二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

【学生が作る】7月13日の夕食

2012-07-13 23:57:32 | 日常



【ご飯・味噌汁】
・十六穀米
・その上にレンジでチンした長いも、あまり物の青しそを和える。
・みそ汁の具は玉ねぎ

【おかず】
・温めたレタスに花鰹、麺つゆを和えたもの
・余り物のソーセージ
・豆腐に青しそを乗せる

以上です
ご飯、味噌汁を除けば全て電子レンジでチンして作りました。
その方が茹でるよりも楽ですし、油もなく大変ヘルシーなご飯でした。
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(短編)エリーをマブラヴに参戦させてみた (DeadSpace2×マブラヴTE)

2012-07-12 20:53:55 | 習作SS
(♯д・)<いつから宇宙CQCが使えるのがアイザックだけと錯覚いしていた?
( 二)<なん・・・だと



対BETA戦において一番会いたくないのは兵士級かもしれない。
突撃級のような衝撃力、戦術機ごと食らう戦車級も衛士にとって悪夢だが、衛士はまだいい。
レーザー級に生きたまま焼かれる恐怖があっても、戦術機は曲りなりとも装甲で防御され、低空ながらも空を飛べる。

生身で戦う事を強いられている大部分の歩兵どもからすれば羨ましいことこの上ない。
兵士級は突撃級のように馬鹿正直に突撃するだけの脳なしではなく、密かに浸透してくるという脅威がある。
平野部ならともかく常に近接戦闘を強いられている都市部での戦闘ではもはや悪夢どころの話ではない、地獄への片道切符を渡されたようなものだ。

そして1998年、帝都京都で数多くの兵士が地獄への特急電車に乗せられる中。
また一人、未だ幼さを残す一人の少女衛士が生き残ると言う信念と共に地獄への片道切符を握らされた。

「クリア・・・」

京都タワー近くの空き地に不時着してから篁唯依は拳銃を構えつつ慎重に歩を進める。
周囲は既に暗闇に包まれており、暗視装置もなく拳銃に取りつけてあるライトだけが頼りだ。
ここら辺はまだBETAが本格的に侵攻していないせいか、先ほどまでいた戦場とは違い遠くから届いた砲声と銃撃音が静かに響いている。

(いや、それはあまり頼りにならない。
 さっきはいきなり突撃級に体当たりされたし、戦線が錯綜しすぎているから兵士級が浸透していても可笑しくない)

対BETA戦争で人類は数的に常に不利なゆえにしばしば戦線が破らると、訓練学校で学んだことを反復する。
ふと、厳しくも優しかった教官、みんなでお菓子を食べながら帰った夜、切磋琢磨に訓練を重ねた日々を思い出す。
しかし、この戦いで短くても良き思い出に登場する人物たちの大半はたった10分そこらであの世へと旅立ってしまった。

「くそ・・・・・・」

誰かが言った、この世界は滅びの道を歩んでいると。
ある人は言った、それは人の業の深さが招いたものであると。
ならば、人類は一体どれほどの業を背負わせられたのだろうか?

もし神や仏が居るとしたら彼らはよほど人間が嫌いに違いない。
そうでなければこんな地獄を現世に体現させるような真似などするはずが――――。

『たす・・・けて・・・』
「和泉!!?」

場所が市街地であったこともあるが、重金属の雲が京都一帯に展開されているせいで機能を殆ど果たしていなかった携帯無線機が能登和泉の音声を捉えた。
唯依は友達が生きていたことに安堵し、孤独の恐怖から解放されたが明確に聞こえた次の音声に背筋が凍りついた。

『助けて!!!兵士級が兵士級が私をわたしぉおおお!!!』

絹を切り裂く、という生易しい物ではない絶叫が響きわたり銃声が轟く。
発砲炎が暗闇を切り裂き、唯依の肉眼は恐怖に震え、滝のように涙を流しながら出鱈目に撃っている和泉の姿を捉えた。
それだけでなく彼女に近寄る捕食者、すなわちBETAの姿も捉えた。

「兵士級!!」

エスカレーターを降りて右手約10メートル、数はおおよそ5、6体。
下半身が膨らみ、灰色の肌を持つ化け物共が歯を鳴らしつつ今まさに哀れな少女を食わんとしていた。

「くそ、どうすれば・・・!!」

ここで友を見捨てるのは極めて簡単だ。
兵士級は動けない和泉に注目しているからまわれ右で何も見なかった事にすれば自分だけは助かる。
しかし、それよりも友への愛情、高貴たる者の義務感がそれを阻み、その場に踏みとどませる。

だが、現実は非情である。
彼女には友達を助けるだけの装備も何もなくただ指を咥えて見守るだけしかないだろう。

「そんな、こと・・・できるか!!」

否、それでも唯依は友達を助けようと決意する。
幸い、あっちの方に意識が集中しているから奇襲の一撃でうまくいくかもしれない。
アサルトライフルどころか自殺用以外の用途がない拳銃だけだったが、しっかりと両手で構え――――。


突然現れた施設作業車が兵士級の群れに突撃し、轢き殺すと共に周囲に血漿をぶちまけた。


重量50トンはある90式戦車ほどの威力はないが、
時速50キロ、重量28.6トンの鉄の塊が与えた衝撃は凄まじく兵士級が宙に舞い、肉が千切れる。
ある兵士級は車体前面に固定されたシャベルで引き裂かれ、体が二つに裂けると下半身はそのまま踏みつぶされてしまった。

派手に轢いたせいで車体はもちろんキャタピラが進んだ痕に従って兵士級がぶちまけた体液が描かれている。
キューポラが持ち上がり、体液で汚れた車体からBEATを轢き殺した張本人を眼にした。

「この子、なかなか悪くないわね。コロニーで動かしていたデカブツよりも身軽だし」

そう言いつつ現れたのは帝国軍の野戦服を着込んだ片目の白人の女性であった、恐らく難民によって結成された外国人部隊出身なのだろう。
しかし、片手には拳銃にしては妙に厳つい代物を持っており唯依が知る限りあんな物が帝国軍に制式採用された覚えはない。

「いたたた・・・けが人だからもっとちゃんと運転してよね」
「いいじゃないか、アンタが言っていたお友達と合流できたのだし」
「うそ・・・山城さん!!!」

もう片方のキューポラから探していた山城総が痛みに耐えるように頭に手を当てつつ顔を覗かせた。

「まあ、それよりそこのアンタとアンタ。
 とっととこの辛気臭い場所から離れるわよ。
 さっきの音であの化け物共のが聞きつけてやって来るだろうしもたもたしないで乗りなさい」

返り血を浴びて腰が抜けた和泉と現実に追いつけない唯依にエリーが乗車を促す。
片方しか残っていなかったがその鋭い眼光は歴戦の戦士であること証明し、殿として散った教官を思い起こさせ、2人は条件反射的に頷いた。

「しまった・・・左にBETA!戦車級が3体、闘士級が2体こっちに来ているわ!!!」

人ではない足音に真っ先に反応したのは総であった。
その言葉につられて残りの3人が左に視線を向けると確かに戦車級と闘士級が自分たちを目指していた。
しかも、距離が近い上に脱出経路からやって来たためそれらを倒さない限り逃げることはできない。

「そんな・・・」

唯依が絶望の言葉を吐く。
戦車級は施設車どころか戦術機を食うような化け物共であるから強行突破など無謀だ。
さらに、徒歩で逃げても野生動物が狩りをするがごとく素早い闘士級には後ろを向いて逃げても無駄だ。

ここまで来てこの結末なのか?
地獄で得た幸運は零れ落ち、直面した絶対的な死の運命に唯依だけでなく幼い少女たちは黒い感情に潰される。

「まったく、次から次へと。アンタたちはそこでじっとしてなさい」

そんな中ただエリーは施設車から降りると、近くのコンビニでも行くようなノリでBETAに対峙する。

まさか、教官と同じく囮になるつもりか!
エリーの無謀すぎる行動に少女たちは思ったが直ぐに疑問を覚える。
なぜなら彼女は『逃げろ』ではなくこう言ったのだ、『そこでじっとしてなさい』と。


「今回はあの野郎を庇いながら戦わないですむから楽なものね」


少女たちから背中しか見えなかったが回想するように呟いた。

突然だが、ここで一つの仮説を提示したい。
アイザックは整備用のパワースーツを身にまとい幾万と襲いかかるネクロモーフを相手に、孤軍奮闘を続けたことは宇宙最強のエンジニアの名にふさわしいだろう。

しかし、だ。しかし、ここで宇宙最強のエンジニアについて異議を申し立てたい。
たしかに彼はSAN値葬な目に二度も合い(何れ三度目も経験する)、あげくにやむを得ずとはいえトラウマである石村へと突入する程の強さがある。
それだけではない、衛星から自由落下しても直ぐに立ち上がりアイテムを探す余裕があり、黄金の右足はネクロモーフの骨ごと砕くなど体力面においても注目される。

だが、彼はエンジニア用の(後半から軍用に切り替えたが)パワースーツを常に身にまとっていた。
翻ってエリーはアイザックのような派手さははないがレーザーカッタ―を除けばほぼ丸腰であった。
加えて、便利な道具であるギネシスもステイシスもないという縛りがあったにも関わらずあの地獄を駆け抜けた。
しかもお荷物を一人抱えつつもネクロモーフが徘徊する中を生き延び、最終的にはアイザックを拾い上げて衛星タイタンから脱出すらしてみせた。

これらの事実から導き出されるのはすなわち、

エリー>>>アイザック>>>>>>(人類が超えられない壁)>>>>>>禿げモンド>>>(やられキャラの壁)>>>スプロール=俺ら

の公式が成り立つ。
そして、散々SAN値チェックをされたエリーにとってBEATとの戦闘はごみ処理のようなものであった。

BETAの群れは広く展開できない都市部ゆえに密集している。
醜さと食われるという恐怖で普通の人間はパニックに陥っただろうが、エリーはプラズマカッターを構えて間髪いれずに連発。

光の刃が先頭にいた戦車級の一体の脚を切り裂き、バランスを崩してその巨大な口が地面と接吻を果たす。
後ろにいたBETAはその戦車級が障害物となって一時的に立ち止まる。その刹那の時間を見逃さないエリーがさらに発砲。

人が対応できない速度で突撃してこそBETAは立ち止まればただの大きな的にすぎずない。
2体の戦車級の脚を刈り取られ横転、闘士級が1体巻き込まれ地面の染みと変化した。

一方的な展開に少女3人は呆然と見守る。
訓練学校で学んだことは一体何だったのだろうかと考えてしまう。
そして唯依は武骨な代物の正体が明らかにオーバーテクノロジーであることに気づき、きっとそれのお蔭なんだと考える。

しかし、そんな考えはすぐに訂正される羽目になった。

「一体来た・・・!?」
「この・・・!」
「いやぁ!!?」

歩兵で対峙した場合最低対戦車ミサイルが必要とされる戦車級相手に圧倒的勝利を収めていたが。
闘士級が1体すり抜けるようにエリーに襲い掛かり目と鼻の先まで来てしまう。
対し総は反応できず、唯依は拳銃を構えるが間に合わない、和泉はただ悲鳴を発する。
少女らは彼女が闘士級によって首を取られると思ったが。

「Hum!!」

宇宙CQCを習得しているのは何も某エンジニアだけでなく、
エリーは名状しがたきバールのようなもの・・・ではなく、プラズマカッターを大きく振りかぶって闘士級に叩き付ける!!
突進系の化け物など散々体験した彼女からすれば実に手馴れてもので、最初の一撃で昆虫のような眼球が半分潰れ、闘士級の象のような鼻がへし折られる。

「Fuck!!Fuck!!Fuckingbitch!!」

よろける闘士級に一切の情けも容赦もなく連打を繰り返す。
腕を振りかざすたびに工具が唸りを上げて、肉を潰し穂骨を粉砕してしまう。

そして、グチャァア!!ベキィィ!!ボキィ!!と生々しい音声がBGMとして奏でられ、
そんなスナッフフィルムなシーンを見せられた少女たちはただ震えて見守るしかなかった。

「Yeeeeeeehaaaaaaa!!!」

宇宙CQCを極めた匠は決して手を抜かない。
相手が倒れたらすかさず、黄金の右足を振り上げて勢いよく踏み抜きしっかり止めを刺し、ビクビクと瀕死の状態であったがを上げてついに闘士級は動きを止めた。

「ふう、さて行きましょうか」

いい汗かいたぜ、といいたげに額に浮かんだ汗を拭って何事もなかったかのように少女達に振り返る。

(いや、いや、格闘戦でBETA相手に勝つって貴女は何者なの!!)

助けてくれたのはありがたいが彼女が見せつけた非常識ぶり一体全体何処から突っ込めばいいのかと唯依は悩む。
それは残りの2人も同じで、呆然やら驚愕した顔をしていた。


エリー・ラングフォード。


唯依達は知らなかった、彼女は地獄のサバイバルを生き抜き、遥か未来から招かれた――――ただのブルーワーカーであることを。
そして一人の人物の見せ場を完全に潰したことも知らなかった。







某衛士<・・・・・・・・・
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【ネタ短編】月聖杯戦争並みに規模が拡大してしまった第四次聖杯戦争~遠坂編

2012-07-08 00:24:21 | 習作SS

「あってはならない!!こんなことは・・・あってはならない!!」

いわゆる名家等が連ねる深町の一角、遠坂邸で館主が普段の優雅さを捨て去り叫ぶ。
そして、そんな姿を一人は無表情に聞き、一人は興味深そうに観察し、もう一人は観察する男を睨んだ。
館の中央に位置し、庭が良く見えて日当たりがよい書斎の雰囲気は悪かった。
そしてその原因はすなわち、


聖杯戦争


それは七人の魔術師と七人のサーヴァントで願望器を争う戦争。
【あらゆる願いが叶う】そんな言葉に釣られて、欲望、栄誉、願望、各々はそれらを胸に互いに殺し合う大規模な魔術儀式である。

このたび四度目の戦いを迎える際、創設期から参加している遠坂家。
いや、遠坂時臣は魔術師としては凡庸であったが、教会と裏でつながり情報戦で優位に立ち。
あらゆる英雄を打倒し得る英霊の媒体を用意するなど必勝の戦略を練りに練り、万全の態勢を整えていたハズだった。

そう、ハズだった。

「禅城家が襲撃されて葵が殺されるなど・・・そんなことが、」

人質や無用な犠牲が出ないように遠坂時臣は妻子共々妻の実家に預けた。
保険の護衛として、自身のコネで裏方専門の戦闘員を雇い入れたが、眼の前の弟子から発せられた報告はすなわちサーヴァントによる襲撃。
驚愕と動揺を覚えると同時に唯我独尊の英雄王を三顧の礼を以て救援に向かわせようとしたが、時は既に遅く。

妻の両親、使用人は全ては殴打により内臓を潰されて死亡。
妻は娘の凛をアサシンと名乗る赤毛の男から守るために撲殺され、頭部は消滅し辺りは血の海と化した。
そしていざ、凛の番となったさい彼女に令呪が浮かびあがると同時に、現在この部屋で英雄王を睨む自称ランサーが召喚された。

妻の死、その報告は魔術師としていつか来るかもしれない物として覚悟していたが、あまりにも早すぎる別離。
魔術師として理想的な人格を作っていたはずの彼も呆気ない結末が先の醜態を見せることとなった。

しかし、問題はそれだけではない。
遠坂時臣を動揺させたのは【二体目のアサシン】にして【九人目のサーヴァント】が召喚されたことである。

「現在、召喚されたサーヴァントは確認できた物だけで七十騎、
 この予想外の事態について教会は人員増派が決まり、目下日本へと派遣しつつあります。」

二ケタを超えんとばかりに急激に増え続けるサーヴァント。
ありえない事態に魔術協会、ならびに聖堂教会は普段の仲の悪さを捨て去りお互いに協議を重ねている。
もっとも、この異常事態を如何に止めるかでなく、如何に神秘の秘匿を守るべきかについてだが。

「令呪についてですが、
 聖痕と誤解した一般人が教会へと出頭するのがいくつか報告されています。
 これについては監督権限で早急に回収、記憶操作を行い神秘の秘匿を行います。
 奥方を殺害したサーヴァントについては未だ発見できておらず、父上も大変心を痛めておりアサシンの総力を上げて探索しています。」

感情がないように言峰綺礼は淡々と事務的に状況を報告する。
実際、彼は師の妻の死に対して嘆き悲しんだ父親と違い一切の感情も浮かばなかった。
ただ、理想にして冷酷な魔術師だと感じていた師の心に穴が開いたことにのみ関心がいった。

「また、最近冬木を脅かす現代の吸血鬼事件はアサシンの調査により、
 サーヴァントとマスターの仕業であると判明しました。
 マスターは人肉を食らう特徴からしてグール、または成り立ての死徒だと思われ、
 サーヴァントは錯乱していましたがランサーであり、真名は東欧の英雄、串刺し公でありました。」

――――確固たる信念を持っていたはずの師がここまで弱るとは。

報告しつつ言峰綺礼がそう思ってしまったのは、
聞いている遠坂時臣の瞳には冷静さと知性を感じさせず、どこか上の空であったからだ。

――――ならば、私が求めるものが見つかるかもしれない。

言峰綺礼から見て人格者として完成の域に達している師がこうも感情が揺れるのだ。
もしかしたら自分も師を観察すれば欠けたものが見つかるかもしれない、と期待を僅かに膨らませた。

「そうか、綺礼。
 御苦労だった・・・そしてランサー、
 改めて礼を述べよう。凛を助けてくれたことを感謝する」

「気にすんな、マスターの嬢ちゃんを守るのは俺の役割だしな」

高潔な騎士というよりも野武士、
傭兵的気質が似合いそうなランサーことクー・フーリンが頭を下げる遠坂時臣に答える。

表面上、飄々とした態度であるが、母を殺され自分がサーヴァントを召喚した事にも気付かず、
狂乱のまま飛び散った部位を必死にかき集めようとした小さなマスターを見せられたランサーの内心は、後悔の感情で満たされていた。

「ふん、より一層雑種どもが群れて来たか。
 だが、有象無象が群れようとも真の王者である我に敵うはずもなかろう。しかしだ、時臣。おまえにもそんな顔ができようとはな・・・」

一連の光景を先ほどから沈黙していた人物が言葉を発する。
現代ファッションで身を固めた黄金の王、英雄王が蛙を玩具として見下す蛇のように紅い瞳を輝かせる。
この世の快楽、人の業をこよなく愛するこの暴君は【つまらない人間】であったマスターの心に入った亀裂を何よりも歓喜した。
彼の妻の死を悲しむことも、嘆くこともなくむしろ王に娯楽を提供して死んだ事に感謝すべきであると考えていた。

「アーチャー、貴様・・・」

「おい、金ぴか。てめぇは少し黙れ」

そんな英雄王の心を察知した言峰綺礼、ランサーが怒りの感情と共に口を開く。
言峰綺礼は、これまで養ってきた知識と経験、常識から英雄王の思考に反発するために。
ランサーはこの黄金の王が到底人と相容れない事を出会った当初から理解していたために言葉を綴った。

「綺礼、ランサー。いや、いいんだ、
 王よ無様な姿を見せてしまい誠に申し訳ございません」

「・・・・・・・・・興がそがれた、だから貴様はつまらないのだ」

【つまらない人間】が自分の言葉にどんな反応をするか期待していた英雄王だったが、
何時もの魔術師として応答した遠坂時臣に、失望を隠さず話しにならないとばかりに霊体化して消えうせた。

「師よ・・・あのサーヴァントは危険です。
 背徳、悪徳、暴虐を良しとする魔性の者を制御するのは極めてリスクが高いかと思います」

英雄王が居た場所を睨みながら言峰綺礼が述べる。
もっともそれは、師を心配するのでなく内心でこれまで築いてきた物があの英霊に壊される予感がしたがためにある。
言葉を耳に傾ければ二度と今の自分には戻れない予感がした。

「同感だぜ、あの金ぴかは本気で合わないな」

ランサーは口を開けば狗、狗とのたまう暴君に辟易していたこともあり同意するように頷く。

「綺礼、それにランサー。君たちの気持ちは分った・・・私も原初の王には手に負えないと考えている。」

遠坂時臣は椅子にもたれて深い、深いため息をつく。
彼にとっては英霊は敬うがそれは所詮名画に対する感情しか持ち合わせていない。
さらに魔術師として【使い魔】の延長線上の存在であると考えているが、アーチャーとして召喚された英雄王は【使い魔】として大変使い勝手が悪かった。

単独行動スキルで街をフラフラし、マスターが命令するには懇願しなければならない。
等と、主導権が常に使い魔側にあることが戦争における不確実性を増し、戦略行動が制限されてしまっていた。

「だが、もはや賽は投げられた。
 我々にはもう進む以外の道は残されていない・・・」

禅城家が襲撃された以外に彼らは知らなかったが、猟奇殺人事件にサーヴァント同士の戦闘が発生している。
今さら、統制しようにもルールーを設定、周知させるには時間がなさすぎで、もうどうにもならない。

一度初めてしまえば止まることはできない、
例え異常事態を名目に停戦を勧告しても御三家と常識を弁えた魔術師はそれに従うが、
元来、足の引っ張り合いが得意な魔術師はその裏道を探ることに躊躇しない上に、乱生産されたマスター共がそもそも従うか怪しい。

死人、一般人までもが令呪を宿しているのだ、
英霊というよりも悪霊の類まで召喚されているこの戦争は収拾がつかない事態を引き起こすであろう。

ふと、遠坂時臣はデスクに置いてある写真立てに視線が合う。
そこには、自分と妻、娘の凛と養子として出さざるを得なかった娘の桜の四人が映っている。

夫として、父親として当たり前であった日常の名残。
だが、写真の人物たちの内半分は既に自分の手から零れてしまった。
魔術師として覚悟していたが、それでも夫として亡き妻に祈る。

葵、君の死は無駄にしない。
君の元に今は行けないが、待っていてくれ。

凛と共に掴んだ遠坂の勝利を必ず報告するから。
だから、待っていてくれ。

「綺礼、戦略の見直しをしようと思う。
 御三家同士の同盟を組んで外部かの魔術師を優先的に・・・・・」

悲劇は加速し、喜劇は止まらない。
進んだ先が絶望であろうともその歩みを止めなかった。



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