(彼女からのプレゼント)
コラム
「最高の贈り物」
数々の名作と数多くの教え子を残した素晴らしい書芸家である文芸同大阪支部、元書芸部長の高寅順さんがこの世を去って1年が過ぎた。
6年もの間、不治の病と闘いながらも弱音を吐くことなく筆を執り、息を引き取る瞬間まで大切な人々に贈る「最後の言葉」を書き続けた方。
初級学校から大学まで民族教育を受けて育った彼女は誰よりもウリマルを愛しハングルを愛した。彼女のハングルの書は、どのお手本にも無い彼女独特の創造的な書体であった。誠実で実直で清らかな彼女の人間性が文字にそのまま表れている。
幼い頃より書芸にいそしんできた彼女はウリハッキョの教員を経て、結婚後は子供達のための書芸教室や書芸サークル<百花会>を長い間指導してきた。
<百花会>の方々は「私達は先生のハングル筆文字と人柄に魅了され今日まで15年もの長い間ついて来た」と涙ながらに語った。
彼女のハングルの書は高麗書芸研究会や日本での作品展ばかりか、フランスで行われた<国際カリグラフィ展>にも出品され、展示会案内のハガキポスターにもなり世界中に広められた。
彼女が子供達、姉妹、友人、夫宛に最後に残した言葉にはハングルで各々に対する感謝の気持ちと「…傍にいてくれて私は幸せでした。」と記されていた。
人生最高の贈り物を残してくれたと、むせび泣きながら述べられた故人の夫。
最後まで愛する人々を想い、ハングルを書き続けた彼女の生き様は葬儀に参列した人々の胸に大きな感動をもたらした。
*ウリマル(朝鮮語)、ハングル(朝鮮の文字)、ウリハッキョ(朝鮮学校)
(彼女からのプレゼント)