「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



覚えてるかな?97年のこと。
白馬に乗った試合、ギドは出場していないんだよね。
10日前のリーグ最終戦で負傷退場。
ホーム最終戦はナビスコ杯だったんだ。
(これは僕も忘れかけてたな)
次はアウェイ磐田戦。
「ここで勝てばギドが復帰する」
「もう一度、ギドと戦いたい」
正樹のミドルが決まった時はさ、
いける!って思ったんだけどね。
福田正博の足があと数センチ長かったら、
追い付いていたかも知れないのにね。

06.12.04 ギド・ブッフバルト監督の退任について (オフィシャルHP)

ひとつでも多く、少しでも長く、
共に戦いたい。
負けを知らぬまま、送り出してあげたい。

僕らに出来る恩返しは、それくらいだもの。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




10時点呼。
いつもならギリギリに家を出るのに、
気が急いていたんだ。
9時20分、出陣。
ところが・・・。
本太坂上あたりでチャリに異変が起きる。
“ペダル、取れた・・・”
不吉な予感。
誰にも伝えたくない。
けれど僕が点呼に間に合わないこと、仲間に知らせなきゃ。
出鼻をくじかれた朝。
“何もこんな日に起きなくてもいいのに”

GK山岸
DF内舘・闘莉王・ネネ
MF平川・啓太・長谷部・アレックス・暢久・ポンテ
FWワシントン
リザーブ都築・細貝・相馬・伸二・永井・達也・岡野
誰がスタメンで誰がリザーブで。
そんなこと関係なかった。
みんなで勝ち取らなきゃいけないもの。
みんなで奪うもの。
気合、集中力。
僕の苦手なものが、僕自身の中に宿っていた。

形容しがたい緊張感。
張り詰めたスタジアム。
5分、シトンのヘディングシュートが襲う。
“惜しい!!”
GKファインセーブ。
FKから闘莉王、枠に飛ばず。
“先制したい、先制しよう”

14番、11番がウチら目掛けて刃を剥く。
“家長なんかに負けんな!”
“播戸かよ、憎たらしいな”
次第にG大阪が主導権を握る。
16分、啓太に警告。
“ここで(警告を)喰らったか・・・”
“思い切りいけなくなるとマズイんだよな”
21分、揺さぶりから最後はマグノアウベス。
0-1、G大阪先制。
“チッ!”
唇を噛み締める。拳を握り締める。
表しようのない不安が脳裏を過ぎる。
“大丈夫、大丈夫だよ”
“まだ1点余裕あるんだ、落ち着こう”
自分に言い聞かせる。
“優勝するんだ、絶対優勝するんだ”
“ヤるしかないんだよ、な”
緊張から解き放たれる。

いつものように、いつも以上に跳ねる。
27分、シトンからロビー。
“!!!”
1-1、同点。
10年以上、共に戦った来た仲間たちと喜びを確認し合う。
“これでいける、いけるよ”
振り出しに戻る、それ以上の自信が漲る。
“もう1点、あと1点で決まる”
既に掠れた声、身体が熱い。

強いチーム同士のぶつかり合い。
怯まず攻めるG大阪。
闘莉王、ネネが防御する。
“ネネ、いい感じだよね”
内舘のミドルはGKセーブ。
“そうだ、それでいいんだ”
44分、右に流れたポンテからワシントン。
浦和、逆転。
“凄いよ、シトン”
“凄いよ、ロビー”

前半終了、2-1。

“ガンバ、強いな”
リードしているのは浦和。
攻めているのはG大阪。
“焦るな、落ち着いていこう”
落ち着かないのは選手ではなく、僕だった。
CKからポンテのループは枠の外。
“狙ってたんだよね、きっと”
54分G大阪、遠藤投入。
“来たか、ヤット”
“しっかり、やられるなよ”
“巧いな、遠藤・・・”
シジクレイが足を引き摺ったままピッチを出る。
“×、出してるよ”
“ラッキー、今がチャンスだ”
“攻めろ、上がれ!”
交代が遅れるG大阪。
“早く!(点を)取れるよ”
59分、アレックスから闘莉王、ワシントン。
3-1。
“やった!”
“やったぞ!!”
“どフリーだったよね”
“シトン、得点王だ”
“あと30分、4失点してもOKってことだね”
意識して言葉にしなかった2文字が、現実味を帯びてくる。
“シトン、もう1点取ろうよ”

守備的になる浦和。
守備的にならざるを得ない浦和。
G大阪の反撃。
遠いサイドでの攻防が続く。
“頼むぞ、ギシ!”
“いいぞ!ギシ!”
危うい時間を山岸が止める。
“頑張れ、堪えてくれギシ”
73分アレックスout達也in。
“左サイドかよ、達也”
狙われる左、自陣深く押し込まれる。
“達也、頑張れ”
“負けんなよ、達也”
“何で達也にあんなことさせるんだ!?”
78分、失点。3-2。
“大丈夫だ、まだ勝ってるんだ”
“追い付かれたっていいんだよ”
“勝って、勝って決めようよ”
心の中の葛藤、二律背反。
“夢にまで見た瞬間まで、あと15分。

83分平川・ポンテout岡野・坪井in。
達也が前線に戻る。
“こうだよな、普通”
その時が近づいてくる。
声を出しながら、跳ねながら上空を見上げる。
“あと少し、あと少し”
ロスタイム2分。
“早く終われ、終わってくれ・・・”
16時55分、主審の手が挙がる。
試合終了、3-2。

嬉しくて、嬉しくて。
言葉にならないほど、嬉しくて。
こんな日が来るなんて、信じられなかった。
夢みたいだよ。

歓喜の輪を描く選手たち。
優勝、したんだ。
優勝、したんだよね。
リーグ優勝がこんなに嬉しいなんて、知らなかったんだ。

みんな、ありがとう。


コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )