二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS もしも西住まほが大洗女子学園に転校してきたら

2015-12-28 23:42:24 | おススメSS

もしも西住まほが大洗女子学園に転校してきたら

ガルパンSSです。
劇場版が公開された影響なのか最近ガルパンSSが増えています。
今回はタイトル通り妹ではなく、姉のまほの方が黒森峰にいられなくなり、
大洗に転校したら?というIFストーリーであります。

前年の戦車道大会は優勝こそしたが、姉妹の間に入った亀裂。
そして自分のやり方に悩みを覚え、周囲からは堕落したと非難され逃げるように大洗の転校。
しかし、戦車道経験者にして大会で優勝に導いたまほを生徒会は放置するはずもなく、
生徒会の賭け、廃校回避の意図を汲んだ上で大洗の西住まほとして戦車道を率いる立場になる―――。

劇場版のネタを入れた上で最後まで完結済みです。
ぜひみてください。


夕食を終え、一日の汚れを落とし、床の仕度もし、
明かりを落とすと、飾りっ気の無い部屋に簡素なベッドの上で、私は自然に寝入るまで思考した。
確かに十連覇を達成したが、何か大きなものを失ったような気がして、
それから戦車に乗っても普段なら絶対にしない采配ミスと失敗を繰り返してしまうようになっていた。

西住は由緒正しい戦車道家元のひとつで、母は厳しく失敗に容赦ない。
妹のみほは、失敗の多くなった姉の私を次第に哀れなものを見る目つきをするようになっていた。
右腕のエリカも、以前は私に心酔していたというのに侮蔑の眼差しを送るようになっていた。
そして、ふたりの影響で他の者達まで私を見る視線も変化していった。

西住まほは堕落した――。

そう、囁かれるようになり、
私はせめて隊長の最後の仕事として副長の妹に隊長の地位を譲りエリカに副長の地位を与えると、黒森峰から去った。
戦車道の無い大洗まで。
熊本から茨城まで。

引き留める者はいなかった。

妹もエリカも、母も。

そして今に至る――。

 












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【予告】ヴァルハラの乙女 第21話「転生者の考え」

2015-12-27 22:29:28 | ヴァルハラの乙女

「はぁー」

朝から廊下で辛気臭いため息を思わず吐くわたし。
その原因は予算が通らなかった理由が明記された手元の書類にある。

軍隊も普通の会社と同じく常に予算の問題が付きまとう。
資金源が国民の税金であることを除けば、何をするにしても予算がなくてはならない。

501を会社に例えるとミーナが社長で、坂本少佐が役員。
そしてわたしは中間管理職といったところであり、わたしは隊員の事も常に考えなくてはならず、
ミーナは社長でもより上のブリタニア空軍という親会社の指導下にあり、さらに色々考えなくてはならない。

そして、会社でもよくあるように下の考えが上に伝わるり難いのが常の事で、
加えて想像だがウィッチ部隊に否定的な某大将の策謀もあって、
昨日の会議で各員の奮闘を期待するなんて言っていたが、
早い話、親会社から予算の確保は難しいから何とかしようということだ。

うーむ、頭が痛い。
横のコネクションでどうにかなる案件ではないから頭が痛い。

予算、予算、予算。
これを確保するのはネウロイを倒すよりも難しい任務だ――。
その上のあの兎娘と来たら会議では終始上の空だったしこれも別の意味で頭が痛い。

501は中佐のミーナ、少佐の坂本少佐、そして大尉のわたしで部隊を管理している。
イェーガ大尉、もといシャーリーはわたしを補佐する形で部隊管理の業務に就かせている。

彼女自身が問題児な上に正直業務に熱心でないが、
指揮序列的に4番目であるので今の内に経験を積ませる必要がある。
気楽にスピードだけを日々探求することは大尉という階級は許されないと言うのに、本当…。
しかも、問題児だが戦場ではその特技で活躍する優秀なウィッチなのだから始末に終えない。

おっと―――。

「おはよう、バルクホルン!!」
「はい、おはようございます。坂本少佐」

坂本少佐だ。
辛気臭さとは無縁な笑顔で挨拶してきた――って、え!?

「どうした、
 元気がないぞバルクホルン!
 まだ予算のことで悩んでいたのか!」

「ええ、まあ、そうです…」

そうだけど、その前に、その。

「心配するな、何とかなる!
 真面目なのはいいがそう悩むな!」

どんな根拠があってそんな事が言えるのか不明だが、
これ以上ないほどドヤ顔で少佐は言い放った―――ただしスク水姿で。

朝からスクール水着一丁のもっさんがそこにいた。
紺色のスク水から伸びる手足は長く、そしてよく鍛えられ引き締まっている。
程よく焼けた肌に、水着の隙間から僅かに覗く焼けていない白い肌のチラリズムに思わず生唾を飲み込む。




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おススメSS ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース

2015-12-26 00:30:39 | おススメSS

ガールズ&パンツァー+ボーイズ&ゾルダース

ガルパンSSです。
戦車道と共に礼儀を弁え、信義を重んじ、
男らしい教養の高い立派な紳士を育成する事を目指した「歩兵道」がある世界のオリジナル要素がある世界です。

この歩兵道は戦車道は非常に親密な関係を持っており、歩兵道を嗜む男性は、戦車に乗る女性を守る事が出来るので、
男性からすれば、戦車に乗っている女性を守るのは名誉な事であり、また女性にとっても歩兵の男性に守られる事は憧れである。

という世界観で、オリジナルキャラろ原作キャラとのカップリングなどがあり、
物語の展開も原作にない高校との対決が描かれており、オリジナル要素が嫌だという方には正直おススメできません。

しかし、戦車道に随伴歩兵という概念を盛り込んだSSはここだけであるのと、
史実で名を馳せた船坂軍曹をや某ウィキに嘘を言わせなかった人物をモデルとするキャラが登場しており、
原作よりも厳しい戦いと逆境からの逆転劇の熱い展開と合わさってオリジナル要素が気にならなければ問題ない出来です。
何よりも2013年から連載し現在まで更新を継続できている点でもSSの世界でも貴重な作品なので、ぜひ見てください。


大洗女子学園・戦車格納庫内………

学園祭で展示する為に、今まで以上に綺麗な整備を行う必要があり、
更にコレまで試合で酷使して来た事もあり、本日は大洗歩兵部隊の面々を加え、全ての戦車のオーバーホールが行われている。

結構広かった戦車格納庫内は、大洗機甲部隊の面々が集結した事もあり、手狭となっていた。

「それにしても惜しかったです~………」

と、Ⅳ号の砲身を磨いていた優花里が、残念そうにそう呟く。

「? 自分の企画が通らなかった事?」

そんな優花里に、沙織がそう声を掛ける。

「それも有るのですが………西住殿のサイン会の企画が通らなかった事がです」
「あ、そっちなんだ………」

優花里がそう返すと、沙織は苦笑いを返す。

「優花里さん。私はサイン会なんか開く様な大それた人じゃないよ」

当のみほも、優花里に向かってそう言い放つ。

「何を仰られるのですか!
素人ばかりだった私達がココまで勝ち進んでこれたのは、
間違いなく西住殿の手腕です! 今や他校や戦車道の界隈では注目の的なんですよ!!」

すると、優花里はトンでもないと言う様にそう返し、自分の鞄を持って来たかと思うと、そこから1冊の雑誌を取り出す。
それは、全国大会中に出版される、月刊・戦車道と月刊・歩兵道の合同誌だった。

「ホラ! こんなにも大々的に取り上げられているんですよ!!」

優花里はそう言い、
その雑誌のとあるページを開いて、みほに向かって見せる。

そこには、プラウダ&ツァーリ機甲部隊との試合の時に、
索敵の為にキューポラの上に立ったみほの姿を捉えた写真と『大洗の軍神・西住 みほ』と言う見出しが描かれていた。

「おおっ! カッコイイッ!!」
「みほさん、凛々しいですね」
「正に軍神の貫禄だな………」

その写真を見た沙織、華、麻子がそう感想を漏らす。

「ふええっ!? こ、こんなの描かれてたの!?」

しかし、自分が雑誌の記事になっているなど夢にも思っていなかったみほは、真っ赤になって動揺する。

「何だ何だ?」

「如何かしたの? みほちゃん?」

「あ、それ、月刊・戦車道と月刊・歩兵道の合同誌ですか?」

と、その声を聞き付けた地市、了平、楓がみほ達の元へ集まって来る。

「ああ、皆さん! 見て下さい! 我等が西住殿の特集記事ですよ!!」

即座に優花里は、その3人にもみほの記事のページを見せる。

「おお! スゲェッ!!」
「みほちゃん、マジ軍神!!」
「コレは………凄いですね」

途端に地市、了平、楓もそんな感想を漏らす。

尚、気になる記事の内容は………

『20年ぶりに戦車道・歩兵道の全国大会へと出場して来た大洗女子学園と大洗国際男子校からなる大洗機甲部隊。

当初は、戦車の保有台数、
歩兵部隊の規模、戦車の車種や装備の種類などもあり、弱小校の記念出場と思われていた。

しかし、第1回戦に優勝候補のサンダース&カーネル機甲部隊を撃破。
その後も、2回戦にてアンツィオ&ピッツァ機甲部隊………
3回戦にて地走機甲部隊………

4回戦にて鉱関学園を破り、
今大会のダークホースとなったパシフィック機甲部隊………

そして先の5回戦では、
昨年の優勝チームであるプラウダ&ツァーリ機甲部隊を辛くも撃破。

まさかの6回戦進出を果たしている。
この偉業に、勝ち進んでいる各校の機甲部隊は、大洗を警戒。
今や今大会最大のダークホースとして注目を集めている。
この機甲部隊の総隊長を務めているのが西住 みほ………

戦車道・歩兵道の名門である黒森峰に在籍経験を持ち、
戦車道の本家と言われている西住流の人間である。
他校と比べて戦力に置いて圧倒的に寡兵である大洗機甲部隊が、
ココまでの快進撃を続けているのは、先の試合で登場した優秀な支援部隊と運もあるが、
何より彼女自身の指揮能力の高さが物を言っている。

西住流と言えば、
圧倒的戦力で相手を蹂躙すると言った正面からの戦いを得意とする流派であるが、彼女の戦い方は西住流のソレとは大分異なる。

相手よりも劣った戦力を巧みに操り、
様々な作戦や戦術・戦略を駆使している彼女の戦い方は、臨機応変と評するのが相応しい。
その為、一部では彼女の戦い方は『大洗・西住流』と呼ばれている。

尚、彼女は5回戦の試合後に、西住流の現師範であり、
実の母親である西住 しほからお叱りを受けているが、それに反発し、正面からの戦いを宣言。

もし、大洗機甲部隊がこのまま勝ち進んだ場合、黒森峰と当たるのは決勝戦となる為………
今年度の決勝戦では『西住流VS西住流』の戦いが拝めるのでは、という期待の声も出ている。
何れにしても、今年度の最注目チームは、彼女の率いる大洗機甲部隊で間違いないだろう』

………と書かれている。

他にも『大洗の白い悪魔』、『変幻自在の戦車道』、
『鮟鱇マークの死神』、『天才策略家』、『奇跡の西住』、『魔術師みほ』などなど、様々な渾名が付けられている。

「い~な~、みぽりん。1人だけこんなに特集されて~。きっと全国からファンレター来ちゃうよ~」

一通り記事を読んだ沙織が、みほの事を羨ましがりながらそう言う。

「悪魔に死神って………」
「まあ、こう言った渾名と言うのは総じて物騒なモノだからな」

一方のみほは、付けられていた渾名の中に物騒なモノが有るのを見てショックを受け、麻子がそうツッコミを入れる。

「他にはどんな事が書かれているのでしょうか?」

とそこで、他にも何か書かれているのではと気になった華が、雑誌のページを捲った。

すると、捲った先のページには………
燃え盛る炎を背に、ベルト給弾式の弾薬を身体に巻き付けて、
SGMBを持って構えて撃っている弘樹の姿の写真が掲載されていた。
周囲にはプラウダ戦車隊の戦車の残骸と、戦死判定を受けて倒れているツァーリ歩兵部隊の歩兵が転がっている。
見出しには、『蘇った英霊・舩坂 弘樹』と描かれている。

「! 弘樹くん!」
「舩坂くんの記事も有ったんだ!」
「まあ、アレだけの活躍をすればなぁ………」

それを見たみほと沙織が驚きの声を挙げ、対照的に地市は当然だと言う顔をする。

「オノレェ、雑誌で全国デビューだなんて………ファンレター来たら、分けて貰おうかな?」
「了平………段々と見境が無くなって来てますよ」

すっとぼけた事を言う了平に、楓の毒に入ったツッコミが飛ぶ。
尚、弘樹の方の記事の内容はと言うと………

『そんな軍神・西住 みほの乗る戦車を守っている随伴歩兵分隊の分隊長である舩坂 弘樹。
何と彼は、あの『生きている英霊』と言われた太平洋戦争で活躍し、戦後の日本で歩兵道の普及に努めた伝説の歩兵………
『舩坂 弘軍曹』の子孫である。

1度死んで蘇ったと言う伝説を持つ舩坂軍曹の子孫だけあり、
その活躍ぶりは他の大洗機甲部隊の歩兵と比べて、頭1つ飛び抜けている。

第1回戦のサンダース&カーネル機甲部隊の試合では、敵の包囲網を突破し、M2重機関銃を持って構えると言う離れ業を披露。
2回戦であるアンツィオ&ピッツァ機甲部隊の試合では、背後の崖を下ると言う大胆な戦術で相手を攪乱………
3回戦、地走機甲部隊との試合では、九七式自動砲でフラッグ車撃破をサポート………
パシフィック機甲部隊との4回戦では、あんこうチームを助けて、フラッグ車を単身撃破………

そして、5回戦となるプラウダ&ツァーリ機甲部隊の試合では、
敵陣に単身潜入し、相手に多大な損害を与えると言う獅子奮迅の活躍………

更に、ジョーイ・ミヤギ、フォルゴーレ、蛙、
カジキ、ラスプーチンと言った各歩兵部隊のエースに、全て単独にて勝利を納めている。

終いには、戦車道に於いては神にも等しい西住流へ宣戦布告。
英霊の血を引く者として違わぬ活躍を見せている。
彼と西住 みほの率いる大洗機甲部隊の活躍に、私自身も目が離せないのが実情である』

………と、記されている。

みほと同じく、他にも様々な渾名が付けられており………

『大洗の鬼神』、『随伴歩兵(戦神)』、『アンガウルからやって来た亡霊』、『生まれながらのパーフェクトソルジャー』、『異能生存体』、『触れ得ざる者』、『カオスを体現する男』と言ったものがある。

「流石は舩坂殿です!」
「な、何か舩坂くんだと、物騒な渾名も様になっちゃうなぁ~………」

優花里が目をキラキラさせてそう言うと、沙織が苦笑いしながらそう呟く。

「? 小官が如何かしたか?」

とそこで、交換する部品を持って来た弘樹が、自分の名が呼ばれているを聞いてそう尋ねる。

「あ、弘樹くん………う、ううん、何でも無いよ」
「? そうか? ところで、コレは何処に置けば良い?」

みほがそう返すと、弘樹は首を傾げながらも、持って来た部品について尋ねる。

「あ、うん、コッチにお願い」
「了解した」
「さて、そろそろ作業に戻ろうぜ」

そこで地市がそう言い、一同は改めてⅣ号のオーバーホールへと戻るのだった。








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ヴァルハラの乙女 第20話「スピード娘の期待」

2015-12-24 00:03:13 | ヴァルハラの乙女

「ふ…あぁ……」

会議は退屈だ。
シャーロット・イェーガは出そうになった欠伸を抑えつつそんな思いを抱いた。
昔の話だが、軍人とは戦場で国のために華々しく戦う英雄ぐらいしか感じていなかった。

だがこの部隊では幹部クラス階級である大尉を押し付けられる形で昇進し、
ようやく分かったのだが、軍人の普段する仕事とは町役場の役人とそう代わりが無いことに。

即ち書類、書類、そして書類の決算。
さらに打ち合わせ、根回し、会議に会議。
やっている事は官僚の仕事そのものでネウロイと戦うよりも紙と戦争している気分になる。

正直、書類なんかよりも訓練でもしている方が楽しい、
シャーリーは色々自分の自由気ままな性格など問題点を挙げた上で、
何とか重要な仕事から外してくれとバルクホルン大尉に拝み倒したが、

「気持ちは分かるが、軍隊は官僚組織だからな。
 が、この紙切れさえあればストライカーユニットが動く。
 ああ、それと大尉のまま責任だけなしなんて甘い事を言うなよ」

とバッサリ断られてしまった。

「それに指揮系統の序列はミーナ中佐、坂本少佐、わたし、そしてイェーガ大尉。
 となっているから、もしもの時は指揮して貰わなくては困る、軍人ならそこを忘れるな」

しかも指揮なんて面倒な事までするらしい。
このままでは自由きままに飛ぶことはできない。

いっそ、中尉の降格するような事でもするか。
とシャーリーは一時はふざけて考えたが、元々原隊を追い出されるように501に来た以上、
ここでさらに問題を起こせば自由に飛ぶことすらできないし、逃げるような真似はしたくなかった。

だからこそ私はここにいる。
世の中楽しいことばかりじゃない事を嘆きつつ、ここにいる。
そんな風にシャーリーは内心で結論を下した。

「で、結局宮藤さんが破壊した阻止気球の予算は下りなかった、そういうことよ」
「中佐、こっちもコネを動員して色々手を尽くしたが全然足らない、申し訳ない」
「うーむ、私の方は扶桑海軍に問い合わせたが艦艇に阻止気球なんて今時積んでいないからなぁ…」

見知った名前の登場にシャーリーは意識を内心から会議に戻す。
宮藤芳佳、最近坂本少佐が故郷からスカウトし501に来た期待の新人ウィッチだ。
胸はルッキーニの言葉を借りれば「残念賞」であるが魔女として才能は規格外と表現しても良い。

何せ部隊に配属する直前にネウロイと遭遇してこれを撃退し、
続けて部隊に配属されてからも大物ネウロイを続々と仕留める一役を担っている。

「しかし代わりに扶桑から新型のストライカーユニットが届く、との噂を聞きましたが本当ですか?」

「ああ、それは本当のことだバルクホルン。
 バルクホルンのTa152の事を報告したら本国から新型ユニットの実戦証明を命じられたよ」

そう苦笑を零す坂本少佐。
事情は大体分かる、結論から言えば軍の面子という奴だ。
向こうが新型を持ち込んでいるならこっちも、という流れだろう。
だがそれよりも新型ストライカーユニット、その言葉に思わずシャーリーは口を挟む。

「少佐!それはどのくらいスピードが出るのですか?」

「シャーロット・E・イェーガ大尉……」

新型ユニットの速度に質問するが、
バルクホルンが非難するような口調でシャーリーの名を呼ぶ。
それも態々フルネームと階級まで付けて。

「あーシャーリー、
 詳しい性能については現物が届くまで軍機ということになっている。
 興味があるのは分かっているが、これも規則だからすまないが今は言えない」

坂本少佐が再度の苦笑と共にバルクホルンが言いたがっていた事を補足する。
その言葉に内心残念、といいう感想と同時にシャーリーは呟く。

「あーあ、私も新型欲しいなー。
 それも出来ればブリタニアで噂になっているミーティアとか、
 新生代のジェットストライカーユニットが欲しいなー、あれなら音速も夢じゃないし」

「だったら原隊で真面目に勤務すべきだったな、イェーガ大尉」

シャーリーの愚痴にバルクホルンが素っ気無く突っ込みを入れる。

「えー、そんなの私に無理だってぐらい分かるだろう、大尉なら」
「ああ確かに、いくらミーナが寛大とはいえはそれでも書く始末書を受け取るわたしの身にもなって欲しいものだ!」

バルクホルンが何かと問題を起こしては始末書を書く部下、
そしてそれを受け取り上司に報告する中間管理職の悲壮な叫びを挙げる。

「出世するって大変でありますね、バルクホルン大尉殿」
「誰のせいだと思っている、誰のせいだと」

人事のような口ぶりにバルクホルンの米神に青筋が立つ。

「あ、でもミーナ中佐には感謝しているのは本当だって。
 原隊と違って好きにストライカーユニットを弄ってもいいなんて天国だよ」
 
そう言ってミーナに感謝の意を込めて拝む。
シャーリーに拝まれているミーナは苦笑を浮かべ、
坂本少佐は爆笑し、バルクホルンは「何を人事のように…」とため息を吐く。

「で、来る新型だが残念ながらジェットではない。
 元々ジェットストライカーはまだまだ試作段階と聞く上、
 実戦配備されるまでは時間が必要だから、早くて来年か再来年ぐらいになるだろう」

ストライカーユニットの開発に関わってきた経験から坂本少佐がそう断言する。

「再来年先だと、その時私はもう完全に後方勤務でしょうね」

ミーナが続けて言葉を発する。
魔力を扱える魔女の寿命は一部例外を除けば20歳であり、
例え軍に在籍していたとしても前線でもデスクワークの指揮官か後方勤務を命じられる。
既に中佐の階級を持つミーナなどは特に最前線で飛ぶことがなくなり、後方勤務となるだろう。

「おお、だとすると。
 その時私はまだまだ行ける歳だしジェットも夢じゃないか!」

少ししんみりとした空気が流れたが、
シャーリーがそれを吹き飛ばすような笑顔を零す。

「いいねぇ、希望が見えてきたよ。
 でも上司はその時501の指揮官はミーナ中佐より煩い芋大尉なんだよなぁ…」

「喧嘩を売っているのか、イェーガ大尉?
 煩いのは注意喚起する常識的な人間が少ないからだ」

「へいへーい、感謝していまーす」

「言葉よりも行動で示せ、
 まずは始末書を書くようなことを控えるように」

「そりゃ無理だ、規則なんて破るためにあるだぜ、大尉殿」

「………ほう」

どこぞの伊達と酔狂な提督のような言論にバルクホルンが眼を細める。
直ぐにこの場で拳が飛び交う喧嘩こそバルクホルンにその気がないため起こりようがないが、
普段から部下に振り回され、思う所があるバルクホルンはシャーリーに厳しい視線を向けている。

「いいぜ、大尉。
 何かしたいなら付き合うぜ」

対するシャーリーも挑戦を尊ぶ開拓移民の子孫らしく、
バルクホルンが言い出す言葉をまだかまだかと待っている。

お互いやる気は満々、喧嘩上等。
このまま何らかの形で喧嘩沙汰になるかと思われたが、

「そこまでよ、トゥルーデ。
 シャーリーさんもあまりトゥルーデをからかわないで」

そんな2人を制止したのはミーナだった。

「すまない、ミーナ」
「……中佐がそう言うなら」

本題から外れた行為をしていた事を自覚している2人はそれぞれの形でミーナに謝罪する。

「話を戻しましょう。
 つまり、予算を確保できず、コネを使って代替物の確保もできなかった。
 ゆえに今後も予算と代替物の確保に一層努力し、各自の奮闘を期待する、と言った所かしら」

「了解した、こちらも引き続き探してみる」

「私は今度の本国からの補給品希望リストに追加してみるが、
 根回しが大変だな……うーむ、まったくネウロイと戦っていた方がまだ楽だ」
 
ミーナの呼びかけにバルクホルン、坂本少佐がそれぞれ答える。
シャーリーは特に異議はないため、発言していない。

「よろしい、それでは解散」

その様子を見てミーナは頷くと会議終了を宣言した。



※  ※  ※



「ああ、もう。やっと終わったか―――」

会議室からミーナ、坂本少佐が出た後シャーリーが背伸びしつつそう言う。
ぐったりと椅子に背中を預け、ぼんやりとする。

「この程度で根を上げたのか、情けないな?」

「んだって、私は難しい事を考えるように飛んでいる方が楽しいから。
 こうビューン、と加速をつけて何処までも何処まで飛んで行く快楽に勝てるものなんてないし」

会議室に残っていたバルクホルンが呆れ気味にシャーリーに言う。

「まあ、その感覚は分からなくもないな」

「そうそう、だから大尉殿。
 お願いですから大尉殿のコネでジェットを部隊に配備されるようにどうか根回しを……」

「調子に乗るな」

空を飛ぶ快楽に賛同を表明したが、
途端の胡麻摺りにバルクホルンが釘を刺す。

「ケチー」
「ケチで結構」
「あーもう、お堅いなー」

シャーリーの非難にバルクホルンが素っ気無い回答をする。
とはいえ元々無理な相談であることぐらい知っているシャーリーはそれ以上は要求しなかった。

「ああ、でも本当に。欲しいな――――」

が、シャーリーは速さへの欲望を捨てきれない言葉を呟き、窓の外に見える蒼空を見上げる。
雲が1つも見られない綺麗な青い空で、もしも自分がジェットと共に行けたらと妄想を膨らませた。





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続いたネタ17 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2015-12-18 00:01:14 | 習作SS

続いたネタ17 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり


1945年 大日本帝国 

イタリカでの戦いが終結した時、
環太平洋諸国会議が成功裏に終結し外交によって日本の覇権が改めて確立された。

日本は覇権国家として太平洋諸国の宗主国として立場を改めて表明した。
また同時に宗主国として配下の国々の発展を約束するものとして、産業育成を手助けうると同時に、
安定した食料の供給を実現させるため史実の緑の革命に値する「稲荷計画」を発表すると東南アジアを中心に感謝の声が相次いだ。

さらに軍事面でも引き続き援助に育成は惜しまない事を表明し、
新規に艦艇を始め各種装備の援助と各国に属する軍人の留学や交流を今後進めていくことを発表した。

某半島や、某大陸の勢力は不穏な動きを見せるより先に、
現在日本中央情報局を率いる堀悌吉に、内務省のアカ狩りの阿部信行が「おもてなし」をしたことで、
会議の最中の二勢力は日本への支援要請、はやい話「もっとクレクレ」を除けば実に静かであった。

そして夢幻会ではその総括が行われた。

「各種支援政策は資源との交換、という形を取っていますが今は基本赤字ですね」
「搾取ばかりじゃ付いてこないから身銭を切らなければならないか、宗主国は大変だな、本当に」

辻の報告に嶋田がため息を吐く。

「当然ですよ嶋田さん、
 色々悪口を言われている史実のアメリカですけど、
 何だかんだと言って世界の警察官としてそれなりに面倒を見てきたのですから。
 アメリカが滅び、日本がその代わりに警官になった以上面倒を見なくていけません」

「分かっているさ、辻。
 今は身銭を切っているがこれは将来への投資、
 10年後、20年後へのそうであろう、大蔵大臣殿?」

「ええ、もちろん。
 将来の市場として育てるのが目的なのですから、
 購買意欲が乏しいままでは今は国内の市場で完結できても、
 いずれは飽和状態になり、外に市場を求めるようになるものですから」

辻の言葉に夢幻会の面々が頷く。
現在日本は戦争終結による軍の動員解除と軍縮で市場に多数の労働者が集まり、
同時に削減された軍事費を国土開発の予算へ変えたたため各地で開発ラッシュが始まりつつあった。

だが、市場の成熟による活気の喪失、
そして平成の不況を知る夢幻会では将来市場となりうる国々に対して、
市場となり得るように今の内に援助することで、将来の進出に備えていた。

「各国の海軍の増強は海保としてもありがたい。
 正直海保だけでは密輸に不法移民を完全に取り締まることはできないから」

そう南雲が話す。
元々インドネシアなどに対して艦艇を提供していたが、
今回はさらにアメリカ西海岸諸国への艦艇の提供、
さらにこれまで提供していた国々対しては人材を育成するための援助拡大を決めていた。

今や無敵艦隊となった大日本帝国海軍だが、
その活動範囲は戦前の西太平洋どころか太平洋の全てに印度洋。
さらにはドイツを見据えて紅海、そして遥々大西洋までもが活動の範囲に入っており、
海保だけでは足らず、負担軽減のために各国の海軍育成は急務であった。

「しかし、以外だったな。
 某国とか某大陸がたしか陰謀を企んでいたが予想よりも静かだった」

「我々は最悪首都でテロを想定していましたけど、杞憂でよかったです」

嶋田と辻が安堵のため息を吐く。
夢幻会は大陸と半島勢力がここぞとばかりにテロ、
あるいは局地的な紛争をわざと発生させて会議に泥を塗ってくることを懸念していたが、
実際に見つかったのは予想よりも遥かに小規模かつ、影響力が低いものばかりであった。
最もそんな小さな陰謀もアカ狩りの阿部とその指揮下にある剃刀の異名を頂く官僚が容赦なく締め上げていった。

「そして、ドイツもだ。
 あれだけ黄色いSSを宣伝していたから、
 会議の最中に何かやらかすと思っていたが音沙汰なしと来た、内務省の調査は?」

「内務省は既に日本に入国した黄色いSSのメンバーを捉えていますが、
 不審な動きは見せていませんでした、とはいえ現在も引き続き調査を進めています」

嶋田の質問に阿部が即座に回答する。

「朝鮮と満州の国境で騒ぎが起こることも考えていたがこっちも静かだったな―――陸軍は?」

「大陸に展開している陸軍からの報告では平穏そのものだとのことです、総理」

さらに嶋田の問いに永田陸軍大臣が返答する。
会議の期間中、大陸に派遣されている東条率いる陸軍は大陸で騒動が起こるのを警戒し、
緊張の日々を過ごしたが、馬賊や共産匪賊の類が出没する以上に大陸の日常に変化はなかった。

「ふーむ、妙ですね。
 日本の顔に泥を塗るならこのタイミングがベストのはずですしたけど?」

「辻でも分からないのか?」

「わたしだって人間ですから、
 そうですね、某眼鏡委員長の言葉を借りるなら
 『なんでもは知らないわよ。知ってることだけ』ですから」

「おお、まさか辻から委員長の台詞が聞けるなんて!!」

「あ、そういえば。
 この前大使館から化物語シリーズのDVDと小説一式が届いたな」

「くぅ~~、よし次の夢幻会の集まりはシリーズアニメの観賞会と行こう!!」

辻の口から出た化○語の有名な台詞に一部夢幻会がやいのやいのと勝手に盛り上がる。
前回はゲーム、その前はまど☆マギ劇場版鑑賞会と欲望に忠実すぎる面々の反応に嶋田が米神を抑え、
非転生者の永田陸軍大臣は最初は戸惑ったが今ではすっかり慣れ、黙って騒ぎが収まるのを待つ。
最も、最近夢幻会の布教活動(洗脳)でアニメにも関心を持つようになり少しだけ楽しみにしていた。


夢幻会、趣味談話中。


「で、話を戻すぞ。
 たしかに会議中に問題はなかった。
 しかし『なぜこの時に行動に移さなかったか分からない』そうだな?」

1時間ほど好き勝手にオタトークを繰り広げていた夢幻会を前に嶋田が話を戻す。

「残念ながら……暗号解読も最近は」

中央情報局の堀が代表して肯定する。
他の面々も苦虫を噛み潰したような渋い表情を浮かべている。

「トランジスタ技術公開は早かったか…?」

嶋田がそう綴った。
トランジスタの公開は今後の技術発展に不可欠で、
いつかは公開する必要はあったが公開したここによって、
自らの暗号が解読されている事を理解した各国は暗号を大幅に変えるか、

あるい電波などを使用しないより原始的な手段に回帰しており、
以前のようにあらゆる情報が即座に手に入るとは言いがたい状況になった。

「今更悔やんでも仕方がないですよ、嶋田さん。
 それよりも、私はそろそろゲートに関して少し飴を与えても良いころだと考えています」

「大蔵大臣、飴?
 まさか以前イギリスやドイツが提案していた武官を入れるのですか!?
 日本国はナチスに技術を提供しなくても21世紀では公開されている技術や、
 自衛隊の兵器を武官達が見れば、それを参考にナチスの軍事技術が向上することは避けられません!陸軍としては断固反対いたします!!」

真っ先に反対を表明したのは永田陸軍大臣であった。

「まあ、落ちつくといい。永田大臣。
 辻が提案するのはどうも違うようだ、そうだろ?」

「はい、総理の言うとおりです。
 私はイタリアが提案した学術団体の受け入れをすべきと考えています。
 ゲートで収集した文物の解析に国内の大学は頑張っていますが基本欧州文明がベースなため、
 欧州文明に関する専門家がどうしても不足するので、国外の研究者に助力を得る必要があります」

辻が嶋田の問いに淀みなく答える。

「それだけでないな、
 情報公開で門という新たなフロンティアを得た日本に対する嫉妬を和らげる、
 日本は決して人類の宝を独占するわけではない、そうアピールするのが狙いだな、辻」

「ええ、そうです。
 無論、門の向こうの世界には入れません。
 門からこちらに運んだ文物についてのみ研究させます。
 我々は門に関する研究が進む上に国際政治的にプラスとなりえます。
 それにイタリアはどうも融和政策を狙っているようですからこれに乗りましょう。
 ついでにドイツとイタリアで待遇に格差を設ければ、チョビ髭伍長が疑心暗鬼に陥るかもしれませんよ」

「どうしてイタリアが優遇されるのは、疑問を持たせる。
 ゲートという餌を前にドイツとイタリアを仲違いさせるのか、エグイな」

辻の相変わらずな政治策略に嶋田が引く。

「が、面白い案だ。
 詳細について煮詰めてみようじゃないか」

嶋田がそう宣言すると夢幻会の面々も同意するように頷きを返した。
うまくいけば枢軸連合を分解できるかもしれず、場はやや興奮していた。



この日、夢幻会はイタリアの提案を受け入れることで同意したことを記す。








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