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おおこしひろし//あーとわーくえとせとら

朝の光

2007-04-28 | 日記・エッセイ・コラム

Photo066 電車の東側のドアの横に女が立っていた。

女は、ひざ下まである長めのブーツを履き、ショートパンツの腰には、ゆるめにベルトがまかれていた。

そして、ベルトの中心には、幾つものカットガラスを嵌め込んだバックルが、朝の光を反射させていた。

女の前に、ダークスーツを着た男が立っていた。

男の黒いスーツには、カットガラスに反射した朝の光が、幾つもの虹色の水玉となって、揺れていた。

その女と男の関係性は、ただそれだけであった。


手のひら

2007-04-25 | 日記・エッセイ・コラム

Dscn2180 ポケットにつっこんだ手のひらの中に、10円玉が握られている。

今日は、電車のなかで、息子の置いていった「あきはばら@DEEP」をよんだ。

久しぶりに、香りがした。

いままで、海軍ものばかり読んでいたので、「あきはばら@DEEP」には、若者のいとしさとせつなさをひめた香りがあった。

と、いってもまだ読み始めだが。

これとは関係ない話だが、帰り道、ポケットの中に握られた10円玉が孫悟空に思えた。

おれの手は、仏の手のひらか・・・いや、いや、ちがう。

仏の手が宇宙より大きくとも、孫悟空は、手のひらの中でもてあそばれたりしない。

きっと、孫悟空は、この手のひらをすり抜けて、羽ばたくはずだ。

いや、もう羽ばたいている。

所詮、仏の手のひらの中よ、と言っているやつよりも、じたばたしているやつのほうが、魅力的なのだ。

じたばたしているやつほど、いつか高みに上るだろう。

この手に握られた10円玉も、明日にもおれのてから離れ、これから数千キロにもおよぶ旅をするのだ。

飛べ、10円玉、きんとん雲に乗って駆け巡れ。

しかし、福沢諭吉先生は、そっけない、いつも、ちょっと寄って、せわしなく何処かへ行ってしまう。

[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]

「仏に三千に救いの手あらば、人に三千の煩悩ありか」


華麗なる

2007-04-23 | 日記・エッセイ・コラム

Photo_23 子供のころ、ちゃんと食べないと大きくなれないよ。食べた物は、血となり肉になるのだからと言うようなことを言われたものだ。

先週は、バードデイ、鳥ソテイの一週間。

月曜日に食べたソテイは尾羽になった。

火曜日はとさかがはえた。

水曜日のソテイはくちばしになった。

木曜日には羽根がはえて羽ばたけた。

金曜日には卵を産んでスクランブルエッグを作った。

今週は、カレーの週。

日曜日からカレー週間が始まったが、まだ、華麗なる変身の兆候は・・・・・・・ない。

[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]

「風にまかせてほうぼう見たが 前しか見えない風見鶏」


4月22日だー

2007-04-22 | 日記・エッセイ・コラム

Dscn2167 もう、4月22日だというのに、さくらボケしている。

先週末、久しぶりに、上野公園を歩いた。

ソメイヨシノは、すっかり葉桜であるが、八重桜が、盛りであった。

詳しい品種は知らないが、八重桜には、しろっぽい八重と、ピンクの濃い八重がある。

濃いピンクの八重は道明寺。しろっぽい八重はメリケン粉の薄皮の桜餅。

そんなことを考えながら、さくらの樹の下を歩いていると、桜餅の葉の匂いがしてきた。

気のせいか。

いや、ほんとうか?

そういえば、日比谷の右近桜は、今年も無事に咲いただろうか。


雨後の筍

2007-04-09 | 日記・エッセイ・コラム

Dscn2159昨日、 たけのこをいただいた。

と、いうより地面にちょっと顔を出しているたけのこの話をしていると、大家さんが、持てっていいよ、と言ってくれた。

わーお、今年も美味しいたけのこがたべられる。

しかし、掘るのが、たいへんなんだよなー。

素人が鍬で掘っても、やたら周りばかり掘ってしまい、あげくの果てに、たけのこに中途半端に鍬を入れてしまい、悔しい思いをする。

だから、スコップで掘るのだが、これもまた、地面にはいつくばって結構たいへんなのだ。

竹の根が縦横に這っていて、スッコプを振り下ろすと、根にカチーンとぶつかり、去年は、手のひらの皮を剥いてしまった。

今年のたけのこは、まだ、小ぶりであったが、やわらかく、みずみずしい。

早速、味噌汁にする。

また、たけのこをいただけるお祝いに、蓮根のきんぴらと、かぼちゃの煮しめと、にんにくの茎と豚肉の炒め物を作った。

こりゃあ、はなまつり だ。

いや、昨日は、本当のはなまつりの日であった。

おしゃかさま、ごめんなさい。

[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]

「まんじりと 重箱の隅に座する飯粒」


スイカ

2007-04-07 | 日記・エッセイ・コラム

Photo_22 スイカを使って駅の改札を通るとき、人それぞれのくせがある。

いや、くせと言うより、もろ、性格がでる。

読み取り窓を、スイカでふき取るように、こすりつける人。

べちょっと押し付けて、一瞬止める人。

スイカの端を、指先で持ってポンとたたく人。

読み取り窓にたたきつけるひと。

いいかげんにかざして、通りすぎようとして、ピンポンとなり、それでも、元の位置に戻らず体をよじって手だけのばす人。

今日も、私の3人くらい前にいた人のところで、ピンポンと鳴った。

その人は、あれ!おかしいというけげんな顔で、スイカを見ていた。

そして、改札の向こう側で、おじさんが、もしや俺かも、というちょっと不安そうな顔で、スイカをみていた。

結局だれが鳴らしたか、私にはわからないまま、改札を通りすぎ、いつものように電車に乗ってしまった。

ピンポンと鳴るのは、いわゆる警報なのであるが、みんな気にもしない日常の音になっているようだ。

[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]

「スイカわり さんべん回ってワンと啼く」


青葉

2007-04-05 | 日記・エッセイ・コラム

_008 桜ぼけしているうちに、欅、がんばっちゃて、こんなに青葉、

まいった。 と言う感じだ。

いや、ほんとに まいった。

おれの歩く速さより、春の通り過ぎる速さの方が速いなんて、まいった。

つくしんぼ、食いそこねたーー。

[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]

「はやく出て来いつくしんぼ 出たらおいらが食っちゃうぞ」