「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



長い長い待機列。
「どこが先頭?」
サブグラウンドを囲むように伸びる赤い放列。
「みんな入れるのかな?」
「山形の人って、のんびりしてるから大丈夫かな?」
「来年も当たるなら水曜日がいいな」
「観光のついでに観戦、も減るしね」
山形はとてもいいところ。
僕らをお客さん扱いしてくれるありがたい運営。
けれど2万人収容では、ウチらには小さいな。

GK都築
DF永田・阿部・闘莉王・峻希
MF啓太・細貝・原口・セルヒオ
FW高原・エジミウソン
リザーブ山岸・濱田・堀之内・西澤・直輝・ポンテ・林
坪井が2戦連続欠場。
負傷が癒えないためか、直輝はベンチスタート。
両サイドバックはともにルーキー。
「チャラと峻希の裏、狙ってくるんだろうな」
「ボールを溜める選手がいないな」
誰かが戻れば誰かが離脱。
苦しい苦しいシーズンが続く。

ボールを回す浦和。
パスワークには1日の長があるのか。
「15番って誰?」
「9番は古橋!?」
7番以外馴染みの薄い山形。
クロスボールに果敢に突っ込むFW。
「怖いんだよな、ああいう飛び込みって」
相手の気合に押される浦和。
「バランス悪いな」
「闘莉王、上がり過ぎじゃない?」
落ち着きのない浦和。
PA付近まで迫られる、
しかしフィニッシュは許さない。
動けないのか、動かないのか。
神戸戦のようなリズムが見られない。
慣れない場所、暗いスタンド。
僕らの声は、どれだけ響いているのか。
感覚が掴めない。

DFラインが振られる。
「マズいぞ…」
眼下のネットが激しく揺れる。
24分、山形先制1-0。
全身で喜びを表現する山形イレブン。
「ったく…」
「目を覚ませ!」
目を覚まそう。
こんな所で足踏みなんてしていられないんだ。

相手との競り合いに苛立つ闘莉王。
「何であんなにカリカリしてんだ?」
ジャッジが曖昧なのは今日に始まった訳じゃないのに。
守備に忙殺される啓太、細貝。
狙われる永田、峻希。
「しっかり、落ち着いて」
ロスタイム1分。
右からのクロス、選手が交錯する。
「誰か倒れてる…」
主審のがPAを指す。
「PKだ、PK!」
闘莉王が起き上がる。
「闘莉王が蹴るのかよ」
「違うよね!?」
キッカーはエジミウソン。
ざわつくゴール裏。
(煩いな…、黙れよ)
「静かに!!」
思わず声が出ていた。

右隅に決まるゴール。
拍手も笑顔もない。
そう、僕らは勝ちに来たのだから。
前半終了、1-1。

HT、永田・原口out西澤・ポンテin。
「やっぱりね」
峻希が左SB、右にヨシヤ。
ロビーが右MFに入る。
ロビーからヨシヤのミドルシュート。
「そう、打っていこう」
高原が右サイドを駆け上がる。
PA内深く進出。
「行け!タカ!!」
「す、スゲー…」
角度のないエリアからニアをぶち抜く。
47分、浦和逆転1-2。
「凄いよ、凄すぎるよ」
高原が還って来た。
あの高原が還って来た。
「一気に突き放そう、今ならいけるよ」
51分、ロビーがPA内で倒される。
「PKだ!」
判定はノーファール。
主審は松尾氏。
「PKだよなぁ、今の…」
細貝が相手ボールにスライディングタックル。
「激しいな…」
52分、細貝警告。
その直後、啓太のミドルはゴール左へ。
「啓太だから、仕方ないか」
「惜しかった、もうちょっとだ」
押せ押せの浦和。
涼しい山形の風が、体力の消耗を防いでくれる。
跳ねても、疲れない。

「ロビーがいると違うね」
“溜め”が出来る。
前半消えていたセルヒオが活性化する。
エジ&タカの動きが連動する。
「もう1点、取ろうぜ」
中央から峻希、エジのヘッド、ロビーのCK。
「いいぞ、そうだ!」
「あと1点あれば決まるよ」
ゴールに迫る浦和。
追加点が、遠い。
79分、ふわりと浮かぶボール。
「都築…」
GKの上を越えるボール。
「まじ、かよ…」
山形同点、2-2。

この声を止めたら負ける。
まだ終わってない、勝つんだ。
沈みそうになる気持ちを奮い起こす。
「勝たなきゃ、勝つんだ」
右からの攻撃。
闘莉王が打つ、角度が変わる。
82分、浦和勝ち越し2-3。
「タカだよ、タカ!!!」
「何で打てるんだ?今のヘディング」
高原が決めた。
「あと10分、集中しよう」
84分、セルヒオout堀之内in。
「ホリ、頼むぞ」

ロスタイム3分。
諦めない山形。
応戦する浦和。
「頑張れ!あと少しだ」
「いいぞ、ホリ」
「止めろ、峻希!」
(まだか、まだ終わらないのか)

主審の手が挙がる。
試合終了2-3。
「キツかったな…」
「強いな、山形」
凱歌の中、スタジアムを出る。
カクテル光線に照らされた赤い背中たち。
「綺麗だね、ウチの赤って」
勝ち点3。
これだけのために、ここまで来たんだ。
ひんやりとした風が、心地よかった。



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後援会ツアーで楽をさせてもらった今回の遠征。
“運転しなくていい=飲酒OK!”
気が緩むね。
酒に対して気が大きくなるね。
新幹線車中、スタジアム、祝勝会、駒場…。
だらだらと飲み続けた結末はいつもの・・・

月曜の胸のむかつき

参ったな、もう。

[追記]
PKは時の運。
そう思えるようになったのはやはり、
ACLを経験したからだろう。
不安定且つ不可解なジャッジに
感情を大きく左右されることがなくなったね。
“チームとしての強さ”は
こんなところにもあるのかな、なんてね。

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