「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



曇り空。
天皇杯緒戦。
上着が必要な季節。
国立への道が、始まる。

件のメッセージが掲げられたスタンド。
選手たちと僕らの距離が、遠ざかっていく。
明確な意図を感じない戦術。
明日が見えない不安。
空と同じ色が、僕のココロに宿る。

“こんなの、浦和じゃない”
丸亀への算段も取れぬまま挑む試合。
「元旦国立」は合言葉でなくなっているのだろうか。

GK都築
DF坪井・闘莉王・堀之内
MF平川・啓太・細貝・暢久・ポンテ
FW達也・エジミウソン
リザーブ山岸・堤・相馬・梅崎・阿部・セルヒオ・高原
阿部勇樹、高原がベンチスタート。
永井はやはり、ベンチ外。
“一応、2人はお休みってことかな”

静かな駒場。
新潟よりも寒々しい気さえする。
「個」の力を全面に出す浦和。
モチベーションの高さを感じる愛媛。
競り合いはほぼマイボール。
“力は上なんだけどな”
連動性がない、決定機を掴めない。
素早いプレスに苦心している。
“何もないのかな”
これといった「型」のない攻撃。
堅守とは言い難いディフェンス。
エジが落として達也が反応。
闘莉王の前線への進出。
ロビー、細貝のスルーパス。
暢久の単独突破。
どれも「型」に嵌らない。

醒める、色褪せる。
浦和が浦和でなくなっていく。

前半終了、0-0。

“緒戦はいつもこんな感じになるんだよな…”
ピッチから気持ちは伝わってくる。
気持ちだけは痛いほど、伝わってくる。
何もしない、何も出来ない自分がもどかしい。
“頑張れ、しっかり!”
エジのシュートはGKがブロック。
そのこぼれ球を細貝が狙う。
“堅いな、向こうのDF”
ツキも味方に付いてくれないのか。
右サイドを駆ける坪井。
ゴールを狙う闘莉王。
“1点取れば、な”
変わる、変わって欲しい。
重苦しい雰囲気。
楽しくないよ、こんなの。

69分達也outセルヒオin。
スタンドから沸くブーイング。
“何だ?それ??”
“戦う選手に失礼じゃないのかな…”
“こんなのって、ないよ…”
何か大切なものが砕ける音がした。
“采配に口出しはNGだよ…”
ゴリゴリ攻めるセル。
“交代の意図、あったじゃない”
達也とは違う色に、前線が染まる。

77分、啓太out阿部勇樹in。
“啓太、消えてたな”
“戻って来ないな、啓太”
ボランチに闘莉王、阿部勇樹はDFラインに入る。
その直後、カウンターを浴びる。
“集中!!しっかり!!”
ここで負けたら僕らは分解してしまうかも知れない。
勝敗とは別の危機感に襲われる。
“延長は勘弁だぞ”
“90分で決めてくれよ”
願いも虚しく後半終了、0-0。

円陣を組む選手、スタッフ。
“まさか最初からこうなるとは…”
“罰ゲームみたいだよ”
西側、CKからの混戦に笛が鳴る。
主審がスポットを指す。
“PKだ!”
“PK、だよな!?”
キッカーはロビー。
95分、浦和先制1-0。
喜びはない。
ただただ、安堵するばかり。
101分、細貝が退場。
“一発レッド!?”
“報復したってこと?”

残り20分、1人少ない浦和。
勢いの無い浦和。
観客が決して味方とは言えない浦和。
強烈なシュートを都築が弾き出す。
ミドルシュートはクロスバーに救われる。
“どうして、何でこうなるんだ…”

試合終了、1-0。
不穏な空気に包まれる。
“一応、勝ったんだけどな”
“僕が選手だったら、挨拶には行きたくないな”
“勝っても負けても、か…”


札幌、丸亀、大阪。
どこまでも付いて行くよ。
弱かろうと強かろうとね。

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