温泉クンの旅日記

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赤湯温泉(2) 山形・南陽

2012-11-18 | 温泉エッセイ
  <餅搗きの宿(2)>

 搗きたての餅の雑煮をゆっくり味わって食べているうちに、次々といろいろな餅が配られる。
 あんこ、きなこ、ずんだが各一個。納豆餅が二個。



 このなかでは酒呑みのわたしには納豆餅がやっぱり一番だ。
 大根おろしが二個、うこぎ味噌が一個。



 大根おろしは掛け値なく餅に合っているし、味噌の甘さと、ウコギのほろ苦さがなんとも絶妙である。

 ウコギといえば、米沢藩九代藩主「上杉鷹山公」がウコギの垣根を奨励したこともあり米沢地方では古くから食用も兼ねた垣根として利用されている。



 春から初夏にかけての新芽が美味しく天ぷらやおひたしをはじめ様々な料理法で食べられているのだが、餅にもとてもよくあう。

 本日、供される餅の数は最初の雑煮の二個を合わせて、合計でひとり頭十個である。
 
 もちろん、お代わり自由だ。大食いのひとが食べた餅の数だが、男性の過去最高は八十数個、女性で五十数個だそうである。

 さきほどから均一に餅を千切っている名人が、実は当館の料理長である、と当主が紹介して、なるほどさすがと頷く。ついつい大きめな拍手をわたしはしてしまう。
 
 この宿は、囲碁や将棋のタイトル戦で使われるくらい格式がある。



 よって料金は高めで、わたしの宿賃レベルの上限を超える。ところが、お徳な安いプランを提供する時期が年に何回かあるのだ。
 わたしはそれを狙って待ち、訪れたのである。
 宿賃に占める夕食代の割合は高い。だから安いプランは料理長が夕食に苦心する。
 昨日の夕食は、山形牛と米沢ぶたのしゃぶしゃぶだった。



 米沢で危惧したとおり、昼に極上の米沢牛を食べたので山形牛にはまったく箸が伸びず、米沢ぶたしか食べられなかった。牛肉にはほとんど手付かずのままで料理長がみたらきっとがっかりしたのではないか。そんなうしろめたさがちょっぴりあって、大きめな拍手になったわけだ。

 餅に加えて、赤湯源泉粥もふるまわれる。



 わたしは雑煮をお代わりし、三杯目のお代わりは餅を三個に増量してもらい、源泉粥もお代わりをしてそこらで腹いっぱいとなってしまった。
 何度も頼んでいるわたしにつられて、周りもだいぶお代わりをしていた。

 ところで、餅が嫌いなひとはいったいどうしたらいいのか。
 まったく心配いらない。ふつうの朝食も用意されている(ようだ)。



 チェックインのとき、大きな囲炉裏のようなロビーで抹茶が出されるが、そのときに朝食の説明があるので、餅がダメならそう言えばすむのだ。
 チェックアウトの際には、同じ場所で入れたての珈琲を飲ませてくれる。


  ― 続く ―



  →「餅搗きの宿(1)」の記事はこちら
  →「米沢、米沢牛特撰ロースランチ」の記事はこちら

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