入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(41)

2020年10月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前5時、外はまだ暗い。台風の影響だろうか、先程まで聞こえていた強い風の音がいつの間にか止んで静かになった。気温は7度、それほど寒いというわけではない。取り敢えず湯を沸かし茶でも飲もうかと思いながら、迷っている。
 夜が明けて、それできょうという日が始まるという気がして、暗いうちはまだこのままもう少し昨夜を続けていたいとも思う。だから何もしないでいていいのだと、自分に言い聞かせている。

 少し明るくなってきた。それに合わせるようにしてまた風が強まり、霧も深い。粗い雨粒が霧と一緒になって吹き飛ばされていくかと思えば、たちまち白い闇に閉ざされてしまったりする変化の目まぐるしい天気だ。
 先程までは北に向かって流れていた霧が、今度は南に向かっている。そうこうするうちに霧も混乱してきてか、さらに濃さを増して何も見えなくなってしまった。牛の姿が消えて、ここから見える風景はすっかり寂しくなり、背景になっていた白樺、落葉松、コナシ、山桜などの林や、放牧地の変色しかけた緑の草地がその分、また違った秋の雰囲気を伝えてくれようとしている。それにしても霧の晴れた今、その風景が何と渋く見えることか、感じ入る。

 晴天であればここに添える写真は幾枚かあって、Ume氏からも空撮写真が届いている。しかし昨日、きょうのような天気ではやはり、雨に濡れた秋の風情がいささかでも伝わるような写真にしたい。そう願うだけに、できもしない無理、苦労をすることになる。
 ここはもう、秋たけなわなのだから、小黒川林道の工事だってそろそろ終わるだろうし、美しい紅葉に染まる渓流を歩いてなら見ることができる日も間近いはず。一人でも多くというわけではない、混雑は求めない。誰かにここの秋が伝わって来てくれたら、それでも充分に満足できる。
 
 第1牧区に残留している2頭の牛たち、こんな天気が続けばさらに野生化していくだろう。本日はこの辺で。
 
コメント
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