午前4時、気温は1度。昨日の朝とたった1度違うだけでも、気のせいだろうが気分は大分違う。窓を通して見えた星に誘われてまだ暗い外に出てみたら、オリオン座が中天よりか少し西に傾いて見えていた。冬のダイヤモンドも怪しい記憶を頼りながら5個までは言えたが、おうし座のアルデバランを思い出すのに手間取る、情けない。
牛との関係は一進一退、一喜一憂が続く。昨日は少し行くのを遅らせたら、御所平に牛の姿はなかった。やむなく引き返し、夕暮れの中再度行ってみるも、呼べど歌えど2頭の牛は現れず、仕方なく塩くれ場まで戻ってきた。ところがそこで思いがけなくっも薄暗い闇の中、西の斜面の下の方にかろうじて黒い塊を二つ確認した。車から降りて呼んでみたが、相手がそれに対してどのような反応を見せたか、見せなかったか、もうその暗さでは分からなかった。以前は他の牛に混ざって給塩には敏感に反応して見せた2頭だったが、もうその塩場を忘れてしまったのか、老牛よ。
牛の気紛れは、人に負けない。きょう、朝ご機嫌伺いに行っても、殆ど無視に近い態度をされた。その後、畜産課の課長他2名が、例のコの字の柵を作るためにやってきて、そして作業をしているその間ずっとこちらの様子を注視してはいたものの、同じ場所から動こうとしない。腹が減っているはずだが、これも分からない牛の行動である。
きょうは別々の内容の撮影が午前と午後にあり、その対応やら何やらで忙しい日だった。それでも、午後のいつも行く時間に完成したばかりのコの字の柵を補強に行き、牛の様子を見ていたら、どういう加減でそういう行動に出たか皆目分からないが、2頭が突然に動き出した。まさかと思いながら呼んだ。なぜか「Autumn Leaves」は歌わなかった。すると少し遠回りするようにして、こっちに向かってノソノソとやってきた。
新しい誘引用の配合飼料を老牛の鼻先へ持っていけば、例の長い舌がこっちの手の上のそれを掬った。そのまま後ずさりしながら餌箱まで誘導し、まだコの字の外の長幼の序を守る25番には、老牛に邪魔をされないよう餌場と老牛から少し離れた草の上にばら撒いてやった。
コの字の柵の入り口を閉じてしまえば一巻の終わりになるはずだったが、そうせずに帰ってきた。裏切るのを避けたわけではないが、配車など下との打ち合わせが必要だからだ。ともかく、一安堵、忙しい一日が終わる。本日はこの辺で。