温泉クンの旅日記

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伊賀の里、赤目温泉(4)

2022-06-12 | 温泉エッセイ
  <伊賀の里、赤目温泉(4)>

 今朝の温泉は、昨日の女湯だった「甘露の湯」である。

 

 毎度のことだが、広い湯船を独占して朝の熱い湯に身をゆだねていると、まさにこれは贅沢このうえないことだと、つくづく思う。

 

「うぅ・・・。はあっ~!」
 独りきりなので遠慮なく、盛大な吐息というか、ため息を吐かさせていただく。ため息もあくびも実のところ意外に効用があるのだが、できるだけ独りきりのときにするほうが無難である。

 ため息をつくと幸せが逃げる、というが、たしかに他人がため息を吐くのをそばで見ると、こちらの幸せまで逃げていきそうで気が滅入ってしまう。
 ところが、ため息は、バランスが崩れた自律神経の働きを回復させようとする体の作用で、とても役に立つ大事なものらしい。

 

 ため息がふと出てしまうのは心配事や悩みを抱えているときが多く、そんなときの身体は胸や腹の筋肉が緊張して、呼吸が浅くなる。すると、血液の中の酸素が不足気味になる。それを補うため、身体は自律神経の一種である「交感神経」を働かせて血管を収縮させる。血圧を上げ心拍数を高めて、全身への酸素供給を維持しようとするわけだ。
 ため息は、この“交感神経優位の偏り”を解消してくれる。息を長く吐くことで、浅くなった呼吸が深くなり、副交感神経がしっかりと働いて体をリラックスさせてくれる。

 恋人にさえ愛想を尽かされる「あくび」も同じく、息を強く吸いこむことにより新鮮な酸素を大量に血液の中に送りこみ、脳をはじめ体の全体を活性化させる効用があるのだ。
 ところで話は変わるが、猫のあくびはとても可愛い。猫好きなわたしなどはつい猫があくびをすると、思い切り広げた口に、剣の達人よろしく人差し指をスーと差しだしてしまう。
 あくびが終わる瞬間、指を横咥えさせられた猫の「なに! なんで?」という”きょとん”とした表情が愛おしくてもうたまらない。(あくまで悪戯で、虐待じゃないからね)


 

 露天風呂の広さは独りなら充分だが、少しばかり圧迫感を感じる。昨日の男湯「吉祥の湯」のほうが内湯、露天風呂、ともに広くて風情があったようだ。
 内湯の奥にあった泡風呂はパスさせてもらった。

 

 

 朝食時間であるが昨晩の食事のときに、明日滝の見物に行くならばチェックアウト後に送るがどうか、ではお願いしたいというやりとりがあって、では朝食は八時からでよろしいですね、と誘導されるようにまさにていよく段取りを決められてしまったのであった。

 

 

 長い待ち時間を潰し、ようやく時間がきて夕食と同じ食事会場へゆっくりと降りていく。隠れ里の温泉宿には似合わないプールだが、子ども連れには喜ばれそうである。
 ただ、その季節には、カメムシを始めとする蟲たちに悩まされることだろうな。
 昨日は気がつかなかったが、プールの前に貸切露天の小屋があった。

 
 
 朝食はかなり満足のいくものだった。

 

 

 他の卓も昨日の同じ顔ぶれが座ったが、朝食メニューに格差はなくどうやら同じようだ。

 

 川魚料理はどちらかといえば苦手なほうだが、朝食に出てくる一夜干しのなかにはたまにとんでもなく旨いヤツに出逢ったりする。群馬の水上温泉の宿では朝にたいてい鮎の一夜干しが出て、これが旨くないのだが、「たにがわ」という宿は滅法旨かった。

 

「この魚ですが、ヤマメですか?」
 あまりに旨いので思わず訊いてしまう。アマゴの一夜干しだという。
 渓流の女王と呼ばれ高級魚として知られるヤマメと、アマゴは見た目も流線型で同じ美味しさもほとんど同じ、ヤマメには腹に小判状のパーマークという斑紋が、アマゴの脇腹には赤い斑点があるくらいで、どちらもサケ科の陸封型の川魚である。
 養殖の尺アマゴもあるがこの一夜干しのアマゴはかなり小さいもので、常連客の釣り師が持ち込んだ天然ものかもしれない。

 食後に、と残しておいたプリンが妙に美味しかった。

 そうだ。云い忘れというか書き忘れるところだった。
 温泉好きなわたしを、温泉的には魅力の薄い赤目温泉への旅を思い立たせた動機であるが、「近々完全禁煙の宿になってしまうぞ」との情報が、ドンとわたしの背中を押したからである。


  →「続・谷川温泉(2)」の記事はこちら
  →「伊賀の里、赤目温泉(1)」の記事はこちら
  →「伊賀の里、赤目温泉(2)」の記事はこちら
  →「伊賀の里、赤目温泉(3)」の記事はこちら


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