二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

続いたネタ12 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2015-10-31 22:10:41 | 習作SS


続いたネタ12 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり


1945年 東京

大日本帝国の大使として吉田茂が赴任したように、
21世紀の日本もアルヌスの丘から1945年の日本に足を踏み入れた。

「なんだこの発展ぶりは!?
 本当に1945年の東京なのか?」

「自動車も多い…それに高層ビルもある」

そして派遣された官僚たちの感想は驚愕であった。
元々帝国日本側から提供されていた資料から、
自分達が知る歴史以上に発展しているのは知っていたが想像以上であった。

「満州の油田…。
 それに中東の石油利権、
 これらに何が何でも関わらなければ!」

「通貨の取り決めが決まっていない当面はバーター取引だが、
 それだけでも儲けがおおきい、早急に交易について決まりごとをしなくては」

さらに既に開発されている満州の油田、
未だ手がつけられていない中東の油田に興奮する経済産業省、
バーター取引で貴金属での交換を予想する財務省の官僚が興奮を隠さなかった。

大半は得られる利益と利権に楽観的な事を考えていたが、
しかし、この日本を取り巻く環境と発展ぶりに違和感を感じるを人間がいた。

「まさかこの時期になってもヒトラーが生きているとは。
 おまけに強制収容所、はじめ帝国日本側からの説明ではまさかと思いましたが、
 昨晩接触してきたドイツ大使館の人間が当たり前かのように話した時は歴史という奴を思い知りましたよ」

「しかもイギリスではバトル・オブ・ブリテンでチャーチル首相が死亡し、ドイツと停戦。
 アメリカは例の大西洋津波で壊滅、ソ連はスターリンが亡くなって以来ガタガタ、歴史が違いすぎる」

そう嘆息する外務省の官僚達。
違いすぎる歴史に思わず頭を抱える。

「そしてこの日本の発展ぶり、一体何なのだ?
 下水道の整備が妙に進んでいるいるし、関東大震災後の対応が見事すぎる。
 投下された予算が史実より多いこともあるが、聞けば元々関東大震災の日が防災の日になっている、偶然か?」

「フォン・ブラウン博士が招待されているし、冷遇されていた八木教授が優遇されている…妙だ」

史実の貧弱ぶりを知る国交省の官僚が国内の異常な発展に疑問を浮かべ、
さらに科学技術庁の官僚が20世紀後半に関わる重要な技術発展に関わる人物が優遇されていることに違和感を覚える。

「だからこそ貴方方も違和感を覚えるがゆえに伊丹レポートに注目している、そうでは?」
「………………」

海自の武官である江田島五郎二等海佐の言葉に沈黙で肯定を表現する。

伊丹レポート。
それは特地で見た日本軍と特地の報告を記したものだが、
その中に1945年の日本が先の歴史を知る未来人による関与の可能性を示した。

通常ならそんな内容が書かれた報告書自体通ることはないが、
伊丹二尉が未来人の証拠として示したオタ文化は確かに21世紀の日本にあるもので、
戯言と切り捨てるわけにいかなく、かといって公に認めるわけにいかず、
とりあえず、公には口にせず内心で可能性に同意しているにとどめている。

「仮に未来人がいたとすれば関与した時期はかなり早いでしょうね。
 歴史の流れは幕末から変わって来ていることから見て最低幕末からでしょう、
 彼らは関わって来たのは、それ以前の歴史には我々の歴史と流れは同じですから」

江田島二佐の推測に官僚たちが頷く。

「そしてそれは1人ではない、集団だ。
 また組織を作っている、そうでなければ国を動かすことはできない」

「ええ、そうでしょうね。
 でないとここまで変わるはずがない」

官僚の1人の言葉に江田島二佐が同意の言葉を送る。

「だが、それは日本だけではないと思う。
 ドイツでは未だヒトラーが健在で公式映像を見る限り健康そのものだ。
 もしかするとドイツでも未来人、それもヒトラーの健康不良を知る人間が関わっているのかもしれない」

さらにドイツがイギリスとの停戦に漕ぎ着け、
ソ連と戦いで勝利を収めてカール大帝の次に統合された欧州を作ったヒトラーに疑惑の目を向ける。

史実のヒトラーはパーキンソン病を始め薬の副作用で健康面に重大な問題を抱えていたが、
この世界のヒトラーはどういうわけかそうした問題の兆候すら見当たらず、史実を知る人間の介入を疑った。

「日本の事もそうだが今後はドイツの事も調べる必要があるな…。
 はぁ……まさか未来人の存在を真剣に議論する時が来るとは一体どんなファンタジーなのやら」

「おや、そもそも銀座の門その物がファンタジーですし、
 案外我々の存在は誰かに物語として描かれているかもしれませんよ」

「普段ならそんな馬鹿なと笑い飛ばせるが、平行世界にいる身としては真剣に考えざるを得ないな…」

江田島二佐の冗談にドイツ未来人介入説を唱えた公安の人間が苦笑交じりに返答する。

「しかし既に疑わしい組織は分かっています――――内閣直属の機関、総合戦略研究所です」

1920年代は大幅な軍縮と同時に数多くの政府組織が設立された。
特に史実と違う改変は軍需省、大日本帝国中央情報局、通商産業省の設立で、
史実の日本が弱点としていた点を克服すような組織であるが、中でも総合戦略研究所の存在は目立っていた。

何故なら軍事、経済、外交の様々な分野の専門家達によって構成される日本最大のシンクタンク組織であり、
研究所から提言された意見が政治家、ならびに各省庁に強い影響力を与えており未来人が研究所を通じて介入しているのを疑っていた。

「彼らに接触することで今後の優位に立つ、それが私たちの目的なのですから」

そして1945年の大日本帝国に派遣された官僚達は彼らに接触することで、
今後アメリカを始め、拡大するであろう世界間の交流で優位に立つことを目論んでいた。








相州戦神館學園 万仙陣



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【予告】ヴァルハラの乙女 第19話「歩み」

2015-10-27 06:42:05 | ヴァルハラの乙女

「あ……?」

ペリーヌ・クロステルマンが目覚めた先に見えたのは病室の天井であった。
しばらくその意味が分からず、ぼんやりと天井を眺めて過ごす
が、徐々にこうなったであろう原因の記憶を思い出し、状況を理解する。

そう、自分はネウロイに対して無茶な行動をした。
そしてその結果、負傷してしまったのだ。

「ん、眼が覚めたか中尉」
「…っ!!バルクホルン大尉!」

横から声が掛けられる。
振り向けばそこにはぎこちなく腕を挙げるバルクホルンがいた。
よく見れば手から腕にかけて包帯が巻かれており、同じく負傷したのだろう。

いや、違う。
そんな原因を作ったのはペリーヌ自身だ。

「申し訳ございません、大尉!!
 私があんな事を…あんな事をしなければ大尉は負傷しなかったのに!!」

起き上がりバルクホルンに頭を下げるペリーヌ。
無理にネウロイに突撃していた自分を止めようとしていたのを覚えていた。

「あ、ああ。別に気持ちが落ち着かず、
 むしゃくしゃする時だってあるさクロステルマン中、ペリーヌ」

対するバルクホルンは気にするなと言いたげな言葉で答えた。
しかし、ペリーヌの心が追いついていなかったことを知っていた。
それを知った上での言葉にペリーヌは自分の未熟さを思い知り、落ち込む。

「大尉がいなかれば今頃私は……」
 
「そ、そんな顔をするな。
 それに感謝するならわたしじゃなくて宮藤だ。
 宮藤がネウロイを仕留めたお陰でこうして生きていられるのだから」

「あの宮藤ですって!!?」

思わぬ人物が出てきたことでペリーヌが叫ぶ。
宮藤、宮藤芳佳といえばペリーヌが密かに慕っている坂本少佐の同郷というだけでも気に入らないが、
何よりも気に入らないのは少佐に可愛がられており、自分ではとても進展できないほど密接な関係を築いている。

「…本当にあの子は実戦はここが始めてですよね、大尉?」
「本当だぞ、わたしも信じられないけど」

それに輪に掛けて気に入れないのは、
圧倒的なウィッチとして才能をこれでもかと見せ付けてくることだ。
未熟な所は多いが訓練を重ねるごとに徐々に洗練されており、とてもこの間まで一般市民だったとは思えない。

だからこそ、ペリーヌは宮藤が羨ましかった。
少佐に可愛がれている上に、自分と殆ど変わらぬ歳で見せる才能。

はっきり言ってペリーヌは、

「私では勝てないのですね、あの子に…」

ペリーヌは宮藤に負けていた。





魔法少女カナタTS




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続いたネタ11 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2015-10-25 22:37:55 | 習作SS

続いたネタ11 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり


中華人民共和国 北京 

共産主義国の軍隊は常に党の監視下にある。
それは暴力を以って権力を奪った歴史性ゆえ暴力装置である軍を恐れているからだ。
だが、この場にいる人間はその監視下から逃れた例外に属する者たちであった。

「政府は謀略を以って門を確保しようとしている。
 当面は和平と友好を訴えつつ日本の世論を揺さぶる方針だそうだ」

「それは当然だ、門が魚釣島にあれば我が軍が即座に行動できたが、
 門は日本の首都にある、国際的な管理下に置く、という名目で門を確保するしかない」

若手の官僚の言葉に総参謀部第二部に属する男が返答する。

「生ぬるい!小日本に対して慈悲など無用!
 かつての蛮行のことを思えば軍事力で門を奪いあの列島ごと占領すべきだ!」

「その通りだ、それでは何時までたっても門を確保することはできない!
 人口問題、拡大する貧困、暴走する経済その全てを解決するために我が国こそ門が必要なのに!」

「せめて魚釣島や印度の国境のように軍を動かすべきです同志!」

しかし周囲から異論が吹き出る。
どれも過激な物でそれゆえこうした秘密の集いに集った人間だ。
主に軍人、特に最近予算的に羽振りが良い海軍と空軍の軍人を中心としている。

「だが日本の背後には米国がいる。
 あの国を相手に戦うなど無謀を通り越して蛮勇だと思うが?」

「ふん、臆病風に吹かれたか。
 それとも陸軍には活躍する場所がないから嫉妬しているのか?」

「なんだと?」

売り言葉に買い言葉。
予算を奪い合うライバルとあって感嘆に険悪な空気が流れる。
特に面子を重視する中国人が面前で小馬鹿にされて黙らない中国人はいない。
今にもつかみ合いが始まりそうであったが。

「静まりたまえ、同志諸君」

この集いの中で最も年齢が高い老人の一声で場が静まる。

「同志諸君らの気持ちはよく理解できた。
 私も君達と同じようにこの国の行く末を憂慮している」

おお、とどよめきが湧き上がる。

「だが通常の手段では小日本に米帝を打倒し、
 偉大なる中華民族の復興という中国の夢を実現するには力が足りない。
 現に我が国が先制核攻撃を準備し行動に移すさいに我が方の情報は米帝に対して筒抜けである」

東シナ海の海は浅く、抑止力となる中国のSSBNの行動は常にアメリカと日本に容易に察知される。
これまで考えられる対策、地下の発射サイロに潜水艦が隠れる秘密基地などがあるが先に立ちふさがる日本、
そしてアメリカの早期警戒システムを前に先制核攻撃において中国はアメリカに対して極めて不利な状況であった。

「しかしそれでも東洋鬼に懲罰を加えねばならない、
 再び復活しようとしている軍国主義の過ちは正さねばならない」

長老の言葉に周囲の人間が頷く。

「小日本の後ろ盾である米帝を打倒し、
 自然物に過ぎない日本人を全滅させ、列島を我が物とするのだ。
 門の向こう世界を手に入れて、門の向こうの日帝を完全に打ち砕くのだ。
 我々の手で中華の偉大な歴史を作り、新秩序を作るのだ、全ては祖国のために」

そして一拍。

「そして同志諸君……例の件だが、
 第二砲兵の試算で技術的に問題ないとの結論が出た。
 我々は武器となる矛をついに手に入れたのだ!」

「な、なんですと!」

「ついに我々は米帝を打倒しうる手段を手に入れたのですね、同志!」

男達は長老の言葉の意味を知っているおり、歓喜が爆発する。
それは門の向こうの大日本帝国が一般情報として公開されたとある情報から思いつかれたものである。

核兵器以上に外道外法の物であるが、元々超限戦。
サイバー攻撃から始まり金融、外交、諜報、広報、テロ。
と、あらゆる手段を用いて制約なく戦う超限戦をドクトリンとしている軍ゆえ、
もたらすであろう相手の被害などまったく考慮していないかった。

「同志諸君、各々の領分において準備を始めるように。
 これから忙しくなるぞ、ただし決して弱腰の政府共に知られるな」

長老の言葉に男達が笑みを浮かべ頷く。
 


「何せ我々は大西洋津波を人為的に起こし、
 米帝だけでなく欧州から阿片戦争以来受けた屈辱を晴らすという大儀を果たすのだから」

















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続いたネタ10 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2015-10-22 21:47:56 | 習作SS

続いたネタ10 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり


炎龍を撃退したが残念ながらコダ村の住民から犠牲者が出てしまった。
そして各自が行くあてを頼りに分かれる時、住民から見捨てられた身寄りの無い人間、その数23名。
老人や子供が不安の表情を浮かべ伊丹を注視してたが、

「大丈夫、まかしておきなって」

アルヌスの丘に連れて帰る決断を下した。
上からは人道支援で雛民の護送を命じられても保護して連れて帰る許可は出ておらず、
下手をすれば見捨てるように命令されることもあったが定時報告をサボることで凌ぐつもりであった
もしも突っ込まれてもこの世界の住民との交流を図るため、と拡大解釈する予定だ。
そして日本軍側の指揮官であった小野田少尉も同じ考えで伊丹と口裏を合わせた。

のだが。

「まさか避難民の受け入れ許可が出るなんてあの時は思わなかったですよ」
「日本軍と話し合って事前にある程度予想された状況だ、それに現地協力者を作る絶好の機会だったからな」

まるで予想したかのように身寄りの無い避難民受け入れ許可が届き、
処罰や避難民を見捨てることを覚悟していた伊丹にとって驚きであった。
その裏事情をアルヌスの丘に帰還した伊丹が柳田から聞いて初めて知った。

「で、柳田さん。わざわざ俺を個室に呼び出して何の用ですか?
 たぶん裏で色々事務方として動いていたことを感謝しますけど、
 これから避難民の食事やら住む場所やら色々必要な書類を処理しなきゃならないので」

「まあ、そう焦るな伊丹」

面倒くさそうに言う伊丹に対して柳田が制止を促す。

「まずはこれを聞いてみてくれ」
「レコード?向こうの日本の物ですか?」

絶滅危惧主の音楽媒体に伊丹の脳内に疑問符が浮かぶ。
柳田が言わんとしている意図が読めなかったからだ、しかし。

「こ、これは!?」

レコードから流れる音楽は伊丹に聴き覚えがあった。
というよりも懐かしさのあまりに驚愕してしまった。
そう、アニメ「涼宮ハ○ヒ」のEDテーマ曲「ハレ晴れユカイ」であった。

「お前もそうか、二科に所属するオタクもそんな反応をしていたよ。
 何でもこの曲は1930年代から向こうのお嬢様学校でダンスと一緒に流行っているそうだ」

「せ、1930年代っい!?」

伊丹は驚きの声を挙げる。
ハ○ヒと言えば2000年代流行した作品であるのだが、
それが70年も前に流行している事実に理解が追いつかなかった。

いや、可能性は1つだけある。

「柳田さん、これってやっぱり…」

「お前が書いた報告書、
 未来人云々について公式的には認めていないが、
 上の人間は歴史の流れに何らかの可能性を覚えている、と言っておこう」

上の人間も未来人の可能性を内心認めていると柳田は言った。

「なあ、伊丹。
 永田町は知りたがっている、
 この特地だけでなく別の歴史を歩んだ日本の正体を。
 1940年代にトランジスタを実用化させているような進みすぎた日本とその世界を。
 政治家に経済界の連中は大日本帝国との交易、そして油田に各種資源開発に色めき立っている」
 
「でも、お高いでしょ。
 その代償やら外圧やらで」

伊丹が肩を竦める。

「ああ、実際あるさ。
 中国やら韓国やらは大日本帝国と国交を結んだことは軍国主義者の復活を意味するらしい。
 国内の馬鹿左翼と不愉快な仲間達は連日銀座と帝国の大使館前で飽きずに抗議活動をしているし、
 アメリカは特地だけでなく帝国に興味を示していると来た、ああ、たしかに外圧は鯨や自動車以上に凄い、世界的な経済問題もあるからな。
 だが、特地と帝国日本があれば世界の半分を敵に回しても良いほどの価値がある可能性がある、それを見極める必要があるんだ」

エリート官僚として人一倍愛国心が強い柳田が日本を取り巻く現状を伊丹に説明した。

「まさかたかが二尉の俺がこんな話を聞くなんてな。
 で、そんな世界を出し抜くためにこの世界の情報を必要で、
 今回俺が連れてきた避難身との交流を利用して現地協力者に仕立て上げ、
 最終的にはこの特地に存在する資源、世界情勢の調査に役立つ人材を育てると」

「なんだ、分かっているじゃないか、伊丹。
 お前には避難民を現地協力者に仕立て上げる任務が近々正式な命令として下されるだろう。
 それと大幅な自由行動が認めれる、何グリーンベレーも現地協力者を育成するだろ?それに習ってみるといい」

「Sなんてならなきゃ良かった…」

伊丹が特殊作戦郡に所属していることを知る柳田の言葉に伊丹が本気で後悔する。

「ふん、給料分せいぜい働くんだな、
 それと小野田少尉とは引き続き一緒に行動してもらうからな」

柳田が有能な怠け者である伊丹にそう伝えた。













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ヴァルハラの乙女 第18話「英雄再び」

2015-10-20 22:57:37 | ヴァルハラの乙女


【原作】では無理をしたバルクホルンがネウロイに深入りしすぎた点。
加えて少佐と一緒にいる宮藤に嫉妬を覚えたペリーヌが己の実力を証明すべく無茶な機動をするバルクホルンに随伴。

結果双方が衝突、その隙をネウロイが逃すはずがなく攻撃。
バルクホルンはシールドを展開するが間に合わず光線が弾装に触れて引火。
負傷して墜落から始まる主人公宮藤との係わり合いなのだが…どうしてこなった、というか!

「痛っいなあ、畜生!!」

現在絶賛落下中!
上空からはネウロイの光線が逃がさぬとばかりに飛んできている。

『…っトゥルーデ!意識はあるのね!!』
「ん、ああ。ミーナかわたしは大丈夫だ。腕に破片が刺さって痛いけど何とか」
『そう…』

ミーナから通信が入る。
何とか、と言ったけどネウロイの光線でペリーヌの爆発して、
飛び散った破片が左腕に何個も突き刺さっており、焼き鏝を押し付けられたような痛みがする。

というか、血まみれだ。
左腕は動かしにくいし、左の方で持っていた銃なんて落としてしまった。
制服を駄目にした点に銃の紛失…後で用意する書類が面倒だ……。

「それより、ペリーヌに意識がない。
 腹部に出血している、早く宮藤を」

間一髪で捕まえ、現在胸元に抱いているペリーヌに意識がなかった。
腹部に光線で暴発した銃の破片が突き刺さっており血が制服越しに滲み出ている。
状況といい【原作】のバルクホルンそっくりだ、くそ。

『ペリーヌさんが!?分かったわ、すぐに宮藤さんを向かわせます』
「たのむ」

よし、メイン盾兼治癒ユニットの宮藤が来れば何とかなる。
後は安全な場所まで離脱できたらいいけど、ストライカーユニットは破片を浴びたせいで出力が出ない。
煙も吐いているからペリーヌを抱えて安全圏に不時着するぐらいしかできないだろう。

それにしても参ったな。
機動力が発揮できないせいで、どうもネウロイから離脱できない。
というか、このまま墜落するしかないようだ。

それに――――あ、やばい。

『トゥルーデ!逃げて!!』

特大の光線が逆さの視界。
上空にいるネウロイから迫ってきている。
というかこっちに突っ込んで来ている、シールドじゃあ、防げない質と量だ。
定石通りならここは逃げの一手だけど。

「出力が出ないっ…!!」

畜生、ユニットの出力が出ないせいで逃げられない。

ああまったく、まいったな。
まさかここでこういう事になるとは。

「すまん、いや、ごめんペリーヌ」

シールドと自身という肉の壁では無駄と知りつつもペリーヌを抱きしめる。
死にかけたことは何度もあったけど、こんな形でなるなんて。
無線でミーナだけでなくリネットに坂本少佐まで何か叫んでいるけど、その内容が頭に入らない。

心残りは沢山有る。
中でもこの世界の行方、
ネウロイがいなくなった後の世界が見たかった。

だから、頼んだぞ。

「世界を頼む、主人公。
 そしてごめん、ミーナ、エーリカ」

そう言ってわたしは眼を閉じた。
閉じたのだけど…直撃するはずだった光線は防がれた。
どうも主人公という存在をわたしはまだまだ甘く見ていたようだ。

轟音とガラスが砕けるような炸裂音が響く。
瞑っていた眼を見開けばそこにはネウロイが粉々に砕けており。

「バルクホルンさん、ペリーヌさん!大丈夫ですか!」

そう、またも宮藤だった。
シールドでネウロイをぶち貫いて主人公はそんな事を言った。
この主人公が非常識なのは重々承知していたけど、盾って、武器にも使えるんだな…。



※  ※  ※



時間は少し前に戻る。

「ペリーヌさんが!?分かったわ、すぐに宮藤さんを向かわせます」

落下するバルクホルンからの報告にミーナが叫ぶ。
仲間の負傷、それも極めて重症という内容にミーナ自身が直ぐにでも駆けつけたかったが、
そうはさせまいとネウロイの光線がミーナとリネットの直ぐ傍を過ぎ去る。

「…っリネットさん!」
「はい!」

ミーナの指示でリネットが対戦車ライフルをお返しとばかりに発砲。
ネウロイに直撃し、白い結晶が吹き出るがまだ墜ちない。
それどころか周囲に我武者羅に光線を放っている。

「固いわね…!?」

ネウロイの頑丈さは人類側のあらゆる兵器を超越しているが、
大型ネウロイ、特にドーバー海峡を越える大型ネウロイは特にその常識を超越している。

何せ戦艦すら破壊するだけの攻撃力、
さらにその主砲の直撃にある程度耐えるなど常識を超えている。
だからこそ魔女、ネウロイの天敵足りうるウィッチの出番だ。

何時もならこのあたりでコアが露出するか、
飛行するだけの力を喪失して墜落しているはずだが、
どういうわけか今日のネウロイはしつこい上にここまで頑丈と来るとミーナは辟易する。

早急にコアを見つけ出し破壊しなければ長期戦は免れないだろう。
ゆえにミーナは指揮官として回答を導き出す。

「坂本少佐、宮藤さんともう一度突入するように!
 バルクホルン、クロステルマンの両者の離脱時間を稼いでください!」

了解した、という返答を受けてため息。
これならシャーリーにルッキーニの2人も連れてくるべきだったか?
そうミーナは考えたが、今から呼び寄せても間に合わないし上に基地の戦力がエイラとサーニャだけになってしまう。

「だから現状の兵力で何とかするしかないわね」

足りない戦力で何とか賄う。
ネウロイとの戦いで昔から変わらないことだ。
カールスラントからの撤退、そしてガリアで最愛の人を失った時も―――。

『っ…バルクホルン!!』

坂本少佐の言葉に意識が現実に戻る。
慌てて視線をネウロイに向けて見ればネウロイが急降下を始めていた。
それも現在進行形で落下しているバルクホルンとペリーヌの2人に向かって。

2人が狙われている。
その事実にミーナは気付く。

同じく気付いたリネットが即座に狙撃し命中させるが止まらない。
坂本少佐も銃撃を浴びせつつネウロイの後を追うように降下するが間に合わない。
ネウロイは光線を放ちつつバルクホルン達に体当たりすべく降下している。

「トゥルーデ!逃げて!!」

悲壮な願いをミーナは声に出す。
だが、現実は非情であった。

『出力が出ないっ…!!』

バルクホルンからの返答は逃げることは不可能、というものであった
その事実にミーナは顔を青ざめる。

「…っ連続射撃、始めます!!」

事態を把握したリネットが連続して対戦車ライフルを放つ。
いくらウィッチとして基本的な体力が向上しているとはいえ、
対戦車ライフルなので連続射撃は肩に相当な負担を掛けている行為である。
が、それを承知でリネットは行い見事に命中させるがネウロイはその動きを止めなかった。

『すまん、いや、ごめんペリーヌ』

達観したバルクホルンの声が無線越しに届く。
ミーナはそれに最後まで諦めないように言おうとするが言葉に出ない。

『世界を頼む、主人公
 そしてごめん、ミーナ、エーリカ』

最後となるであろう言葉をバルクホルンが呟く。
主人公という予想外の言葉にミーナは驚くと同時に、
自分やエーリカの名前が出たことで胸が痛めつけられる。
本来謝罪すべきはかかる事態を招いた指揮官であるミーナであるのだから。

そして誰も彼もが終わりだと感じたが―――。

『私が、みんなを守るんだから―――!!』
『宮藤!?』

宮藤芳佳がそう叫び、
坂本少佐の驚きを置いてゆくように芳佳がネウロイに突撃。
装備するストライカーユニットの性能以上の速度でネウロイに向かって降下する。

「み、宮藤さん!?」
「芳佳ちゃん、1人じゃ無理だよ!!」

思わぬ展開にミーナにリネットも驚く。
ユニットの性能以上の力を出している事と、
1人で大型ネウロイに立ち向かう無謀な行いに対して。
しかしそれは無謀な突撃でない、という事実を目の当たりにする。

芳佳は銃を撃たずにシールドを展開。
そのままネウロイに体当たりしその体に食い込みコアを破壊してしまう。
ネウロイは耐え切れず、その場で白い結晶を撒き散らして砕け散った。

「よ、芳佳ちゃん……す、すごい……」

常識外れの光景にリネットが呆然と感嘆の言葉を漏らす。
対するミーナはついこの間入ったばかりの素人が空母『赤城』を守ったことに続き、
再度やり遂げた偉業に言葉を失っており、出撃前にバルクホルンが語った事を振り返った。

「英雄、ね」

まだネウロイと呼ばれなかった人類と怪異との戦いでも、
やはりウィッチが先陣を切り開き、人々に希望を齎す英雄的存在であった。
現代の戦いでも英雄と呼ばれるウィッチは実在しそこにミーナ自身も含まれている。

だが、この戦いは異常だ。
航空歩兵、いいやウィッチ全般から見て芳佳は遥かに抜きん出ている。
単機であそこまで出来るウィッチなどミーナは今まで聞いたことがない。

「とんでもない人材を引き当てたわね…」

あの宮藤博士の娘、
という肩書き以上の実力にミーナは嘆息した。















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