二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS モンスターのご主人様

2014-08-31 20:41:10 | おススメSS

モンスターのご主人様





異世界トリップ物のSSです。
1000人の高校生がまとめて竜を含むモンスターが彷徨う異世界の森にトリップ。
だが、チート能力の発現により、辛うじて異世界での共同生活を開始するが、仲間割れが勃発。
主人公、真島孝弘は、暴行を受けるがかろうじて逃げ延びるが、ただ1人モンスターの跋扈する危険な森の中をさまよう。

そして、死に掛けた彼のことを助けたのは――――1匹のスライムだった。




こうして第一次遠征隊が結成された。彼らの目的は、この森を抜けることだった。
今から考えれば、その名称には皮肉めいたものを感じずにはいられない。
何故なら、遠征隊が二度目に派遣されることは永遠になかったのだから。

おれたちの仮の住居であるコロニーは、探索隊が出ていった一週間後に壊滅した。

チート能力者の一部がクーデターを起こしたのだ。

かつていた世界から、法律の存在しない異世界の森の中に放り出された学生たちがモラルを保ち続けることは難しいことだった。それも、チート能力なんてものを持っていれば尚更のことだ。力は人を狂わせる。若さは道を誤らせる。そういうことだ。

志の高い者が集まった第一次遠征隊の留守を狙って、反乱グループはクーデターを企てた。
治安を守ろうとする学生と、反乱グループの学生との間で、激しい戦闘が行われた。

チート能力というのは、竜をも簡単に殺す力だ。
そんなものを持つ者同士がぶつかったのだから、チート能力を持たない生徒たちは、おれも含めて逃げ惑うしかなかった。

逃げ惑うだけなら、まだ良かった。

理性を失っているのは、一部のチート能力者だけではなかったのだ。
能力を持たない学生たちもまた、凶行に身を委ねた。

そんな中、おれは同じ残留組の生徒たちから激しい暴行を受けた。
何が悪かったのかと言えば、運が悪かったのだろうと思う。
おれの他にもそうした人間は何人もいて、彼らは騒ぎの生贄だった。

誰も助けてはくれなかった。

みんなそれどころではなかったのだろう。
誰もが生き残るために必死だった。それは、理性では理解できた。

だが、感情は別だ。
何人もの生徒が暴行を受けるおれのことを見て、
見て見ぬ振りをして逃げていく光景は、おれの心をずたずたに引き裂いていった。

おれが助かったのは、単純に運が良かったからだ。

丁度、近くでチート能力者同士の戦いが始まり、その余波を受けたのだ。
おれに暴力を振るっていた学生たちは、みんな黒い灰になってしまっていた。
地面に倒れていたおれだけが助かった。

ただの運だ。死んでいても、殺されてしまっていても、なんらおかしくはなかった。

そう認識した途端に、傷つききっていた心が、とても虚ろになったのを覚えている。

傷ついた体をひきずって、おれは森の奥へと逃げ出し、数日間森の中を彷徨った。
そして、今朝方、洞窟を見付けてそこに逃げ込んだのだった。

命からがら逃げ込む場所を見つけたおれだったが、そこから先はどうしようもなかった。




なろうから書籍化されたSSです。
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【予告】ガールズ&ドリフターズ!(ドリフターズ×ガールズ&パンツァー「ゆきゆきて戦車道」より)

2014-08-30 00:14:32 | 習作SS


「家に帰ったら作りかけだったタイガーⅠ、黒森峰・西住みほ使用を完成させなきゃ…」

――――秋山優花里


「それより…行き先を行ってくれ。
 早く…命が保っている内に、そのために戻って来たんだ…」

――――冷泉麻子



※  ※  ※



「…………う?」

西住みほが目を覚ました場所は、
白い壁と天井で出来た廊下が地平線の先まで延々と続く場所。
両側の壁にはあらゆる時代、国の扉が延々と並んでいる。

「ここは――――いったい?」

異様な光景だった。
人が住むにしては奇妙な構造である。
そして、何よりもこの場所の異様さを演出する存在が目の前にいた。

「…………」

男がいた。
四角眼鏡を掛けた白人の男性がデスクに座り新聞を読んでいた。
この廊下のような場所のど真ん中にデスクを構えていることも可笑しいが、
男は優雅に珈琲を片手に新聞を読んでおり、脇には待合カードの発券機とまるで役所の窓口だ、とみほは思った。

「…………」
「っ…!」

男がみほを一瞥する。
突然自分を見たことにドキリとするが、
男は市役所の職員のように愛想のない態度で口を開いた。

「次」
「えっ?」

男が机の上にある書類を手に取ると、
面接官のようにみほを書類とみほを見比べる。

「あ、あの。 
 ここはどこですか!
 私は、私は――――私はあの時死んだはずです!」

「…………」

今では憎悪の対象である硬式戦車道。
その最後の戦いであるかつての母校である黒森峰との戦い。

ここで大洗のチームはみほを除き全滅。
普通の女の子だったが黒森峰のSSにも劣らぬ彼女らの最後を見届けた後、
その死を無駄にせさないため、ただ1人で大洗が黒森峰に勝利した事実を作るべく黒森峰女学園に向かい、
その頂上に大洗の旗を打ち立てたことで、今まで犠牲を意味のあるものにしたが――――。

「榴弾が炸裂して、私は跡形もなく死んだはずです!」

直後榴弾が炸裂。
眩い閃光と共にみほは意識を失い死を確信した。
しかし、こうして生きている事実にみほは混乱していた。

「………」

だが男は、紫はそんなみほの様子を無視するかのように書類に万年筆を走らせる。

「――なに、これ?」

気づいた時。
みほは廊下に並んだ扉の1つに片手を吸い込まれていた。
開いた扉の先には何も見えない暗闇で、徐々に飲み込まれてゆく。

「い、いや!?
 私はまだ、まだ―――」 

みほは扉の角に手を掴み、
足に力を入れて抵抗するが無意味であった。
ずるずると扉の中に引きづられ、やがてみほは消えうせた。

「…………」

残ったのは男のみ。
そして男は次の来訪者を待つ。








はい、ハーメルンで告知していたドリフターズのSS予告です。
最近またドリフターズに嵌りましたけどSSがない!少ない!絶望した!

→だったら自分で書けばいいじゃないか!

というわけで書きました。
今回はクロス先としてガルパンを選んだ理由は
みほ「ドリフターズ(漂流物)………?」の続編がない!絶望した!

→だったら自分がガルパンクロスを書けばいいじゃん!

というわけで書き出しました。
二次創作というよりも三創作かもしれませんが次回をお楽しみに。



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弓塚さつきの奮闘記外伝「午後12:30」(完)

2014-08-28 21:11:09 | 弓塚さつきの奮闘記~月姫編

金髪の少女が十字架を前に跪き、祈る。
願う内容は己の救いを求めず、ただただ人のため。
ひいては人類のため、少女は願い、信じる神へ祈り続け、宣言する。

「主よ。今一度、この旗を救国の―――いえ、救世の為に振るいます」

少女、否。
救世主、オルレアンの乙女。
奇跡を体現し、祖国を滅亡から救い出した少女が今一度信ずる神へ誓いを立てた。

そして、ゆっくりと立ち上がり、
背後に立つ人物、マスターに対して述べる。

「サーヴァント・ルーラー、召喚に応じ参上した。
 ……ですがマスター。調停者(ルーラー)のクラスですら、もはや一介の英霊にすぎないのです」

調停者(ルーラー)は本来聖杯戦争の運営役として、
戦いに秩序を保つことが期待された存在であり、マスターの存在を必要とせず、
如何なる陣営にも関わらず中立を維持していたが、今の彼女はその他の英霊と同じだ。

「秩序は燃え尽きた。多くの意味が消失した。
 わたしたちの未来は、たった一秒で奪われた」

回想し、悔やむように言葉を綴る。
目を伏せ後悔、悲しみといった感情を彼女は表現する。

だが、彼女。
調停者(ルーラー)は涙を流さなかった。
かつて姦計でその身を業火に焼かれてもなお、自身の選択肢を嘆かなかったように。
顔を上げ、自身の象徴である軍旗を床に立て、言った。

「聞け、この領域に集いし一騎当千、万夫不倒の英霊たちよ!
 本来相容れぬ敵同士、本来交わらぬ時代の者であっても、今は互いに背中を預けよ!」

声を張り上げ、周囲にいるであろう数多の英霊達に語る。
姿は見えないかあちこちから突然の申し込みに動揺する雰囲気が流れる。

「我が真名はジャンヌ・ダルク。主の御名のもとに、貴公らの盾となろう!」

宝具たる旗を高々と掲げ、
高らかに、誇らしげに、奇跡の少女は宣誓した。


 ◆

『霊長の世が定まり、栄えて数千年』
『神代は終わり、西暦を経て人類は地上でもっとも栄えた種となった』
『我らは星の行く末を定め、星に碑文を刻むもの』
『そのために多くの知識を育て、多くの資源を作り、多くの生命を流転させた』
『人類をより長く、より確かに、より強く繁栄させる為の理―――人類の航海図』


『これを、魔術世界では人理(じんり)と呼ぶ』


 ◆

『第一の聖杯 救国の聖処女
 AD.1431  ■■百年戦争 オルレアン』

「貴方の戦いは、人類史を遡る長い旅路」

  /

『第二の聖杯 薔薇の皇帝
 AD.0060 永続■■帝国 セプテム』

「ですか悲観する事はありません。貴方には無数の出会いが待っている」

  /

『第三の聖杯 嵐の航海者
 AD.1573 封鎖終局四海 オケアノス』

「この惑星(ほし)のすべてが、聖杯戦争という戦場になっていても」

  /

『第四の聖杯 ロンディニウムの騎士
 AD.1888 ■■■■■■ ■■■■』

「この地上のすべてが、とうに失われた廃墟になっていても」

  /

『第五の聖杯 ■■の白衣
 AD.1783 ■■■■■■ イ・プルーリバス・ウナム』

「その行く末に、無数の強敵が立ちはだかっても」

  /

『第六の聖杯 輝けるアガートラム
 AD.1273  ■■■■■■ ■■■■■』

「結末はまだ、誰の手にも渡っていない」

  /

『第七の聖杯 天の鎖
 BC.■■■■ 絶対魔獣戦線 ■■■■■』

「さあ―――戦いを始めましょう、マスター」


  ◆


「過去最大の規模で行われる聖杯戦争、
 開幕。――――それは 未来を取り戻す物語」


「Fate/Grand order」2014年冬、開戦予定!

「さあ、皆も艦これに続いて課金して遊んでください、わん!」
「え゛??」



※  ※  ※



「と、いうわけで生憎ですが自分はFate/Grand order、
 に参戦が確定しているので、ゼロ同様今年は主人公枠となりました」

「くそっ!敵!
 やっぱりセイバーは敵よ!
 ええい!これが、ゴールドヒロインかつ、型月のドル箱の余裕か……」

「うう、セイバーさんはずるいです!反則です!」

澄ました表情で今年の出演を表明したセイバーに遠坂姉妹が悔しがった。

これまでFateはタイガーコロシアム、
エクストラと散々ゲーム化されてきたが今回はいよいよ課金ゲーム業界への参入が決まったのだ。
しかも、これまでマスター枠として活躍が期待できる桜と凛の出番は今回は望めない可能性が高いと来た。

「でも、セイバー。
 この場合、貴女のセイバー戦隊が一番のライバルになりそうね」

「はい、アルクェイド。
 たしかにヒロインとして私は負けるつもりはありません。
 ですが、黒から始まり白、赤、そして桜と増え続ける量産型ヒロインの猛攻に正直参っています。
 Apocryphaに至っては我が息子であるモードレットが活躍してしますし……元が自分なだけに色々と複雑です」

最初は「セイバーのアホ毛を握ると属性が反転する」という一発ネタに過ぎなかった。
だが、公式が月姫やその他Fateシリーズ以外への創作意欲の変わりにこの一発ネタに注ぎ込んだ結果、暴走が始まった。

純白の姫騎士である白セイバー。
アーサー王じゃないけどそんなの関係ねぇなローマ皇帝の赤王。
公式では設定のみだったがついに父親と続き聖杯戦争で活動を開始したモードレッド。
そして、コハエースの帝都聖杯奇譚で登場した桜セイバーと、ネタの暴走は留まる所を知らない。

というか、月姫2はよ!
そうでなくてもメルブラの続編でもいいから……。

「あー、セイバーさん、セイバーさん。
 セイバーさんのライバルは量産型セイバーだけじゃないと思うなー」

と、ここに第三者の意見が出る。
奮闘記の外伝と言いつつ、影が薄い主人公弓塚さつきだ。
が、太陽光対策のため、し○じろうの着ぐるみを着ているため、声でしか判別できない。
弓塚さつきのアイデンティティーともいえるツインテールも学生服も今はなく、さながら某パンダのようだ。

「あ、さっちん起きたの?」
「あー、はい。何とか……」

アルクェイドの問いに気が抜けた調子で答える。
椅子を並べて作ったソファーから起き上がった弓塚さつきだが、体の彼方此方が痛むようで動きが鈍い。
無理もない。セイバーとアルクェイドが来る前は英雄王(小)とキャス狐のどつきあいに巻き込まれたのだから。
DEADENDにならなかったのは、ここが何でもありのアーネンエルベであるお陰に過ぎない。

「それは良かったです。
 で、さつき、私のヒロインとしてライバルに何か意見があるようですが?」

介抱した者として安堵するセイバーであるが、
さつきが話したヒロインのライバルについて喰らい着く。

今でこそ型月のドル箱にして黄金ヒロインであるが、
Apocrypha、そして昨年のヒロイン十二宮でそのあざと過ぎる演技。
何よりもどれほどセイバーが努力しても得られない包括力(胸)を持つルーラーのように、
ゴールドヒロインの座を脅かすヒロインが後から後から登場しているので、さつきの話を聞き漏らすわけにはいかなかった。

そして、ヒロインとしての矜持を持つ、
その他の人物、アルクェイド、遠坂凛、間桐桜もさつきに注目している。

「セイバーにとって最大のライバルになり得るのはずばり……」
「ずばり?」

一拍。
ざわ、ざわ、ざわと某賭博漫画の緊迫した空気が流れる。
そしてさつきは言った。

「ヒロインにしてヒロインに在らず。
 ヒロインとは真逆の存在であるが時に最凶のヒロインなりうる存在――――男の娘だよ」

「「「「な、なんだってーーー!!?」」」」

その時ヒロイン一同に電流が走る。
なぜならその発想はまったくなかったからだ。

男の娘。
それは男にも関わらず女のように可愛らしい、
というギャップ萌えを前面に打ち出したキャラクター属性である。

「男の娘?馬鹿な型月にはそんなキャラは……いや、アストルフォか!!」

「あーなるほど、それがあったかー。
 ウチの所には男の娘枠なんて、強いて言うならば、メレムかな?
 出番がない月姫のせいで随分前に出版された「Character material」以来出てないしなー」

型月にそのようなキャラがいないことを否定しようとしたセイバーであったが、
男の娘として息子と共に活躍している聖杯戦争、Apocryphaのアスフォルトを思い出す。

アストルフォ。
シャルルマーニュ十二勇士の1人。
中世における武勲詩に登場する人物で性格は極めて陽気。
というより、元ネタの作品でも「理性が蒸発している」という設定であるほどだ。
なお、女装しているのは「狂えるオルランド」と呼ばれたローランを鎮めるためと言われている。

どうして女装することでローランの狂気が静まったのか、実に気になるが……。
そして、なぜかApocrypha material 「C86 ver」ではヒロインと混ざって乳比べをする男の娘であった。

「く、たしかに強敵です。
 あのけしからん胸を持つセイバー系ヒロインが負けれない戦いがある、と言わしめたほどの敵ですし」

「それだけではないわ、セイバー。
 色々なキャラ属性のヒロインを抱える型月世界の中で、現段階で男の娘属性はアスフォルトただ1人。
 例え、キャラの人気でナンバーワンでなくても、彼女、いいえ彼は誰もが持ち得ないオンリーワンのキャラよ」

セイバーが戦慄し、
凛がアスフォルトを彼女なりに考察する。
思わぬダークホースにその他のヒロインもまた戦慄を覚えるが、さつきがさらに爆弾を投下した。


「ついでに言うとアスフォルトの髪はピンク、そうあの淫乱なピンクなんだよ!」


この時、くうきがこおりついた。

淫乱ピンク。
その語源はどこから来たかは定かではないが、一説によると。
二次元においてピンク色の髪を持つヒロインは18禁の作品等において、
金髪ヒロインと並んで高い確率でヤリ易い……ゲフンゲフン、攻略しやすかったためだと言われている。

そして、アスフォルトの髪はピンク。
さらには小説においてマスターのSMプレイを受るなど淫乱要素を有していた。
つまりアスフォルトは淫乱ピンク、キャラ立ちとして、これ以上濃いキャラはいないだろう。

「男の娘で淫乱なピンク、だと」

セイバーが衝撃のあまりよろめく。

「く、淫乱なのは桜だけかと思ったのに!」
「そうです、淫乱腹黒枠は私だけの席…って、何を言わせるんですか!!」

凛、桜も衝撃を受けるが、
さり気に酷い事を言う姉とそれを自覚する妹がそこにいた。
そして、アルクェイドの反応だが彼女だけは違った。

「待ちなさい、さっちん。
 淫乱ならエロイエロイといわれている、
 月姫だって負けていないわよ!お尻プレイをしていたシエルのように!
 シスターのくせにけしからんお尻をしているし、志貴なんて舐めていたし!」

「あ、はい、ソウデス、というかそれ誇るところですか?」

尻カレーの異名を着けられたネタを暴露したアルクェイドにさつきは若干引いた。
少しばかり後ろに下がり、彼女から距離をとった刹那――――先程までいた場所に剣が通り過ぎた。

そして、剣がアルクェイドに直撃し、吹き飛ぶ。
受身の体勢をとる事ができず、そのままカウンターの方まで飛び皿やコップが割れ、内装が砕ける派手な轟音が響いた。

「さっきから、監視も兼ねて黙って聞いていれば、
 何て事を言うのですか、アルクェイド!!エクストラでサーヴァントとして出演して以来最近調子に乗っていませんか!?」

ヒロイン達が振り返った先には、
黒鍵を指に挟んだシスターこと、シエルがそこにいた。








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おススメSS Old Navy Never Die 戦艦「長門」の戦後史

2014-08-25 21:25:58 | おススメSS

Old Navy Never Die 戦艦「長門」の戦後史

架空戦記を紹介したいと思います。
さて、「長門」といえば神疑惑のある少女を監視するために派遣された、
某無口宇宙人のキャラがこれまで連想されて来ましたが、近年の艦これブームでようやく戦艦「長門」の知名度も上昇したようで何よりです。

今回の話しの展開としては、
太平洋戦争終了後、本来ならば核実験艦としてビキニに消えるはずだった「長門」が、
もしも史実で計画されていた捕鯨母船へ改装され、生き残ったらどうなるか?
そして、海上自衛隊護衛艦「ながと」として「長門」が行き着く先は何か?

派手な戦闘こそレイテの戦いを除きありませんが、
長門の最後の奉公である伊豆大島の噴火での活躍、ぜひ見てください。


すべての用意は整った。
「ながと」は伊豆大島元町の西南西、距離一〇〇〇メートルという戦艦(・・)にとっては超至近距離を速力一五ノットで航行しながら、その命令を待つ。

佐竹は双眼鏡で外の様子を見た。大量の発炎筒が出す煙の束を、「ながと」探射灯がしっかりと捉えている。
佐竹はすうっと息を飲み、下令した。

「射撃開始!」
「撃ち方始め!」

艦長の命令と共に砲雷長の、

「撃(て)ぇ!」

の号令が響き、艦橋最上部の射撃指揮所に詰める射手が引き金を引いた。電気信号に変換されたその指示は「ながと」の四基の主砲塔へ瞬時に伝わり、装填されている火薬を規則正しく炸裂させた。
時間にしてゼロコンマ数秒以下のタイムラグを置いて、「ながと」はレイテ沖海戦以来実に四二年ぶりとなる実戦(・・)で主砲を撃ち放った。
「ながと」のいる場所だけ、闇が綺麗に切り取られたかのように明るくなった。ほぼ同時に身体をてっぺんから殴られたかのような轟音が響き渡る。
砲口から飛び出した八発の一式徹甲弾(原設計は一九四一年である)は初速毎秒七九〇メートルの速度を与えられ、発砲から一秒強で目標となる中間地点に命中、優に数十メートルは地中に潜った後に信管を作動させ、爆発した。
着弾した場所は大量の土砂を噴き上げ、月面のクレーターのような穴を穿つ。
「ながと」は三〇秒に一回のペースで一度に八発の主砲弾を撃ち続ける。主砲の装填機構を改良していたおかげで、戦中の半分の時間で射撃ができるのが幸運だった。

 元町へ戻る車中、最初の射撃を目撃した川田は思わず、

「長門!」

と叫んでいた。
三原山のもたらす恩恵に与るだけのシケたこの島が嫌で海軍に入り、自分の若き時代を象徴する戦艦が、嫌でたまらずに出てきたのに、潰れてしまった海軍のために結局は戻らざるを得ず、今日まで生きてきたこの島――に暮らす住民を救うべく戦っている。その光景に彼は叫ばずにはいられなかった。
波浮港に集っていた住民たちが、島内のバスに分乗して元町へ送り出されている。その頭上を、真っ赤に焼けた灼熱の弾丸が飛び抜けていく。
島民たちはみんな、沖合いで火を噴き続ける「ながと」の姿を目に焼き付けていた。
それだけではない。元町に残っている島民たちの誰もが――役場にいる対策本部の面々も含め、老嬢の奮闘を見ていた。
誰が最初に言い始めたのかは分からない。
気付いたときには、元町に集結した残存島民二〇〇〇人の大部分が、

「頑張れ、『ながと』!」
「『ながと』!」
「俺たちの町を守ってくれ!」

と、老若男女問わず海に浮かぶ彼女へ精一杯の声援を送っていた。







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ヴァルハラの乙女 第14話「ロンドンの休暇Ⅰ」

2014-08-24 20:54:02 | ヴァルハラの乙女


ああ、くそ。
失敗したなぁ…。

あの時、これから遊びに行くという時に、
墓参りなんて宮藤には見せたくなかったけど、
こちらの言いつけを破って本人が着いてきてしまったのは、仕方がないといえばそうかもしれないけど。

できればあの子にそうした所を見せたくなかった。
とはいえ、それは既に終わった過去の話であり今はブリタニア首都、ロンドンにいる。

あの後、
動揺している宮藤を手を引っ張り、
有無を言わずキューベルワーゲンに乗り込むとロンドンまで直行。

しかし、途中で兵士を満載した軍用トラックの群れに引っかかる。
渋滞で速度が低下した上に、ウィッチがいることを知った兵士の一部がナンパして来た。

この姿になって以来。
美少女なせいでこの手の輩には多少慣れているとはいえ、不愉快なものであり無視を決めたが、
宮藤にちょっかいを出して来たので、こちらの将校としての階級を出すと相手の上官、小隊長が慌てて謝罪に来た。
小隊長は少尉、そしてこちらの大尉といえば約250名を指揮する中隊長クラスの階級なのだから、向こうが青くなるのは当然だ。

とまあ、トラブルはあったが無事ロンドンに到着。
そのまま車でロンドン塔、バッキンガム宮殿、時計塔といったロンドンの名所を回る。

わたしにとってはもう見飽きた場所であるが、
初めての海外旅行なためか、宮藤は楽しんでくれたので、
こちらとしても、ガイドに思わず熱が入り、久々の休暇を楽しめた。

「……ふむ」

そして、現在はかのネルソン提督を記念したトラファルガー広場にいる。
ここもまた観光名所ゆえに、トラファルガー広場は休日ということもあり少し混雑している。

それだけなら、観光地ではありふれた光景だがその観光客の大半が軍人であった。
見たところリベリオン、扶桑、ブリタニアそして我がカールスラントの兵士と実に国際色豊かである。

自分と同じ休暇でロンドンに来たのは想像できるが、少し多すぎる気がする。
以前兵站将校と話しをしたが、作戦開始前に英気を養うべく、こうして休暇を与える事があるらしい。

と、なると恐らくだが、大陸反攻作戦。
史実で言うところのノルマンディー上陸が近いのは本当なのだろう。

「バルクホルンさん!」

っと、宮藤に呼ばれた。

「そこの屋台で買ってみたんです、一緒にたべましょう!」

そう言い、笑顔で宮藤は新聞紙に包まれた揚げ物。
英国名物、フィッシュ&チップスを見せた。

む、いいな。
わたしの好物じゃないか。

前世で散々糞不味い、
との評判を受けている英国飯マズの代表格だが、意外とそうでもない。
冷えると流石にまずいが、ホカホカに焼けたものはこれまた英国名物のエールとの合って非常に良いものになる。

「ん、貰おう」

というわけで、頂くとする。
宮藤から受け取ったフィッシュ&チップスは揚げたてらしく、
茶色い衣がシュウシュウと音を立てており、実に香ばしい香りがしていた。

そこに、大きく口を開き噛み付く。
じゅわりと魚の油が口いっぱいに広がる、
それだけではない、白身魚の淡白な味わいが実に良い。

「ちょっと、油っぽいけど、
 おいしいですね、バルクホルンさん」

宮藤も同じく白身魚とポテトを口に頬張っていた。
うむ、たしかにうまい。英国料理は何とやらというが悪くない。
某ウナギゼリーを除けば、揚げ物にはずれはない。

「食事を終えたらどうする宮藤?」
「そうですね、ロンドン塔とかまだ見たことありませんし」

ロンドン塔か。
本物の幽霊が出るという噂だが行ってみるのもいいな。

「よし、今度はそっちに行くか」
「はい」

そんなこんなで英国グルメを堪能し、
次の観光地へ移動しようと思い、2人で車に移動するがこちらに駆け寄る人影、いや少女がいた。

白のブラウスに首元に青いリボンを締め、
スカート…あ、いやこの世界ではベルトだったな。
そして、青い目をして鼻や口のバランスがよく整った顔をした少女が、
わたし達の目の前に息を切らしつつ駆け寄り、声を掛けるより先にわたしの両手を掴むと叫んだ。

「ごめんなさい!しばらく匿ってください!」

くすんだ金髪の少女。
わたしより少し下の少女が唐突にそんな事を言った。

周囲から好奇の視線が突き刺さる。
あ、いや、待て待てどういうことなの?
キマシタワーなのか!キマシタワーが設営されたのか!!?

というか、貴女は誰ですか!?

「バルクホルンさん、何か怪しげな、黒服の人が来ますよ!?」

宮藤が指差す方向から、
確かに黒服のスーツにサングラスを掛けた屈強な男達がこっちへ駆け寄っている。

ああ、まったく!
どうやら、厄介ごとに巻き込まれたようだ。

「早く乗れ!そして掴まれ!」

2人を車内に引き込むと、
エンジンを起動、男達が飛び込む前に先にバック、そのまま、Uターンして逃走した。



※  ※  ※



「エリーといいます。
 ありがとうございます、お陰で助かりました…」

「あ、どうも。宮藤です」

厄介ごとを巻き込んだ少女の名はエリーと言うらしい。
一体何が原因で追いかけられているのか、何故自分達を巻き込んだのか、
聞きたいことは沢山あるが…宮藤、そこは普通に挨拶するところか?

「で、エリーは何故逃げていたんだ?
 それに、あの黒服の男たちは一体なんなんだ?」

もしもの尾行を巻くために頻繁に道を曲がらせつつ、エリーに問いただす。
厄介ごとに行き成り巻き込んだのだから、こちらには聞く権利があってしかるべきである。

「その、それは…」

顔を伏せ、戸惑うエリー。
このまま沈黙でもするのかと思ったけど、ぽつぽつと語り始めた。

「父と喧嘩をして外に出たんです」
「え、喧嘩?だとするとあの人達は?」
「はい、家の護衛です」

どうやらマフィアに狙われているとか、
そんな大層な話しではなく家出という平凡な原因であった。
しっかし、護衛付きの家庭ねぇ…エリーの英語も上品だし案外この子は貴族の娘かもしれない。

「喧嘩か、にしては大げさな気がするな」
「父は心配性なので…」

エリーが苦笑を零した。
だが、直ぐにその喧嘩の経緯を語る。

「…私、実はウィッチなのです。
 貴方達のように空こそ飛べないけど簡単な治療ぐらいは出来ます」

エリーが語る。
ふむ、ここは黙って聞くのがよいな。

「何もできずにただじっとするのが嫌だったんです。
 それでも、軍に志願しようとしたのですけど、父はずっと反対していて、
 私の意思を無視して未だにファラウェイランドの方に疎開させようとするのです」

エリーが俯き、悔しげに手を握る姿がバックミラー越しに見えた。
宮藤が心配そうに、エリーの様子を見ている。

「だから、お父さんと喧嘩して出たの?」
「はい、そうです」

宮藤の問いにエリーが頷く。
成る程な、それで家出をしたわけか。

で、だ。

「それで、家を出てから何かアテでもあったのか?
 それと今後の予定は?どこかで降ろせばいいのか?」

「その、えっと」

念のために何か考えでもあったのか聞くが、
家出娘は視線を彷徨わせ、言葉を詰まらせている。

…本当に、何も考えずに家出をしたのだな。
いや、いいさ。家出なんて大抵そんなものだから。

「やれやれ、困った家出娘だ。
 予定がないなら、このまま一緒にロンドン観光でもしないかエリー?」

「えっ!?いいのですか?」

「これも何かの縁だ、宮藤はどう思う?」

わたしの提案にエリーが驚愕の眼差しで見る。
別に今更1人くらい増えてもまったく問題ない。

むしろ、適当に放り出す方が気が引ける。
これも何かの縁だと思えばこの休暇もまた楽しいものになる。

「はい、私も賛成です!」
「み、宮藤さん!?」

宮藤が勢いよく手を上げ、賛同を示した。
うん、だった決まりだ。

「エリー、エリーの事情にわたし達に出来ることはないけど、
 嫌なこととかは、今日一日遊んで忘れるさせる事ぐらいはできるから遠慮しないで欲しい」

「そうだよ、エリーさん。
 一緒に楽しんでしまいましょう」

「……はい、お2人共、ありがとうございます」

わたし達の提案に彼女は涙ぐみ、感謝の言葉を綴った。

「ところで、貴女の名前を聞いていないような……あの、名前を聞いていいですか?」

む、ああ。
そういえば宮藤はともかくわたしの名を言っていなかった。

「あ、ああ。バルクホルン。
 ゲルトルート・バルクホルンだ」

「バルクホルン…もしかしてあのバルクホルンですか!?」

エリーは、突然何かを思いついたように手を鳴らした。
ま、「あの」と言われるバルクホルンと言えば第501戦闘航空団に所属するウィッチのエースである自分しかいない。

「まあ、そうだが、何か?」
「あ、あのですね」

先程までの落ち込んだ空気は消滅し、変わりに目を輝かせるエリー。
ああ、またか。何度もこうした人間は見たことあるし、慣れているし、次の行動が予想できる。 

そして、エリーは予想どおり、
ポケットからメモ帳とペンを取り出し叫んだ。

「後でいいのでサインをください!」





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