百子の部屋

日々のあれこれ思いのままに。。。

「毒笑」読みました

2006年03月19日 | 読書

「毒笑」 飯尾憲士

タイトルが面白そうなので、読んでみました。
この本は一昨年夏、77才で亡くなった作家の遺稿集だそう。。。
初めて読む作家さん、なんだけど、
芥川賞候補にも、直木賞候補にもなったことがあるとか。。。

短編が10篇収録されているのだけれど、
どれも、年代を感じさせない文章で、読みやすい。

「毒笑」では、建設会社の課長補佐が、自殺に追い込まれる、
「寂しい科学者」では、妻子と別居して暮らしていた科学者が、脳溢血で倒れる、
「消えた老人」では、いつも神社の境内のベンチに座っていた老人が、
突然、姿を消す。。。など、

どれも、社会の片隅で、小さな幸せを大切にしながら生きている人々を、
主人公とし、あたたかい目で見つめ描かれているのが解かる。
しかし、そこに忍び寄る影。。。
それが、物語の深みでもあり、切なさでもあり、どれも、心に残る作品。

地味。。。と言えなくもないが、落ち着いていて、
本格的というか、私は、すごく気に入った!
他の作品もぜひ、読んでみたいと思う。

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コメント (4)
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