入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「秋」 (6)

2016年08月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

      役小角さま登場!ここでは先日「世界の終わり」の撮影もあった

 秋日和の午後、光のコントラストが強い。久しぶりの青空だが、夏はもうどこにもない。

 信州そばの発祥の地は伊那とされてる。それに一役買ったのが、ナント山岳修験者の祖である、あの役小角(えんのおずね)とくると、話は奈良時代という遙か遠い昔まで遡る。この驚嘆すべき口碑については、それとなく聞いて知っていた。
 確か、中ア「西駒ガ岳(伊那では『木曽駒ヶ岳』とはあまり言わない)」登山の際に、登山口となる「内の萱(うちのかや)」の集落で、そんなことを伝える案内板を目にした記憶がある。内の萱は、西山(中央アルプスのこと)の山付きにある小さな集落で、奈良時代などに本当に人が住んでいたのかどうかは定かでない。しかし愛すべき故郷の伝承に文句を言うつもりなど、もちろん誰にもない。
 で、行者蕎麦の話になるが、醤油は大変貴重であったから、まずは味噌、そしてそれが焼き味噌になり、それに辛み大根が加わるのかそれとも醤油が先か、ともかく今の食べ方が完成するまでには相当の年月を要したと思う。それに二代将軍秀忠と側室の間に生まれた保科正行公もレジェンド・言い伝えに加わたから、公が最上藩、会津藩へと転封を重ねたゆえに、話はドドーと拡大していっただろう。
 入笠山は今や富士見町が、西駒とソースカツ丼は駒ヶ根市にと、本家の威勢を分家に取られてしまったような淋しさも、ここで役小角さまに繋がる「行者蕎麦」が多くの蕎麦通に称賛され、またしても一大脚光を浴びにあびて、伊那の地はいつしか「行者蕎麦」に湧き、沸騰し、煮えたぎりつつあるとか。

 今日はそのあたりのことをもっと正しく、より広く外部世界に知らしめんと、市の広報関係者や撮影スタッフが早朝からお出でになった。案内をした貴婦人の丘や、北原新道を急登した高座岩では納得のいくシーンやカットが撮れたと聞いた。同新道を作った北原のお師匠にその話をすれば、きっと喜ぶだろう。

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    ’16年「秋」 (5)

2016年08月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 谷間の盆地を埋めるように続く青田を、幾たびとなく風が吹き渡り、少しづつ稲穂は黄金色(こがねいろ)に染まりつつある。雨の中、そんな風景を眺めながら今日も来た。こんな天気では森の中は行き交う車もなく、途中オオダオ(芝平峠)の手前で雨に濡れた山鳥の子が4羽、雨水にえぐられた道を遊び場にして、安心し切ったように戯れていた。

 昨日、「何の苦もない」などと書いて、そのことが少なからず引っかかり、夜になって酒を飲みながら考えた。結果、どうやら馬齢を重ねるにつれていつの間にか、そういう心の負担になるようなことは考えないことにして、ただ、やり過ごしているだけなのかも知れないと、考えを変えるに至った。
 水深の浅い澄んだ水の底には、泥の堆積がある。森の中で、普段は静かに眠っている「御所が池」も、1匹の鹿の侵入で、つがいのカモの水浴びでも、静寂(しじま)は破られ、水はあえなく濁る。苦がないということは、そんな危うい、脆弱なものかも分からない。
 だから、今の平安がそんな仮初(かりそ)めのものであればあるほど余計に、雑事を忘れ、「最後の秋」を過ごすかのような気持ちで、やってくる本格的な紅葉の季節に熱中し、没頭したいと願うのだが・・・。
 



 悪天続きで牛のことが心配だった。今朝来ると、第4牧区の塩場に10頭ばかりの牛が雨に濡れながらたむろしていた。第1牧区に登ってみれば、やはり15頭ばかりが塩場にいた。こちらもぐしょ濡れだ。今日は給塩の日だが、牛にそれが分かるのだろうか。
 こういう天気の中でも管理人としては最低限、牛の頭数確認だけは怠るわけにはいかない。全頭の元気な姿を確認できると、牛たちへの親愛の気持ちがさらにまた強まる。

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    ’16年「秋」 (4)

2016年08月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


昨夜は風の音で何度か目が覚めた。台風の影響だろうが、あんなに強く吹いた風は珍しい、というよりも記憶にない。人々が次々と去って、祭りの後の寂寞とした雰囲気を、野分けまでが加勢しているようだ。
 ブログを見て遠路三重から来たという父子も、JALNECの最後までいたI氏に続いて今朝6時半ごろ出発していった。小学生の息子さんに、富士山を見せたいと言ってたが、こんな天気ではどうだろうか。それでも昨夜の露天風呂は、親子のきっといい思い出になっただろう。
9時過ぎ、湘南UBSも天気の悪化を回避するように去り、ここには誰もいなくなった。

 変なことを書くが、今何の苦もない。相も変わらず貧乏だが、借金はない。欲しい物も特にない。身体も、至って健康である。先日の血液検査では悪いところはなかった。
 だからといって、こんな平穏な日々がいつまでも続くとも思えない。そこでひとつ、今秋がそういう幸福の甘味を識る最後の秋だと敢えて思うことにして、臆病なくらい慎重に、そして精一杯、これからの季節を満喫してみようと考えている。
 こんな山の中に放ったらかされて、牛と何も変わらない。自由と言えばそうである。牛もそうだろうが、人間にとっても自由は悪くない。牛と違うのは、一応管理人に負わされた責任を意識しているということくらいか。
 天候は相変わらず不順のまま霧と風が時に一緒に、時に交互に、雨まで交えて襲ってくる。それでも牛たちは意に介するふうもなく、終日草を食み、横になり、短い一生のうちの最良の時を過ごしている。それを見ている人間も、牛を真似て、今を最良の時と思うことにして、放ったらかされ、忘れられて、この秋を過ごしてみることにした。一分一秒を、息をするように「幸福だ、幸福だ」と厭きるまで声にしながら。

「お前、ついに頭にきたか」
「それでござる」
「・・・」
「クク」

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    ’16年「秋」 (3)

2016年08月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


「お前カステラートって、知ってるか」
「知っているわよ、でもそれってカストラートでしょう」
 ゲェ、急いでランダムハウス英和大辞典を調べてみると「CASTRATO]、原語はイタリア語らしいが、遊びに来ていた某の言う通り、「カストラート」と表記されていた。
 カステラをカストラと言っても通じないだろう。昨日はたくさんの人に読んでもらったのに、ここは謹んでお詫びして、訂正させてもらいます。それにしても「宦官」といい「カストラート」といい、ちょこちょこと書くには重い話で、不確かな知識を反省してます。


     祭りは終わった

 昨日は自動車の愛好者クラブがふた組も来て、キャンプ場も露天風呂も今年では最も賑わった。露天風呂にハマった人の中にはまだ入り足らないと、撤収を終えたら最後の入浴を試みようとする豪の者もいる。
 JALNECは延べ29名、そのうち入浴者は15名を数えた。さっさと風呂の上にタープを張り、雨でも快適に入浴できるようにしたのは彼らのアイデアである。こういうことは実に素早いし、メカにも大変強い。このブログでも紹介したが、昨年は自作のドラム缶風呂を持ち込んだほど。
 彼らは8月の最終土、日に集まると決め、もう20数年も毎年来ていると聞く。当然ここの様子はよく承知している。Cキャンプサイトを貸し切り状態にして、愉快な時を過ごしたようだ。今もここまで笑い声が聞こえてくる。
 もうひとつの湘南UBSは、これまたAキャンプサイトを独占しているが、どこへ行ったのか人の姿がない。今夜は彼らが入浴する番だが湧水利用のため、さすがに水量が落ち、時間が必要になるかも知れない。

 今日も相変わらずの曇天に霧が流れている。雲はそれほど厚いようには見えないが、風が吹いている。

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    ’16年「秋」 (2)

2016年08月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今日は第4牧区の牛道に倒れた山桜の古木を、チェーンソーを使って除去しようと予定を立てて来た。昨冬の間に倒れたことは知っていたものの、その作業の大変さを他の倒木で痛感させられたこともあり、今まで手を拱(こまね)いていた。ここへきて重い腰を上げることにしたのは、9月になれば牛の群れを1キロくらい森の中を歩かせて、第3牧区のある大沢山へ移動させなければならないからだ。
 森の中を途中まで誘導すれば、まるで勝手知った道ででもあるかのように牛は進む。ただし、途中に障害物があると群れは混乱して、それまでの団体行動から暴走したりと、思いおもいの行動に走る。倒木となった山桜の木はまさにそういう存在と言える。
 ところが、またしても雨。最近、というよりもすでに昨年のころから、何か予定を立てると決まってこうなる。それでも悪天を叱ることはできないのだよな、KAYA。


    本日も露天風呂では入湯三昧

 昨日の続きをもう少しだけ書く。ホルモンのバランスのせいで、雌鹿に角が生えてもそれは新聞のニュースで済む。或いは同性婚が市民権を得ようと、それをとやかく言うべきではないかも知れない。
 しかし、強制されて男の機能を喪失した人たちも多くいた。例えば紫禁城奥深くで、皇帝や后妃に仕えた人たちの中にはそういう存在が知られている。また、これは強制されたのかどうか一概には言えないが、少年の声を保持するために、敢えて去勢した男性声楽家がつい20世紀の初期までいた。「カストラート」と呼ばれた人たちのことだ。
 その歌声を聞いたことがあるが、妖しくも切なく、もっと言えば変態、不気味でさえあり、こういう歌声を好んで聞いていた西洋の人々の度し難い猟期趣味に、と決めつけてはいけないかも知れないが、とにかくに呆れる。
 オペラやオラトリオなどといったエライ芸術に潜む、至高への倒錯、徒花だとしか思えない。

 驚いた。この天気の中、JALNECに加えて湘南UBSもやってきた。

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