二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 艦隊これくしょん×Fate/staynight

2015-01-27 22:00:44 | おススメSS


艦隊これくしょん×Fate/staynight

艦これ×Fateとかなり珍しいSSです。
海上戦闘の艦これで衛宮士郎がどう戦い、関わるのか今後に期待です。



衛宮士郎が眼を覚ました時、周囲は海で謎の少女を見つけた。

プロローグ――1

「え……え?」

黒い人型は徐々に大きくなり、次第に全体像が視えるようになる。
相変わらず頭はついて行ってくれないが、眼に映る情報は士郎の脳内に一つ一つ蓄積していった。

噴きだしている黒煙。
ボロボロの衣服。
身に着けた金属品。
小脇に抱えられているもう一人。
海を滑る少女。

……少女?

少女。
行している足取り(?)。
今にも倒れそうにフラフラとしている。
それでも此処を目指して進んでいる。
確かに此方を見据えて。
そして、その後方上空には猛スピードで後を追う黒い物体。
黒い、物体。




この後無茶な投影魔術で敵を追い払った主人公であった。



プロローグ――2

まる1日気絶した衛宮士郎は自分に助けられたという軽巡「木曽」、駆逐艦「望月」と出会う。
周囲は未だ敵の最中であるが、今の内に3人で脱出を試みる。


本当は、置いて行けと。そう言うつもりだった。
満足に動かぬ自分の身体では只のお荷物だ。
余計な重荷がいなければ彼女たちの生還確率は大きく上がるだろう。
無理をして死に損ないを連れて行く必要は無い。

勿論、死ぬことには抵抗がある。だがそれ以上に、
自分の為に誰かが危険な目にあうなんて嫌だった。そんなことは許せなかった。
他者の命を犠牲にしてまで生き残ることは、衛宮士郎の本意ではないのだから。

―――だが、そんなことは言えない。言えなかった。

恐怖心に囚われたからではない。都合の良い言い訳でもない。
ただ、ダメだと。それを言ってしまってはダメだと。
 それだけを、思った。



…口に出さなかっただけでもこの自己犠牲主義者の衛宮士郎は進歩しているといえる




1-1

夜間密かに脱出を図る3人。
しかし、アイアンボトムサウンドの激戦地へ入ってしまい交戦。
衛宮士郎は海の上では木曽に背負われている状態で役に立たなかった。


「深海棲艦に対して肉弾戦って……馬鹿じゃないの?」

冷静な第三者の声。望月では無い。
ましてや士郎のでも無い。
呆気ない終わり方に一瞬とはいえ呆けていた三人だったが、反射的に声の方へと向いた。
黄土色の髪。木曾たちと同じくボロボロの服。小柄な体躯。そして眼。
意志の強そうな眼が印象的な少女が其処にはいた。

「全く……まぁいいわ」


「駆逐艦、満潮よ。……どうやらアンタ達も捨て艦みたいね」



いきなりシリアスきた(汗)


1-2

満潮と合流した衛宮士郎達は隠れ家へ入る。
そこには同じく捨て艦として見捨てられた艦娘達がいた。

「あの……誰、ですか?」

だが陸地に上がろうとしたところで声を掛けられた。満潮のではない、誰か別の声。
反射的に視線を向けると、其処には女の子がいた。煤けて穴も開いているセーラー服。
やはり、皆と同じくボロボロの様相だった。
陸地に手をかけつつ、木曾が答える。

「俺は軽巡洋艦・木曾だ。此方は駆逐艦の望月と、一般人の衛宮士郎。満潮に案内されて来た」
「み、満潮ちゃんに? じゃあ味方なの? でも、証拠が無いし……」
「……味方よ。だから銃口を下げなさい、磯波」

いつの間にかに戻ってきていた満潮が少女を窘めた。
良く見れば少女は右手に銃を持っている。引き金にはしっかりと指がかけられていた。


捨て艦駄目、絶対。



1-4

体力が消耗していた衛宮士郎は2日間も隠れ家で寝てしまう。
木曽たちの姿はなく、いたのは駆逐艦「叢雲」と名乗る少女であった。
そして、ついに深海棲艦に見つかったしまう。

「……あれ、は――――」

寒い。ただただ寒い。
それが外気温か、それとも怖れから為るものかは不明。
だが二人は。奇しくも二人は、同じ感情を胸に抱いていた。
そしてそれを打ち消すように、互いが互いを強く抱きしめていた。
互いに感じる体温だけが、目前の現実を現実として認識させてくれていたのだ。
叢雲の口から言葉が発せられ、瞬く間に虚空に霧散する。


――――軽空母ヌ級










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(短編)最強のエンジニアが艦これ世界で暴れるようです。(DeadSpace×艦これ「陽炎、抜錨します!」)

2015-01-25 22:01:33 | 習作SS


不知火にとって彼は命の恩人である。


強行偵察に参加した不知火は重巡洋艦の高雄と共に深海棲艦の勢力圏に取り残された。
だが2人はここで諦めるような人間ではなく、打ち上げられた船の群れの中に隠れ、
気を見て、不知火の武装の魚雷で作った即席の囮を放出すると同時に脱出を図った。

だが、密かに隠れていた潜水艦カ級の雷撃で高雄は倒れ、
さらに駆逐艦では撃沈不可能な戦艦タ級が出現、駆逐艦不知火の運命は決しようとしていた。

「……はっ!」

だが不知火は笑っていた。
口角はつり上がり、瞳は楽しげに輝いていた。

戦艦?
大変結構!
水雷屋にとってご馳走だ。
実に沈め甲斐がある獲物ではないか!

歓迎しよう、私の前に現れたことを。
そして、黄泉世へ送って高雄さんの道案内をさせてやる。

そう不知火は思うと、魚雷発射管をタ級に向けて突撃しようとしたが――――。

「っ!!!」

タ級の腹から鉄パイプが生まれた。
いや、正確には鉄パイプがどこからともなく飛来し、タ級の腹を貫通させたのだ。
致命傷らしくタ級のその整いすぎた表情は苦悶に満ちており、口から血が吹き出ている。

突然の出来事に不知火は思わず動きを止めてしまう。
だが、突き刺さったパイプの向きから飛来してきた方角を予想し、視線を動かす。

奇妙な人間が船の残骸の上に立っていた。
全身を覆うスーツにゴテゴテと金属片を取り付けた姿は無骨な印象を与え、まるでSFの兵士のようであった。
おまけに頭部まで武骨かつ鋭角的なヘルメットに包まれており、余計にSF世界定番のスーツを来た兵士の印象が強くなる。
どんな人間なのかは不明であるが、幅広い肩と背丈から不知火は中の人間は少なくとも男であると推測した。

それにしても何故こんな場所に人間が?

だが、ここは深海棲艦の勢力圏。
そんな場所に艦娘でもない人物がどうしているか?
と疑問を不知火は覚えたが、刺さったパイプ向きから『男』を見つけたタ級が吼え、駆ける。

「…っいけない!!」

どんな手段を講じて奇襲に成功したか知らないが、
ただの人間が真正面から深海棲艦と殴り合って無事ですむはずがない。
不知火は男を助けるべく動くが、それは杞憂に終わった。

彼は突進してくるタ級に対して構えていた武器(注:工具です)から光の刃を発射。
光の刃はまるでバターをを裂くナイフのようにタ級の片腕を引きちぎり、片足を吹き飛ばしタ級は海面を転がった。

「………………」

あまりに鮮やかな一連の動作に言葉が出ない不知火。
恩人にどう声をかけるべきか悩む中、男は船の残骸まで転がってきたタ級の元に近づく。

片足と片腕をもっていかれたタ級は立ち上がろうとするが、
男は無骨な姿をした武器(注;工具です)を手にした腕を振り上げ――――。

「Hun!」

ぶん殴る!
それも拳を握ってパンチではなく、
ゴッツイ武器(注:工具です)を振り回し、力任せに何度も叩きつける!

ズドン!ぐしゃ!めちゃ!!

骨が砕け、肉が潰れる音が響く。
スナッフフィルムも真っ青なR18シーンに不知火は胃の中身を出しそうになる。

……というか、深海棲艦を殴り殺せるなんて何者だ?
近接戦闘用の武器を持つ艦娘はたしかにいる。
艦娘の戦いは有視界内での戦闘のため、砲撃戦がいつの間にか組み合うまでに至ることはある。

だが、それでも近接戦闘。
それも己の腕のみを頼りとする戦いは推奨されていない。
なぜなら組み合うまで戦うのは危険だからである。
にも関わらずこの男はそれをやり遂げた、しかも艦娘ではないにもかかわらず。

『さて、そこのお嬢さん。ここはどこなんだ、というかこれは何だ?』

色々疑問が浮かぶ不知火であったが、
ヘルメットが胸元に折りたたまれる形で男の素顔が晒しだされる。

見た目40代の白人の男性で、顔立ちは悪くないが坊主頭と無精ひげのせいでマイナスポイント。
だが、表情は歴戦の兵士のように隙がなく、その瞳は戦場を知る者の瞳でギラギラと輝いているのが不知火は分かった。

「先に、助けてもらったのはありがたいですが、貴方は何者ですか?」
「あ、ああ俺はアイザック、アイザック・クラークだ。見た所ここは海だが、ここは地球なのか?」
「……何を当たり前のことを聞いているのですか?」

わざわざここが地球である事を確認する言葉に不知火は疑問をさらに増大する。

「宣告します、所属部署を言い―――『もう、不知火は素直じゃないのね』って高雄さん!!」

さらに疑問を投げかけようとした不知火であったが、
死んだと思っていた高雄が口を挟んだことで中断する。

「初めまして、高雄と言います。
 不知火を助けてくれてありがとうございますアイザックさん」

「あ、ああ」

頭を下げる高雄に男、アイザックがそっけなく答える。
……別に破れた服からはみ出るたわわに実った白い果実に動揺したわけではない、断じて。

「さて、アイザックさん。
 貴方が何者かは今は問いません。
 それよりここから脱出する方が重要です。
 不知火、私の主機はもう駄目だから彼を連れて脱出しなさい」

「高雄さん!!?」

自分を置いて逃げろと言う高雄に不知火が叫ぶ。

「よく聞いて不知火。
 このままここに居ても3人揃って二階級特進する未来しかないわ。
 だから行きなさい不知火、私はここで隠れてやり過ごすから彼を鎮守府へ連れて行って」

「そんな……」

不知火は高雄が言っている事は理解できていた。
敵中で孤立している以上、足の速さが何よりも求められている。
そんな中、足手まといを連れていては3人揃って戦死してしまうのも知っている。
だが、不知火は高雄が言うことは正しいと知っていても納得できていなかった。

「話に割り込むが、主機というのは背中に背負っているそれか?」
 
2人のやり取りを聞いていたアイザックが尋ねる。

「え、ええそうです。
 けど、先ほど攻撃を受けたから速度が出ないのよ」

「そうか、すまないが見せてくれないか?」

「ええ、別に良いわよ」

高雄は主機が見えるように背中をアイザックに向ける。
一連おやり取りを聞いていた不知火は、そういえば何故この男は主機を見たがるのだろう。
と、疑問を持ち出した刹那、アイザックがした行動に思考を停止してしまった。

「ふん!」
「ぬい!?」
「え?」

べきゃ!と派手な音と共に問答無用に主機のカバーをひっぱがし、主機の中に手を突っ込んだ。

「な、ななななな!!!」
「え、ええええええええ―――!!!」

当事者の高雄。
そして感情表現が不器用で、一部悪意ある人間からは古の帝国海軍の提督と同じく、
黄金仮面と揶揄されている不知火でもこの時ばかりは男がした蛮行に驚愕と動揺の声が漏れた。

「何をしているの!アイザックさん!」
「離れなさい!壊すつもりですか!!」
「2人とも暴れるな、手元が狂うだろ」

じたばたと暴れる高雄に後ろからアイザックの蛮行を止めようとする不知火。
それもそのはず、バチッ!バチバチ!!ジ、ジジーー!!と鳴る火花の音に2人は不安しか感じなかった。

だが、煙突から黒煙が轟!と噴出。
サイズの割りに重い音と振動が高雄の主機から漏れる。

「火はついたみたいだな」

「「………………」」

いや、ちょっと弄っただけで主機を動かすなんてアンタ何者だよ!!
と高雄、不知火は内心で突っ込んだ。

「とはいえ、少しパーツが足りないが、まあ、作れば何とかなるか」
「何を馬鹿なことを言っているのですか?」

主機は世界中で出回っている某ロシア製の銃や、
俗に廃ラックスなどと呼ばれるトヨタの車と違い精密で繊細さを要求される代物だ。
通常は鎮守府の工廠、あるいは専門の工作艦の手で修理、整備を行うものである。
ごそごそと不知火から見てガラクタにしか見えない代物を取り出して、何やら作り出した男に不知火は本気で呆れ返る。

だが、アイザック・クラークにその常識は通じない。
ネクロモーフが襲う中、その場で手術用の機械を分解、
懐中電灯と組み合わせて即席のプラズマカッターを拵えた彼からすれば今の状況はイージーモードであった。

「よし、出来た。これを組み合わされば動くはずだ」
「だから、そんなので修理できたら明石は要らない……あれ、力が戻っている」
「なっ、本当ですか高雄さん!?」

主機に部品をはめ込んだアイザックに再度反論しようとしたが、
艦娘として湧き上がる力に高雄は言葉を失い、常識を崩され絶句する。

「何度も聞くようですが、貴方は何者ですか?」

不知火がアイザックに問いかける。

「何、俺はただのエンジニアだ」



その後不知火、高雄は味方の攻勢に合わせて脱出。
救出に来た第14駆逐隊に拾われる形で無事鎮守府へ帰還した。
そして、一歩間違えれば2名の戦死者が生まれるところ防いだ男が鎮守府へ降り立った。

その男の名はアイザック・クラーク。
26世紀という遥か未来の――――ただのエンジニアである。











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【予告】弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.5「原因」

2015-01-18 17:44:48 | 習作SS

深海に溺れる魚、
と言う厨2的詩的表現をつい口にしたくなるほど今年の冬は寒い。

吐く息は白く。
吸い込む空気は喉と鼻を刺激するほど寒気を帯びている。
おまけに深夜の公園ということもあって周囲に人影はなく余計に寒さむい気がしてしまう。

いや、公園だけではなく街全体がそうだ。
例の吸血鬼の噂のせいで夜を歩く人間は少なくなり、街全体の活気が冷えている。

吸血鬼の噂。
ボクはそれを知っている、そうタタリの事だ。
だが【原作】ならば本来それは夏の蒸し暑い夜に演じられるはずのもの。
しかし、現在それは年が明けた冬に始まった、いや始まってしまっている。

その原因は初めはボクのせいではないかと考えていた。
なぜなら、吸血鬼タタリは人の噂を媒体として現れる吸血鬼。
それも人が口に出さずとも一度思ったり、見ただけで再現してしまうチート野郎だ。
そんな吸血鬼からすればボクのように型月のあらゆる知識、【原作知識】などと言う物を持つ人間は非常に都合がよい。

例えば英雄王。
例えば帰騎士王。
例えば征服王。

そんな古今東西の英霊の姿を文字、
あるいは絵と言う媒体でしか知らなくともタタリはそれらを再現してしまう。

現に今街で流れる噂。
そして昨晩志貴と戦っていたタタリはまさにそうだった。
あの時は英霊ではなく、ただの人間を再現していただけだったが、
このまま行けば間違いなく、英霊と対峙することになる――――あ、鼻が。

「へっくち!」

人間よりも頑丈な肉体とはいえ、吸血鬼でも寒いものは寒い。
くしゃみと共に鼻水が鼻から垂れる、そして生憎ティッシュを持ち合わせていない。
どうしたものかと思わず考えていたが、

「ふむ、寒いのか?」

隣に立つ長身の神父がそう言うと懐からポケットティッシュを差し出した。
自然と出た神父の気遣いに感謝の言葉を告げたいのだが、直ぐに口にでなかった。
それもそのはず何といっても彼こそが蟲爺、桜、に並ぶFateにおけるラスボス枠、言峰綺礼なのだから。

「いらないのかね?女性がそういつまでも鼻水を垂らすのはよくないものだと思うのだが?」
「え、あ、はい……」

どう反応すべきか迷ったいたが、
極めて常識的な助言を神父から頂いた。
あるいは頂いてしまったというべきかもしれない、しかも、あの言峰綺礼から。

とはいえ、彼の言うことは事実なので、
感謝の会釈と同時に、ティッシュを受け取った。
紙に魔術的な加工といったものはなく本当に唯のティッシュであり、そのまま鼻をかんだ。

「まだ寒い時期だから今後はティッシュを携帯するように気をつけるとよい」
「どうも……」

おまけに寒いから風邪に気をつけろ、ティッシュを携帯するように言われる始末。
まるで母親のようだ、というか、イメージしていた言峰綺礼とのギャップについて行けない。
そもそも見た目の印象からして隣に立つ神父が他人の不幸が三度の飯より大好きな愉悦部部員とは思えない。

表情が乏しいとはいえ、見た目は長身で真面目な神父さんといった印象が強い。
とても間桐雁夜の空回りっぷりを見てワインがうまい!と愉悦していた人間には見えない。

かといって愉悦覚醒の契機となった聖杯戦争は【原作】通り勃発しているのは確かだ。
なにせ今回シエル先輩経由でここ三咲町に来たのは、聖杯戦争の体験者の意見を求められたからだ。
そしてこの神父と態々夜の公園で突っ立っている理由は勿論タタリ捜索のためで今はシエル先輩を待っている。

「お待たせしました」

って、先輩のことを話したとたんに本人がやって来た。








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おススメSS Be with you!

2015-01-13 22:28:12 | おススメSS

Be with you!

型月の魔法少女の走りはホロウから始まりました。
当初は一発ネタ扱いでしたが、やがて各種スピンオフで出番が徐々に増え。
ついにはプリズマ☆イリヤのように今ではすっかりメインを張っています。

さて、そんな魔法少女ネタに欠かせないのが愉快型魔術礼装カレイドステッキ、
自称人工天然精霊ルビーが聖杯戦争時に衛宮士郎をTS化させて暴れまわります。

年末に土蔵を整理していた衛宮士郎はどこからともなく現れたルビーに遭遇。
そしてルビーに気まぐれでTS魔法少女となった衛宮士郎は普段は男性の姿で過ごし、
時に魔法少女に変身し(正義の味方の活動では実はノリノリ)チンピラや痴漢を吹き飛ばす日々を過ごしていたが、聖杯戦争に巻き込まれる。


TS魔法少女な衛宮士郎が聖杯戦争に参戦と異色の作品です。
ぜひ見てください。


「ふふ、何かルビーちゃん、今なら何でもできそうな予感がしますよ? 
何というか、今ならあなたを性転換出来ちゃいそうな感じです。カレイドステッキとしての本能が、この少年を女体化させろと言っている……!」

この杖、マジカルルビーは簡単に言うと興奮していた。十年ぶりに目を覚まし、
彼の心をちょっと覗いてみたところ、何やらいい感じに歪みを持つ可愛らしい少年と出会ってしまったのだ。
これは何と言うか、運命。そう陳腐な言葉で片付けてしまうのはもったいないが、この少年と出会ったことに並々ならぬ意味があると感じていた。

まぁ、そんなルビーとは反対に、士郎の方は逃げ出したくてたまらないのだが。
しかも、何か女体かとか聞いてはならない言葉も聞こえたし。

「な、何かすごく不穏な言葉が聞こえた気がする。
 ちょ、ちょっと待って、や、やだ何して……ふあああああああっ?!」

ぴったりとくっついてきただけでは飽き足らず、
何やら服をごそごそし始めたルビー。士郎があらぬ悲鳴を上げていると、
土蔵は一瞬にしてルビーから発せられた光に飲み込まれた。
そして、光が収まって士郎が目を開けた時、彼の世界は変わっていた。

「な、な、なんじゃこりゃああああ?!」

元々、年相応の少年たちよりも小さかった士郎の体はさらに小さく、小柄なものに変化していた。
短く切ってあった赤茶の髪は、肩より長く伸びふわりと揺れている。
そして、士郎はまだ気が付いていないが、ズボンの中にあったあるものが消え、
その代わりに彼の胸部は布を押し上げる慎ましやかな膨らみを持っていたりする。
グッバイ昨日までの俺、ハロー今日からの私、といったところか。

身体的な変化にだけ士郎が驚いているわけでは無い。
飾り気のないトレーナーにジーパンを履いていたはずの士郎の服は、
ひらっひらといやもうひらひらふわふわのドレスに身を包んでいた。
白を基調としたドレス、薄いオレンジ色のリボンが至る所にほどこされている。
そして、誰得だと叫びたくなるイヌ耳と尻尾のオプションサービス付き。

「おぉっ! 思ったよりも随分と可愛らしい魔法少女が出来上がりましたね!」

満足気な声を上げるステッキは、持ち手の部分を曲げ、うやうやしくお辞儀をする。

「まぁ、とりあえず、魔法少女もあなたの目指すセイギノミカタも、大した差はありません。
 私と契約してくれたんですから、楽しい毎日を過ごしましょう、マスター!」










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弓塚さつきの奮闘記~MELTY BLOOD編 ACT.4「休息」

2015-01-07 21:48:54 | 連載中SS

ここはどこだろう?
上下左右の感触が掴めない不思議な意識の中に俺はいた。
重力もないようで体の重みも感じられず、浮遊感にただ身を任せる。

一体いつからここにいたのだろう。
記憶もひどく曖昧で、思考することができない。
おまけに、視界情報もなく、自分がどうなっているかがまったく分からない。

しかし、何も分からないことに不安に駆られることはない。
なぜならこうしてじっとしている間、不思議と体は暖かく、気持ちが良い。

気力が湧かない、体が動かない。
けどこのまま別にずっと居ていいような気がする。

そう、それこそ永遠に――――。 

唐突に紫色の少女の姿が瞳に浮かんだ。
灰色の脳漿が彼女、シオンとの出会いの記憶を再現する。
吸血鬼との対決、そして俺は致命傷を受けて倒れた記憶が蘇る。

思い出した。
俺はこんな所でボンヤリとしてはいけなかった事に。
起きて、あの後の話を聞かなくてはいけない。

体が重い。
瞼を開くだけでも重みを感じる。
けど、それでも開けねばならない。

吸血鬼、シオン。
そして謎の第三者の介入。
その全てを俺は知る必要があるのだから。

「く、は――――」

徐々に瞼が開く。
光りが鼓膜を刺激し、眩しさを感じる。
まだ吐く息は荒く、呼吸はか細いものであるが、
沈み込んでいた意識は覚醒し、視界情報が認識できるようになる。

「ここは、」

体に掛かる布団。
首だけを回して周囲を見るとどうやら俺の部屋らしい。
多分、シエル先輩とさつきがここまで運んでくれたのだろう。

が、部屋には俺以外誰も居いない。
ここから、先は俺が行動に出る必要があるようだ。

しばらく、浅い呼吸を繰り返し、
やがて上半身を起き上がらせるのに成功した。

「ぐっ……!?」

痛みが胸元から走る。
視線を自分の胸に移せば包帯がキッチリと巻かれている。
しかも、包帯には何らかの文字が書かれておりどうやら唯の包帯ではないようだ。

こんなことが出来る人間は俺が知る限り2人しかいない。
1人はロアから知識を授かることで魔術師を始めたさつき。
そして、同じくロアから魔術の知識を学び、例え仮の姿でも俺にとっては先輩の、

「もう、こんばんわ。
 と言うべき時間帯ですけど、
 おはようございます、遠野君」

「先輩……?」

横から声。
首を回せばその先輩ことシエル先輩が佇んでた。

「まったく、男の子は無理をするものとは知っていますけど、それでも限度というのものがありますよ」
「え、その……」

はぁ、とため息を吐く先輩。
先輩が言う無理に見覚えがありすぎる俺には反論できない。
油断していたとか、そうした言い訳をする資格がないことは十分に承知している。

「これで懲りたら私としては万々歳ですが、
 まあ、遠野君のことですからあまり期待していません、はい、眼鏡です」

「耳が痛いです、先輩。
 あ、どうも………先輩?」

「はい、何でしょうか?」

「あの、俺と先輩との間に何かが繋がっているようですけど、これは?」

シエル先輩が俺の眼鏡を差し出す。
受け取ろうと手を伸ばすが、先輩と俺を繋ぐような糸が確かに見えた。

「魔術的なパスを視界情報として認識できるなんて、
 相変わらず出鱈目な眼をしてますね、遠野君は……。
 はい、そうです。私と遠野君との間に魔術的なパスを結んでいます」

魔術的なパス、
シエル先輩は秋葉と同じく俺に命を分け与えてくれた事実を意味した。

「ありがとうございます、先輩。
 そしてごめん先輩、俺のせいでここまでさせてしまって」

頭が上がらない。
この命は秋葉、先生だけでなくシエル先輩からも頂いたことになる。
先輩は何の利益も得られないにも関わらず、こうして俺を助けてくれた。

「感謝の言葉は私だけでなく、
 翡翠さんにも言ってくださいね遠野君。
 私だけでなく彼女も遠野君の命を繋ぎとめるのに協力しましたから」

「翡翠も、か」

翡翠まで俺を助けてくれたのか。
いつも俺の周囲の世話をしてくれていたけど、
これでいよいよ本格的に頭が上がらないようになってしまったな…。

「分かった先輩、
 後で翡翠にもありがとうって言ってくるから」

「感謝の言葉もいいですけど、
 そこに具体的な行動を追加するとより良いですよ」

「具体的な行動?」

翡翠にも後で感謝の言葉を伝えるといった矢先、
シエル先輩は言葉だけなく、行動に出た方がよいと言ってきた。
具体的な行動……ダメだ、思いつかない、俺には解けない謎かけだ。

「その様子だと分からないようですね、
 まったく、そうした方面には相変わらず鈍いままですね、遠野君」

「面目ない」

やれやれ、と手首と首を振るジェスチャーをする先輩に俺は頭を掻く以外反応できなかった。

「いいですか、遠野君。
 手短に言うと感謝の意を込めて翡翠さんと何か付き合いなさい。
 というか、デートしなさい、男女で仲良く外に遊びに行って行きなさい」

「なるほど、デートか。そっかデート……って!デート!翡翠と俺が!!?」

な、なんでさ!?
意味がわからないぞ、まったく!

「好意を抱いている男性からデートの誘いを掛けられると女の子は嬉しいものです?」
「好意を持っているって、翡翠と俺の間には主人と使用人の間に結ばれた信頼とか信用といった好感情という意味ですか?」

朝起こしに着てくれるメイド。
なんて、有彦と一緒に遊んだエロゲの世界かよ!
と、内心で突っ込んでちょっぴりドギマギしたけど今はそんな邪心はない。

今は朝に強いとは言えない身体と、
そうしても見過ごしがちな日常のサポート全般において、
翡翠は俺にとって欠かすことが出来ない信頼できる人間である。

「……無茶にも限度があると言いましたけど、鈍感なのにも限度がありますよ?
 だいたい、翡翠さんは勇気を振り絞って遠野君に始めてを捧げ……あ、今何を想像しましたか?
 ほほう、別にエッチな意味ではなくキスですよ、キス。それでも初めてを捧げたのですからデートに誘いなさい、いいですね?」

初めてという単語で思わずアルクェイドと過ごした夜を思い出し顔が赤くなった。
そんな姿の俺を見て先輩が笑みを浮かべつつさらなる爆弾を投下した。

「まあ、ですが。実は私も男の人にキスしたことは遠野君が最初なんですよ……」
「え゛………」

先輩と俺がキスをしたという事実に俺は硬直してしまった。
何せあまりの衝撃で走馬灯のごとく先輩とすごした過去の記憶が再現されるが一度のそのような記憶はない。

それに、はにかむ先輩は殺人集団の代行者のシエルではなく、
学校の留学生にして俺の先輩である、シエルであった。
月夜を背後に嬉しそうに微笑む先輩の姿に俺は思わず見惚れてしまった。

だけど、なんだ、その。

「あ、でも遠野君はこれが初めてじゃないのですよね。
 今回の翡翠さん、ロアの時に秋葉さん、付き合っているアルクェイド……ふふ、モテモテですね」

「うぐ、えっと、えっと……」

そうだ、俺は既に複数の女性と既にキスをしてしまっている。
今回で遠野の屋敷に関係する人間で俺とキスをしていないのは、さつきと琥珀さんだけとなった。
……4人の女性とキスを交わしてしまった俺は色んな意味で駄目人間かもしれない。

「でもそんな浮気体質な遠野君でも私は好きですよ。
 それにもし、アルクェイドに飽きたら、私と付き合ってもいいですよ?」

「な――――」

―――今何ておっしゃいましたか?
先輩と俺が付き合うなんて、そんな事を言いませんでしたか!

これは是非とも……あ、待ていくら何でも二股は駄目だ。
激怒したアルクェイドの怖さは十分承知しているし、何よりも彼女が悲しむ姿を俺は見たくない。

だから答えは決まっている。

「先輩の好意はありがたいけど、俺はアルクェイド一筋だから」

「そうですか、残念です」

今まで笑みを絶やさなかった先輩がこの時だけは少しばかり悲しそうな表情を浮かべた。

「おっと久々にこうして話し会えたものですからつい長くなってしまいました。
 私はそろそろ言峰神父と合流して吸血鬼の捜索に向かいますから、しっかり休んでくださいね、遠野君」

「え、ああ。もちろんだよ、先輩」

「はい、いい返事です。ご褒美に私からプレゼントを差し上げましょう」

そう言うと先輩は俺に近寄り、
頭の側面に手を寄せて、先輩の顔が徐々に―――。

「あ――――」

額に湿っぽく、暖かい感触。
どうやら、俺は先輩にキスをされたらしい。
それは分かったのだが、アルクェイド一筋と公言した矢先の出来事なだけに、
シエル先輩の行為に反応できず、情けないことに俺は動揺し、硬直してしまった。

「では、私は言峰神父と共に吸血鬼を調べに行ってきますから、遠野君はしばらく安静していてください」

硬直している俺を他所に先輩は傍から離れ、部屋の窓を開ける。

「お休みなさい、遠野君」

そして窓から飛び降り夜の三咲町へ消えていった。

「先輩のキス、良かったな……」

姿が見えなくなった先輩への開口一口がこれであった。
意識をせずに呟いた言葉がこれとは、我ながら体は正直というべきか……。

思わずキスをされた額に手を当てる。
まだ少しだけ、先輩のキスした時に残った湿っぽい感触が残っていた。
……アルクェイドとはもっとすごい事をしているって言うのに、何を恥ずかしがっているんだろう。

というか、先輩との一連の会話を聞かれたら色々と不味い。
付き合っているアルクェイドだけでなく、特に秋葉あたりは――――。

「へえーーーそんなにシエルのキスが良かったんだ、へえーーー」
「ふふふ、兄さん、今日と言う今日こそたっっっぷり、お話しが必要みたいですね」

空気が凍りついた。
いや、凍っているのは空気ではなく俺だ。
声の方角は部屋のドア、そしてこの声の主は見知った人間だ。
振り向きたくない、どんな事になっているか深く考えなくても分かる。

だが、ここで無視を決め込んだら余計に事態が悪化する。
ゆえに逃げ場なく、ゆっくりと首をドアの方へ回転させた。

「志貴~」
「兄さん~」

そこには俺の想像通り、
黄金と紅の怒りのオーラを纏った2人の鬼がそこにいた。

どうやら俺はここまでのようだ……。





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