入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’18年「夏」(26)   

2018年07月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 これはかなり重い草刈り中毒のような気がする。止められない。北原のお師匠が法華道に注いだ熱意の燃料となった正体、やはり赤坂口からの法華道に注いだ種平小屋夫妻の努力を後押しした正体も、同じ草刈り中毒かも知れない。いや、まずは、古道・法華道の不思議な力が人を熱狂させ、そしてこの中毒がまた人を熱中させる、というのが順序だろう。
 これで3日続けて山道の草刈りである。朝、牛の世話を終えたら出掛け、遅い昼飯を食べに戻るまで草刈りに没頭する。
 半日終えて管理棟に戻ると、まず水風呂。そして粗末な昼飯を食べながら、真っ青な空を北へと流れていく白い雲を眺め、それを横切るように飛行機が、音もなく小さな白い点となって西へ飛んでいくのを見とれたりもする。きょうは全く飛行機雲を引かないな、などと独り言ちてみたりして。それから、気合を込めて梅干しで熱い茶を喫し、再び山の中へ。
 クマササが憎いのではないが、これを刈ることで別な植生の登場が期待できる。まず苔が生えれば、苔は水を抱く。クマササ以外に育たなかった乾燥した地面に変化が起き、名前を覚えられない、しかしいつしか馴染になったいろいろな草花が顔を出す。
 草刈り機のエンジンを切ると、爽やかな沢音が待っていたように耳に飛び込んでくる。誰も知らない一人だけの満悦。
 


 富士山には10回以上は行ってるはずだが、小屋が営業している時には行ったことがない。行かないようにしてきた。いや、一度だけ、富士宮口から登ったことがあるが、あの時は小屋は営業していたはずだ。四国から来た学生時代の友人に計画の一切を任せ、それに付き合った。あの時、3時間で山頂に行けそうだと、途中で友人を捨ててしまったことも覚えている。
 それ以外は、春秋冬、いつも吉田口だった。身重の身体で八合五尺まで登り、一人で下っていった女房も、そしてさっきの友人も、今はもう記憶の中だけの存在になってしまった。ムー・・・。
 
 赤羽さんの健闘を祈ります。K松さん、了解しました。お待ちしてます。

 8月の上旬と下旬は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


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     ’18年「夏」(25)   

2018年07月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうは夏というより、初秋を思わせるような天気だった。朝は槍や穂高、乗鞍、御嶽、そして中央アルプスの山々もはっきりとその姿を見せていた。気温は25度くらいで、草刈りに精を出さねばならない肉体労働者には有難かった。午後になって風が強まってきたのと、上空にいつまでも長い飛行機雲が残っている様子から、また天候が崩れるのかと気になる。東京からかかってきた電話によれば、彼の地もきょうは過ごしやすいということだった。



 台風の影響についての報告が遅れてしまったが、こうして安気なことを呟いているくらいだから、格別な被害はなかったし、牛も大事なかった。里ではテレビで警戒しろ、注意しろと再三聞かされていたが、幸いそれほどのことはなく、それでも上に来る途中では、木々の枝が大分山道に落ちていた。夜間にかなりの風が吹き荒れたことだけは分かった。
 昨日の朝、第1牧区の牛たちは雷電様に通ずる道の周囲にたむろしていた。車を近付けてから笛を吹いたら、奥にいた8番がすぐ反応を見せた。向きを変え、ゆっくりと車を動かしたら後を付けてきた。塩場までは200メートル位の距離だったが、途中からは車を追い抜き、先行して見せた。そのころには他の牛も後続していて、調教が上手くいかないと思っていた管理人を大いに喜ばせてくれた。

 赤羽さん、暑中見舞い有難かったです。遠い昔の話ですが、学生のころ夏休みで帰省するたびに、小淵沢の辺を過ぎると、車窓から入ってくる風が変わってくるのが分かりました。サラサラとして、その爽やかさに、いかにも信州の風だと感じたものです。あれ、ということは、まだ冷房車ではなかったんですかね。半世紀も前のことですけど。
 TOKUさん、何とかしましょう。クク。

 8月の上旬と下旬は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


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     ’18年「夏」(24)   

2018年07月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうの写真、ここが「本家・御所平峠」で、「本家」とわざわざ付けている訳は、入笠山の登山口にもう一か所「御所平」を名乗る場所があり、混乱を避けるための策である。しかし、そのことについては、今回はこれ以上触れない。
 峠に至る山道を注視して欲しい。道の両側が見事なまでに草が刈られている。この草刈りに関しては先日、北原のお師匠からも聞いていたが、実際に目にして驚くだか感心した。しかも、こういう丁寧な草刈りの状態が高座岩の先まで続いていて、とても素人の仕事とは思えなかった。お師匠も誰がやってくれたのかと、さかんに気にしていたが、昨夜の師からの電話でその人の名が判明した。一応、彼のことも頭の中に浮かんだが、やはりそうだったのかと改めて納得した。やるもんだなあと、つくづく思った。
 お師匠は御年90歳の高齢で、それでも法華道の、特に「御所平峠」から「高座岩」までの草刈りを気にかけ、今年もやるつもりでいたようだ。それが張り合いになっているのだから好きなようにさせておくのがいいと人に言われ、以来何も言わないようにしてきた。
 師と彼との交流もあって、風の便りか何かで師の心中を察したのだろうか。だとすれば、実にいい話だ。
 牧場もこのままの状態で、まだ何年かは存続するだろう。地主は伊那市だが、行政もその間は静観するつもりでいるのか、さっぱり動きがない。まともな道標すら立てようとしない。地域の活性化の名の下に、変に観光地化する必要などないと思うが、それでも今のままでいいのかと首を傾げたくなる。



 本日、狩猟免許の更新を断念し、免許の放棄を決断した。10年以上所持したのだから、上に来るまでの道中ずっとそのことを考えていた。しかし今は、その判断を悔いていない。囲い罠は残るし、誰かが仕掛け、捕獲すれば、それを知らせるくらいのことは今後も続ける。もう自分ではやれないが、牧場で鹿の駆除ができなくなったわけではない。

 8月の上旬と下旬は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


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     ’18年「夏」(23)   

2018年07月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 嵐の前の静けさ、と言うのか、雨がパラついたり、薄日が射したりしたが風はなく、山はまだ静かだ。それにしても長雨、豪雨、そして猛暑、それで済むかと思っていたら今度はダメ押しの台風。それも、先達ての西日本の豪雨の被災地をまるで狙うかのような今回の台風12号の奇妙な進路。無情、悪質、狂乱・・・、美しい地球のどこかが、変わりつつあるのか。

 今朝牛たちは、牧場西側の一番奥「どん底」と仮称している放牧地にいた。雨は避けようもないがあそこなら、風に関してはそれほど心配することはないだろう。本来なら管理人として、嵐の真っ最中に様子を見てやるべきだろうが、本格的な暴風雨は夜になりそうだから、仮に何かあっても手の施しようがない。
 これまで何度かそういう様子を見てきたが、風に対し横一列に並び、頭を下げてじっと風雨に耐えていた。その姿には圧倒され、普段は見られない威厳すら感じた。幸い、これまでに台風で事故牛が出たことはない。



 明日は狩猟免許の更新の手続きをしなければならない。本当なら25日に終わっているはずだが、その日朝9時に、手続きを行うべく市役所へ行ったら、午後の3時ごろまでかかると言われ、諦めた。囲い罠の中の水槽が水漏れしていて、それほど長く放っておくことができなかったからだ。明日は、それを織り込み済みで行くしかないが、ここへ着くのは4時過ぎになる。ただし、必要な手は打った。
 趣味の狩猟ではなく、また銃ではない。罠による牧場内の鹿の駆除に必要だから、持たざるを得ないのだ。毎年春には講習会も受講しているし、いくら4年毎とはいえ、医師の診断書が必要だったりと、もう少し手続き方法を考えてもらえないだろうか。さもなければ、更新を断念する人が出たり、新人は増えず、高齢化は進むばかりではと、余計かもしれないが案ずる。

 ココFさん、写真ちゃんと届いています。お礼を言うのが遅れてすみませんでした。林道を来るときは、事前の天候をよく調べてから来てください。待ってます。

 8月の上旬と下旬は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
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     ’18年「夏」(23)   

2018年07月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 第1牧区の柵を開けようとしたら、経ヶ岳の左奥に御嶽山が見えた。牧区内を少し行ったら乗鞍も、中央アルプスも姿を見せた。春や秋のように山容はスッキリとしてはいないが、この時季にしては珍しい。ただし、穂高や槍など北アルプスはいつものように雲の中だ。そういえば、きょうの昼の気温は25度と、実に過ごしやすい。まだ8月にもなっていないのに、今年は秋の来るのが早いかも知れないと、ふと思った。
 もっとも、そうであっても少しも支障などない、むしろ望ましい。強いて挙げれば、牧草の枯れ始めるのが幾分早いということぐらいだが、それでも例年のように、8月の盆を過ぎれば秋風が立つ。それからまだ1ヶ月半くらい牛はここにいるわけだから、大した違いがあるわけではない。
 子供のころは夏と冬さえあれば他の季節はどうでもよかった。それがいつの間にか夏など来なくてもよいと思うくらいに、季節の好みが変わってしまった。そのうち、冬も来なくてもいいと思うようになるに違いない。そしてひたすら、長い春と、秋を望むようになるだろう。もうコスモスの花が咲いている。



 8月の予約は10日から14日ぐらいに集中し、前半後半の予約は小屋もキャンプ場もいつになく少ない。どうしたのだろう。ついさっき、「夏など来なくてもいい」などと呟いたが、それは年のいった牧場管理人の勝手な想い、呟きで、そんな戯言に惑わされず入笠牧場で、ひと夏の思い出をしっかり作って頂きたい。

 京都のK来隊、平均年齢71歳、それでここに来る前に守屋山、そして翌日は入笠、ヒルデエラ(大阿原)、テイ沢、高座岩、本家・御所平峠と、感服しました。再訪をお待ちいたします。

 予約は早い順に、場所の選択権も優先します。FAXでも予約や問い合わせに対応できるようになりました。ご利用ください。 入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。
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