二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

1月31日-3  交わるFate~異第五次聖杯戦争(Fate×エクストラ)

2011-09-25 00:47:21 | 習作SS

「トレース、オン」

自己の内面に語りかける呪文を口にする。
27本の魔術回路を起動させて魔力を練り上げ幻想を顕在化させんとする。

「ぐ・・・。」

万力で直接脳を締め上げるような頭痛。
これから作り出す幻想は今までやってきたものとは格が違うための反動。

感覚でしか分らないが、たしかに言えるのはあの夢に出た剣は人間の手で作り上げたものではない。
人を超越した存在が作った代物、到底人の手で再現することなど不可能である。

「が――――。」

ゆえに今からするいことはただの蛮勇。
諦めてしかるべきであると衛宮士郎の理性が訴えかける。

「な・・め・・・。」

だが、今それを放棄することはできない。
元より衛宮士郎ができることとはこれだけで後退することは魔術の道を閉ざす事と同じ。
苦痛を体に刻みつけて慣れてこその魔術、自分だけでなくそうして彼の師もしてきた。

「ぐぅ・・・。」

ギチギチ、と無数の剣が体内で蠢く感覚。
このままでは暴走し、内側から食い破られると脳が盛んに警告を発する。
痛みが思考を閉ざして余計な雑音が入る。

「がぁぁぁああ・・・・・・。」

腕の筋肉線維が破裂する。
とっくに限界は超え、27本の魔術回路は過熱気味で体中痛みを訴える。


――――衛宮君の魔術属性は「剣」
    貴方は「剣」に関してなら如何なる追従をゆるさない。


「ぉおおお・・・・・・。」

唐突に思いだされる言葉。
自分を導いてくれた遠坂凛の言葉を。


――――衛宮君自身が作り出す幻想こそが唯一の魔術


「ぎ――――くぅ―――。」

基本に立ち返える。
あらゆる雑音を遠ざけただ剣を作る装置と為す。


創造の理念を鑑定し
基本となる骨子を想定し
構成された材質を複製し
制作におよぶ技術を模倣し
成長に至る経験を共感し
蓄積された年月を再現し
あらゆる過程を凌駕し尽くし――――。


ここに幻想を結び、剣と為す――――。


「やっとできた、しかし凄いなこの剣は・・・。」

現れたのは黄金の剣。
人の手でなく星が作りし尊き幻想の剣。
今まで遠坂の祖先が集めたという各種礼装などこの剣の前では塵のようなものだ。

「でも、なんでこの剣と――――なっ!!」

魔力探知が低い彼でも分る魔力の渦巻き、土蔵にエーテルの風が吹き溢れる。
それは土蔵の中心で人の形を作りながらさらなる幻想が衛宮士郎の前に現れた。


「――――問おう。貴方が、私のマスターか。」


1月31日になったばかりの夜。
この日衛宮士郎は10年ぶりの運命と邂逅した。



※※※



「で、アンタの事だから学校にサーヴァントを連れてくるつもりはなかったんでしょ。」

「うぐ、なんでわかった。」

夕方の商店街を歩く男女3人。
たかが男女と一緒にいるだけと侮るなかれ、それだけでも全国のモテナイ男からその男にリア充史ねの電報が送られること間違いなしで、
年頃の男女の組み合わせ、それも男女比率1対2とは容易にハーレムの単語を見いだせ、爆死希望の連絡が舞いこむだろう。
そんな一見羨ましい青春のワンシーンがここ冬木という一地方都市の商店街で繰り広げられていたが残念ながら男の方はそうは思っていなかった。

「よくわかりましたね、リン。
 シロウの身の安全を守るためには常に傍にいなくては意味がありません。
 なのにシロウは何故か、私を結界で隠すという手段がありながら初めは断ったのですよ。」

腰に手を当ててやや憤慨するセイバー。
威厳はなくはないのだが可愛らしい容姿に小ぶりな体系のせいで威厳よりも可愛らしく見える。
ついでに腕に膨らんだ買い物袋がぶら下がっているせいでさらに少女らしく見えた。

「ふふん、それはねセイバー。
 士郎はセイバーがあまりに美人だから皆に見せたくなかったのよ。」

「ち・・・ちがう遠坂。
 そういう意味じゃなくて・・・いや、そうでもなくて・・・。」

セイバーの問いかけにここぞとばかり弄るツインテールレットデビル。
案の定、顔を赤くした衛宮士郎が必死に自己弁論をすぐに自爆した。

「ふむ、言われて悪い気はしませんが、
 この程度で動揺するシロウは少々女性に弱すぎるのでは」

少し冷やか、
というより生温かい眼で主人を見る使い魔。
が、なんだか瞳がアカイアクマと同じく悪戯っ子のものとなっていたのは気のせいだろう。

「いや、だからそういうわけではなくてだ」

衛宮士郎には1、2歳年下の少女から生温かい眼で見られて喜ぶ趣味はない。
加えて黙っていればさらに弄られるのは確実なので己の矜持を守るためにはでさらなる弁論を張るが先に追撃が為される。

「へーそうじゃなくて何なの?
 衛宮君ってこういう事とかが好きなのかな?」

士郎の両手に買い物袋がぶら下がっているのを無視して凛が腕を組む。

「ちょ、おま・・・当たる腕が当たっているし、その・・・」

「その、なーに?」

胸自体は触れるか触れないかの距離を保っている。
しかし、腕から伝わる体温に女性独自の香りなどは士郎にとって効果は抜群だ。
眼はあらぬ方向をさまよい、顔は赤くなりアカイアクマに見事に翻弄されている。

「ふふ、士郎可愛い」

「遠坂、おまえわざと・・『お楽しみの最中のようだけど、戦争中だというのに貴方達何をしているのかしら?』・・・ッッ」

幼さを残す第三者の声に3人は普通の日常から魔術師の日常に意識が戻った。

「何者だ!!」

3人の心象を代表するようにセイバーが両手を塞いだ荷物を落とし、
いつでも得物を出せるように構え、声の主を睨む。


「へぇ、お兄ちゃんはやっぱり期待通りセイバーを召喚したんだ」


3人の第一印象は白い妖精だった。
赤い瞳に雪のように白い髪、そして人間でなく人形じみた顔立ち。
服装こそ人間のものであったがそれでも普通の人間として違和感を感じずにはいられない少女が眼の前に佇んでいた。

「うん、見た感じ前と変わらないから優勝候補間違いないしね」

2人の警戒と剣の英霊の睨みにも屈せず妖精はさらに論じる余裕すら持ち合わせていた。

「その姿、人間じゃないわね
 もしかして貴女アインツベルンの者かしら」

凛はポケットに宝石を手にし、いつでも攻撃できるようにした上で、
以前たまたま読んだ御三家の特徴に関する手記に描かれたものと照らし合わせたて妖精に問う。

「正解よ、トオサカリン。
 では改めて皆さまにご紹介いたします、
 わたしの名はイリヤ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンよ」

「アインツベルン・・・」

御三家の一人と認めた発言に凛は呆然とその名を呟く。

「く、アインツベルンですか、
 しかし貴女一人で私の前に出たのが運の尽き、覚悟。」

不可視の剣を構えイリヤを睨む。
慌ててそのマスターである士郎が止めようとするがそれよりも早くイリヤが発言する。

「ふぅん、セイバーすっかりキリツグみたいになったんだ。」

「なっ!!!あ、貴女は・・・。」

「お、親父の名前をなんで・・・!?」

共に切嗣の名を知って面識がある2人が驚き、心が揺さぶられる。
方や、元マスターで最後まで理解しあえず別れ、片方はその子供として一緒に過ごしてきた仲。
それがまったく見知らぬ人物にその名を聞かされ、士郎はただ混乱するばかりだがセイバーはある仮説に辿りつく。

「まさか・・・そんな、貴女は、貴女は」

「なるほど、セイバーは記録じゃなくて『記憶』で知っているのね、ふふふ。」

絶句するセイバーに微笑するイリヤ。
2人にいっいたいどんな関係があったのか他の2人にはわからなかったが、

「・・・・・・ちょっと、いいかげんわたしを無視して話を進めないでもらいたいのだけど。」

話の主導権をすっかり奪われた凛が言葉を綴る。

「あらいたの、未だサーヴァントを呼んでない自称名門魔術師が」

イリヤの皮肉でいつもならここで、
『調子にのるな――!!!このお子様魔術師ッッッ!!!!』などと怒鳴っていただろうが冴えた頭がそれを拒む。
いつもへっぽこといる時のでなく正しく魔術師としての思考が感情を抑え、理性的な行動ができた。

「別にこれから最強のサーヴァントを呼んでチビッ子魔術師を倒せばいいだけよ」

「大した、自信ねリン。
 どうせうっかりで台無しになるような気がするけど」

「あははは、よく家の家系の呪いを知っているじゃない白髪ロリッ子」

「うふふふ、そんなレディーらしからぬ体型をしているからさぞ、野蛮なサーヴァントが召喚されるに違いないわ」

「あはははははは、鏡を見たらどうよロリ」

「うふふふふふふ、それは貴女のほうよリン」

訂正、
当初から理性的な思考などしていなかったようだ。
お互い喧嘩上等なタチか、売り言葉に買い言葉が際限なく続いてゆく。

「なあ、セイバー2人を止められないか?」

「無理です、シロウも藪蛇になるのを分っているハズです」

「そうだよなぁ」

主従2人はそんな楽しげな2人の魔女を放置することにした。

「ん――――そろそろ時間ね」

しかし、そんな楽しい時間も終わりは唐突だった。
イリヤは空を見上げ、告げた。


「行かなきゃ、
 じゃあねシロウ、リン、セイバー。
 ――――――夜になったら殺しに来るから」


そうして雪の妖精は跡形もなく3人の眼の前から去って行った。


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アイザックさんが召喚されたようです(Fate×DeadSpace)

2011-09-13 01:01:45 | 習作SS

遠坂凛は失望していた。
己が召喚したサーヴァントと家系の呪いじみたポカミスを。


聖杯戦争


端的に言えば過去未来の英霊を7騎召喚して行うバトルロワイヤル。
そのあらゆる願いがかなうとされる聖杯をめぐる争いで確実に勝てる方法がある。

それはすなわち、魔術の世界においては古ければ古いほど神秘の格が強く、神秘の世界で有利に働く。
よって古い時代の英霊を召喚するのが定石で彼女の父親は世界最古の英霊を召喚し、聖杯戦争に挑んだ。

が、娘はそうはいかなかった。
ただでさえまさかの10年後の聖杯戦争に加えここ一番でポカをやらかした。

ただでさえ媒体なしで召喚に挑んだせいか?
最適な時刻に合わせて儀式行わなかったせいか?
それとも慣れない電子機器を購入して結局面倒だから工房に放置したせいか。


彼女は遥か未来のエンジニアを召喚した。


自称元海兵隊とはいえただのエンジニア。
アサシン当たりのクラスならまだ何とかなったかもしれないが、クラスは『エンジニア』
神秘がぶつかりあい、かつての英雄に戦士がしのぎを削る聖杯戦争において最弱なサーヴァントを引いたとしか言えない。

最初に脱落してしまうことは確実。
父親との約束も果たせそうにない、と彼女は思っていた。


そう、思っていたが、


「クスクス、嬉しいわ姉さん―――逃げずに来てくれるなんて。」

ここは大聖杯が鎮座する柳洞寺の地下。

漆黒の闇。
おかしな話だが闇よりも黒く、また同時に眼に入れざるを得ないという矛盾した存在が眼前にいる。
常人ならば発狂しかねない程のオーラ、すわ人を食らう「魔」としての空気を不気味に放ちつつある。

「でも、いけませんね。
 ―――サーヴァントを連れてくるなんて姉さんズルいです。」

間桐桜の赤い瞳がギョロリと、遠坂凛の隣に立つ人物に動く。

「はん、いいじゃないのその位。
 ハンデよハンデ、そもそもアンタがサーヴァントを連れてこいと言ったじゃない。」

殺意に悪意が充満する空間で遠坂凛は手を組み不敵に笑う。
その優雅で余裕のある態度に癪に障ったらしく、

「―――力の差を見せてあげますね、姉さん。
 そこの使い魔共々湖に落ちた虫けらのみたいに、この天の杯に溺れなさい。」

巨人。
三次元でなくペラペラの二次元で出来た影絵の巨人が足元から出現する。
恐らく少しでも触れれば肉は切り裂かれ、セイバーの末路のごとく魂は汚染されるだろう。

加えて間桐桜は聖杯、魔力を作る原子炉そのもの。
無限に影絵の巨人を作り出せる一方で遠坂凛は比較するならば水筒一つ分の魔力のみ。

―――勝ち目など、初めからない。

「行くわよ、アイザック」

共に闘うとはいえ死んでこい、と命令するに等しい命令。
しかし、これ以外約束された勝利にはお互い辿りつけない。

例の切り札は確かに事前に試した。
が、それも遠坂凛の肉体を犠牲すること前提でなおかつ100パーセント勝利は確実とはいえない。

「ラジャーだ、可愛いマスター。」

26世紀製の鎧に身を包んだ英霊が一歩前に出る。
神秘の格もセイバーのような威厳を感じさせない猫背の男。
男の手の中に使い慣れた宝具・・・もとい工具を取り出す。

「フフフ、死になさい。」

影が唸る。
されど間桐桜は勝利に一切の疑いを持っていなかった。
一体一体がサーヴァントの宝具に匹敵する影の巨人が使い魔もろとも処理すべく動き出す。

「っ・・・――――。」

正に絶対絶命のピンチ。
どこぞの惚れた馬鹿なら話は違ったが遠坂凛は正しく魔術師である。

魔術的な戦力の絶望的な開きなど当初から分りきっていた。
アニメのような正義の味方は現れず、ご都合展開はありえない。
奇跡もない確実な死が待ち受けているのは知っていた。

「はっ――――。」

だったら何故逃げるという選択をしないのか?
決戦に行く前に彼女の相棒が語った言葉を振りかえる。

魔術師の義務の遂行?
選ばれたもの義務の遂行?

「え――――?」


否、自分が遠坂凛ゆえにだからだ。


「う――そ――。」

呟いたのは間桐桜。
彼女にとってありえない光景が演じられたからだ。
死の運命が確定した2人が反逆した挙げくにあまつさえ制圧しつつあったからだ。

白い光に虹色の極光が影を制し、切り裂く。
1つはアイアザック・クラークが扱う工具の一つ、ラインガンの仕業。
もう1つはかの魔法使いが使用する究極の一品、宝石剣の仕業だ。
おまけに進んでドロに入ったサーヴァントが汚染も取り込まれる事もなくズイズイと進み、先制攻撃を加える始末だ。


「侮ったわね、桜。
 私のサーヴァントはこうしたのに『慣れている』のよ。」


虹の極光が近づく巨人を切り捨て、白い光が近くの影を凪払う。
遠距離と近距離にうまくバランスが取れた攻撃で、徐々に距離を詰めてゆく。

「うそ、うそうそうそ――――どうして、どうして――――。」


絶対の勝利を覆され混乱する間桐桜。
まあ、当然の反応だろう、彼女の常識が盛大に破壊されたのだから。


この世界の延長線上に位置する遥か未来。
星の産物を(赤マグロ)を魔術師と科学者が結託してあげく大惨事を引き起こす。
神秘の漏えいとして、単純な被害でも最悪に属する事態でその後の混乱も加え表裏の人類史に名を刻んだ。
そして文字通り死都を作り出した中で二度も生き残り、政府の追っ手を振り払いその生を獲得した人物がいる。


アイザック・クラーク


元海兵隊工兵出身であるただのエンジニア。
アカイ正義の味方と違い一切の神秘を纏わぬ俗人。

普通に仕事し、普通に休み、普通にその穏やかな日常を過ごす。
変化のない、神秘に関わることもなく彼にとって当たり前な日常を寿命が尽きるまで過ごすはずだった。

だが、運命を司る神様はよほど意地悪のようでその俗人を2度に渡り地獄を経験させた。
特別な能力も目覚めた能力もなく4つの工具のみでただ1人、自らの運命を切り開かざるを得ない状況に落とした。

彼はアーサー王や英霊エミヤのような志を抱いた人間ではない。
ただ生きたいと願った普通の人間であり、どんな状況でも生き残れることに特化した人物。

生存本能に基づく行動でも『世界』は彼を英雄と定め、
ネクロモーフの物理、精神攻撃から生き残れた彼はその死後守護者に召抱えら、
SAN値直葬なシロモノに対する最強のカウンターと『世界』から定義付けられ、結果。


「Fuuuuuuuuccckkk!!!!」


影の巨人が足元に出現する寸前に黄金の右足をお見舞いするというあり得ない事実が実現している。
影も予想外の奮闘に驚き、丸ごと飲み込んでしまえとばかりに影の波をアイザックにかける。

しかし、黒いドロに浸ってもそんなの関係ねえぇ!
とばかりに衝撃波を出す武装で影を払い続けて
真横に出現しようとした影に黄金の右手で殴打、たった一撃で影は千切れ消えてゆく。

英霊の魂を汚染するドロなど、SAN値直葬の未来を生き抜いた彼からはなじんだ日常。
少しばかりデンジャラスだが清掃員がトイレを掃除するのと変わりない。


「Fum!」


遠坂凛の後ろに出た巨人はアイザックの手から射出された青い人魂。
当たると対象の時間が遅延するという<ステイシス>を受けて動きがスローに。
先の光の刃よりも一回り小ぶりなのにバラバラにされる。


「どうしてだって?
 それはね桜、アイツが宇宙最強のエンジニアだからよ。」


光が空洞を照らす中、彼女は言った。
もしこの場で突っ込み役の衛宮士郎がいたらいや、そもそも最強のエンジニアの意味がわからんと突っ込んでいただろう。
しかし、残念なのか残念でないのかこの場にはおらず彼女の言葉はそもまま桜は真に受けた。


・・・変だが事実であるからこまる。
それ以外彼を表現する言葉は存在しないからだ。








コメント (3)
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