リクエストしていた本をさっそく借りてきた。図書館に申し込めばすぐ用意して待っていただけるのはありがたい。
「奈良少年刑務所詩集」 詩受刑者 編 寮美千子 長崎出版 2010
少年刑務所の「更生教育」として行われた「社会性涵養プログラム」から生まれた詩を編んだものである。
その詩の一つ一つに、犯罪を犯した少年たちの、生活や思いや、関係が浮かび上がる。
あたりまえの感情を、当たり前に出せない子どもたちがいます。
感情は鬱屈し、溜めこまれ、抑えきれないほどの圧力になり、
爆発して、時に不幸な犯罪をひきおこしてしまいます。(文中)
この本を読むきっかけは、犯罪を犯してしまう子どもたちの背後に家庭の中での虐待やDVが影を落としているのではないか、と思ったからです。予想どおり、というか予想を超えて、暴力はこどもに深く影を落としています。暴力のある環境では感情を出せなかったり、言葉を持たずに表現できなかったりということは、よくあることです。
そんな彼らが、母を書いている詩が何遍もありました。切ないくらいに母を思う詩。
あたりまえの感情を、あたりまえに表現できる。
受け止めてくれるだれかがいる。
それこそが更生の第一歩です。
受刑者たちの心の声にどうか耳を傾けてください (文中)
刑務所ではなくても、当たり前の感情を当たり前に表現できずに、しんどい思いを抱えて生きている人と出会うことがある。
ことばをどう紡いで交わすことができるのか、この本からヒントをみつけられたらいいなと思う。