これはかなり重い草刈り中毒のような気がする。止められない。北原のお師匠が法華道に注いだ熱意の燃料となった正体、やはり赤坂口からの法華道に注いだ種平小屋夫妻の努力を後押しした正体も、同じ草刈り中毒かも知れない。いや、まずは、古道・法華道の不思議な力が人を熱狂させ、そしてこの中毒がまた人を熱中させる、というのが順序だろう。
これで3日続けて山道の草刈りである。朝、牛の世話を終えたら出掛け、遅い昼飯を食べに戻るまで草刈りに没頭する。
半日終えて管理棟に戻ると、まず水風呂。そして粗末な昼飯を食べながら、真っ青な空を北へと流れていく白い雲を眺め、それを横切るように飛行機が、音もなく小さな白い点となって西へ飛んでいくのを見とれたりもする。きょうは全く飛行機雲を引かないな、などと独り言ちてみたりして。それから、気合を込めて梅干しで熱い茶を喫し、再び山の中へ。
クマササが憎いのではないが、これを刈ることで別な植生の登場が期待できる。まず苔が生えれば、苔は水を抱く。クマササ以外に育たなかった乾燥した地面に変化が起き、名前を覚えられない、しかしいつしか馴染になったいろいろな草花が顔を出す。
草刈り機のエンジンを切ると、爽やかな沢音が待っていたように耳に飛び込んでくる。誰も知らない一人だけの満悦。
富士山には10回以上は行ってるはずだが、小屋が営業している時には行ったことがない。行かないようにしてきた。いや、一度だけ、富士宮口から登ったことがあるが、あの時は小屋は営業していたはずだ。四国から来た学生時代の友人に計画の一切を任せ、それに付き合った。あの時、3時間で山頂に行けそうだと、途中で友人を捨ててしまったことも覚えている。
それ以外は、春秋冬、いつも吉田口だった。身重の身体で八合五尺まで登り、一人で下っていった女房も、そしてさっきの友人も、今はもう記憶の中だけの存在になってしまった。ムー・・・。
赤羽さんの健闘を祈ります。K松さん、了解しました。お待ちしてます。
8月の上旬と下旬は小屋もキャンプ場も充分に余裕があります。FAXでも予約や問い合わせに対応できます。ご利用ください。入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。