二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

駆逐艦『神風』の記録~艦隊これくしょん、転生憑依物 第4話「確認試練」(完)

2014-06-07 14:20:49 | 連載中SS

かれこれ数日、入院することになっていた。
金剛や榛名といった『艦これ』の大物人物にお見舞いから始まり、
自分が意識を回復したと聞いた艦娘達から入れ替わり、立ち代りお見舞いにやって来た。
みんな美人さんや、可愛い子さんで第6駆逐隊の面子が来たときはフナッシー!と興奮していたけど、常に死んだ表情のおかげでばれずにすんだ。

やったね!
でも暁がいなかったのは気になるな、後で聞いてみよう。

さて、提督と金剛たちに後方に下がるように言われたけどNo!と言ってやった。
だって、どう考えて人類不利な戦況で自分だけ逃げてもいつかは最前線で戦うことになるのは予想できる。

だから、ここで逃げる事に意義が見出せない。
それにどうせ戦うなら、こうして出会った人と一緒に戦ったほうがいい気がしたからだ。

で、完治したボクは現在兵装を装備し、航行中だ。
その理由は叢雲を模擬戦をすることとなったからだ。

まあ、その理由は後方に下がることをボクは拒否したが記憶があやふや。
おまけに基本的な海軍用語、知識を知らず、戦い方もかなり欠落しているためかなり不安視されてしまった。

いや、さ。
ボクの決意だけは本当だが、現代の軍隊は蛮勇さが求めれているわけではない。
現実の自衛隊に入るにも試験に合格する必要があるように一定の知識が求められている。
いくら自分が前世はミリオタとはいえ、細かい海軍用語や海軍知識とか分からないし!
戦い方も艦砲の構え方とかは体は覚えていたけど、隊形の組み方とか基本的な戦術運営がボクにかけていた。

だから、本当に前線で戦う気力があるか否か?
それを試すための模擬戦をこれからするのであった。

「さて、ここらでいいわ。神風」

ボクの前を航行していた叢雲さんが振り返り停止する。
あ、はい、叢雲さん……っと停止。

「……少し手間取っているわね」

叢雲から容赦ない意見が出た。
うぐ、否定したところだけど否定できないのが辛い。
海面に浮き、動くことは自然と出来たけど、問題はその動作だ。
常に揺れ動く海面を滑るには慣れがまだまだ慣れが必要で動作がぎこちない。

ちなみに、艦娘の個性を示す服装だが自分はセイラー服ではなく上は旧海軍の詰襟紺色の下士官第1種軍服。
頭に海軍の制帽を被り、下は紺色のスカートに膝まである同じく紺色の靴下。

と、島風や雪風のように露出度が高くない装いであった。
ただし、スカートはいわゆる『二次元にしか存在しない短いスカート』なせいでなんか、その、スースーする。

ついでに、下着が見えそうで何だか気になって仕方がない。
ただ島風のように露出狂じみた服装じゃなかったから良かった。
もしも彼女並に露出度が高かったら、多分正気が保てなかったかもしれないな……。

「さて、神風。
 ルールは極めて単純明確なものよ。
 模擬弾で撃ち合い、大破判定を受けた時点で負け。
 範囲は鎮守府正面のこの海域のみ、港に逃げるとかはなしよ」

「了解……」 

「元気がないわね?」

ボクのボソボソした回答に叢雲さんが突っ込んだ。
あ、うん。その点は自覚しているけど堪忍してつかぁさい、叢雲さん。
頭の中ではちゃんと考えているのに、どうしても、無口になってしまうんですよこれが。

「で、金剛、判定お願いねー」
『了解デース!私に任せてくだサーイ!』

無線越しに審判の金剛の元気な声が響いた。
微かだが他にも金剛の以外の艦娘のノリがいい声も聞こえた。

『あ、あの。神風さん!』
『聞こえるかしら、神風?』

お、この声は全世界のロリコンT督が恋に落ちている電ちゃん。
それにロリおかんこと、雷ちゃんじゃないか!

そんな彼女達、否。
天使とも言える存在が話しかけてくれた。ひゃっほぉぉぉ!!最高だぜー!

『無理をせずに頑張ってください!』
『やっちゃいなさい神風!』

…………。
………………ふぅ。
まさか電ちゃんから励ましの言葉をもらうとは。
一瞬トリップしちまったぜ、まったく、駆逐艦は最高だな!

「期待されているわね、神風。
 アンタの戦いたいという意思は素晴らしいと思うわ。
 けど、記憶がない、戦い方が不明、本来なら神風は後方で静養するべきなのよ。
 それでも、神風。『貴女』は此処に居たいと言うのだから、その意思を力を私達に見せてみなさい!」

あ、そうだったボケッとする暇はなかったな。
ロリコン万歳とハッスルしていたけど、叢雲の言葉に現実へ戻る。
目の前にいる叢雲はアンテナを模した槍をこちらに向けて、全身からこれでもかと闘争心を出している。

ビリビリと当てられる殺意、そして気迫。
どうやら、向こうは手加減とか一切するつもりがないようだ。
つまり、こっちもふざけていないで本気で向かい合わなければ叢雲に失礼だ。

「……知っている、だから戦う」

戦うと決めた以上ここで引き下がれるか。
今こそ幼い少女のなりだが、心は日本男子のままだ。

それに海戦ものならウォーシップガンナーで、
スーパー北上プレイと駆逐艦縛りで散々遊んだからな、叢雲こそ油断するなよ!

『準備はいいようネー!では用意ーー』

金剛の合図が始まる。
今後の運命を決める戦いがもう直ぐ始まる。

緊張と高揚感が止まらないがかまわない。
息を吸い、そして、ゆっくり吐き、目の前に集中する。
叢雲も腰を落として、槍を構えこちらを見据えており準備は万端、後は戦うだけである。

『始メ!』

開始の言葉と同時に、ボクは海面を蹴った。



※  ※  ※



「あわ、あわわわ」
「ちょっと、神風ー!気合入れなさーい!気合を!」
「厳しい、な」

神風の劣勢に電は心配し、雷は応援し、響ことヴェールヌイは率直な感想を口にした。
どこまでも青い海と青い空、その間にある海上で波を立て、白い航行を引きながら2人の艦娘が戦っていた。

3人は2人の艦娘の戦い、叢雲と神風の戦いを見ており神風を応援していたが、
あまり、というより現在の戦況はまったく神風に勝機を見出せないものであった。

片や、普段叢雲が振るう槍のごとく、鋭い動きで相手の先手先手を打つように動いている。
一方は何とか対処しようとしているは読み取れるが、相手の方が一枚も二枚も上手で押されるばかりだ。

それどころか、始めの体面した状況から双方が突撃し、
すれ違いでの砲撃戦、反航戦では神風が叢雲から1発命中弾を貰ってしまった。

それでも神風は怯まず叢雲に喰らいつくが追いつくことができない。
それもそのはず、神風型駆逐艦である神風は特型以前の駆逐艦なため速度出せる37.3ノット。
対して、その性能ゆえに列強から一目置かれた吹雪型駆逐艦の最大速度は38ノット。

たった0.7ノットであるが、たかが0.7ノット、されど0.7ノット。
高速で動き回る駆逐艦同士の戦いでは、速度が出せる側が勝敗を喫してしまう。
おまけに、叢雲は人類に初めてその姿を見せた始まりの艦娘の1人で、今日まで生き残っていた古強者である。

記憶を失い、戦い方を覚えていない相手など敵にすら値しないかもしれない。

「まあ、大したものだと思いますよ青葉は。
 なんだかんだと言って戦意を失っていませんし、15分以上持ちこたえていますよ」

薄い紫色の髪を後頭部で纏めた少女、重巡洋艦『青葉』が口にした。
たしかに戦況は神風の劣勢であったが、青葉が言うとおり神風は未だ小破判定で持ちこたえていた。
砲撃戦は最新の10cm連装高角砲を装備しているおかげで撃ち負けるようなことはなく、積極的に砲撃戦を仕掛けている。
むしろ従来の12cm連装砲を装備している叢雲の方が手数の点でやや撃ち負けているくらいだ。

「でも、劣勢なのには変わらないわ。
 神風には勝って、この鎮守府に一緒にいてほしいけど……厳しいわね」

黒髪であるがやや巻いた髪を持つ少女、重巡洋艦『足柄』が青葉に反論する。

「おや、足柄さんはやっぱり神風に思い入れがあるのですね」
「ええ、まあ神風は私の乗員を救ってくれた艦だから」

太平洋戦争末期。
バンカ海峡北側入り口で神風と合流しようとしていた足柄は潜水艦の魚雷で沈没。
そのさい同行していた神風は足柄の艦長を含む乗員853名と足柄が輸送していた陸軍兵士400名を救助した。

ゆえに、そんな前世の記憶を有する足柄は神風に対して特に気にかけていた。
できればもう一度肩を並べて共に戦いたいと考えていたが、今の神風に勝機を見出せなかった。

「ふふん、大丈夫ネ足柄。神風は既に合格ネ」
「ちょっ……それはどういうことよ!」

しかし、足柄の杞憂を打ち払うように金剛が口を開く。
自信の杞憂が既になかったのを知り、足柄が金剛の言葉に喰らいついた。

「青葉の言うとおリ、神風は叢雲相手に15分以上持ちこたえていル。
 これだけでも、リンガ泊地にいても問題ないことが証明されていると言ってもイイ」

「あ、で金剛さん。
 叢雲さんが手を抜いているという可能性は?」

青葉が手を上げ、金剛に質問する。
手には手帳を用意しており、鎮守府内で発行している青葉新聞ネタにするつもりらしい。

「それはないネ、
 叢雲には本気でやるように言っておいたかラ」

「ええい!そう言うことなら、先に言っておきなさいよねー!!」

この模擬戦は、勝ち負けを基準としてしていなかった
そして、それ知っているのは金剛だけで、知らなかった足柄が声を挙げた。

「やれやれ、金剛さん。
 いえ、提督も人が悪いですね……」

金剛に噛み付く足柄を観察しつつ、青葉は呟く。
恐らく、模擬戦で表向きは勝敗を基準とするようにしたのは提督だ。
よくよく考えてみれば、記憶喪失状態の艦娘が歴戦の艦娘に勝てるはずがない。
が、あえてそのような条件をつけたのは神風がどこまで本気であるかを見極めるためだと予測できる。

(そして、わざわざこんな面倒なことをしたのは、
 次の攻勢のために戦力を保有して置きたい、ということでしょう)

取材活動を通して海軍内部の情報を収集している青葉は次の攻勢。
悪夢の消耗戦でもある、俗にいう『イベント』が発生する可能性を既に知っていた。

(ま、今は神風に対するインタビューでも考えておきますか)

ペンを走らせメモを続け、
後で神風にインタビューする内容を考えたが――――警報が鎮守府に鳴り響いた。
艦娘達が反応するより早く、鎮守府正面海域に発砲煙と閃光が走り、鎮守府に砲弾が降り注いだ。

「敵!こんな時に……!!
 というか、真昼間から鎮守府に攻めて来るなんて哨戒部隊は何をしているの!」

鳴り響く警報と砲撃に足柄が悪態をつく。
通常、鎮守府周辺には哨戒部隊を配置している。
深海棲艦の鎮守への進入を防ぎ、近海のシーレインの防衛を行っている。

もしも、敵の強力な艦隊が出現すれば、哨戒部隊が直ちに通報。
鎮守府の主力艦隊を以って追撃することになっていたが、今日は行き成り鎮守府へ攻撃を仕掛けられた。

鎮守府正面海域に出現する敵といえば駆逐艦1隻か潜水艦1隻程度だが、
砲撃を仕掛けてくる敵となると、最低でも重巡洋艦を旗艦とする深海棲艦隊の水雷戦隊。
最悪戦艦を旗艦とする打撃部隊の可能性があり、それを見逃した哨戒部隊に文句を言いたくなるのは仕方がない。

「そんな事より、私たちの出番ネ!
 Follow me!皆さん、ついて来て下さいネー!」

が、金剛の声掛けに動揺した足柄。
そして、その他の艦娘達が己の存在意義を思い出す。

すなわち、見敵必殺。
人類の生存を脅かす深海棲艦を倒すことが艦娘であることを。

「雷、司令官のために出撃しちゃうねっ!」
「電の本気を見るのです!」
「了解、Верный、出撃する!」

第6駆逐隊の面々が一斉に駆けたのを皮切りに、
艦娘達が兵装を受け取り、出撃すべく降り注ぐ砲火の中を走り出した。

「急がないと、まずいですね……!」

艦娘達が駆けてゆく中。
青葉が焦りの気持ちを口にする。
自分達はいいが、模擬戦をしていた神風と叢雲が深海棲艦隊が出現した鎮守府正面海域にいる。
武装してあるとはいえ、模擬弾しかないため、早急に救出しなければ危険である。

(おまけに、哨戒部隊に気づかれずここまで来るなんて……)

青葉は戦況が人類にとって不利になりつつある事実を改めて知り、暗澹たる気持ちに陥った。
しかし、今は先に2人の救出が先だと気分を入れ替え、青葉は走った。










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