二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

【予告】ヴァルハラの乙女 第29話「黒猫の夜」

2016-08-31 22:57:12 | 習作SS

「———————————————」

月光を背に雲海を上を銀髪の魔女が飛んでいた。
夜間飛行は昼間と違い、視界が効かず距離感覚が掴めないため、好んで飛ぶ魔女はいない。

しかし彼女はその例外に属する。
頭部に光る魔導針がネウロイだけでなく己の位置を常に把握し続けているゆえ、
例え月夜がない夜でも飛ぶことが苦とならない。

彼女の名はアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク中尉。
501ではサーニャと呼ばれている彼女には秘密がいくつかある。

例えば固有魔法の「全方位広域探査」
そして訓練で習得した魔導針で同じナイトウィッチ同士で通信を交わし合っている事。

今は披露する機会があまりないが、
ネウロイが侵攻する前まではウィーンで音楽を学んでいたから歌が上手な事。
料理も得意でオラーシャのお国に料理であるボルイシチだけでなくケーキだって作れる事。

どれも501の皆に話したいが、
サーニャ自身も自覚している引っ込み思案な性格。
そして主な活動時間が夜間哨戒に飛び立つ夜と早朝に限られているから、話す機会もあまりない。

例外はエイラ、それとエーリカ・ハルトマンである。
さらに他の例外と言えば・・・。

『こんばんわ、サーシャ』

突然男性の声がサーニャの耳に届いた。

「こんばんわ、ビック・ガン」

サーニャはそれに驚かず、
魔導針で声の主の位置を確認してからいつも通りに挨拶を返した。








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ヴァルハラの乙女 第28話「魔女達の後日談」

2016-08-26 23:45:19 | ヴァルハラの乙女
「ふぅ・・・」

ペンを置き、ミーナはようやく終えた安堵から息を吐いた。

しかし、絶え間ない頭脳労働と、
同じ姿勢で長時間ペンを握って書類を処理していたため、
頭脳と体が疲労の声を叫んでおり、ミーナは力を抜き椅子に背を任せる。

「何とか間に合ったけどもうこんな時間なのね・・・」

窓の外を見れば既に太陽は半分以上水平線の彼方へ沈んでおり、暗闇が世界を包み込みつつあった。

「夕食、食べ損ねたわ」

腕時計の時刻はとっくに夕食の時間は過去のものであると表示しており、
仕事に没頭していたから感じなかったが、今になって空腹をミーナは感じ始めた。

「やあ、ミーナ。
 夕食を持ってきたぞ!」

久しぶりに自分で作ろうかしら、
そう考え始めた時に坂本少佐が部屋に入室してきた。
手にはバスケットを抱えており、香ばしい香りが漂ってきそうだ。

「態々持ってきてくれたの、美緒?
 丁度お腹が空いたところだから助かるわ」

「何、ミーナのお陰で我々は安心して戦えるからな。このくらいするさ」

「ふふ、ありがとう」

善性を帯びた笑みを浮かべる坂本少佐にミーナは微笑ましく感じる。
いつだって彼女はこうやって接してくれる。

「ところでトゥルーデ・・・バルクホルン大尉たちの様子は?」

「ああ、流石に先ほどまでバケツを手にして、
 何時間も廊下で立たされていたからヒィヒィ言っていたが、
 今は夕食を消化する作業に夢中になっている、それと始末書については明日から始めようと思う」

「そうね、もう今日は遅いからそれでいいわ
 こちらも後始末を終えたし、ルッキーニが原因で始まった今回の騒動はこれで御終いね」

これをネタに揺さぶりを図ってきた人間に対しても何とかなったし。
そうミーナは呟き、届けてくれた食事に手を伸ばした。



※   ※   ※ 



「空腹は最高の調味料だと思わないか?」

「うん!」

「誰のせいだと思っている、誰のせいだと」

呑気にそんな言葉を出した兎娘、
そして今回の主犯であるパスタ娘を睨む。
が、こちらの恨みが籠った視線などお構いなしに食事に熱中している。

「はい、あたしー!」

で、主犯が喜々と手を上げた。
・・・どうやらミーナの拳骨だけでは足りないようだ。

「いいじゃないか、ネウロイは撃墜。
 これにより501の面目は何とかなったんだし。
 それに、ルッキーニだってもう十分反省したし、な?」

「その変わりワタシとイェーガ大尉のストライカーユニットは全損。
 仲良く海に墜落しワイト島分遣隊の助けが来るまで海水浴をする羽目になった上に、
 緊急発進に際しての混乱でユニットの損傷が相次いだせいで、整備班は徹夜で作業中だ」

あの後、ネウロイは確かに撃墜に成功した。
が、それでとうとう無茶な改造を施されたユニットが耐えきれず自壊。

シャーリーとワタシは仲良く海へ墜落。
するはずだった海水浴を2人で経験することになった。

とはいえ、これで501の面目が保たれた。
難癖付けにやって来た軍官僚に対してミーナが反論できる余地が生まれた。
ルッキーニは今まで通り501に所属し、共に戦うことができるようになった。

・・・後始末を担当するワタシ、少佐、ミーナの苦労が始まるが。

「終わったことなんてロマーニャ人は気にしない、気にしない
 それよりシャーリーおめでとう!時速950キロを超えたんだって?」

「おう、今までの中で最高記録さ!
 音速を超えられなかった惜しかったけど、これで先には見えた!
 次からは安定して900キロ代に入れるように頑張って改造してみるぜ!」

今回の【原作】との違いはシャーリーが音速に達せなかったことだ。
恐らくだが音速に達するより先にネウロイに体当たりで撃墜したからだろう。

だが、あるいは音速が出なかった可能性もあり、
ネウロイがより遠くにいた場合は追いつかず、墜落するだけで終わっていたかもしれない。

・・・今回もそうだがこれまでの結果も考えれば考える程、紙一重な結果だ。
ギリギリ正しい選択肢を選べているが、一体いつまでこの幸運が続くのだろうか・・・。

「おいおい、
 そこで辛気臭い表情を浮かべた大尉殿。
 ふふーん、私が950超えて悔しいのか?」

「別に、そこは祝福するさ、おめでとう。
 ただし、機材をこれ以上破壊するような真似だけはするなよ。
 明日書くべき始末書に追加で書くような事態なんて正直御免だからな」

「う、そそれは善処するぜ」

調子に乗っている兎娘に釘を刺すのを忘れない。

「ルッキーニもだ、
 自分なら出来るなんて己惚れる事がないように。
 またミーナから拳骨やお尻ぺんぺんを受けたくないなら覚えることだ」

「う~~分かっているよ・・・」

ついでにルッキーニにも刺しておく。
何といっても「やらかす」コンビなのだから。
2人の後始末にこれまで散々四苦八苦したしな・・・。

何時になった手間がかからないようになるやら。

「あ、そういえば、
 海水浴の予定はどうなるのだゲルト?」

「・・・何だ、その呼び名は?」

突然現れた呼び名にまじまじとシャリーを見つめる。
今の今までワタシを呼ぶときはバルクホルンか大尉だったがどういう風の吹き回しだ?

「いや、だって。
 任務以外の時は最近そっちはシャーリーって呼んでくれるのに、
 こっちは大尉、とかバルクホルンだなんて不公平だと思うんだ」

「む」

い、言われて見れば。
気づかなかった・・・だが。

「で、トゥルーデでなくゲルトと呼んだのは?」

「リベリオン風だとジョーだけど、少し捻ってみたのさ、
 というよりそっちの方が似合うからさ!カッコいいだろ?」

「嘘を言うな、嘘を。
 どうせトゥルーデなんて乙女らしい名前が似合わない。
 なんて思って、ジョーよりゲルトの方が男らしい愛称を付けただけだろ」

「む、バレたか」

やっぱりそうか。
それにゲルトなんてどこぞの近未来のドイツ人みたいだし。

「でもいいと思うぜ、愛称が多いのは。
 それとも・・・私が呼び名で呼んじゃ駄目か?」

そうじっと彼女はワタシを見つめる。
何かを期待するよう、こちらを真っすぐ見据える。

ああ、もう。
そんな目で見られたら断れないじゃないか。
それにまさかシャーリーからこんな提案が来るなんて。

「・・・かまわない、許可する。
 シャーリーが好きなように呼ぶといい」

「お、サンキューなゲルト!」

「分かった!分かったから肩を叩くな、食事中だぞ!?」

「細かい事は気にするなって!」

HAHAHAHAとアメリカンなノリで肩をバンバンと叩かれる。
というか前も似たようなやり取りがあったような・・・。

けど、まあ。
シャーリーとこうした仲になるのも悪い気はしない。
【原作】云々を抜きに彼女は国籍は違えど共に人類のために戦う仲間であり、501の隊員であるのだから。

「じゃあ私も大尉をゲルトって呼ぶねー。
 おい、ゲルト、オレンジジュースがないぞ、ジュースが」

あだ名云々で予想通り調子に乗ったルッキーニには苦笑しか浮かばない。

「分かった分かった。
 直ぐに冷蔵庫から持って来ればいいのだな?」

こちらの問いかけに得意満面な表情を浮かべるパスタ娘。
シャーリーが止めようとしたが視線でそれを抑えるように語る。
今は公務中でないのだから、この程度のわがままは見逃すつもりだ。

何せ、今は少し気分がいいのだから。




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おススメSS 提督LOVEな艦娘たちの短編集

2016-08-23 07:06:39 | おススメSS

提督LOVEな艦娘たちの短編集

艦これSSで艦娘と提督の恋愛を描写した短編集です。
登場している艦娘は15人を超えており、様々なシチュエーションが用意されています。

2828しながら読めます。
ぜひ読んでみてください。



しっかりと見てしまったことに気まずさを感じて、目をそらす。
目をそらしたさききは執務室唯一の出入り口である扉。 

そこには、開いていた扉の隙間から秘書の摩耶が口をあんぐりと開けて部屋をのぞいていた。
今の状況は、磯風が布団の上で裸になってから着替えをしている。
一方の俺はパジャマのまま。そうしたなかで俺と摩耶はお互いに目が合い、動きがとれない。

どうしようか悩んで動けなかったが、
ちゃぶ台で摩耶から姿を隠して着替えを終えた磯風が俺の隣に来て事態は動きだす。

「ああ、摩耶さん。
 司令を昨日の夜から今まで借りていたが仕事に支障はない。
 まだ疲れているようだが、後は摩耶さんに任せてもいいか?」

「う、うわあぁぁぁぁん! 司令のばかぁぁぁぁ!!」

磯風の余裕のある声が摩耶にかけられると、摩耶は涙目になり大きな声で叫びながら廊下を全力で走っていった。
言い訳するまもなく、深刻な事態になってしまった気がする俺はストレスで胃が痛くなってくる。
摩耶がいなくなった扉から磯風へ振り返るとと、恨みがこもった俺の目から彼女は俺から目をそらす。

「どういうわけか扉が開いてしまっていたようだ。
 寝る前に戸締りはしっかりしたのだが、ほら、ここは色々と古いからな」 

棒読みの声を聞いて思う。確信犯だ、こいつ。
過ぎてしまったことはしかたないと、深い溜息をつく。
摩耶を含め、多くの人からロリコンと言われるかもしれないと思うと気が重くなる。

そんな落ち込んだ俺を見てか、
先ほどまでの落ちついた様子はなく、無駄に手足や頭を動かしていた。
が、それも少しの時間が経つと何かがひらめいたらしく両手で手を打った。

俺の前へとやってきた磯風は、
くるりと一回転をして美しい黒髪をなびかせながら腰に手を当て、堂々と仁王立ちのポーズを取る。

「磯風は司令の妻だ。だから夫である司令を守ってやろう」
「じゃあ摩耶の誤解を解いてくれ。わかったな?」

妻じゃないと否定する元気もない俺は注意もせず、お願いだけを言う。
俺の言葉を聞いた磯風は自信たっぷりに頷き、部屋から出ていこうとする。
その背中を見て急に寂しさを覚え、俺はつい呼びとめてしまう。

「磯風」
「どうした?」
「……あー、色々と世話してくれてありがとうな」
「妻として当然」

グッとガッツポーズをして、静かだが自信あふれる言葉を言って部屋から出ていく。
磯風がいなくなった部屋は、やけに静かすぎる気がした。それほど磯風という存在は俺にとって大きいのだろう。

普段はうっとうしいが、落ち込んでいるときは何も言わずにそばにいてくれて一緒の時間を過ごしてくれる。
磯風にくっつかれるようになってから数えきれないほど苦労し、多くの幸せを分けられ、素敵な笑顔をもらった。
心が暖かくなる感情と共にもう何度ともしれない溜息を磯風のためにつく。

どんなに苦労しても、これからも磯風とは仲良くやっていきたいと思う。
部屋に帰ったとき、誰かが自分を待っていてくれるというのは中々に素敵なことだとおもうから。
ただ、妻にするのはまだまだ早いから、そこだけは流されないように注意しようと頭の片隅にメモしておこう。
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おススメSS ゴジラ vs 大仏

2016-08-20 23:29:49 | おススメSS

ゴジラ vs 大仏

今話題のシン・ゴジラで時代設定を平安時代にしたスピンオフ作品です。
それだけでも色々ぶっ飛んだ設定ですがこのSSはタイトル通り「大仏とゴジラが戦う」という話です。

しかし展開は映画と同じく「燃える」もので文体も可能な限り古語で表現されており、
ネタなタイトルですがただのネタに終わらず真剣に取り組んでいるのが伺えます。

完結済みです。
ぜひ見てください。



難波京、高楼。
帝、藤原四兄弟、その他の議政官たちは高楼に上り、呆然と西を見つめた。
下では、文官武官の区別なく、みな宮殿の屋根に上り、同じ光景を目撃していた。

都の西、砂洲に造られた難波津の港湾に――巨大なものが、いた。
あれを、何と呼べばよいのであろう。
大木を思わせる二本の脚。
濁った薄汚い体液を絶え間なく滴らせ、滑り、ねばつく肌。
瞼も睫毛もなく、眼孔にむき出しのまま填め込まれた、ふたつの眼球。
鳥に似た首。魚に似た口。蛇に似た尻尾。
そして他のいかなるものにも似ていない、人の2、3人を軽く一飲みにする、巨躯。

難波津の港は、恐怖と狂気に飲み込まれた。
“それ”が走る。のたうちながら、見苦しく。
ただそれだけで建物は崩れ、橋は落ち、人は潰れて赤い花と化す。

「まさか……あんなものが」

誰かが呟いたが、それが誰の声であったのか。もはや誰にも分からなかった。

そのとき、巨大いとおほき不明あきらけからぬ衆生しゅじょうが、ぐんと頭をもたげた。
その目が、はるか高みから、難波京の高楼を見下ろしている。

「いかん! 来るぞ!」

巨大不明衆生が走った。難波京へ向かって一直線に。
人にとっては小一時間、されど、奴にとっては一息の距離。

咆哮もない。悪意も感じさせぬ。
どこを見るとも知れぬ虚ろな目で、
しかし都を確かに見据えたまま、巨体は迫り、ついに宮殿をひと揉みに揉み潰した。

殿上人たちが逃げ惑う。文官は叫ぶ、へたり込む、
あるいはあてもなくただ走る。武官の幾人かが矢を放ったが、鉄の矢尻さえ岩のような肌に弾かれた。

そして、巨大不明衆生が尾を振った。
無造作に。

かつて天智天皇が建て、
「殫ことごとくに諭いふべからず(言葉では言い尽くせない)」と謳われた、壮麗華美たる難波京は、砕け散った。

そこに居合わせた、数百の人命とともに――








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【接触編完結】続いたネタ34 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-08-18 22:14:33 | 連載中SS

1945年 東京 上野動物園

上野動物園は日本で最初の近代動物園であり、
隣接する上野公園、周辺に配置されている美術館、博物館。
と市民の憩いの場が集中しているので、休日は人混みが激しい。

しかし、彼のような男。
諜報に身を置く人間からすれば実に好都合な場所で、
この国では何かと目立つ容姿と背丈も「外人さんの観光」で紛れ込むことができる。

「社長」

「やあ、階級で言わない約束を守ってくれたか、いいね。
 いくら人ごみに紛れているとはいえ、この国の目と耳はすこぶる鋭いからね」

「ええ、現に貴方を監視する人間があそこ
 ――――学生のように見えますが、銃を担いでいた癖があるせいで右肩が上がっている。
 視線はズレているように見えますが、視界の隅で我々を捉えられるよう細かく移動しています」

「今僕が食べているアイスを買った店の店員もだ、
 純朴そうなオリエンタル的美女だが、懐に銃を隠し持っていなければなぁ」

互いに背中を向けてベンチに座り会話する2人。
1人は国家社会主義者で弧状列島から追われ、鉤十字の国家に拾われた男、島坂。

もう1人は頬に傷があるドイツ系の大男で、その名は。

「貴方が辻大蔵大臣と接触したその翌日からこの有馬様です。
 お陰様で大使や武官までもが監視対象となって彼らは激怒しています、この始末どうするお考えでスコルツェニー社長?」

「この帝国のキーマンと伝手が出来たから已む得ないと強弁するさ、
 それに伍長殿も提督閣下もこの程度は失敗と判断しないさ・・・一部の阿保が騒ぐ以外は」

島坂の問いに無類の冒険博打好きで、
ある世界では「ヨーロッパで最も危険な男」と評されたオットー・スコルツェニーが笑って答えた。

「それに成果はあった、そうだろ?」

「はい、貴方が敢えて大臣と直に面談したことで日本側の注意が我々から逸れました。
 無論僅かでありましたが、銀座から出て来た少女が東京湾に浮かぶあの「長門」に乗船、そして赤坂離宮で宿泊したのを確認しました」

「海に浮かぶ軍艦は機密を守るには最高の場所だ、
 そして離宮に移動させるとは余程の人間が銀座の門から来たようだな・・・。
 つまり未だ世界が知らぬ門の向こうにいる国家と日本が外交を始めた、というわけか。
 くく、彼との友情を利用する形になったが恨まないでくれよ、僕はスリルを楽しむ体質だからね」

仕掛けは簡単であった。
有名人となりつつあるスコルツェニーが日本の大臣と面談。
これにより、スコルツェニーは日本の諜報機関から最も警戒と注目を浴びる存在となる。

スコルツェニー自身への監視は強くなるが、それ以外はどうしても疎かになる。
ロマノフ王朝から伝授された秘密警察の諜報手腕を以ても、ほんの僅かであるが防諜に穴が開く。

殆ど賭け、というより博打な行動であったが、
運命の女神は常に勇敢な者を愛する傾向にあり、これに成功した。

「さて、この話はこれで仕舞だ。
 あまり長居すると君の顔を日本人たちが覚えてしまうから、解散としよう」

「お言葉に甘えて・・・件の少女を映した写真のネガは何時もの場所に入れます、では」

スコルツェニーの事実上の命令に島坂は小さく頷くと、素早く立ち上がりその場から去った。

「・・・さてさて、楽しくなってきたな。
 こちらでもしたのだから『21世紀の日本』でもファンタジー世界と秘密外交を始めたはずだ。
 この情報を巡って銃や爆弾を使わない外套と短剣の戦いが始まる、最後に生き残るのは誰か?
 
 劣勢ながら奮闘する我が祖国か?
 首位を走り続けるこの弧状列島か?
 あるいは英国か?
 または未だ知らぬ21世紀の列強か?

 楽しみだな、勝つのは誰だろうか?」

そう、スコルツェニーは童子のような笑みを浮かべた。


 






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