二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS もしもサーヴァントになったのがマリー所長だったら

2016-01-31 23:31:53 | おススメSS

もしもサーヴァントになったのがマリー所長だったら

Fateの短編SSです。
タイトルから察せられように初っ端から悲惨すぎる最期を迎えてしまった、
オルガマリー・アニムスフィアがもしも某眼鏡っ子の変わりにデミサーヴァントになったら?

というピクシブの短編SSで、あの露出の激しい衣装に恥ずかしがる所長や、
ぐだ男に賞賛されて満更でもなく、ツンツデレデレな態度などなど。
今はなき所長にもしを思いを寄せることができます。

型月的にはたぶんラスボスとして復活するかもしれないが… 

ああ、ここはどこだ……
俺は死んだのか?
あれ?本当にどこだっけ(ペロッ
ペロ?…また、頬を舐められた

……………また?

「新入り、起きなさい新入り!
 …起きないわね、正式な名称で呼びかけなければ起きないとでもいうの?いい度胸ね」

懐かしい、いや、先ほど聞いた声が聞こえる

「―――マスター!
 マスター、起きなさいよ
 でないと、殺すわよ?」

……………、――――!
頬に舐められる感触…フォウか…

目が覚める、そして合う
目の合った相手と言えば
その声と顔は忘れるわけがない
が、着ている服装に問題があるのだ
腹部と太ももを大胆にも露出した黒を基調にした鎧姿
そして、大きな盾を持っている
なんだってこんな姿をしているのだろうか

「…不本意ながら、アナタが私のマスターみたいね」

本当に不本意そうに
オルガマリー・アニムスフィアは呟いた

一体全体状況は少しもつかめないままだが
死んだわけでは、ないらしく俺らはまだ生きている






















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続いたネタ22 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-01-29 09:01:32 | 習作SS

辻が銀座で欧州一危険な男と腹の探りあいをしている最中。
平成と帝国の日本で動きがあった。

まずはピニャ、ボーゼスの二人が平成の日本に来日した。
目的は日本といいう国をこの眼で見て、交渉の仲介役となることだ。

またハミルトンもシャンディーを連れて大日本帝国の方に訪日し、
ピニャと同じように大日本帝国との間の交渉の仲介役をすることなった。

なお、当初自分が大日本帝国の仲介役となることに、
家柄やら何やらを理由に反対していたハミルトンであったが、
ピニャが自ら書き示した代弁者としての信任状を無理やり渡されてその地位に至った。

さらに、平成の日本ではとある事を理由に、
国会に参考人として自衛隊員の伊丹耀司と日本軍の小野田寛郎。
アルヌス住民代表としてレレイ、ロウリィ、テュカ、以上五人が呼ばれた。

その内容は「コダ村避難民に関する質疑応答」
であり、イタリカで武装勢力を撃破する以前から、
自衛隊と日本軍に不手際はなかったかどうか疑うメディア。
さらには政権を狙う夜盗…もとい野党が張り切っており、与党が押される形で現場責任者を国会に呼ぶことと為った。

何かと腰が引ける日本政府の尻を叩くこと、
それが自分の使命と知る大日本帝国大使の吉田茂がいくら鼓舞しても、
メディアが左に習え、とばかりに世論操作を全力でしている中では中々難しかった。

ゆえに日本政府は銀座を襲撃した武装勢力の全てを撃破したことを宣言し、
低下する支持率の回復を狙ってイタリカの一連の出来事を公表したが悪い方向に動いた。

「自衛隊、異世界にて虐殺疑惑!?」
「暴かれた残虐行為、隠蔽を許すな!」
「戦前回帰への道を止めよう、下ろせ政権」

政府は自衛隊が持ち込んだ各種撮影機材で録画したイタリカの戦いをメディアに公開したが、
某大陸や某半島の意を受けたメディアはわざと最も残虐なシーンを選んで、自衛隊と政権に対して非難を始めた。

例えば「攻撃ヘリで武装勢力を掃射するシーン」をあたかも一般市民を巻き添えにしているかのようにミスリードする。
例えば自衛隊がイタリカ市民へ救助するするシーンを「市民は怯えています」等と余計なコメントを挟む。

等などとプロパガンダを展開している。
それを真に受けた某み○すな党はその真相を暴くと意気込んでいおり、
コダ村避難民、イタリカ両方の現場にいた伊丹は厳しい質問を国会で浴びせられることが予想されていた…。

「あ~まったく、こりゃあれか?
 状況は家康公を関が原で突撃させたまま放置している某架空戦記作家の
 日本分裂を主題とした某架空戦記に出てくる某歴史作家の戦車将校と同じわけか?
 あー面倒だ、本当に面倒だ、今すぐどっかに天下りして定年までお茶を飲んで過ごしたいぜ…」

「くくく、そうだ。
 司○遼太郎先生のように状況は悪いぜ。
 ああ逃げようと言ったって二重橋の英雄でも所詮二尉、再就職先なんてたかが知れている」

「ねえ、御宅の所なんて駄目。
 俺こう見えてもSだし結構使えると思うんだけど?」

「個人的には食指がそそる話であるが、
 ウチの上司連中が作られた世論にビビッているからなぁ…」

「く、くそーー!!」

クリスマスが近く、
寒風に晒される銀座駐屯地の中で、
伊丹と駒門が今後について会話を交わしていた。
少し話がある、という理由でロウリィや富田などから距離をとったため、
周囲に人はおらずこの寒い中男で2人っきりだ(決して腐った意味は持たない)

「さてどうする?
 逃げるのはあんたの十八番らしいが、
 この状況じゃあ、逃げるなんてできないぜ。
 そうそう、辞表を提出しても無駄かもしれないな。
 小ざかしい官僚の一部はアンタに責任を負わせる事を考えているらしい」

「駒門さん、なんか楽しそうだなっ…!!」

伊丹の経歴を知るがゆえに、
この男がどんな事を考えているのか、
そう興味が尽きない駒門がニヤニヤと笑顔を浮かべる。

「ま、確かに駒門さんの言うとおり方法はなくはないさ。
 それも政権に打撃を与えず、なおかつこの話題から逸らす手が」

「ほう、興味深いな。
 聞かせろ、伊丹二尉」

頭をバリバリと掻きながら呟いた伊丹の言葉に駒門の眼が光る。
それが本当ならば作られた世論で縛られた政府の状況を打開する策となるからだ。

「駒門さん、アンタはあの金髪エルフ幾つだと思う?」

「何だいきなり……。
 あのファンタジー映画から飛び出したような娘さんか?
 どう見ても十代後半だろう、それが一体どう関係する……?」

伊丹の質問の意図が分からず疑問の声を出す駒門。

「百六十五歳」
「ん?んん??」
「テュカは百六十五歳なんです、いや本当に」
「んな――――!?」

衝撃的な事実に駒門は思わずバッと振り返り、
視界の隅で銀座の様子を見ていた金髪エルフを改めて見返す。
だが見返しても165歳よりも10代後半と言ったほうが現実的な見た目であった。

「ちなみにロウリィは詳しいことは聞けてませんが、
 レレイが言うにはそれよりもっともっと上だと言ってましたよ」

「………本気で驚きだな、おい」

見た目中学一年生程度の幼さを残す少女がそれより上。
という事実に衝撃のあまり駒門から出せた言葉は驚愕の一言であった。

「で、その事実が国会で知れたらどうです?
 一般市民にメディアの本音は野党が言う真相究明は究明は二の次、
 本音は特地のそうした日本にないものを早くみたい、という好奇心の方が強いはず」

「それが、あんたの考えが。
 あんたは娘さん達を出汁に話題を逸らさせるつもりか。
 普通なら通用しない策だが特地の人間が来る、という話のせいか、
 この時期何時もは地方にいるはずの国会議員先生が何故か出席している上に、議席は満席と聞く。
 ネットでは政治問題よりも特地の人間に期待する所が大きいしな…くくく、どうやら退屈な国会が面白くなりそうだ」

皆本音は政治問題よりも特地と官僚用語で名称された異世界ファンタジーに興味津々で、
ロウリィ達を前面に出すことで世論の話題を一気に変えてしまう、という伊丹の策に駒門は笑い、賞賛する。

「これなら、政治問題は直ぐに忘れ政権に与える打撃は最小限になるだろう。
 だがよ、伊丹二尉。それでも真実を暴くと意気込んでいる野党共の追究からは免れないぜ。
 前日に防衛省からカンペなりなんなりが渡されたと思うが、その辺はどう対応して行くつもりだ?」

だが、それでも野党からの質問攻めからは逃げることはできない。
そう伊丹に伝えるが、

「ま、そこら辺はアドリブで何とかします。
 カンペの方は一応眼を通したフリだけにしました」

「アドリブっておいおい……」

予想外の回答に駒門は戸惑う。

「だって、俺。
 官僚が作った文章なんて苦痛で苦痛で仕方がないし!
 それに下手にカンペを何も考えずに読んだら、俺が全責任を負う。
 見たいな文章を読まされ、俺だけに責任を被せて切り捨てられそうですから」

「それは、確かにありうるな。
 何せあんたは英雄だから小ざかしい小役人共がなぁ…」

官僚的問題解決法として弱い一個人に責任を負わせわが身を守る。
それに二重橋の英雄、という官僚的組織では出すぎた杭は早急に打たねばならない。
そう考えているだろうと、長年公安畑でそうした官僚の病魔を良く知るようになった駒門は伊丹の意見に頷く。

「大体、俺がこれからしようとすることにカンペは対応してないだろうし!」
「ははは、確かに。それもそうだな!」

その上これから伊丹がやろうとして行動に、
官僚が作ったカンペが役に立つとは思えない事に二人は笑い合った。

「おっと、時間だ。
 そろそろバスの用意が出来るころだ。
 ああ、実に有意義な時間だったよ伊丹二尉。
 今後の健闘を祈るよ、冗談じゃなく本気で、な」

「そりゃ、どうも」

駒門の敬礼に伊丹が素っ気無く答えた。
そして、長居は無用と直ぐに2人はその場を離れる。
駒門は護衛のために移動を始め、伊丹は三人娘と部下、お客さん二人の元に歩き出した。



















 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おススメSS エイラ「輝くもの」

2016-01-25 21:34:54 | おススメSS

エイラ「輝くもの」

ピクシブのストパンSSです。
主役はエイラとサーニャで戦争後の2人の関係を描いています。

願いどおりサーニャの両親に会わせることができたエイラ。
大戦終結後はしばらく疎遠になった2人だが、久々に合うことになる。
エイラはサーニャに対する思いは捨て切れなかったが、サーニャの幸せのためにある決断を下した……。

エイラーニャの話です。
アニメの展開を少しばかり無視していますが、
これまでのエイラ×サーニャSSで一番良い話です。

ぜひ見てください。


「サーニャ、綺麗ダナ…」

写真の中のサーニャは本当に天使みたいで、誰よりも美しかった。
サーニャは眩しかった。私には眩しすぎて、痛かった。

私も男気がなかったわけではなかった。
仕事の関係で出会った男、紹介された男、言い寄ってくる男は少なからずいた。

でも私はそもそも男に全く興味がないらしく、
また女に関してもニパやエルマがいたけどサーニャみたいには思わなかった。

つまり私は正真正銘、サーニャ以外愛せない体質だった。
それ以来出会いもへったくれもなく今に至るという感じだ。

あれから、サーニャは幸せになったんだろうか。
幸せになってもらわなきゃ困る。
だって、サーニャが幸せだと思うことで、私も今前に進んでいけるから。

サーニャの幸せは私の幸せだから。

取材を終えてホテルに戻ろうと大通りを歩いている時、また私は雑踏に流されて前を見失ってしまった。

「あぁもう、邪魔ダヨ…」

そういって人ごみをかき分けようとしたその時、私の目の前には見慣れた人影が写っていた。
華奢な体に病的なまでに白い肌、綺麗な銀髪に翡翠色の瞳。
彼女は白い肌によく映える黒色のワンピースにグレーの秋物コート、首に巻いた薄目のマフラー。

サーニャだ――――――――

また駈け出してしまいそうになる。
横にはいつか見かけたサーニャの婚約者。そして

サーニャの胸に抱かれた、小さな命。

それを見て私はなあんだと安堵し、
こぼれそうになった涙を上を向いてぐっと呑み込んだ。

幸せになったんだな、サーニャ。
サーニャは優しそうな表情を浮かべて、私の横を過ぎ去っていった。

――――サーニャ、行くといいさ。幸せの呼ぶ方に。

きっと、もう手をつなぐことも、
抱きしめることも、キスをすることも、名を呼ぶことすらないだろうけれど。

「…眩しいナ」

確かに今、輝くものを見ている。

―――――――――END















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続いたネタ21 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-01-24 23:48:55 | 習作SS

1945年 東京 銀座

異世界の軍勢に一度は破壊された銀座であったが、
既にその面影はなく、日本有数の繁華街、高級商店街として復興を果たしていた。
道行く人々の顔は明るく、未来に対して楽観的かつ積極的で今日も銀座に人々が集う。
そして、そんな銀座のとある喫茶店で眼鏡をかけた東洋人と頬に傷を持つ大柄の白人男性が珈琲を楽しんでいた。

「おや、いい豆ですね。
 南米産の豆と聞きましたがなかなか良いです。
 この喫茶店の腕が良いこともありますが、豆の鮮度のお陰でしょう。
 いっそ、こちらを本業にしてしまわれてはいかがですか、成功しますよ」

「個人的に代用珈琲に対して憎悪の感情があったからな。
 農園に対する指導から始まって色々手を加えてのは無駄でなかったようだ。
 ふむ、本業にするのは退職した後になら考えても良いが、今はまだ副業でしかないな」

賞賛する東洋人に対して白人が苦笑と共に否定する。

「南米産の珈琲豆を卸す商社が副業、ですか。
 まあ、そうでしょうね貴方のようなスパイは―――。
 欧州一危険な男、オットー・スコルツェニー武装親衛隊中佐殿」

「なになに、僕はただの冒険好きが高じて偶々こうなっただけさ。
 それよりも本国のレポートは読ませて貰ったよ、ああ実に有能で優秀な官僚で政治家であるのだな、君は!
 未来を見据えた産業育成、合理化のために5ヵ年計画、世界恐慌では積極的な財政でいち早く不況から脱出してみせた手腕!
 軍需大臣が君がドイツにいればドイツは真の1000年帝国を築ける、と言ったのは誇張ではないようだね――辻政信大蔵大臣」

2人はただの人間ではなかった。
東洋人は大日本帝国の財布を管理する大蔵大臣にして夢幻会のメンバーである辻政信。
白人の男性は主に数々の特殊作戦に従事し、名を馳せつつあるオットー・スコルツェニー。
お互い立場は違う上に軍人と文官と接点がないように思われるが、2人にはとある秘密を共有していた。

「しかしあれから、2年。
 あの子は大きくなったな…」

「ええ、子供の成長は早いですから」

転生者の影響で普及した抗生物質、電子顕微鏡、そして遺伝子の二重螺旋構造の概念。
それが当時アメリカでも最新の科学として流行していた優生学と悪魔合体を果たして悪夢が誕生した。

すなわち万能細胞を利用し過去の偉人を復活させ、さらに異人種を根絶する技術を確立。
20世紀のローマ帝国としてアメリカが世界を支配する、という正しく悪夢がそこに生まれた。

だが、これはアメリカの崩壊。
さらに生き残った研究者がその技術を手土産に第三帝国に逃走を図ったが、
それを良しとしないドイツ側の人間と日本が手を組むことで、
「自由の鐘」と称された計画の全てを闇に葬り去り、過去のものへとした。
ただ1人辻が養子として引き取った「過去の偉人の遺伝子を継承する赤ん坊」を除けば。

「あの子を通じて知り合った、
 我らの友誼がこのまま続くことを願っているよ」

「まったくです」

立場は違えど子供の未来に対する考えは一致しており、
スコルツェニーは敢えてヒトラー総統に報告せず、辻は保護者として育てていた。

「当分日本に滞在するとの話なら、
 また来てもかまいませんよ【会社】の同僚や部下が騒ぎを起こさないかぎり」

「それについては僕もそうだし、
 金モールを吊るした上司達はできればそうなりたくないと考えているが、
 問題は伍長殿が最終手段としてやる気な上に、オカルトマニアに薬物患者も乗り気と来た」

辻の比喩表現にスコルツェニーが苦笑と共に第三帝国の内情を零した。
異世界と21世紀の日本と繋がる銀座の門ついて、どうにかして情報や技術を手に入れる。

と、いう点ではヒトラー総統。
そして、色々意見を異なることが多いOKW
(国防軍最高司令部)に所属する将官達も珍しく意見を一致させていた。

しかし、どんな手段を使っても門の技術や情報を手に入れることを望むヒトラーとその取り巻き。
対して人材こそ出したが日本の圧倒的な優位の中で、安易に強硬手段に出ることに内心疑問と懸念を抱く軍。
これが軍の「成り上がりの伍長」に対する反感と、ヒトラーの軍に対する反発が合わさってややこしいことになっていた。

「それはそれは、大変ですね」

「うん、そうなんだ。
 だから僕と君の友情が色々役に立つ。
 ワイン商の口から決して出ない退廃的な話が僕の口から聞けるから。
 そうだね、例えば―――もしも総統閣下が亡くなった後どうするか、とか」

その言葉で周囲の気温が一気に低下するような感覚を辻は覚えた。

「……おやおや、総統閣下は最近藪医者を追い払ってからすこぶる健康だとお聞きしましたが?」

少し間を空けて辻が言葉を綴る。
口調は変わっていなかったが額には僅かに汗が出ており緊張を隠せない。

「それに親衛隊であろう人間から、
 まさかそんな言葉を聴くなんて思いませんでしたよ」

「はは、たしかに忠誠を誓っている。
 だけど僕は同時に機会主義者であり現実主義者でもある!
 それにこれはあくまで仮定の話だよ、仮定の、極東の我が友人よ」

「仮定の話、ですか」
 
仮定、と言ったが。
軍によるヒトラー暗殺の可能性。
それをほめのかしたスコルツェニーの内容に辻は戦慄を覚えた。
もしもこれが本当ならばあり方が変わり、国際政治は大きく動くだろう。

(史実ではこの男はクーデターを鎮圧する側でしたが、まさかクーデター側に寝返った!?
 私と彼の個人的な伝手を通じてドイツの考えを探るはずがまさかこんな重大な話を聞くなんて。
 いや、待て。まだそう決まったわけではない、本当に虚言の可能性だってある、何せこれは言葉の戦争ですから)

辻は襟を正すと口を開いた。

「仮定ならより深く議論すべきだと思いますね。
 ああ、それとそうですね、この議論にぜひフォン・シュタウフェンベルクを呼ぶべきですね」

「ほう、それは名案だ、実に名案だ。
 しかし残念ながら彼は負傷の身ゆえにこの国まではこれない、実に残念だ」

聞かれた側は表向き平素な態度を保っていたが、
スコルツェニーが一瞬頬を引きつらせたのを辻は見逃さなかった。

(ここで敢えてカナリスの名を言わなかったのが効きましたね。
 その反応、何故その男の名前を知っているという反応そのものでしたよ。
 間違いない、彼はクーデター側の人間を知っている、だがどの程度関わっているのか分かりませんね…)

クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐。
史実ではクーデター計画「ワルキューレ」で悲壮な最期を迎えたため世界的有名人だが、
現在はただの負傷した参謀大佐にすぎず、普通ならば名前すら出てこないし、ましてやクーデターの首謀者とは思わない。

しかし、転生者である辻はそれを知っている。
そしてその未来を先取りした知識がこれまでの夢幻会を支えてきた。

「残念ですね、それは」

「まったく、その通りだ。
 彼はリベラルな人間だから君とは良き友人となれるだろう」

口調はお互い穏やかであるが、
視線は険しく、体からは闘気が満ちている。
なぜならそこに暴力ではないが、言葉を使った戦争をしているのだから。

(それに、彼はクーデター側の人間と総統の二重スパイ。
 という可能性もありますし…そう、例えば我が国とクーデター側の人間が接触を図った所を狙って、
 反体制派を一網打尽にする……ふむ、ヒトラーというよりも黄金の獣殿が考えそうな策ですねこれは。
 逆に彼がクーデター側の人間だとすれば、ドイツは体制を本気で変えることを考えているとの伝言になる、か)

喉を潤すべく再度珈琲を口に付けて思考を重ねる辻。

「では、その良き友人以外の良き友人を他にも紹介して頂けませんか?
 私はこうして仲良く珈琲を飲む友人を増やしたと今考えているのですよ」

「…ふむ、それは今の所難しいな。
 何せ我が祖国とこの国とは距離が離れすぎているのだから!
 しかし、そうだな…君と共に珈琲を飲むことを希望する人間を探してみよう」

珈琲を持ち上げる動作しつつ、
「コネクションを増やしたい」という意思を伝える辻。
それに対してスコルツェニーが賛同するが、本気なのか模範解答的な返事なのか区別が付かなかった。

(ドイツは疲弊したとはいえ戦争に勝った。
 目的であった生存権を確保し、一次大戦の屈辱を完全に晴らした。
 普通ならここで内乱騒ぎなんて起こる余地がない気がしますが……。
 いや、『目的を達したので成り上がりの伍長殿は用済み』と考える人間もいなくはない、か。
 特に軍は『プロイセン軍人は反逆しない』と言いますが史実では反ヒトラー派は軍に大勢いましたし)

史実の知識を動員してさらに思考を重ねに重ねる辻。

(何にせよ今の段階で結論を出すのは危険ですね。
 これは夢幻会に持ち帰って議論しなくてはなりません。
 ですが、そうですね。嶋田さんのためにももう少し探って見てみますか)

そこまで考えた所で再度辻は口を開き、言葉の戦争に没頭した。















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【予告】ヴァルハラの乙女 第22話「ミーナの疑問」

2016-01-20 23:34:14 | ヴァルハラの乙女

エーリカが看破したように、
ミーナは執務室で朝の書類確認中であった。
執務卓に積まれた書類はそれこそ山のごとく積み重なっており、
サインをするだけでも太陽が真上に達するほど時間を必要とするだろう。
ゆえに、朝一に書類の内容を軽く確認するのがミーナの日課であった。

「はぁ…」

ところが、今朝はとある事が気になり、
書類のチェックが一向に進んでいなかった。
万年筆を手で弄ばせつつ、思考の迷宮に入り込んでいた。

「元から変わった子だけど、ここの所妙なのよね…トゥルーデは」

思いにふけっていた対象はトゥルーデ。
もとい、ゲルトルート・バルクホルンであった。

彼女はミーナにとって原隊は違うが、
カールスラント撤退からエーリカと共にいた戦友にして友人である。
現在もそうだが、今後のそうであり続けることに疑問はない。

だが、その彼女が最近どうしても気になる点が目立ってきた。

「……ん、宮藤さんが来てからかしら?
 妙に用意周到だったり、色々動き回っているようだし」

卓上の珈琲を口にしてからミーナが覚えた違和感を一人口に出す。
元々バルクホルンが持つ横同士の伝手を利用して色々部隊の運営に貢献していたが、
宮藤芳佳が501に赴任してからさらに活発に動き回っていることをミーナは知っていた。
さらに、時折芳佳に対して思い詰めたような眼で見ているのにミーナは引っかかりを覚えていた。

家族を亡くして自暴自棄になっていた時期や、
今でもなおその影を背負っているのを知るミーナは始め、
バルクホルンは芳佳を亡くなった妹を思い出して自責の念に駆られているのでは?

と、考え。
バルクホルンに休暇を進めた。
結果、気分転換になってくれたようでその時はそれで良し。
としたが、それでも芳佳に対して時折向ける視線は普通とは違うものだ。

「どうして、あんな眼で宮藤さんを見るのよ、トゥルーデ……」

当時の光景を思い出すミーナ。
そこに疚しいことうや、怪しいものはない。
バルクホルンの眼は自分の命に代えても守ることを決意した人間のものであった。















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする