入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(57)

2020年10月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏






     強化した檻と残留牛
 ここまで接近できていながら、なぜロープを掛けられないのかと思うかも知れない。しかし、ロープの輪を帽子のように頭に載せることはできても、長い鼻先をくぐらせなければ、牛の確保にはつながらない。以前にも似たようなことがあったが、下を向いている牛には無理だった。また暴れた場合、27番を確保しているロープともつれたり、足場の悪い現場ではロープの支点を即座に得ることが困難なことも予想される。そればかりか、さらにこの試みは一度限り最後のチャンスで、失敗できない。
 昨日、思い立って里へ下った。捕獲用のロープに登攀用のロープを使ってみたらどうかと考えたのだ。9ミリX40㍍と11ミリX40㍍があるが、あらかじめ支点となりそうな木にロープの一端を縛り付けておいて、好機到来を待つというやり方である。くくり罠の場合は足を痛める可能性が高い分、この方が牛にはより安全な方策だと思う。今回は扱いやすい9ミリを選んだ。
 仮に上手く行ったとしても、次には待機しているトラックまで連れていくことは至難なことで、その際に、他にもロープは掛けるが、この40㍍のロープを主にして支点を移しながら進めば、いくら暴れても前回のように逃がすことはないだろうと思っている。

 たった2頭の牛の為に、これだけの労力を強いられる。牧場の冬支度もままならないでいるし、対して鹿の跳梁が目に余る。早く電牧を落とし、その支柱を抜く作業を始めたり、できれば追い上げの坂に刈り置いたススキは燃やせるだけ燃やしたい。
 他の牧場もそうだが、牛が来なくなれば放牧地はススキの原と化し、ここの牧場の場合はそれに加え実生の落葉松が繁茂、群生する。一挙に今の景観は失われるだろう。観光がどうだとか高説をたれるあの人たちは、そういうことがどこまで分かっているのやら。
 先日に降った雪は根雪となったようで、今朝来る時見頃を過ぎた紅葉の間から、北アルプスの峰々が冬の衣装をまとい見えていた。本日はこの辺で。

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