入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(35)

2020年10月02日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
            Photo by Ume氏

 中秋の名月が西の空に沈みかけた午前4時ごろだったか、この秋初めて中天にオリオン座を見た。思わず「今年」と呟きかけたが、今年の冬から春にかけても、ここからや天竜川の土手からよく目にした星座だから、約半年ぶりの出会いと言うべきだろう。そのころは、少し痩せ始めていたがまだ元気だったHALも一緒だった。
 何気なく囲いの方に目をやると、薄闇の中で夜露に濡れた草が月の光に洗われてまるで雪でも降ったかのように白く見えた。しばらく寒さを我慢しながら星空と、月の光の思わぬ演出に見入りながら、そういう季節がもう来たのだという感慨をしみじみと味わった。

 きょうは文句のない好天、秋日和となった。わずかだが風が吹いているらしく、黄ばみ始めたコナシの葉が揺れてている。時折工事関係の車が小黒川林道を通るが、気になるほどのこともない。静かだ。
 囲いの中には3頭の牛がいるだけで、大半の牛はB放牧地に移っていた。どういうふうに意志の疎通をはかるのか分からないが、1千200㍍もの移動はバラバラで、一度に行われたとは思えない。それもその間には落葉松の林が続いているから、牛にとっても厄介な移動であるはずだ。
 一昨日は第5牧区で和牛の24番が単独でいて、呼んだらすぐに近付いてきた。ところが、それはまるで愛想こぼしだったらしく、またすぐに小走りに去っていった。この牛はその後単独で囲い、第4のA放牧地、落葉松の林、B放牧地へと移っていったらしく、いつの間にか仲間の中に戻っている姿を確認した。なぜそんな行動をあの日に限ってとったのかを聞いても、彼女は教えてくれない。
 牛については昨日、第1牧区で残留している25,27番の姿が見えず、すっかり冷や汗をかかされた。少しづつ調教が成功し、合図のクラクションを鳴らせばどこからともなく現れるようになっているはずが、一向に姿を見せない。脱柵のことも考えたが、27番は15歳にもなる老牛だから、つい万一のことが頭をよぎり、27番に忠実な25番はそのそばで付き添っているような事態を想像した。
 ようやく夕闇の林の中で、じっとこっちを見ている2頭の和牛を見付けた時は、それまでの不安が一気に吹き飛んだが、それにしても、あれだけ牧区中を探し回り、合図も送ったのにどうして応答しなかったのか、これも分からないままだ。

 紅葉の時季を見越して、予約や問い合わせが来るようになった。暖かくしてお出掛けください。本日はこの辺で。 
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