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続いたネタ24 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-02-13 22:31:53 | 習作SS

日本国 東京 国会議事堂

コダ村避難民に関する質疑応答は当初から注目度極めて高いものであった。
各番組は特番を組み、平日昼間の普段なら低視聴率間違いなしの国会中継は異常な視聴率を記録した。
……加えて某大型掲示板で「特地の金髪エルフが来ている!」という情報が流れたのが極めて大きかった。

そして質疑の流れは自衛隊の避難民に犠牲者が出た事実について責任を追求する幸原議員に対して、
質問に答える伊丹の「ドラゴンを倒すならレーザーキャノンとか欲しい」とある意味予想外の返答に、
困惑し、それでもさらに自衛隊の責任を口にしてしまうような嫌らしい質問を繰り返したがこれまた伊丹の斜め上の回答にその企みは頓挫した。

そして同じく小野田と伊丹のに対しイタリカにおける「虐殺」疑惑について、
思うように事が運ばずヒステリックに質問する友愛を主題とする某党の不愉快な仲間達に対し小野田がそもそも虐殺の定義を語った。

すなわち相手は民間人ではなく命令系統から外れた武装集団であり便衣兵、テロリストに過ぎない。
我が軍と自衛隊はイタリカ市民代表からその排除を求められ、その任務を遂行しただけである。

自分には責任が無いと言いたいのか!
この野党の野次に小野田は呆れるように答える。

もしもその責を負うとすれば銀座の門の向こうへ行け、
そう決定を下した議会にあり、すなわち貴方方にある。

この発言に盛大な罵声と怒号を以って野党が答えた。
加えて小野田の見た目はカーキ色の軍衣に軍刀を吊るす、
等と、よく皆が考える日本軍将校そのままの姿であったためか、
伊丹よりも野党は執拗に質問攻めをするが、小野田の冷静かつ理論立てた反論で悉く失敗しており、
逆に時間が経つに連れて冷静さを蒸発しつつある野党の異常さが強調されつつあった。

なので今度は当事者に聞いて粗を探す野党であったが、
銀髪魔道師娘は質問の意味が理解できない上に自衛隊と日本軍に責任はない、ときっぱりと答え。

エルフ娘は「分からない」と答えた上に、
エルフ耳の珍しさにメディアが注目を集めたせいで強く問い詰めることが出来なくなった。

最後に黒い服装から喪服を纏い犠牲者の親族に違いない。
そう勘違いした幸原議員が隠された真実を語ることを強要したが……。
「あなたお馬鹿ぁ!?」と、黒ゴス少女、ロウリィから日本語の罵倒が浴びせられた。

そして唖然とする議員を差し置いてロウリィは語る。
曰く、避難民が炎龍相手に生を掴んだことの方が幸運であり、
炎龍から避難民を守るべく行動していた自衛隊と日本軍を賞賛すべきである。

これまで野党が質問するごとに自衛隊と日本軍に責任はなく、
むしろ野党が問題が無いにもかかわらずあたかも問題があると強弁する姿に徐々に議会の空気が変化していたが、
ロウリィの発言で完全にその場の流れが変わった、今や野党の見識の無さに逆に冷たい視線が注がれるようになった。

その上、ロウリィを年下扱いして発言を封じようとするが、
「見た目で判断してはいけない、こっちのエルフ娘は165歳なんだし」
という趣旨の伊丹の暴露、さらにロウリィが自分は961歳と述べたことで、
議会の流れは完全に責任問題なんかよりも特地に関心を抱くようになった。

「証拠よ!証拠を見せなさい!!
 議長!彼女は嘘をついています!
 彼女が961歳であるという事実が確認できない以上、嘘をついているとしか思えません!
 そして、嘘を吐く彼女は卑怯にも政府によって言わされているものと私は判断するしだいです!!」

しかし、そんな流れに幸原議員は認められず、ヒステリックに騒ぐ。
それに釣られる形で空気が読めない一部夜盗(誤字あらず)がそうだ!そうだと騒ぎ立てる。

「ふぅ――――ん。
 こんなお馬鹿で下品な連中が元老院議員なんて最低ね」

通常の人間より長い人生の経験、
亜神として騒いでいる連中の濁った心を見抜いているがゆえに、
騒ぐ有象無象にロウリィ怒りを覚え、米神に青筋が立つ。

「いいわぁ、特別にその証拠を見せてあげる」

剣呑な空気に伊丹と小野田が仲裁に入ろうとするが、
それよりに前にロウリィが戦斧を包んでいる帆布を剥ぎ取る。

「ちょ、ロウリィ。
 イタリカみたいに暴れるなんてことは…!」

武器の出現にうめき声が漏れる中、
伊丹はロウリィがイタリカで見せたようなヒャッハーをすることを危惧する。

「大丈夫よぉ、イタミ。
 ちょっと自分を傷つけるだけだから」

「え?」

ロウリィの予想外の言葉に伊丹が間抜けな声を漏らした次の瞬間。
自らの首に戦斧の刃を当て、一気に首筋に刃を走らせた。

「なっ――――!!?」

鮮血が舞うと同時にロウリィの首が床に転がり、議会は騒然とする。
まさか国会で流血騒ぎが起こるとは誰も考えたことがないので当然の反応だ。
しかし、ロウリィのそばにいた伊丹は直ぐに彼女の意図を理解してしまった。

「ねえ、イタミぃ。
 ちょっとその『まいく』まで首を持ってくれないかしら?」

「あ、ああ…」

首だけ転がっているロウリィから声が出る。
そう、彼女は首だけの状態でも生きていたのだ。
死なない肉体、これこそロウリィが言う証拠に他ならない。

恐る恐る伊丹が床に落ちているロウリィの首を拾い上げマイクの所まで持ち上げる。
その動作に議員達が唸り声を上げ、メディアからは眩いフラッシュが炊かれる。

「これで分かったかしら、お馬鹿さぁん?
 これでもなお、私を嘘つき扱いするつもりなのかしら?」

勝ち誇るように言い放つロウリィ。
首だけの状態で生きている、その事実に議員は唖然とし議場は静まる。

そしてロウリィを嘘つき呼ばりした幸原議員は……。

「こ、これは演技よトリックよ……あ、あははは」

現実逃避をしていた。

「あら、つまらないわねぇ」

そんな様子にロウリィが興味を無くす。
そして彼女の首を持つ伊丹は今後の展開に内心頭を抱えていた。

(流れはもう責任問題どころじゃないな、これは。
 狙い通りなんとか行けたけど…明日の朝刊やらワイドショーじゃあどんな事になるやら…)

政府と自衛隊の責任問題をそれ以上にインパクトのある話題で無くしてしまう。
それが伊丹の狙いであったが、予想以上の展開に世論の反応を思うと少しばかり憂鬱な気持ちであった。

考えてみて欲しい、
朝テレビあるいは新聞を開けば
「不老不死は実現していた!」「エルフ娘はそこにいる」
等と言ったまるでどこかのオカルト雑誌のタイトルが目に付く光景を……。

(で、『お客さん』も絶対ロウリィを狙うだろうな、
 何せ不老不死がリアルに存在しているなんて分かったんだし)

駒門から特地の賓客であり、
今後の対特地外交の鍵を握る姫様ご一行を狙う諸外国の事を事前に聞いていたが、
ここに来てロウリィも諸外国から拉致対象となったことを伊丹は悟るしかなかった。

何故なら不老不死の肉体であるロウリィは正に貴重なサンプルであり、
人類長年の夢が目の前にいるのだからこれを狙わないはずがない。

(この後の移動、変えるか。
 情報漏えい者を炙り出してみよう。
 代わりの移動手段はそうだな…地下鉄なら近い上に人ごみに紛れ込めるし)

予定ではこの後バスで移動。
となっているが直前に移動手段を変更することで、
『お客さん』を出し抜くと同時に情報漏えい者を特定することを伊丹は考えていた。
ここまで思考を巡らせることが出来る事は流石は腐っても特殊作戦群所属と評価できるが、

(せっかく休みがパァにさせてたまるか、俺は絶対逃げ切ってやるからな!)

もっともそう考えるのは休みたい、
そんな理由であり、国会の喧騒を他所に、
出来れば年末まで休みたいと内心で伊丹は愚痴を零したのであった。

後に仕事漬の日々が始まるとは知らずに。




















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おススメSS 祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた

2016-02-12 23:55:03 | おススメSS

祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた

本ブログでも掲載しているGATEのSSです。
タイトルにガルパン、と明記しているようにガールズ&パンツァーのクロスSSであります。
しかし、「ゲートの異世界と繋ぐ『門』が100年以上早く出現し、そこにガルパン要素をぶちこんだ」作品であり、

ガルパンとゲートを混ぜ込んだ火葬戦記ともいえるSSになっています。
容赦ない残虐描写にオリジナル要素が多分にあり、好き嫌いが分かれるかもしれません。

しかし、それでも西住殿の勇士や数少ないゲートSSを読みたい!
と言う方は、SSの描写そのものは丁寧で読み応えがあるので読むことをお勧めします。


「我れらが大日本帝国にとっては、今のところまぁーったく関係ない話だけどね」

「そりゃそうですね。日本が同盟を結んでいるのは英米とだけですから」

どうやらこの世界は我々の世界とはかなり異なる歴史を歩んでいるようだった。
少なくとも1939年11月時点で1902年に締結された日英同盟は未だ(やや惰性的ではあるが)継続されており、また1906年には新たに”日米同盟”が締結されていた。
もっともこれは日英米の三国同盟を意味するものではなく、あくまで日英同盟と日米同盟は別々の同盟として機能していた。

この二つの同盟が未だ機能しているのは、我々の歴史と異なる第一次世界大戦での日本の立ち位置やパリ講和条約あるいはヴェルサイユ条約のあり方などがあるが……

その根源を探るなら、少なくとも大日本帝国の全ては1905年(明治38年)9月5日に起因するといえるだろう。
そう、日露戦争の終演である”ポーツマス条約”に拒絶を突きつけるために日比谷公園に集まった市民達の前に突如開いた【門】こそが全ての『異聞』の始まりだと……
そう、後世で言う【日比谷『門』異変】である。



***



少なくとも”この世界”……平行世界とは違う時間軸で生きるみほと優花里にとっては、欧州での出来事は絵空事のように現実感の無いものだった。

平行世界と異なる日本、大日本帝国は「異なる世界」……今では『特地』、正確には『特別地区』という大雑把な呼び方がまかり通る世界と繋がってしまったことにより、日露戦争以降に飛躍するはずだった遅ればせながらの覇権主義、海外への領土拡張へ連なる目論見と野心は無期限で封印せざるえなかったのであった。

そう、日比谷公園に開いた門を中心に帝都の一部が……決して無視できない範囲が、「見たことも無い正体不明の敵軍」に占領されてしまったのだから。

その事態をいち早く収拾する為に大陸や半島に出兵した将兵達は直ちに呼び戻され、各占領地/実効支配地は放棄された。
また各国に散らばった日系移民たちにさえ本国への帰還要請が出たほどだった。
故に史実なら1910年に起こった日韓併合」も話題にすら出ず、日本は山東省や遼東半島などの大陸への足がかりは自発的な放棄により全て失っていた。
”この世界”の日本の大陸からの全面撤退により、1932年になっても満州国は影も形もない。
今や大日本帝国は『門』のせいでそれどころではなく、半島の併合や大陸への再進出など誰も考えない……首都を一部とはいえ占領され、帝都が半ば恒常的な戦場となった帝国にそんな余裕はどこにもなかった。



詳細は今は割愛させてもらうが……大日本帝国軍の火力/制圧力不足や日英同盟/日米同盟の兼ね合いから第一次世界大戦の参戦と出兵、関東大震災という不運や世界恐慌という混乱もあった。
しかし、それらを乗り越え長き膠着と幾度と無く繰り返された散発的な戦闘、そして占領地包囲の睨み合いのはてに『門』の向こう側から来た異界の軍勢を駆逐し、ついに侵略者達を門の奥へと敗走させて日本人の手に帝都全てが取り戻せたのは結局、後の歴史家の言う【日比谷『門』異変】から四半世紀以降の時間が過ぎた1932年(昭和7年)5月15日のことだった。

この出来事は、国内では『5・15戦役』や『帝都奪還戦』として報じられたが、世界では多少皮肉も入ってるだろうが『ジャパニーズ・レコンキスタ』として報道されたようだ。

高密度な砲兵部隊の効力射と当時は最新鋭の”九一式重戦車”の分厚い装甲と膨大な火力を前面に押し立て破城槌として用い後続の”八九式中戦車”をはじめとする機甲兵力で機甲強襲蹂躙戦術を敢行、自動火器で武装した高火力歩兵部隊の浸透突破戦術の組み合わせがが功を奏した戦いであり、また大日本帝国が日清/日露/第一次大戦の近代陸戦と『門』外勢力の度重なる戦闘において膨大な犠牲と引き換えに結論として出した「火力至上主義」の総括とも言える戦いだった。

しかしこうして帝都は奪還できたものの、この時点で異界の軍勢との交戦により失われた死者/行方不明者は民間人を含めるとのべ30万人をゆうに越えていた……



そして1936年(昭和11年)2月26日、小雪舞い散る帝都より『門』の向こう側にある未知の土地……『特地』へ向け最大限の努力により現状における最良の装備を整えた大日本帝国陸軍/大日本帝国”空軍”の独立混成諸兵科連合軍団……【特別地域攻略機甲軍】、通称【特甲軍】がついに出兵するに至ったのだった。
俗に言う『2・26出陣』である。



***



当時は最新鋭だった九五式重戦車を前面に押し立てて怒涛の勢いで攻め入った陸軍は、”帝国”軍が守る『特地』側の『門』出口……”アルヌスの丘”を占領し、そこを史実に太平洋戦争末期の硫黄島すらも凌ぐ要塞へと驚くべき速さで変貌させた。
もっともそれは米国から大量輸入したブルドーザーなどの重機の功績でもあるのだが。

それより三年……正体不明の敵の正体であった”帝国”の焦土作戦に苦しめられながらも特甲軍は、まずはアルヌスの丘を中心に兵庫県に匹敵する広さを持つ【アルヌス管区】を支配下におき、次にアルヌス北部にある商業都市イタリカへと侵攻し穀倉地帯が広がる周辺を【イタリカ保護領】として”帝国”から切り離した上に併合、また産油地帯や豊富な地下資源鉱脈を持つ”エルベ藩王国”を保護国としていた。
大雑把に言えば、現地の地図で言うロルドム渓谷からデュマ山脈に挟まれたイタリカからアルヌスを通ってエルベ藩王国までが大日本帝国の勢力圏ということになる。
この地にはイタリカ領主やエルベ王以外にも領主や封建貴族はいたが、いずれもアルヌスやイタリカの攻防戦で戦死するか、あるいは討伐されている。

みほ達が配属されていたのは、その対”帝国”最前線と言える【イタリカ保護領】だった。

















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【予告】ヴァルハラの乙女 第23話「芋大尉の雑談」

2016-02-10 22:57:52 | ヴァルハラの乙女

やはり、と言うべきか彼女は格納庫にいた。
自分のストライカーユニットを相手に格闘している最中で、
オイル臭さが鼻を突き、スパナにプラグなど工具や部品が散らばっている。

「ん、あ、ああ。
 オハヨー芋大尉ー。
 調度そのスパナを取ってくれないかな?」

「上官に対する挨拶がそれか?」

顔を合わせず言われた一言目がこれだった。
普通の部隊なら叱責5分コース間違いなしだな…。

「いえいえ、これも尊敬する上官への愛情表現ですよバルクホルン大尉殿。
 なので、その8番スパナを取って下されば好感度上昇は間違いありません!」

「なるほど、その気持ちは良く分かった…。
 だがしかし、顔を合わせて言えばより説得力を増すだろうな!」

ユニットと格闘しつつ言っても全く説得力がないよな、本当に!
まあ、それでも取ってあげるけどさ。
はいはい、これだろ?

「ん、サンキュー。
 ええと、回転数をちょいと弄って…こんなものか?
 よし、出来た!スピード優先で後は全部最低限にしたけどまあ何とかなるか!」

そう言ってシャーリーは背伸びしつつ立ち上がる。
その際その凶悪な胸部装甲が揺れ動きそちらに眼が…ゲフンゲフン!

ではなく、作業着どころかよく見れば顔にも油汚れが点在している。
おまけに眼にはクマを作っている…また夜を通して整備に明け暮れていたのかもしれない。

夜は寝るものだが、まったく。
気持ちは分かるが今後のために少し注意しておこう。

「はぁ、仕事熱心なのは感心だが、あまり力むなよ。
 夜しっかり寝ないと昼間の任務に支障がでるからな」

「ん…げ、そういえばそうだった。
 あーゴメンゴメン、つい夢中になっちゃって」

タハハハー、とシャーリーが苦笑いを浮かべる。

「大体、ミーナがこうした改造を許可するのは任務に支障が出ない範囲での話しだ。
 改造に夢中になって、体を壊したら元も子もないのは理解していると思うが自覚するようにだ……」

「あーもう、分かっているって。
 分かっているから朝から説教は止めてくれよー」

ついでとばかりに色々言おうとしたが、
シャーリーが両手を挙げて降参の意思表示をする。

んん、妙に聞き分けが良いな?
何時もなら「へいへーい」とぶっきらぼうな態度がデフォなのだが?
それに…何だろう、見た目は変わらないはずだが何時もの活発的な感じが見受けられない。

ああ、これがあれか。
エーリカが言っていたシャーリーが悩んでいる、というものか。









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おススメSS もしも大洗に来たのがまほだったら

2016-02-08 22:40:41 | おススメSS

もしも大洗に来たのがまほだったら

ガールズ&パンツァーのSSで「大洗に来たのはもしも西住まほだったら?」
というIFのストーリーでオリ主など一切なしの純粋なサイドストーリーであります。

10連覇を逃した責任を取る形で家から追い出され、戦車道をしている高校への転校もできず、
それでも戦車道は自分の全てと信じるまほは、戦車道がない学校で自ら戦車道を立ち上げることに思い起こす。

その学校の名こそ大洗女子学園であり、戦車道優勝で学園存続に賭けていた生徒会と利害が一致。
大洗女子の戦車道を率いて全国大会へと打って出る……。

なお前に紹介した「もしも西住まほが大洗女子学園に転校してきたら」とは別の人が書いたSSです。
また全国大会の初戦が知波単学園との戦いになるなど、原作と変化を付けているので今後の展開にわくわくします。

ぜひ見てください



「今大会で黒森峰の10連覇はならず準優勝…まほ、どういうことかしら」

「・・・・・・」

「この結果は黒森峰だけでなく西住流の名に泥を塗ったということを理解しているわね?」

「・・・はい」

「まったく、それにしてもあそこまで無様な負け方をするだなんて・・・ どう責任を取るつもりなのかしら?」

「それは・・・」

「・・・まあいいわ、あなたが何と言おうと私の考えはもう決まっています」

「え?」

「まほ、あなたを勘当します」

「かんっ・・・!」

「お母さん!いくらなんでもそれは」

「みほは黙ってなさい」

「は、はい・・・」

「まほ、あの無様な試合に勝つことを重んじる西住流の精神がまったく感じられなかった
 破門されないだけでもまだ有情な処罰だと思いなさい」

「挽回する機会は与えてくださらないのですね・・・」

「西住流に於いて負けることは許されないこと 挽回の余地などありません」

「・・・わかりました」

「お姉ちゃん!」

「みほ、いいんだ すべて私が招いたこと、私が責任を取るのは当然のことだ」

「でも、でも・・・」

「数日中に荷物をまとめて出て行きなさい どこに転校しようがあなたの勝手です」

「はい」














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