温泉クンの旅日記

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杉本寺、苔の石段

2018-07-04 | 鎌倉点描
  <杉本寺、苔の石段>

 天平六年(734年)行基が十一面観音を安置して創建した、鎌倉最古の寺とされている「大蔵山 杉本寺」の、緑に苔むす石段である。冬になれば両側に紅い椿の花が見事に咲き競うという。



 たしかに、一見の価値は充分にある石段だ。かなり急勾配だが、石段は柵で囲まれており文字通りの「見るだけ」で歩いて昇ることはできない。



 記憶の底を軽く浚ってみた。
 苔に初めて魅了されたのは京都の苔寺(西芳寺)の庭園だった。そして奥入瀬渓流沿いでは息がかかるほどの至近距離で、活き活きとした緑滴る苔を観察でき、指と掌で恐る恐る触れて苔のふさふさ感を味わったな。

 杉本寺は報国寺からほど近い。
 報国寺から金沢街道に出て、鎌倉駅方向にちょっと戻ったところにあるのだが、あまりにも間口が狭いので見逃しそうになってしまう。



 参拝客は、閉ざされた苔の石段の左脇にある石段で迂回して本堂に向かうようになっている。
 茅葺屋根の本堂(観音堂)には三体の十一面観音像が本尊として祀られている。





「どうぞ。遠慮しないで、あがって参拝していきなさいな」
 本堂脇の趣きのある鐘楼までいって、さっさと引き返そうとするわたしを見透かしたように気合いのように声がかかった。旅館でいう大女将、天台宗の寺では前坊守さんといっていいのだろうか、どうにも抗いがたい威厳ある声音に、素直に従って参拝した。

 苔を一刻も早くみようと一瞬で通り過ぎてしまった仁王門(山門)を、あらためてゆっくり観賞する。



 仁王像は二体一組で「阿吽(あうん)の呼吸」からきている。
 向かって右側の仁王像、阿形(あぎょう)像。



 左側の仁王が吽形(うんぎょう)像。



 阿形像は口を開けて「物事の始まり」の意味を表現、吽形像は口を閉じて「物事の終わり」の意味を表現している。
 二体とも、日本のミケランジェロと称される、かの「運慶」作というが、圧倒的な力強さが少しばかり足りないように思えるのはわたしぐらいであろうか。



 ちなみにこの杉本寺だが、ミュシュラン・グリーンガイドで二つ星(=寄り道する価値がある)を獲得している。


  →「報国寺の竹林(1)」の記事はこちら
  →「報国寺の竹林(2)」の記事はこちら


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