1
木蓮の白き花散るあかときは心ひそけく生くべかりけり
下村湖人 「全短歌集成」より
2
暁。ひっそりと生きている己のかたわらで、庭先のハクモクレンが同じ調子を合わせるべく、しずかに散って行く。それを見ているのだろう。夜明けの光が徐々に強くなっていく。
3
植物界の植物たちがこうしてものも言わず、己をことさらに誇張もせずに淡々として生きている。人間の己だって、そうして生きていていいのだ、という確信が深まって来る。
4
本来、こうやって慎み深くひっそりとして生きるしかないのを、人間は始終ざわめいて暮らす。
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