ニョニョのひとりごと

バイリンガルで詩とコラムを綴っています

大阪朝鮮吹奏楽団第31回定期演奏会 第2部

2012-07-02 21:30:29 | 日記


 大阪朝鮮吹奏楽団第31回定期演奏会 第2部が始まりました。
 1部は「ポップスステージ」でしたが、2部はがらりと雰囲気が変わりました。オール、ウリ(私たち)の曲です。

 はじめの2曲は中央芸術競演大会の新旧課題曲でした。
 「勝利者の行進」、「総動員歌」が続いて演奏されました。



 指揮者の高昌師さんの解説によると、高さんは初級部の4年生の時、その時期中級部3年生だった1部のソリストー高龍次さんが吹く「勝利者の行進」を聴いて吹奏楽部に入る決心をしたそうです。すなわち、指揮者高昌師が音楽家になるきっかけの一つになった、非常に思い入れのある曲だったのです。聞きなれた曲でもあったし、躍動感にあふれた素晴らしい演奏でした。

 
 次に朝鮮民謡「ヤンサンド」と群衆舞踊でおなじみの「フルラリ」が演奏されました。
 「ヤンサンド」は高指揮者が編曲されたものだし、「フルラリ」は高さんの中級部時代の恩師である柳在政さんが編曲されたものでした。

 高指揮者はときおり朝鮮の伝統的な民謡を吹奏楽にアレンジされるのですが、これはどうも柳先生の影響のようです。2曲ともとても凝りに凝った編曲で素晴らしかったのですが、私個人的には原曲の味が薄れてしまったような気がして思い存分楽しめなかったのが残念でした。

 演奏会最後の曲は、「抗争の徒」でした。
 東京で生まれ育ち、作曲を学んだ在日の作曲家・康清氏が、共和国に渡った後の1968年に開催された全国音楽舞踊祭典に出品し、作曲特別賞を受賞したのがこの曲だったそうです。

 1960年に韓国で起きた「4・19人民蜂起」をテーマーとしたこの大作は、幾度もの挫折を経ながらも必ず再び立ち上がり、最後には勝利を勝ち取る様を表現しているそうです。

 私はこの曲が発表された当初から大好きでテープに吹き込み何回も何回も聞いた経験があります。でも在日の作曲家が創作したものだとは夢にも思っていませんでした。今度の演奏会で初めて知りました。

 テンポの早い闘争を表現している部分も素晴らしいですが、ちょうど中間ぐらいに、満天の星空を表現したような、スローでキラキラ光る部分が特に大好きでした。教員時代、学生たちの詩の朗読のBGMや演劇のBGM に何回か使わせていただきました。

 演奏中何回も胸が熱くなりました。若かった時代、情熱に燃えていた時代が懐かしく蘇りました。
 祖国の統一が何回も近づいては遠のき、遠のいては近付きました。そのたびどれほど胸を痛めたことでしょう。生まれて63年間ずっと信じて疑わなかった祖国の統一です。孫の時代になっても統一は成し遂げることができていません。

 1972年の7・4の日も、2000年6・15の日にも祖国の統一は夢じゃない、現実に近づいているとどれほど感激の涙を流した事でしょう。しかし、人間の一生分もの長い間、祖国は分断されたままなのです。今日、私たち在日同胞が、私たちの子供、孫たちが舐めている艱難辛苦はすべて、祖国がいまだ分断されたままだということが大きな要因なのです。

 祖国が一つになるならば我が国はどれほど素晴らしい国になることでしょう。高句麗の時代のように力強く、どの国も見くびることのできない堂々とした自主統一国家を築かねばならないのです。

 諦めることに慣らされた性根を叩きのめし、又一から頑張ろうという気持ちになることができました。
 音楽の力は偉大です。

コメント (2)
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