<日本の宿 (1)>
(あららら、焼き豆腐にまで「古窯」の文字が・・・)
ここは全国の旅館ランキングで常に毎年ベストファイブ以内に入る宿、「日本の宿古窯」である。
弛まずブログを発信し続けてついに目標の百万アクセスを突破した。その自分への褒美なのである。なんという贅沢な宿をと思われるかもしれないが、なあにこの日のために貯めに貯めたポイントをつぎ込んで宿賃はわたしの通常最高限度の一万五千円以内に抑えてある。
本当はステーキのプランが良かったのだが予算を超えるのでこの割安なすき焼きプランにしたのだ。
「(すき焼きの)火はいつごろ点けましょうか」
芋焼酎の水割りを頼むと、すかさず訊いてきた。
「もう、点けてください」
とにかくわたしは旨そうなものは真っ先に食べるほうなのである。
全国にはいろいろなブランド牛があるが、わたしはその「一番」に米沢牛を選ぶ。初めて米沢牛を食べたのは、米沢から奥羽本線で二つ北上した高畠駅に宿泊したときのことだ。フロントで近辺の食事処を訊ねたところ、割引券つきで焼肉屋を紹介してくれたのだった。その米沢牛の焼肉を食べたとたんに米沢牛ファンになってしまったのだ。高級料亭やレストランではなく、普通の町の焼肉屋なのだ。その後、米沢牛を何度も食べるようになるのだが一度も裏切られたことはない。
米沢牛をじっくり煮込んでももったいない。火が通り色の変わったところで待ち切れずにかき混ぜた温泉玉子に浸して口に放り込む。米沢牛独特の濃いがすっきりした肉の甘みが溶けるように広がっていく。底しれぬほどうまい。止まらずにもう一枚も食べきって人心地ついた。
「蔵王膳」と名付けられた今夜の献立は「食前酒 古窯特製梅酒」でスタート、もう肉を食べてしまった鍋物「特撰米沢牛すき焼き 胡麻味噌だれ 温泉玉子」。
先付は「季節の野菜料理、小鉢色々、本日のおすすめ」である。
甘みにわたしは極めて敏感で、自分の限度を超えた甘さを舌が察知すると残してしまうのだが、絶妙としかいえない味付けで、ここの料理長はとにかく只者ではない。いつも半分以上残す先付けだが、食べきってしまった。
古窯特撰漬物寿司も、さっぱりと秀逸な味わいだ。
御造りは「雪国氷盛り」、かまくらの中に新鮮な刺身が並ぶ。
煮物は「秋の風物詩 山形名物いも煮」であった。このいも煮の味付けも唸ってしまうくらい絶妙であった。
席を立って一階の喫煙スペースで一服して戻ってくると、そのタイミングで蒸し物の「蟹風味茶碗蒸し」が運ばれる。
係りの仲居さんが担当するそれぞれの客の食事の進行状況をさりげなくチェックして、料理の提供する最高のタイミングを図っているのだ。さすがに凄い。
最後に御食事「山形のお米つや姫」と「留め椀 田舎風味噌仕立て」、そして「香の物 山形の漬物色々」である。
デザートは、古窯名物の壺プリン。
このプリン、ひと口食べた瞬間にわたしの好物のハーゲンダッツのバニラアイスの味じゃないかと思った。
これなら、うちのタヌキ(あわわ)・・・じゃなかった海ちゃんでも間違いなく喜んで食べるだろうな。きっと今ごろ「ふん、どこかでわたしの噂してるわ」とむっくり起きているかもしれない。
ああ、いやはや喰い過ぎてしまったわい。
部屋に戻り、喰い過ぎた腹をさすっていたら、どこかの部屋のノックが聞えてきた。と思ったらわたしの部屋である。
ドアを開けると若い仲居が立っていて、
「女将からの、デザートの果物でございます」
もう、これ以上喰えんぞ。恐るべし「古窯」。
― 続く ―
→「米沢、米沢牛特撰ロースランチ」の記事はこちら
→「かみのやま温泉(1)」の記事はこちら
→「かみのやま温泉(2)」の記事はこちら
(あららら、焼き豆腐にまで「古窯」の文字が・・・)
ここは全国の旅館ランキングで常に毎年ベストファイブ以内に入る宿、「日本の宿古窯」である。
弛まずブログを発信し続けてついに目標の百万アクセスを突破した。その自分への褒美なのである。なんという贅沢な宿をと思われるかもしれないが、なあにこの日のために貯めに貯めたポイントをつぎ込んで宿賃はわたしの通常最高限度の一万五千円以内に抑えてある。
本当はステーキのプランが良かったのだが予算を超えるのでこの割安なすき焼きプランにしたのだ。
「(すき焼きの)火はいつごろ点けましょうか」
芋焼酎の水割りを頼むと、すかさず訊いてきた。
「もう、点けてください」
とにかくわたしは旨そうなものは真っ先に食べるほうなのである。
全国にはいろいろなブランド牛があるが、わたしはその「一番」に米沢牛を選ぶ。初めて米沢牛を食べたのは、米沢から奥羽本線で二つ北上した高畠駅に宿泊したときのことだ。フロントで近辺の食事処を訊ねたところ、割引券つきで焼肉屋を紹介してくれたのだった。その米沢牛の焼肉を食べたとたんに米沢牛ファンになってしまったのだ。高級料亭やレストランではなく、普通の町の焼肉屋なのだ。その後、米沢牛を何度も食べるようになるのだが一度も裏切られたことはない。
米沢牛をじっくり煮込んでももったいない。火が通り色の変わったところで待ち切れずにかき混ぜた温泉玉子に浸して口に放り込む。米沢牛独特の濃いがすっきりした肉の甘みが溶けるように広がっていく。底しれぬほどうまい。止まらずにもう一枚も食べきって人心地ついた。
「蔵王膳」と名付けられた今夜の献立は「食前酒 古窯特製梅酒」でスタート、もう肉を食べてしまった鍋物「特撰米沢牛すき焼き 胡麻味噌だれ 温泉玉子」。
先付は「季節の野菜料理、小鉢色々、本日のおすすめ」である。
甘みにわたしは極めて敏感で、自分の限度を超えた甘さを舌が察知すると残してしまうのだが、絶妙としかいえない味付けで、ここの料理長はとにかく只者ではない。いつも半分以上残す先付けだが、食べきってしまった。
古窯特撰漬物寿司も、さっぱりと秀逸な味わいだ。
御造りは「雪国氷盛り」、かまくらの中に新鮮な刺身が並ぶ。
煮物は「秋の風物詩 山形名物いも煮」であった。このいも煮の味付けも唸ってしまうくらい絶妙であった。
席を立って一階の喫煙スペースで一服して戻ってくると、そのタイミングで蒸し物の「蟹風味茶碗蒸し」が運ばれる。
係りの仲居さんが担当するそれぞれの客の食事の進行状況をさりげなくチェックして、料理の提供する最高のタイミングを図っているのだ。さすがに凄い。
最後に御食事「山形のお米つや姫」と「留め椀 田舎風味噌仕立て」、そして「香の物 山形の漬物色々」である。
デザートは、古窯名物の壺プリン。
このプリン、ひと口食べた瞬間にわたしの好物のハーゲンダッツのバニラアイスの味じゃないかと思った。
これなら、うちのタヌキ(あわわ)・・・じゃなかった海ちゃんでも間違いなく喜んで食べるだろうな。きっと今ごろ「ふん、どこかでわたしの噂してるわ」とむっくり起きているかもしれない。
ああ、いやはや喰い過ぎてしまったわい。
部屋に戻り、喰い過ぎた腹をさすっていたら、どこかの部屋のノックが聞えてきた。と思ったらわたしの部屋である。
ドアを開けると若い仲居が立っていて、
「女将からの、デザートの果物でございます」
もう、これ以上喰えんぞ。恐るべし「古窯」。
― 続く ―
→「米沢、米沢牛特撰ロースランチ」の記事はこちら
→「かみのやま温泉(1)」の記事はこちら
→「かみのやま温泉(2)」の記事はこちら
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