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入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’25年「春」(28)

2025年04月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ゴールデンウイークの前半、今年の山は静かだった。後半は3日から4日間続くが、さてどうだろうか。
 あることを調べるために1昨年の作業日誌を見ていたら、この年も後半は3,4,5日と3日間の連休となっているものの、訪れた人はやはり少ない。「混雑させないキャンプ場」は例年通り「混雑しないキャンプ場」だったようだ。
 
 どうやらその間、第2牧区のカヤを刈ったり、実生から伸びた落葉松の幼木の処理をしている。この年から区画を変更し、長いこと使わないでいたこの牧区の放牧を再開しようと考えていたからだ。
 テイ沢の倒木処理にも出掛けている。日誌には、買ったばかりの自前のチェーンソーが好調だとあり、倒木とは一番上の丸太橋のさらにその先に倒れていたモミの大木のことだろう。この時はキャンパー1名も沢へ同行したと記録にある。案内役でも買って出たのだろうか。

 きょうもいい天気だ。明日もこの天気が続くようだが、それにしても気温が低い。午前5時の気温がマイナス5度、呆れた。今朝も管理棟のガスコンロは使い物にならず、気温が上がるまでは朝飯はもとより茶も飲めず不自由している。
 昨夜は、水道を流しっ放しにしていたからよかった。もしそうしていなかったら、どこかで水道管がやられていただろう。
 こんな独り言を耳にすれば、来ることを迷う人がいるかもしれない。もちろん無理する必要はないし、キャンセル料は頂戴しない方針なのでご判断はお任せしたい。昨日から来た単独の彼の霜を被ったテントは、まだ沈黙を続けている。

 それにしても、ここがこんなに気温が低いとなれば、もっと高い山はどうなのだろう。作日は八ヶ岳には雪が降って、牧場から見える範囲の天狗や硫黄、横岳などの上部は大分白くなっていた。
 穂高の涸沢など各地の登山基地は相変わらず混雑しているのだろうが、天候が急変したりすると事故のことも気になってくる。特に高齢者は危うく、脆い。
 そうなったら、大いに未練を残し、かつ口惜しい思いをしながら身を引く、もう歳だから。ナントカのように身まで焦がしてはいけないのだ。「山は逃げない」どころか山逃げるけれど。クク。

 連休後半の予約は、まだまだ余裕があります。
  山小屋、キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。
 
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      ’25年「春」(37)

2025年04月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


「朝日ににほふ山桜花」を見ようとして、北門近くの指標木にしている山桜の木を見にいってきた。昨日は確か一輪か二輪咲いていたと思っていたが、今朝は膨らみかけた蕾しか見ることができず、あれは願望から来た目の錯覚だったのだろうか。
 今朝5時の気温が2度ほどで、その影響があったのかも知れないが、分からない。

 ところで、昨日の独り言でまたも間違いをしでかした。「あと1か月もしないうちに」咲くのは山桜ではなく、コナシの花である。
 昨年に、山桜の開花を確認したのは4月の27日だとすでに先日呟いたはずだし、昨日も気持ちや意識は山桜について独り言ちたかったのだと思う。それが、何故か1か月先になってしまった。4月と5月がというよりか、暦の経過に追いつけず、1か月の単位すらも頭の中ではっきりとしていないという証拠だろう。
 高齢の運転者が加速と制動の操作を間違えたり、道路を逆進する事故が絶えないが、そんなことは自分では考えられないと思っていた。しかし、最近はその自信も揺らぎつつある。
 取り敢えず、山桜をコナシに変えておいた。

 さて、この花の「にほふ」という言葉の意味について、小林秀雄が縷々述べている。「匂う」は照り輝くと解すよりも、花の色が朝日に「染まる」というふうに捉えるのが正しい解釈だと、国文学研究会が主催した氏の講演会で語っている(「学生との対話」国文学研究会・新潮社編)。
 そのことはさて措き、その前に、「染井吉野は一番低級な桜」だとも言っている。これは評論家の個人的な評価だとしても、「山桜はかならず花と葉が一緒に出るのです」と言い切ってしまっている点については、違うと思った。
 山桜については、葉が花に先行するとは多くの人の言うことながら、花が咲き、それから葉が出る木もあれば、同時と思える木もある。しかし、「必ず同時」ではない。
 もう、半世紀以上も昔の話だがこの講演会、と言うよりか車座対話のようなものだったらしいが、偶々これに参加していた知人がいて、話にも人柄にも大いに心を動かされたと後で聞いた。
 しかし、この人のこういう高踏的な言い方、あるいは書き方が個人的には好きになれなかった。
   敷島の大和心を人問はば朝日ににほふ山桜花  本居宣長

 昨夜は里へ下った。畜産課の歓送迎会が開かれ、それに出席するためだったが、しかし、いつもと違い酒を飲まなかった。それをすると何を言い出すか危ないと思ったからだ。そして夜の山道をまた1時間半近くかけてここに戻ってきた。

 今年は連休前半、山はいつになく静かです。連休後半の予約は、まだまだ余裕があります。
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 本日はこの辺で。

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      ’25年「春」(36)

2025年04月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝は昨日ほど寒くない。午前5時、気温3度、曇天。それでも、外がこの気温では管理棟のガスコンロは使えない。火がついてもすぐに消えてしまうのだ。
 下の彼に頼んで、中古をどこかで探してもらうという手もないではないが、今更そこまですることもないと、不便を我慢して小屋まで行ってそこで湯を沸かす。ここのコンロも中古ながら、厳冬期でも役に立ってくれた。
 
 湯が沸くまで、小屋の外に出て鳥の声を聞いていた。あの小さな生き物がよくもあれほどなきれいな声で、周囲の静寂を生かすようにして歌うものだと感心しながら。
 幾つかの違う声がキャンプ場のコナシやシラカバの木のあたりから聞こえてくるのだが、姿を見ることはできない。声の主の正体を知りたいと思い本も買って、手許には3冊もある。その上、ここに何度も写真を掲載させてもらった野鳥に詳しいUme氏には鳥の声を収録したビデオまで送ってもらいながら、とうとうその願いを果たすことができずに終わる。

 野鳥ばかりではない。草木や花の本も置いてあれば、カールツアイスの双眼鏡もあるのに、あまりそれらを役に立てることはできなかった。
 今回は好天が期待できず1泊で引き揚げたかんと氏、急用ができて来られなかったTBI氏など、彼ら星の狩人のお蔭で天体望遠鏡も購入したが、これも中途半端な結果で終わってしまいそうだ。
 ただし、それらが無駄だったかと言えば、そうとは思わない。ここには、そういうものがどれも必要であったのだ。周囲の豊かな自然、「無窮の遠(おち)」に散りばめられた無数の星々、澄んだ声で歌う小鳥たちにそそのかされた、と言ってもいい。

 それにしても、この曇り空のせいだろうか、今朝は小鳥の声がいつにもましてよく聞こえてくる。まだ練習中の下手糞なウグイスの声も遠慮がちに、ベテラン歌手の歌声と一緒に聞こえてきたりして可笑しい。
 あと1か月もしないうちにコナシが花を咲かせ、そのころには周囲の森や林の木々が思いおもいに色の異なる緑の若葉で笑い、賑やかになる。
 放牧地の草の色も鮮やかな緑の色に染め上がり、変わらない風景が、待てど暮らせどやってこない牛たちのことを、鹿やアナグマと同じく訝しく思うかも知れない。
 そして、後期高齢者の牧守は時々「Out Of Africa」のあの人のことを思い浮かべながら、精魂込めた牧の変わりゆく姿を案じつつ、過ぎた日々を懐かしんでいるだろう。うらぶれた姿を晒し、牧のどこかで。

 今年は連休前半、山はいつになく静かです。連休の予約は、まだまだ余裕があります。
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 本日はこの辺で。明日は沈黙します。

 

 
 
 
 

 
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      ’25年「春」(35)

2025年04月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 早いもので、牧場で働くようになってから2回目の土曜日が来た。そして今日から連休が始まる。この独り言を聞いてくれる人は日毎に増えて、それは有難くも、キャンプ場や小屋の予約はさっぱりときて、些か当惑している。
 
 確かにこの時季はまだ寒い。いつもの年でも他所と違い予約者は少なく、ある程度は想定できたことだが、それにしてもこれは「肩透かし」と言ってもいいだろう。
 さすがに予約がまったくない、というわけではない。キャンプ場にもあるし、きょうから3泊の予定で、小屋にかんとさんとTBIさんがやってくるはずだ。お馴染みの星の狩人たちである。
 良い獲物を捕るためには天候が絶対条件になるが・・・、この件についてはこれ以上は言わないでおく。気付いた人がいるかも知れない。クク。

 獲物と言えば、昨日は第3牧区と第4牧区でたくさんの鹿を見た。第3牧区では、聖域にしている場所の近くには多数の鹿がいて、逃げていったばかりの一帯には獣の匂いが強く残り、その数の多さを知った。
 第4牧区の小入笠の付近でも、やはり同じくらいの群れを確認した。この牧区の下方には大型の囲い罠があり、すでに誘因を始めているが、誘いに乗る気配は一向にない。
 一冬が過ぎ、その間に鹿たちの罠への恐怖も薄れたはずだと思っていた。昨春の猟始めには確か20頭ばかりを捕っている。しかし今や、鹿たちの間ではそこまで学習や教育が徹底しているということか。

 この獣害の問題も深刻である。このまま放っておけば、まだまだ鹿の頭数は増えると予想される。その勢いに対し、罠による駆除ではとても追いつかないだろう。案じている。
 ただ皮肉なことに、牛がいなくなれば、草地を守るのはこの野生の鹿たちだ。さもなければやがて、ススキや実生から育つ落葉松が繁茂し、他の閉鎖した牧場と同じ運命をたどるに違いない。
 鹿がこれ以上増えるのも困るが、さりとてこの広大な放牧地が荒れ野に変わり、ススキや落葉松に覆いつくされてしまうというのも問題だろう。
 そうなれば、野生動物は鹿だけではない。特にクマ対策は、鹿よりかもっと難問になると予想される。

 外に出てみたら、真っ青な空が拡がっている。気温は低く、遅霜が降りたようだ。暖かくしてお出でください。

 連休の予約は、まだまだ余裕があります。
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      ’25年「春」(34)

2025年04月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 もうすぐ5時になる。そろそろ東の空が明るみを見せるころだ。野鳥の声はまだしないから、どうやらあれらよりも早起きをしたのだろう。
 今朝は4時半に起きた。上に暮らすようになると、一日の時間の使い方が自然に変わり、これが普通になる。昨夜は10時過ぎに寝たが、その前に1時間ばかりうたた寝をしたようだから、睡眠時間はこれで不足ないだろう。

 万歩計によると、過去1週間の1日平均歩数が9千歩に迫り、昨日は1万2000歩を超えた。これには上に来なかった日曜日が入り、さらには通勤の際の車の振動も加算されているだろうが、自分ではまずまず納得できる数字だ。
 昨日は大沢山の第3牧区へ行った。そこに張り巡らされている電気牧柵の状況を調べるためだったが、この牧区に牛を出さなくなってからは牧柵の電気を切ってしまっていたから、自然と見回りの足が遠のいた。
 
 牧場で働くようになって何年ぐらい経ってからだろうか、何日もかけて電気牧柵のすべてを張り直した。1㌔以上は優にあったが、あまりにも管理に不適で牛のいかない森や林の中ばかりか、沼地や谷川を渡るような場所にまで切れやすいアルミ線が張ってあったためだ。
 放牧最後の年になるが、冬に備えて牧柵を抜き、アルミ線を落としておいたのをそのままにしておくわけにはいかず、気になっていた。放っておけばやがて草に埋もれ、アルミ線も支柱もその存在すら分からなくなってしまうからだ。
 入笠牧場は、安易にと言っては悪いが、前任者の時代から電気牧柵に頼り過ぎていたとは前にも呟いた。改めてその思いを強くした。
 
 断線、漏電はいつでも起こる。そうなれば牛は脱柵してどこへ行くか分からない。ここは太陽発電のため、電圧が不安定で、鹿にもよく切られた。
 最初の何年かは電圧計などなかったから、電気牧柵の最終点で針金を当ててスパークさせ、それで通電しているか否かを知った。針金が無反応なら、急いで不良個所を探すために牧柵を辿ることになる。
 漏電ならまだしも、断線している場合は山頂にある発電機をいったん切らなければ、修理作業は危険で難しい。後には途中で電気を切れるようにしたが、感電は何度もした。

 そんな苦労を嫌でも思い出しつつも、しかし、時を経てそれらのことがみんな懐かしく、良い思い出に変わった。あの苦労して打ち込んだ1本いっぽんの支柱が、断線して不気味な音を発していたアルミ線の切れ端が、誤ってそれに触れた電気の強烈な衝撃までもが、どれもこれも。

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