二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

【完成】ヴァルハラの乙女 第29話「黒猫の夜」

2016-09-29 23:38:53 | ヴァルハラの乙女


「———————————————」

月光を背に雲海を上を銀髪の魔女が飛んでいた。
夜間飛行は昼間と違い、視界が効かず距離感覚が掴めないため、好んで飛ぶ魔女はいない。

しかし彼女はその例外に属する。
頭部に光る魔導針がネウロイだけでなく己の位置を常に把握し続けているゆえ、
例え月夜がない夜でも飛ぶことが苦とならない。

彼女の名はアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク中尉。
501ではサーニャと呼ばれている彼女には秘密がいくつかある。

例えば固有魔法の「全方位広域探査」
そして訓練で習得した魔導針で同じナイトウィッチ同士で通信を交わし合っている事。

今は披露する機会があまりないが、
ネウロイが侵攻する前まではウィーンで音楽を学んでいたから歌が上手な事。
料理も得意でオラーシャのお国料理であるボルイシチだけでなくケーキだって作れる事。

どれも501の皆に話したいが、
サーニャ自身も自覚している引っ込み思案な性格。
そして主な活動時間が夜間哨戒に飛び立つ夜と早朝に限られているから、話す機会もあまりない。

例外はエイラ、それとエーリカ・ハルトマンである。
さらに他の例外と言えば・・・。

『こんばんわ、サーシャ』

突然男性の声がサーニャの耳に届いた。

「こんばんわ、ビック・ガン」

サーニャはそれに驚かず、
魔導針で声の主の位置を確認してからいつも通りに挨拶を返した。

きっかけはサーニャが魔導針で捉えた機影が同じ夜間哨戒機であり、
夜の孤独と退屈を紛らわせるために話しかけたのが始まりである。
今ではこうして挨拶を交わした後の雑談が日課となっている。

『今夜も月が綺麗だね、
 それにシリウスもよく見える』

「はい、雲量が少ないからよく見えます」

サーニャはくるりと体を捻り空を見上げる。
夜空には星々が輝き月が光を灯らせる澄んだ空があった。
この昼間の空とはまた違う趣をサーニャは好んでおり、それを知るのはサーにャだけだ。

いや、だけだったと言うべきだろう。
今は名前を知らずコールサインでしか知りえない人間が知っている。

「————————————」

そして意図せずに口から歌声が漏れる。
ソプラノ調の緩やかなメロディは今は行方が知らない父親が作った曲だ。

「~~~~」

サーニャの歌声に合わせてビック・ガンと呼ぶ人物も鼻歌を歌う。
夜空の魔女が歌えば合わせて歌う、いつもの習慣であった。




※  ※   ※




「ロンドンからの輸送機を確認しました、位置は――――ここです」

「そうか、この位置だと後30分くらいか・・・」

レーダー員はロンドンから帰ってくる予定のミーナ、坂本少佐、
そして宮藤の3人を乗せた輸送機をはっきり捉えていた。
周囲に他の機影、所属不明のものはなく予定通りだ。

いや、

「今のところは、と言うべきか」

ワタシは知っているがゆえに小声で呟く。
兎耳の魔女と少し仲が進展してから少し時間が経過した後、
ミーナと少佐、それに従卒扱いとして宮藤の3人がロンドンへ出張した。

【原作】通りなら帰還中にネウロイが接近。
これを哨戒中のサーニャが撃退する、という流れである。

バタフライエフェクトが発生しすぎて、
【原作】に関して信を置くことはできないが警戒するにこした事はない。
だから出迎えも兼ねてこうして眠気を我慢して様子を見ているわけだ。

『管制室へこちらサーニャ。
 ロンドンから帰還する連絡機を確認、迎えはいりますか?』

む、サーニャから通信が入った。
あっちは自前のレーダで探知したようだ。

「こちらバルクホルン。
 直ぐに迎えに行ってくれ。
 今の所はネウロイは確認されていないが護衛を頼む」

『了解、航路変更。
 連絡機の視界に入る位置に移動します』

そういい終えるとレーダでは点で表示されているサーニャが進路を輸送機に向けて移動を始めた。
お互いに近づくように動いているので相対速度的に5分程度で合流を果たすだろう。

そしてサーニャのすぐそばに、
同じくレーダーの表示では点で表示されていた扶桑の航空機、
コールサイン、ビックガンも離れ始めた。

「ビックガン、か」

コールサインの中の人の正体はコネで知っている。
扶桑人で学徒上がりだが腕はかなりいいとの評判の人物だ。

女所帯な上にミーナの方針で男性との接触が限られている中で、
無線での会話だけとはいえ、サーニャが男性と接触していたなんて驚きだが、

「藤堂守なんて、何の冗談だ」

とある戦国物では家康公が関が原で突撃した所でエタった作者が、
唯一完結させた架空戦記の人物がこのパンツじゃないからな世界にいるなんて思わなかったな・・・。

そして、あの作者の世界が少しでも重なるとしたら
このストパン世界でも21世紀にはゾンビが溢れたり、
あるいは宇宙人と戦争を始めたりと非常に物騒な未来を迎えるかもしれないな。

まあ、その時ワタシは寿命で既に亡くなっているだろうけど。

『——————————』

なんて考えていたらサーニャの歌声が無線越しに聞こえる。
穏やかなメロディに透き通った声の美しさに任務を忘れて思わず耳を傾けてしまいそうだ。

ミーナも元々音楽を学んでいただけあって、
綺麗な歌声で歌えるけど、サーニャの方もなかなかよく実に甲乙つけがたい。

ふむ、今度のレクレーションはカラオケ・・・はこの時代はないか、残念。

『・・・こちらサーニャ、誰か、こっちを見ています』

唐突に歌を止めたサーニャがぽつりち言葉を漏らした。
ふとレーダーの表示を見ればサーニャは輸送機と平行に飛んでいる。
どうやらお出ましのようだ。

『誰とは何だ?ハッキリ物を言え
 それと報告は明瞭に、あと大きな声でな』

『シリウスの方角に所属不明の飛行物体を確認しました』

少佐の言葉にサーニャが答える。
ワタシはサーニャ達から見てシリウスの方角を注目するが、レーダー上には何も映っていない。

「サーニャ、基地のレーダーは何も確認されない。
 念のために聞くがその飛行物体の高度は分かるか?」

『はい、海面から30メートルの所を飛行しています。
 通常の航空機よりもとても早くて、大きいのでネウロイに間違いありません」

『む、雲の下にいるから私の魔眼でも捉えることは無理だ。
 おまけにそんな低空で飛んでいると基地の電探には引っかからないな』

『私の方も固有魔法の範囲外にいるからどこにいるか分からないわ』

サーニャの答案に少佐が悔しそうに呟き、ミーナが困ったわねと言葉を続ける。

「中佐、直ぐにこちらから部隊を派遣したいと思う。
 Ju52はいい飛行機だが速度は遅いし、何よりもユニットがそちらにない」

『今は整備中だったから持ち込めなかったのは仕方がないわ。
 でもトゥルーデ、夜間戦闘が出来る人間は限られているわよ?』

ミーナが夜間戦闘に疑問符を投げつけた。
魔導針抜きの目視でも夜間戦闘はネウロイのシェルエットが黒いこともあって、非常に難しい。

暗いせいで敵味方の区別ができず同士撃ちの危険だってありうる。
ミーナはそうした点を踏まえて発言した。

「問題ない、照明弾は用意してある。
 それに敵味方の位置はサーニャが管制すればいい。
 そして撃墜でなく退けさせる戦いならできるはずだ」

『成程、準備はしてあるし、
 撃墜ではなく撃退ね、それなら良いわ。
 バルクホルン大尉、進言を取り入れます。直ちに出撃してください』

「了解した!直ちに全員叩き起こす」

警報ボタンを躊躇なく押し、基地に警報が鳴り響く。

『それとサーニャさん、
 今のは聞いていたかしら?
 皆が来るまで兎に角無理をせずに時間稼ぎに徹して下さい』

『了解しました』

サーニャの返答が言葉だけでない証拠に、
レーダー上のサーニャを示す光点が急速に輸送機の傍から離れる。

よし、こちらも急ごう。
いくらウィッチとはいえサーニャ1人だけでは荷が重いだろうから。





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おススメSS さっちん喰種

2016-09-17 07:54:35 | おススメSS

さっちん喰種

月姫SSの新作だけでも珍しいですが、
主人公は弓塚さつきと登場人物のチョイスも面白いです。

そしてタイトルから察せられるように「東京喰種」とのクロスオーバーで、
謎の装置を開発した某アンバーの実験で飛ばされたさつきが吸血鬼ではなくグール相手に右往左往する話です。

身寄りはなく、流される形で有馬貴将と平子丈に拾われ喰種対策局アカデミーに入る。
そしてそこで72期生としての訓練を終えて捜査官としてグールと関わる・・・。



「別に全然かまわないけど」

それを、月山は興味がなさそうに返答した。

「え?」

「僕は同胞がどれだけ狩られようがどうでもいい。
 大事なのは僕であり、僕の食事だ。
 顔も見たことが無いような他人がどこでのたれ死のうが関係ないさ!」

手を大仰に広げてそう歌うように叫ぶ月山。
それを見てさつきは脳内で月山に変人のレッテルを貼り付ける。
事あるごとにこの男は変人であるということを思い知らされるさつきである。

「ああ、でも――」そう前置きをして月山がさつきを見る。

「もし僕の担当になったら見逃してはくれまいか?」

「あ、あの……」

「Just a lie! 冗談さ、そんな困ったような顔をしなくていい。良い再戦の機会だ」

目を細める月山にさつきは鳥肌をたてる。
以前戦った時は互いの手の内が分からなかったため、
ジョーカーを隠し持っていたさつきに軍配が上がったが、二度目となると分からなかった。
見たところ月山は戦い慣れているようだし、さつきとしても出来れば戦闘は避けたかった。

「……そうならないように気を付けます」

「僕も祈ろう!」

教会の十字架に投げキッスを飛ばしながらそんなことを言う月山。
さつきはそれをげんなりした様子で見つめた。この人はどう見ても自分に酔っている。

月山から血液パック入りの紙袋を受け取ると、さつきはお礼を言いながら教会を後にした。

捜査官になる自分が喰種と関係を持っていること、
アキラ含め周囲の同僚に嘘をついていることに後ろめたさはあるが、こればっかりはどうしようもないのだ。

喰種対策法では、喰種と知りつつ通報しなかった者にもキツイ罰が科せられる。
自分が綱渡りをするような危険な立ち位置にいることを、さつきは自覚していた。

さつきが出て行ったあと、
教会に残された月山は、しばらく彼女が通った扉を見つめていた。
そして唐突に、


「また会おう。僕の――――délicatesse珍味」


口角を吊り上げてそう呟いた。
その瞳は獲物を見る肉食動物のそれだった。 








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おススメSS カルデア男子たちの日常

2016-09-14 23:09:15 | おススメSS

カルデア男子たちの日常

数多くあるカルデアの中でもこのSSのカルデアは異様だと言えます。
何しろ「男性英霊しか召喚できていない」のですから。

盛り上がる筋肉、吹き溢れる汗。
体から湧き出る熱い体温——————そんな環境に身を置くぐだ男の願いはただ一つ。

「女性サーヴァントはよ!」

しかしその願いは空しく今日も男性英霊が召喚され続け、筋肉に囲まれ。
オ○ニーを目撃される日々が続く・・・。


完全に男子高校生のノリなギャクなSSで爆笑不可避。
ぜひ見てください。



 なんか世界の崩壊を止めなくちゃいけないらしい。

 でもそんなことはどうだっていい。
 俺が今しなければならないのはオ◯二ーだ。
 割り振られた部屋の一室でズボンを、パンツまで下ろした俺は、皺一つないベッドの上に胡座をかいて座っていた。
 既に我が息子は臨戦態勢。バベルの塔にも比肩しうる雄々しさで、天井に向かってそそり立っている。
 最早後は発射するのみ。迸るリビドーを、身を焦がす情欲を。
 意識を深く高める為、深く深呼吸。右手を静かに竿に添える。

 イメージするのは常に最高のオカズだ。
 俺は今日あった様々な出来事を脳裏に浮かべる。
 志を同じくする後輩のおっ◯い。肉付きのいいお尻。身につける鎧の隙間から見える脇や太もも。
 どれもこれも捨てがたい。任務の途中じゃ無ければ、理性を切り捨て思わず頬ずりしに行っていた事だろう。
 だがそんな我慢はもうしなくていい。ここは俺の、俺だけの世界だ。誰も気にせず、欲望を解放する事が出来る楽園だ。
 意識を高め、完全に集中状態に至った俺は静かに息を吐く。

「全行程終了。投影開始ーー」

「マスター。今後の戦闘について少し話があるんだがーー」

 俺の右手が動き出すのと、部屋の扉が開くのはほぼ同時だった。
 錆び付いたロボットの様に、鈍い動きで入り口の方を見る。
 そこには紅い礼装に身を包んだ浅黒い肌の弓兵が、此方を見て曖昧な表情で沈黙していた。










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【炎龍編】 続いたネタ35 GAET~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-09-13 23:05:37 | 連載中SS


アルヌスの丘。


この世界を支配する帝国からは「聖地」
として崇められている場所であるが無人の丘に過ぎなかった。

人の生活があったのは帝国が異世界へ軍を進めるために集結した時だけで、
その帝国軍も影も形もなく、代わりに同じ太陽の旗を仰ぎつつも違う世界の軍隊が駐留していた。

そして丘の下でもアルヌス生活協同組合に属する人々が暮らしており、
組合の商売が成功したこともあり人口は徐々に増えつつあり、今では・・・。

「今では小規模とはいえ、街だなこれは」

様々な種族、人種で賑わう通りを見て柳田が呟いた。
組合が暮らす宿舎、食事処も兼ねた酒場、馬を止めるための厩舎。
どれも何もなかったので新たに建設された施設であり、
かつてコダ村逃れて来た避難民20人そこらから始まったとは思えないほどの繁盛ぶりであった。

「まだまだ大きくなるでしょう、
 組合はエルベ藩国にも販路を伸ばす予定だそうで」

「・・・帝国以外の国について情報が集まることは良い事です、殿下」

「殿下ではなく若杉大尉で結構ですよ、柳田二尉」

「いえ、他の者がいる場なら兎も角こうして2人だけの時は・・・」

世界が違い所属する組織が違えど階級は1つ上な上に、
対面する人物が日本で最も尊い血筋を引く者ゆえに柳田は緊張するばかりであった。

加えて言えば若杉大尉。
もとい三笠宮崇仁親王殿下は平成の世において皇族最長老の人物であり、
平成日本から見れば先帝陛下の兄弟という立場と合わさって柳田を始めその扱いに非常に胃を痛めた。

「若杉大尉と呼ぶことに慣れることを期待しますよ。
 実のところ、私は『若杉大尉』と呼ばれる方が好きですから」

何せ『殿下』ならこうして組合の食堂でビールを傾けることなんてできませんから、
と自らの立場を揶揄しつつ上品な笑みを浮かべた。

「努力します」

ただの大尉として扱ってほしいと希望しつつも、
言葉では表現できない帝王の血筋を証明する気品のある仕草と言葉使い。
そして覇気に圧倒される中、柳田はなんとかその一言を絞り出した。

「さて、仕事の話に入りますが、
 帝都の悪所に潜入する人材の選抜は終わりましたか?」

「はい、我々は伊丹・・・。
 第三偵察隊の面々と特殊作戦群からの選抜を完了しました」

「うん、準備が良いのはいいことだ。
 これで交渉団を裏から援護することができる」

ピニャを通じた講和交渉への道筋は決まっており、
事実上大使館として既にピニャの館に間借りする形で帝都に拠点を設けることになっている。

が、そうした表の情報取集でなく裏の情報収集役として帝都でも最も治安が悪く、
だからこそ溶け込める悪所に自衛隊と日本軍は部隊を派遣することに異存はなく柳田と若杉はその準備をしてきた。

「こちらは中野学校出の人間を送る予定ですが、
 即座に自衛隊と我が軍が動ける位置にあるとはいえない場所ですから、
 もしもの時に連携できるように顔合わせをしておいた方が良いと思いますが、二尉は?」

「もとよりこちらでも懸念していた事項です。
 帝都に派遣される前に親睦会などを開くべきではと議題に上がってました」

「それは結構。
 私の方からもそう進言しましょう」

「ありがとございます」

柳田の回答に帝王の血を引く若き皇族が頷き、
根回しを終えた柳田は安堵の息を吐くのを堪えつつ感謝の言葉を述べた。

「しかし第三偵察隊と言えば、あの面白き方ですか・・・」

「で、殿下?」

怠け者でオタクな部下を面白き人間と評した事に柳田は思わず疑問符を口にした。

「ええ、中々面白き方だと思います。
 確かに私から見てもご本人の言う通り怠け者そのものですがその実に義に厚く、
 自らの立場を犠牲にすることを厭わないと、矛盾に満ちた人間でありますから」

「・・・・・・・・・」

大尉の言うところに覚えがある柳田は反論する言葉がなかった。
例えば炎龍との戦闘後に見捨てられた避難民を伊丹はその場で見捨てることもできた。
何故なら日本国民でない人間、ましてや敵国人を見捨てても関係ない、という理由で切り捨てることは可能だ。

だが、伊丹は日本軍側からの避難民を情報集役に仕立てる、
という提案を自衛隊が受けて避難民の保護を命令する前から、命令を拡大解釈する形で難民を基地に連れてくる腹であった。

本人は寝覚めが悪いから仕方がなく連れて来ようと思った、
と嘯いていたが命令の拡大解釈も最悪特地から僻地へ飛ばされても仕方がないやり方であり、
自己の良心と自衛隊における立場を天秤で比較してもその選択肢を選ぶ勇気は自分にはない、と柳田はその時感じた。

さらにイタリカの戦い後にピニャの部下たちに捕まった時も部下を先に逃がす自己犠牲精神、あれもまた咄嗟にできることではない。
またアルヌス生活協同組合がここまで拡大する過程で発生した様々な問題も伊丹は特地の人間を面倒だと言いつつも助け続けた。


だからこそ、伊丹を見ていると―――――——。


「よう、ヤナギダ、ワカスギの旦那!
 お代わりはいるかい?というか飲んでいきなよ!」

「ああ、これはどうも。
 では生を2つ、柳田二尉の分も含めて」

と、思考に耽っていたいたが外部からの干渉で思考が中断される。

「へいお待ち!ワカスギの旦那!
 ほらヤナギダの分もあるから元気出して飲んでいきな」

デリラと言う名の兎耳の女性がニヤリと笑みを柳田に向けた。
それに柳田はふと伊丹の奴ならケモ耳萌えだの言いそうだな、と内心で呟く。

(考えすぎたな)

そして、伊丹について一度思考を辞めて、
相手の好意に答えるべく目の前に置かれたビールに手を伸ばした。
 













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おススメSS カルデア大騒動

2016-09-11 22:29:00 | おススメSS

カルデア大騒動

FGOのSSでありますが「マスターとの魔力供給(意味深)でフランシス・ドレイクがお目出度してしまう」
という話を主題としSSは現在も増えつつあるFGOのSSでもこの作品だけでしょう。

SSの構成としてドタバタコメディに時折シリアスと考察を混ぜており安定して読めます。
ぜひ読んでみてください。


追記
なおここのぐだ男はほかにもランサー・オルタ、
アン&ボニー、スカサハ、セイバー・ネロ・ブライドと関係を持っていた模様。

・・・もげればいいのに(血涙)




「さて、何というべきか……ある意味納得のメンバーというべきか」

言うまでもないが、カルデアのマスターは「げっへっへ、令呪さえあれば色っぽいねーちゃんとやりたい放題だぜ……」という卑劣漢ではない。
そんな軽薄な男が、男を手玉に取ってきたであろう歴戦の女性たちを御せるわけもないし、他の英霊たちから慕われるわけもない。
ではそんな彼が複数の女性と関係を結んだのはなぜか。それは一重に女性側がガンガン押していったからであろう。

「前置きは良い。さっさと結果を言え」

待合室だというのに、なぜか騎乗しているランサー・アルトリア・オルタ。

「やっぱり、妊娠していたらしばらくは海に出られないのかな?」
「生まれてから出ればいいじゃない」

三人でお楽しみだったらしいドレイク同様の女海賊、アン&メアリー。

「まあ、概ね見当はつくのだがな……」

 余り期待していないらしい、影の国の女王スカサハ。

「余りもったいぶるな。余は寛大だが、気は長くないぞ?」

既にノリノリな、セイバー・ネロ・ブライド。

どうやら彼女たちは互いに誰がマスターと関係を持っていたのか、ある程度は把握していたらしい。
ただでさえ人類史の救済という大偉業の為に人類史と戦っていたカルデアのマスターは、夜も彼女達と水面下で戦闘をしていたのだ。
女傑たちから板挟みになっていた彼の心労を思うと、ロマンは感涙を禁じ得ない。
人類最後のマスターは、こんな化け物を相手に戦っていたのだ、と。

「……残念だけど、君たちは妊娠していなかった。期待させて申し訳ない」

評価規格外の幸運を持つからなのか、
或いはやはり星の開拓者だからなのか。それともその両方か。
動物実験でもあるまいし、同じ条件をそろえられるわけもないし、
そもそも妊娠していないことが普通なのでロマンは安堵さえ覚えていた。

仮にこの場の面々が全員妊娠していて、戦闘ができなくなったとしてもそこまで支障はないだろう。
冬木の時代とは違い、既にカルデアには分厚い層が存在している。
ただ、カエサルが危惧した通り感情では割り切れるものではない。なぜドレイクだけが、と思うのは一種自然なことだった。










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