二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

(短編)Fate/Zero holloww ataraxia~ミミックトッキー Part2

2012-04-29 22:57:23 | 習作SS

Part2

この箱の中では衛宮士郎が逃げてから、かれこれ30分程経過したが。
箱の外とは時間の流れがずれているので、外は何時間もの時間が過ぎたに違いない。

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

沈黙が重い。
中からは脱出できないという絶望が言葉を発するのを止めて、
ただ、息のみが狭い空間を響かせるだけであった。

これがもし狭い箱の中、男女の2人なら、
特に衛宮士郎とその周囲の女性ならばフラグの1つや2つは成立していただろうが、
男2人ではそんなイベントもなく、腐女子を喜ばせるようなイベントもノンケな2人には成立し得なかった。

「く・・・凛に葵はまだなのか・・・」

外の助けを求める、遠坂時臣。
何時もならどちらか2人が必ずいたはずだが、今日に限って誰も来ない。

「何か外へ連絡する手段があれば・・・まて、携帯電話があったはずだ」
「な、う、うむ。そういえばそうだったな!」

挙動不審な遠坂パパン、優雅な姿も形なしである。

「あった・・・うむ・・・・・・・・・」

懐から出した黒い携帯電話。
通話とメール機能しかないシニア用の携帯電話であるが、しばし沈黙の業に突入する。

「・・・・・・代わりに私がしよう」
「・・・・・・頼む」

遠坂家の弱点その1、機械に弱い。
この点については父親である時臣は娘の凛よりもさらに酷い。

「まずは、衛宮邸だ」

携帯電話を受け取ったアーチャーが素早くボタンを操作し、衛宮邸につなげる。

「はい、衛宮です」
「む、カレンなのか!?」

意外すぎる人物にアーチャーが驚く。
基本、教会から動かない彼女が冬木大橋を超えて衛宮邸にいるのは珍しいからだ。
・・・まあ、某主夫を弄る目的があったらば話は別だが。

「妻に向かってその言い方はなんですか、駄犬。」
「く、本当にカレ―――何ィィいぃ!!?」

妻宣言。
いやな予感が懐かしい記憶と共にアーチャーの脳裏に映し出される。
どうして忘れていたのだろう、この箱は衛宮士郎にとってトラウマだったはずなのに!

「何を驚いているのですか、衛宮士郎。
 まったく、責任は自分が取ると大言しておきながらその態度。
 まあ、一発で妊娠させたケダモノゆえ、しかたがないかもしれませんが」

「・・・・・・・・・・・・・」

無限に連なる平行世界とは、すなわち様々な可能性の存在がありうる。
アーチャーのように一人英霊に至った衛宮士郎や、遠坂凛と共に歩む衛宮士郎など。
ゆえに、電話の向こう側が自分と同じではない、といことは知識として理解している。

しかしだ、しかしだ。
よりにもよってこのタイミングでこの可能性を引き当てたのは最悪であるとアーチャーは思った。

「・・・・・・ほぅ」

そう、カレンのことを「裏切り者の娘」ではなく、
「親友の孫娘」と認識している時臣にとっては聞き捨てならないセリフなのだから。
現に米神に綺麗な十字模様が浮かばせて、爆発寸前である。

「それとも、そんなに私の声が聞きたかったのですか、士郎?」
「へ?」
「それなら素直に言えばいいのに――――馬鹿」

デレだ、デレている。
こったのカレンは泰山のマーボー並みにSなのに、
このカレンは黄色い桃の缶詰並みに甘ったるい。

「い、いや、違うぞ。
 ただ、間違えただけだ」

「嘘つき、素直になればいいのに」

甘ったるい声で囁くカレン。
一方、冷や汗をかくアーチャーに怒りのケージを上げつつある時臣。

「私は素直になったのに・・・愛してますよ、士郎」
「お、おう。そうか。」

一体全体どうすればこうなるのやら、
そう戸惑うアーチャーで、自分とは違う可能性を歩んだ衛宮士郎について聞きたかったが、
これ以上踏む込むと、隣にいる男性から送られる殺意視線が物理な物にチェンジしそうなのでここで引くことにする。

「すまない、時間がないから切るぞ。じゃあな、カレン」
「そうですか・・・では、また会いましょう士郎」

電話を切る。
隣に振り向く。

「さて、何か遺言は?」

にっこり0円スマイルを浮かべる遠坂時臣。
ああ、怒った凛と同じ顔をしているな、やはり親子なのか等とアーチャーは現実逃避を図り。


光と共に意識が消えた。




コメント (2)
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