温泉クンの旅日記

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読んだ本 2012年12月

2013-01-09 | 雑読録
  <読んだ本 2012年12月>

 正月料理ばかりをしばらく食べていると、思い切りシンプルなものが食べたくなる。



 生まれて初めておやきを食べたのは、たしか信州の金熊温泉だった。
 おやきを注文すると、小母さんが囲炉裏の灰のなかに軍手をはめた手をつっこみ、灰まみれのおやきを一個取り出して、軍手でぱんぱんと掃うとわたしに「はいよ!」と差し出した。
 ぎょっとしながらも、受取って灰をはらいながら恐る恐る食べたのだがあれは旨かった。

 その後、何度か不味いおやきを経験したのだが、戸隠から白馬に向かう田舎道に大きな古民家風のおやき屋「いろは堂」があり、そこで食べたおやき、こいつも皮がぱりっとしてすこぶる旨かった。
 いまでは、関越道と新東名のサービスエリアにも出店があり、通れば必ず寄って食べている。ちなみにわたしの好きなおやきの具は、オーソドックスな野沢菜である。

 最近、おやきにはいろいろな製法があることを遅ればせながらやっと知った。
 金熊で食べた「灰焼き」、いろは堂の「揚げ焼き」、そのほかに「焼き蒸かし」、「揚げ焼き蒸かし」、などがあるそうだ。
 あと、手間がかかる面倒な<焼き>の工程を省いた「蒸かし」もあるが、これっておやきといえないのではないか。長時間蒸かし過ぎたコンビニの肉まんみたいにはならないのだろうか。



 さて、今月に読んだ本ですが、12月は久しぶりにまあまあ頑張って8冊、2012年、今年最後の累計で75冊でした。

 1.◎ラスト・コヨーテ (下)    マイクル・コナリー 扶桑社ミステリー
 2.△もぐら             矢月秀作 中公文庫
 3. ○最悪             奥田英朗 講談社
 4. ○春夏秋冬ひと歌こころ      高橋治 新潮文庫
 5. ○港町食堂          奥田英朗 新潮文庫
 6. ○真夜中のマーチ         奥田英朗 集英社
 7. ○達磨寺のドイツ人 (全集1に収録) 黒澤明 岩波書店
 8. ○真鍮の評決 (上)         マイクル・コナリー 講談社文庫

「もぐら」についてはとりあえず、現段階ではノーコメント。まあ、もう二冊ほど読んでみてからだ。

「春夏秋冬ひと歌こころ」の大ヒットした演歌「北の宿」の歌詞についての考察が面白い。
 あの一番の「あなた変わりはないですか 日毎寒さがつのります 着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んでます 女ごころの未練でしょう あなた恋しい 北の宿」である。

  『・・・(略)・・・ 要するに、誰かになにかを編んでやるという行為は、もう
   社会的な価値を失って、自己満足、それも欺瞞がたっぷり入っている自己陶酔に
   なってしまったのだ。その上、なにより、自分が編みましたという押しつけがま
   しさがやりきれない。

   結局、関心は贈り先の人に向けられているようでありながら、実は自分自身に
   しか向いていない。この種の女性の愛情ほど始末に悪いものはないといっても
   良いだろう。贈られた側の扱いが気に入らないとなると、待っていましたと
   ばかり、自分の気持ちが無視され、努力が無駄に終わったという結論に直行する
   からである。

   では、同じだけの努力をして、相手に本当に喜ばれることはないのか。
   それは、ある。但し、女性が気づかないでいるだけなのだ。気づかない理由
   は、自分の生活からその風習を抹殺させたからにすぎない。

   浴衣なのだ。この問題にふれると、延々と長くなるからごく手短にいうが、戦後
   の日本の生活で失ってしまったのが寛ぐ形なのである。着替えによって、家の中
   と外をきっちりと区別する姿勢が、多くの家庭から消えた。・・・
  (略)・・・』


 浴衣好きのわたしだからこそ、眼に止まってしまった文章であろう。

 黒澤明の脚本「達磨寺のドイツ人」については、別な記事に書いたのでそちらを。


  →「おやき」の記事はこちら
  →「クロサワと達磨寺」の記事はこちら
  →「読んだ本 2012年11月」の記事はこちら

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