二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

ヴァルハラの乙女 第12話「過去(仮題)」Ⅰ

2014-06-08 19:26:34 | 連載中SS

コトコトと中火~弱火で鍋を煮込む。
時折蓋を開けて中を覗き、具合を確認するたびに空腹の腹を刺激するいい香りが漂う。

あまりに、食欲をそそる香りであったから、味見も兼ねて一口口に入れる。
そして、口内に広がるソーセージにジャガイモ、にんじん、タマネギ、レンズ豆が煮込まれて出来た香り高いスープの味。
ソーセージを噛むたびに肉汁が溢れ、にんじん、レンズ豆の固さが噛み応えを刺激し、わたしの食欲を満たして行った。

「ん、こんなものか」

アインポトフ。
ドイツ、いやカールスラントの代表的な家庭料理だ。
意味は「鍋の中に投げ込んだ」の意で、俗に「農夫のスープ」という呼び名もある。

料理法は極めて簡単。
豆や塩漬け肉、またはソーセージ、ベーコンなどを鍋に入れて煮込むだけだ。
さらに、固定ブイヨンや味付けにリーキ(西洋ネギ)を投入するなどして味をつけるが決まったレシピはない。
各家庭ごとに味付けは違っており、当然ながらわたしが何を入れたかは企業秘密である。

さて、スープができたら次はパンとサラダだな。
パンは宮藤とリネットに取りに行かせたから、そろそろ来てもいいだろう…っお、来たな。

「バルクホルンさーん、パンを貰って来ましたー」

両手に黒パンを抱えた宮藤とリネットが戻ってきた。
2人と一緒に、製パン室から出てきたばかりのパンの芳醇な匂いが鼻に届く。

うん、良い香りだ。
黒パンは癖があるというけど、わたしは大好きだ。

「ご苦労、2人とも。
 パンはそのままパン置きに置いてくれ。
 それと、サラダの製作だが2人に頼んでもいいか?
 わたしは何時も寝坊している連中を起こしに行ってくるから」

「はい、もちろん!」

「大丈夫です」

元気よく答える2人。
よしよし、朝から元気がいいのは良いことだ。
この100分の1でもいいから、毎朝寝坊しているエーリカは見習うべきである。

「ん、頼んだ」

そして、2人に残りの作業を託すと食堂を出た。
さて、今日はエーリカだけでなくシャーリーも起こさねば。
昨晩は夜遅くまでストライカーユニットを弄っていたから、起こさないと起きないしな。
まったく、ついつい起こしに行ってしまうけどわたしは2人のオカンか?…おっと、廊下の向こうから坂本少佐が来た。

「おはよう、バルクホルン!」
「おはようございます、坂本少佐」

おはようございます、と。
顔が僅かに紅潮し、額に汗を流しているのを見ると。
今日も朝から修行といった所だろう、元気だなーこの人は。
それに、僅かだが潮の香りが残っているから海の方で……というかこれは。

「少佐、もしかして泳いで来ましたか?」

「おおう、よく分かったな大尉!
 今日はいつもより早く起きたものだから久々に水泳で鍛錬してきた、基地一周だ!」

げ、元気だなーこの人は!
しかも、基地の周囲を泳いだとか何キロなんだ!?

「流石、海軍といった所ですね少佐。
 わたしやミーナ達は空軍ですから、少佐のようには行きませんよ」

「ははは、そう言われると照れるな。
 おや…ははぁ、今日はバルクホルン担当か。
 普段着飾らないバルクホルンだが、今日のエプロン姿はなかなか似合っているぞ」

一瞬何を口説いているんだ?
と疑問符が頭に浮かんだが慌てて胸元を見ると、エプロンを着けたままだった。

白の、これといった装飾もなく頑丈さだけが取り柄のエプロンだが。
これを普段着ている軍服の上に被せてあるため、軍服とのギャップが目立っていた。






コメント
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