二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

ヴァルハラの乙女 第23話「芋大尉の雑談」

2016-03-27 22:08:33 | ヴァルハラの乙女

やはり、と言うべきか彼女は格納庫にいた。
自分のストライカーユニットを相手に格闘している最中で、
オイル臭さが鼻を突き、スパナにプラグなど工具や部品が散らばっている。

「ん、あ、ああ。
 オハヨー芋大尉ー。
 調度そのスパナを取ってくれないかな?」

「上官に対する挨拶がそれか?」

顔を合わせず言われた一言目がこれだった。
普通の部隊なら叱責5分コース間違いなしだな…。

「いえいえ、これも尊敬する上官への愛情表現ですよバルクホルン大尉殿。
 なので、その8番スパナを取って下されば好感度上昇は間違いありません!」

「なるほど、その気持ちは良く分かった…。
 だがしかし、顔を合わせて言えばより説得力を増すだろうな!」

ユニットと格闘しつつ言っても全く説得力がないよな、本当に!
まあ、それでも取ってあげるけどさ。
はいはい、これだろ?

「ん、サンキュー。
 ええと、回転数をちょいと弄って…こんなものか?
 よし、出来た!スピード優先で後は全部最低限にしたけどまあ何とかなるか!」

そう言ってシャーリーは背伸びしつつ立ち上がる。
その際その凶悪な胸部装甲が揺れ動きそちらに眼が…ゲフンゲフン!

ではなく、作業着どころかよく見れば顔にも油汚れが点在している。
おまけに眼にはクマを作っている…また夜を通して整備に明け暮れていたのかもしれない。

夜は寝るものだが、まったく。
気持ちは分かるが今後のために少し注意しておこう。

「はぁ、仕事熱心なのは感心だが、あまり力むなよ。
 夜しっかり寝ないと昼間の任務に支障がでるからな」

「ん…げ、そういえばそうだった。
 あーゴメンゴメン、つい夢中になっちゃって」

タハハハー、とシャーリーが苦笑いを浮かべる。

「大体、ミーナがこうした改造を許可するのは任務に支障が出ない範囲での話しだ。
 改造に夢中になって、体を壊したら元も子もないのは理解していると思うが自覚するようにだ……」

「あーもう、分かっているって。
 分かっているから朝から説教は止めてくれよー」

ついでとばかりに色々言おうとしたが、
シャーリーが両手を挙げて降参の意思表示をする。

んん、妙に聞き分けが良いな?
何時もなら「へいへーい」とぶっきらぼうな態度がデフォなのだが?
それに…何だろう、見た目は変わらないはずだが何時もの活発的な感じが見受けられない。

ああ、これがあれか。
エーリカが言っていたシャーリーが悩んでいる、というものか。

「ああ、別に心配しなくて大丈夫だよバルクホルン大尉。
 自分でも煮詰まっているからって夜更かしするのは良くないのは知っているてば」

苦笑交じりに彼女は語る。
無理をしているのは自分でも理解しているようだ。
しかし、それでも夢を求めているのをワタシは知っている。

「だが、諦めたくない。
 だから頑張っているのだろ?」

「まあ、ね。
 大尉の言う通りだよ。
 レシプロで時速800キロでも十分なのは自分でも知っているけど、
 でも、私が目指す音速には絶対届かないのは自分でも理解しているのだけど…やっぱり諦め切れなくてな」

そう溜息とともにシャーリーは愚痴をこぼした。
やはり音速達成という目標への道筋がうまく描けていないない事がよく分かる。
【原作】でもルッキーニがユニットを壊したのを誤魔化した無茶改造のお陰で音速に達したしな。

…少し梃入れをするか。
ルッキーニが【原作】同様にユニットを弄ってくれるとは限らないし。

「ん、そうか…。
 しかし煮詰まっているなら思いきったことをしたらどうだ?
 例えばいっそルッキーニに調整してもらえば面白い結果が出るかもしれないぞ」

「ルッキーニに!?
 ちょ、それは冗談にしても悪いものだよ!」

ヤンキーらしくHAHAHAグットアイディア!
みたいな反応を予想していたが、なぜか青ざめた顔で強く否定された。

「そんなにか…年少とはいえ、
 宮藤と違って正規教育を受けたウィッチだからユニットを弄る程度の知識は…」

「ルッキーニが表現するストライカーの操作が
 “ドーン”とか“バビューン”でしか表現できなくてもそれが言えるか?
 ユニットの調整なんて人任せで、教本の一冊も読む気がないあのルッキーニに?」

「……い、言われて見れば、そうだったな」

そうだよ、忘れていた。
ルッキーニはウィッチと言ってもお子様であることに変わりがない。
そんなお子様に自分の命を預けるユニットを任せるなんて発想自体するほうが可笑しものだ。

「そうするくらいなら、
 大尉に協力してもらった方がいいな」

「ワタシが?」

シャーリーは意外な事を言ってきた。

「大尉はユニット、
 というより機械を弄るのに慣れているのは見ていても分かるよ」

「別に大したことじゃない、必要に迫られただけだから」

そう大したことではない。
元々機械弄りは引き取られた先は農園を経営する典型的なユンカーの家ゆえに、
農耕機械を弄る機械が多々あったし、ストライカーユニットは本土撤退戦という混乱のせいで、
整備兵がいつも傍にいるとは限らない状況が多々あり、自分で何とかしなくてはならず、そのため機械への経験があるだけだ。

「謙遜するなって、褒めているんだぞ。
 それに整備するなら同じウィッチにしてもらった方がより感度がよくなるし。
 例えるなら、バルクホルンの胸の感度みたいにいい反応が出来るようになるから」

「そりゃ、どうも…って、何を言っているんだ!?」

どういう脈絡でヤンキー娘に胸を掴まれた話が出るんだろうなぁ!
大体、あの時は後ろから行き成り揉まれたらいい反応が出た、というより驚くわ!!

「おいおい恥ずかしがるなって、
 この程度の冗談で動揺するなんてヘタレのエイラみたいじゃないか」

ニヤニヤと笑みを浮かべてシャーリーがのたまう。
くそ、本人はヘタレと自覚していないエイラと同列視されるなんて屈辱だな…。

「あの北欧娘がヘタレなのは本人以外は知っているからさて置き…
 親しき仲にも礼儀があってしかるべきだと、ましてや軍隊ではとワタシは思うな」

「堅物だなぁ、こういうジョークと軽口が相互理解が深まるものだよ」

「堅いのではなく、カールスラントの女性。
 特にプロイセン人は慎み深いだけと言っておこう」

元は日本人で男という意識はあるけどあえてそう言う。

「で、だ。
 本当にワタシが弄っていいのか?
 言っておくが音速達成の目標に役に立つとは思えないがいいのか?」

シャーリーのP51ユニットを視線に入れて改めて問いかける。
しかし、まさかこの兎娘からこんな話を聞くとは思わなかったな……。

「問題なし、
 最初に言っただろ、煮詰まっているって。
 だから他の人間の意見も取り入れてみようと思いついたわけさ」

「その最初の1人目がワタシか…光栄だな」

「だろ?」

片目をウィンクさせ同意を促す兎娘。

だが、どうする?
【原作】のようにルッキーニの手が入らないと、
シャリーは音速に達せずネウロイには逃げられてしまう。

「で、回答は?」

シャーリーが笑顔で問いかける。
それに対するワタシの答えは…

「ふむ、では微力ながら力を貸すことを約束しよう」
「おお、そうこなくっちゃ」

シャーリーのユニットを弄れる機会を生かして、
ルッキーニを何らかの形でこっそり関わらさせる。

これしかない。
後はルッキーニをどう誘導するかが問題だが…。

「んじゃ、これから頼むな大尉」
「ああ」

目の前の兎娘の好意を利用することに心は痛むが、
蝶の羽ばたきを少しでも抑えるためには必要なこと。

そう考えつつ差し出された手を握り返した。















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【駄文】 彷徨い、迷い、戸惑う意思~銀河英雄伝説SS

2016-03-20 13:57:25 | 習作SS


帝国暦488年 ビッテンフェルト


「アンネローゼ、我が孫よ。
 共にライハルトが待つヴァルハラへ旅立とうではないか」

「はい、おじいさま」

俺や誰もが動けない中、
皇帝フリードリヒ4世とその寵姫グリューネワルト伯爵夫人、
否、皇帝の孫娘であるアンネローゼが毒酒を呷った。

「ふむこれが末期の酒の味か、悪くないの。
 そう、候よ今までご苦労であった。これからはそなたの自由に生きよ、
 と言いたいところじゃが候よ、この度の遊戯の勝者の元で仕えよ。
 ふふふ、自害などするではない生きよ、これは予が命ずる最後の勅命ぞ」

「へ、陛下!?」

皇帝の言葉にリヒテンラーデ候が絶句する。

「新たな黄金樹は未だ若い、そして未熟だ。
 ゆえに、そなたが助けるのだ…よいな、ふふふふ」

そう言った直後皇帝が吐血する。

「陛下!ええい医者は医者はどこぞ!?」

「無駄だ、全て遠ざけておる。
 そしてもう手遅れだ、候よ」

立つ力すら失いアンネローゼと皇帝はすでに床に座っている。

「力有る者が上に立つのは当然の事、
 例え貴族といえど力無き者は滅ぶしかない。
 ……どうせ滅ぶのであれば精々華麗に滅びるのみ。
 ではな、帝国の未来を預けよう。我らはヴァルハラで何時までも見守るぞ」

「皆さま、どうかお元気で」

そして皇帝とその孫は目を閉じ、息を引き取った。
しばらく誰も口を開くことはなく、重苦しい沈黙が支配する。
だが皆の視線は皇帝主催の遊戯の勝者に集中した。

「やれやれ……」

俺たちの司令官、最初はあの居眠り提督の世話係。
程度の認識しかなかったルイーゼ・フォン・グリンメルスハウゼンが狼狽える俺達を余所に苦笑をこぼしていた。



※  ※  ※



どうしてこうなった!
グリンメルスハウゼンの養女という立場で転生し、
養父の勧めで後方支援ゆえに女性でも入れる帝国軍主計学校に入り、
配属先の上司が義眼だったり、養父指揮下のいらん子艦隊でひぃひぃ言ったり色々あったけど…未だ現実感が沸かない。

私が皇帝?
なんの冗談だこの野郎。
しかも勝手に宿題を押し付けて満足して死んでしまって……。

おまけに周囲の人間はこちらを不安そうに見ているし。
おい、大の大人がそんな目で小娘を見るな!

別に皇帝になりたいとかそういう意思はなかったが…こうなったらやるしかないか。
原作でラインハルトがやったように国内の改革、そして宇宙の統一を。

狂信者集団の地球教徒、黒狐、
そしてあの天才魔術師ヤンを相手とどこまで戦えるかわからないけどやらなくてはいけない。
何せここでは金髪はすでにいないのだから。

「やれやれ……」

私は思わずそうつぶやいた。









ストパンや月姫がうまく書けず、
とりあえず思いつくままに書いた妄想駄文です。

オリ主もの銀河英雄伝説でたぶん途中で投げ出す。
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続いたネタ26 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-03-16 23:42:11 | 習作SS

1945年 大日本帝国 赤坂

既に太陽は沈み、深い夜の時間帯となっており、
家族団らんの時間は終えて夫婦の時間(意味深)となっいた。
そんな中、夢幻会の面々は赤坂にあるとある料亭に密かに集結し、集まった情報を検証していた。

深夜に政治家や高級官僚が集う。
それだけで陰謀の香りが漂い、シリアスな空気が流れるもであるはずだったが…。

「帝国お抱えの魔導士と神であるハーディの協力下によって『門』が作られた、か
 予想はしていたがやはりあの神、一度締め上げることはできないだろうか、大蔵大臣?」

「その意見には同意しますが…。
 何ですかその期待が籠った視線は、近衛卿?
 いくら自分でも神様だって殺せるような眼なんてありませんよ。
 大体それなら、神様関係なら実家が神社の嶋田に頼み込めばよいではありませんか」

「おお、そうだな!そうだった!
 だが巫女さんにはなれないからなぁ……萌えない。
 むむ、だが閃いたぞ!今度作るアニメ映画は巫女さんの戦隊ものにしよう!
 登場人物に嶋田をモデルとしたキャラを作って自家発電すれば万事解決だな、よし!」

「何が解決だ―――――!!!」

「ぶべらっ!?」

ネタに走る夢幻会からすればシリアスなど、
朝食で時間がなく勢いよく食べるシリアルのごとく即座にその場の空気で飲み込まれた。

よって、シリアスな話なんて即座にフェードアウトしており、
逸れた話題の渦中にある嶋田が最近突っ込みように持ち歩くようになったハリセンで近衛を思いっきり叩いた。

「な、殴ったね!」

「殴ってなぜ悪いか!
 貴様はいい、そうして人を出汁にすれば気分も晴れるんだからな!
 今日もこんな馬鹿話を俺に聞かせるために俺を呼んだつもりなのか!?」

近衛の問いに嶋田が怒りで答えた。
何せ銀座の門だけでなく、第三帝国との折衝に国内問題などなど、

総理大臣として処理しなくてはならない問題が山積みしており、
ブラック企業も真っ青なスケジュールで日々を過ごし栄養ドリンクが手放せない状態で、
そんな中呼び出された夢幻会に急いで来てみれば自分をネタに遊んでいたのだが嶋田のハートは激おこであった。

「ふ、認めたくないものだな、自分自身の若さ故の過ちというものを」
「……………」

ネタに走る近衛に対して嶋田が無言で再度ひっぱたいた。

「2度もぶった! 親父にもぶたれたことないのに!」
「そんな年で言うセリフか!!大体いい加減ネタに走るな!」
「ネタに走らずにして何が王か!」
「近衛~~~!!?」

再びネタ街道を爆走する近衛の我慢ならぬ、と嶋田が叫んだ。
そして未だ懲りない近衛に対して嶋田が突っかかり、騒がしい時間が始まる。

なお周囲に止める者はなく特地経由で繋いだインターネットでサーフィンしたり、
ランランルーと踊ったり、某エロゲで伝説の木の下で号泣し、電話辞書並みの分厚いラノベを読んだり…。

などなどと好き勝手に過ごしていた。


閑話休題


「さて、本題に戻ろうかみんな」

背中に炎を背負った嶋田を前に全員コクコクと頷く。

「我々の方に来訪した賓客に危害を加えたり、
 接触を図ろうとした人間はなく無事1日を終えることができた。
 しかし、残念ながら平成の日本では『原作』通り妨害工作が行われた、
 そう判断できる情報が駐在している吉田大使からの報告で判明した、さて意見は?」

「次も『原作』通りアメリカの圧力を躱すために首相が引退するだろう。
 我々との接触のせいか現総理は未だ北条でその後は順当に行けば本位政権となるはずだ。
 しかし、本位大臣はまだまだ実力不足な上にマスメディアの受けもよろしくないので短期政権となるかもしれない。
 そして本位の次は我々が元の世界で言うところの福田政権で腰が定まっていないし、
 史実になぞるとすれば政権交代へのフラグがもう立っていることを前提に動く必要があると考える」

「よし、こういう話を待っていたんだ…!
 …しかし、富永からまともな話が聞けるとは思わなかったよ」

まさか中二病患者の富永から真っ当な話が聞けるとは思わなかった嶋田が感嘆に浸る。

「俺だ。“機関”に警告を発した。
 ああ、これで当分動けないはずだ、今の内に行動しようじゃないか。
 全ては我が大義と運命石の扉の選択のままに――――エル・プサイ・コングルゥ」

「前言撤回」

電池が切れた携帯電話(もちろ平成日本から入手した)
相手に独り言を呟く富永を見て嶋田は即座に前言を撤回した。

「まあ、中将はいつも通りなので放置しておいて、
 我々が元にいた日本で起こった政権交代のような現象は覚悟する必要があるかもしれません。
 現在はあの素晴らしきゴスロリ神の首切りインパクのお陰で政権への打撃は無きに等しいですが、
 メディアは基本「日本人だけのものじゃない」らしいですから、直ぐにまた政権批判を始めるでしょう」

「辻もそう思うか……」

素晴らしきゴスコリ神、
という単語をスルーし嶋田は辻の言葉に頷く。
これ以上個人の趣味嗜好を突っ込んでいたら話が永遠に脱線するのが目に見えているからだ。

「そしてメディアの援護で政権交代をした暁にはアルヌスの丘で良くて米軍、
 最悪国連軍という名の韓国軍や中国軍と相対することになるだろうな。
 首都に他国の軍隊を入れる意味も分からない、いやそれに喜んでいる馬鹿どもが政権を握ればそうなる」

「後は『偶発的』な発砲事件を契機に丘を占拠し、
 宝の山である特地と日帝への正当な自衛戦争の始まりか、ふん連中が考えそうな事だ」

鳩、空き缶とかつて経験した左派政権の性質を思い出し近衛が吐き捨て、
伏見宮が大陸勢力の陰謀好きの性格からその後訪れるだろう未来を予測した。

「そのため戦後日本保守派の生み親で、
 後輩に教育する気まんまんの吉田さんを特命大使と送りましたが…難しいのですか?」

「吉田大使の話によると外務省の後輩と政治家は英国紳士のように面の皮の厚さと舌の数が足りないようだ。
 それとメディアの受けが悪いせいで言論界で苦戦している、何といっても「戦後戦犯」だからな…まったく」

辻の質問に嶋田が回答と同時に愚痴をこぼす。
たしかに吉田特命大使の存在は一部の保守派政治家を奮い立たせたが、
外務省の醜態ぶりに激怒し、さらに政治家の根性なしに吉田は辛辣な評価を下していた。

また大多数を占める左派メディアからすれば親の敵にも等しく、
ネガティブキヤンペーン攻撃の的となっており、言論界で苦戦しえいた。

なお戦後戦犯とは某盾や鉄の男もどきが主張する造語で、
半島での戦争を誘発した戦犯、という意味を持っており半島メディアと仲良くその単語を使用している。

「政権交代前のメディア全盛期だから、あの平成日本の状況は」

「だから仕方がないと言っても、
 こっちのメディアが向こうの日本の現状を詳しく知ったら世論が黙ってないぞ。
 政府が情報を小出しすることで世論を調整しているが、いづれメディア同士直接対峙すれば…」

方や大日本帝国は悪の帝国、
方や帝国は太平洋の盟主で帝国の秩序に賛同する某新聞。

その両社が遭遇すれば―ー―ー絶対揉めるな。
ただでさえこっちは強硬路線が主流でそのコントロールに苦労しているというのに。
そう考え、夢幻会の面々が渋い顔を浮かべる。

「それだけじゃない、
 向こうの大陸と半島勢力のネガティブキャンペーンは悪化するばかりだ」

「ついでに国連で自称世界大統領が張り切っているらしいな――くそっ!」
 
愚痴が続々と転生者たちから漏れる。
前世の嫌な思い出を思い出しこのまま延々と愚痴がこぼれかと思いきや。

「失礼します。
 外務省より連絡です。総理、これを」

その話題が発生する前に突如緊急連絡が入る。

「…ん、ご苦労。
 これは……そうか」

電報を開き、嶋田が表情を強張らせ。
驚愕の表情を浮かべる。

「どうしましたか、嶋田さん?」

周囲が固唾を飲んでいる中、辻が代表して問いかける。
そしてその辻の質問に嶋田が少し間を置いてから口を開いた。

「向こうの日本で動きがったあった、
 伊丹とピニャ殿下の一行が宿泊していた旅館が炎上、現在調査中とのことだ。」











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続いたネタ25 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-03-03 20:50:55 | 習作SS

日本国 東京 上野

『こちら紅1、目標地下鉄に入ったのを確認、引き続き追跡する』

「了解した、気付かれないように注意しろ。
 それと周囲に米帝にロシアの同志もいるはずだ、不用意な行動は避けるように」

『是、しかし…韓国の連中が、その……米帝と』

「その事はこちらが処理する。
 そちらは監視を続行せよ、終わり」

通信が終わると同時に男がワゴン車の中でため息を吐く。
なぜなら、連中の信頼性は皆無に等しく内通は予想していたが、
まさかここまであからさまとは思わなったからだ。

(だが、今更放り出すわけにはいかない。
 そうなれば連中は喜んで米帝に我々のエージェントの位置を教えるだろう。
 くそ、上の人間の意向で組んだはいいが、無能極まりない味方と組むことになるとは!)

男、共産党国家戦略企画局の局長である劉は内心で罵倒する。
もともと銀座の門から今後の特地との外交のカギを握る貴賓が来ることは知っていた。

ゆえに、その貴賓を拉致し自国に連れて帰り、
自国に都合のよい傀儡に育てることを考えてついた。

さらに、例えば「悪逆非道の日本からの独立」とその貴賓に騒がせ、
それに応じた国際世論を背景にあわよくば銀座の門から日本軍を引かせることすら考えていた。

しかし、似たようなことはどの国も考えていたらしく、
各国のエージェントが貴賓の周囲に張り付いているが確認できた。

だからこそ他国を出し抜くために少しでの味方を増やす。
ということで、KCIAと組んでいたのだが…。

(ここまで裏切る気満々な連中なんて冗談じゃない!)

本国政府の、それも首相クラスの人間のやり取りで決まったにわか仕立ての中韓連合だが、
半島のエージェントはアメリカのCIAと頻繁に連絡を取っており、何を考えているのか明らかであった。
いくら「外套と短剣」の世界であるとはいえ、隠す気もなくこうもあからさまであることに劉は腹を立てた。

(しかもさっきから妨害工作は失敗ばかりだ!)

加えて特地の貴賓とその護衛に対して行った妨害工作の矢面、
あるいは鉄砲玉となった半島のエージェントであったが、

国会から出た囮のバスに引っかかったり、
逃げられたりとその悉くが駒門や伊丹の機転で失敗に終わっていた。

しかもそのたびに周囲で騒動や注目を浴び続けたせいで、
警察の巡回が増えており、監視活動すら警戒する警察から職質を受けそうになる、
など工作活動がしにくい環境になりつつあった。

「鈴、この後対象の予定は?」
「是、局長。箱根の温泉施設に向かうようです」

部下に対象の今後の予定を聞く。
そして間をおかず手渡された資料を手にする。

(宿泊客はいるが人里離れた温泉施設か、
 気づかれずに行動に出るとすればここしかないな)

資料をめくりながら考える。

(が、米国とロシアも同じことを考えているはずだ。
 これまでは監視が行き届いた首都のゆえに行動を控えていたが、
 今晩を逃せばもう後がないの彼らも同じ、それに昨晩はまったくの一般人の家に行くなんて誰も思わなかったなしな…)

昨晩の貴賓の予定は本来ならば防衛省の施設で泊まることは知っており、
施設にボヤ騒ぎを起こして対象が右往左往している隙に貴賓を拉致するべく用意していたが、
伊丹の機転で迷わず元妻の家に泊まったせいでその計画は破たんした。

しかもエージェントの追跡を躱した上に全くのノーマークの場所に泊まっていたので、
昨晩はその姿を探し回ることに時間を費やす羽目になった。

そして予定は明日銀座の門の向こうに帰ることになっており、残り時間はすくなかった。

(ロシアに米国のエージェントとの遭遇戦は覚悟するべきだろう。
 で、半島の連中はその中で漁夫の利を得るべく動くだろうな…忌々しい)

属国の分際で調子に乗っている連中の面を思い出し顔をゆがめる劉。
相手は自分を祖国と並ぶ国と思っているようだが、中華思想に「対等」という概念はない。

あるのは「臣下」と「皇帝」の主従関係のみ。
劉はその「臣下」風情が調子に乗っている事実に腹を立てていた。

「局長、最悪米国にロシアのエージェントと交戦している間に貴賓を奪わた場合如何すればよろしいでしょう?」

「安心しろ鈴、最後に勝つのは我々だ、
 奴らが貴賓を手にしても本国政府が恫喝すればすぐに手放すだろう」

仮に半島のエージェントが貴賓を手にしたら?
その懸念に対して、威勢はいいが中国に対して腰が引けている半島の実態をよく知る劉がそう結論づける。

「しかし、そうだな…少し予定を変更しよう。
 こうも多数の勢力が蠢いていては我々も簡単に身動きできない。
 混乱を避けるよりもむしろ意図的に混乱を作り出すべきかもしれない。
 鈴―――旅館に無人のタンクローリーを突入させることは可能か?」

諜報の世界でも暗黙の了解はある。
すなわち全く関係のない一般人に対して害を与えない。
しかし、劉はそれをあっさりと無視し、巻き込むことを考えついた。

「…機材の準備時間さえあれば可能ですがよろしいのですか?
 派手な活動をすればいくら平和ボケをしたこの国でも大騒ぎになりますが?」

「その点は日本の良心的勢力の応援で対応する、問題ない」

2人の会話に人命を重んじる発想はない。
それよりも任務の達成に重点を置いていたし、

「所詮日本人だ、いくら死んでもかまわない。そうだろう、鈴?」

劉の言葉は中華の民にとってごく普通のものであった。

















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