入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

   ’18年「初夏」 (16)

2018年05月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



           Photo by Ume氏(2枚とも)

 捕らわれの鹿は、どうも11頭と2頭のふたつの群れらしい。雨は止まないが、霧が晴れたので罠の中を見ると、11頭の鹿が1枚目の写真とほぼ同じ位置の草の上に横になっている。そしてそこから2,30メートル離れた所にもう1頭が、やはり横になって休んでいる。しかし、もう1頭いるはずの鹿の姿が見えない。
 11頭を率いているのはかなり大型の雄で、双眼鏡で見ればかなり成長した袋角が分かる。この段階では精力剤として珍重されるが、これが秋になれば4尖の立派な角になるだろう。どの鹿も、休んではいても首をすっくと立て、目を開き、絶えず周囲の警戒を怠ることがない。それも、見る方向は同一ではなく、まるで役割が決まっているように各々その方向をたがえ、ずっと変えないでいる。特に雄鹿は300メートルくらい離れたこちらの動静が分かるかのように緊張を解かず、こっちに目を向けたまま微動だにしない。
 この時季は妊娠している雌鹿がいるが、この雄鹿1頭で、引き連れている10頭を身籠らせるのだとしたら、その繁殖力たるや侮(あなど)れない。しかも、単独で行動することが多いから、まだ付き合いのある群れが他にもいるかも知れない。浮気者奴。繁殖力旺盛な日本鹿は4,5年で倍になるという数字もある。あっ、今1頭が立ち上がった。と思ったら、またすぐに横になった。
 姿の見えなかった鹿は、群れから離れた単独の鹿から、さらに10メートルほどの距離をとってやはり草の中に横になっていた。ということは、この2頭は単独行動をしていて、運悪く巻き込まれたのかも知れない。いずれにしても罠の中には13頭の鹿が、逃げられずにいる。

 約1時間して、ようやく雄鹿が立ち上がり、動いた。釣られるようにもう1頭が従った。しかし、他の鹿は動かず、見る方向も変えずそのままにしている。緊張が和らいだように思えたが、それは一瞬のことで、また野生の動物の警戒感がここまでヒシヒシと伝わってくる。勝手知ったいつもの森の中とは違うことを、とっくにこの鹿たちは分かっている。

 明日はかんと氏の天体写真、お楽しみに。

 FAXでも予約や問い合わせに対応できるようになりました。ご利用ください。 入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


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   ’18年「初夏」 (15)

2018年05月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上に着いたら、大型の囲い罠に鹿が入っていた。13頭いる。今月21日の捕獲では10頭のうち7頭を逃がすというヘマをしたが、今回は大丈夫だろう。里では鹿が減ったという声を聞くが、捕獲の頻度はここ2,3年の中では多い方だ。
 確かに、鹿による牧柵の被害は減った。最初はそれでここも鹿が少なくなったかと喜んでいたが、それが楽観だったことを間もなく知らされた。4月や5月の連休のころは、行き帰りの山道で鹿に出会うことは滅多になかったが、最近は以前と変わらず、山道で遭遇することが日常的になってしまった。先日は、山室川の第1堰堤近くの道路に20頭を超える群れが出ていて驚いた。また、道路の脇には至る所で、ミネラルを求める鹿によって地面に掘られた跡が目に付く。
 昨日上がってくる途中、軽トラにたくさんのくくり罠を積んだ顔見知りの猟師に会った。その際、某大学の先生が、鹿はかつてのように群れを組まなくなったと話していると聞き、呆れた。そのせいで、鹿の頭数が減ったように見えるというのが、その先生の説明だとか。一体いかなる根拠があってこんな珍説が出てくるのだろうか。それを真に受け、信じているその人の無邪気さも可笑しい。この人は、年間に400頭もの鹿を捕ったこともあると言われてる名人だ。
 鹿は基本的には群れを作る。ただし、単独で行動しないわけではないが、あくまで基本は群れで、特に放牧地などで牧草を食べる時がその典型と言える。良い餌場を見付ければ仲間を呼び寄せるのか、それとも分け前にありつくために絶えず他の鹿の動向を注意しているのか、そこまでは知らないが、そうやって群れを利用することで生きていく動物だと観ている。前回も、そして今回も、10頭以上の鹿を捕獲できたのは、この群れの習性をうまく利用し、誘引の塩のやり方を工夫した結果だと考え、納得している。
 午後になって降り出すはずの雨が、午前中に本格的に降りに出した。鹿たちは、容易ならざる事態に陥ったことへの不安を露わにしながら、時折警戒の鋭い声を上げ、雨の中で右往左往を繰り返している。

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   ’18年「初夏」 (14)

2018年05月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

            Photo by Ume氏

 コナシは、昨日のUme氏の写真からも分かるようにそろそろ見ごろを迎える。今の段階でも今年は、かなり豪勢な花を見ることができている。この花らしいというのか、一斉に咲くというよりも、性悪な所を見せて早かったり遅かったりと、今年も開花の歩調はあまり揃わない。明日の天気は高い確率で雨、となるとすでに満開の木などは、折角咲いた花を早くも散らすことになるかも知れない。きょうのあの人たち3人は、幸運だったと言えるだろう。
 

 
 一方クリンソウは、上ってくる山室川のかなり上流でも花が目に付くようになった。ただし、標高差で300メートル位はある牧場ではまだ早い。念のために"大群落の森 "にも行ってみたが、例年、最も早く咲く場所の花も、貧弱な花弁がまだまだ先だと告げていた。写真のクリンソウは、大水から辛うじて免れた牧場内の貴重な幾株か。日当たりの良い小さな流れの傍に咲いていた。この調子では"大群落の森 "に咲くクリンソウとなると、まだ1週間から10日くらいは先になるだろう。人と同じようにクリンソウの成長を待っている鹿の動静も、また気になる。



 一昨日、テイ沢の帰りに偶々見付けた小黒川の流れの中のタンポポと、まだ蕾のクリンソウ。タンポポなど少しも珍しくないほどどこにでも咲いているが、この時は黄色の花に黒い虫がモソモソしているのが目を惹いた。あの画家はタンポポに見とれているカエルを描いた。この小さな生命は主役なのか脇役なのか、それにしてもこの組み合わせも悪くないと思うが・・・。

 きょうはUme氏の写真(1枚目)につられ、3種の花を取り上げてみた。

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   ’18年「初夏」 (13)

2018年05月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



Photo by Ume氏(2枚とも)

 きょうのこの2枚の素晴らしい写真と"同席"して、何事かを嘯(うそぶく)言葉がない。白く見える一列(ひとつら)のコナシ、山を取り巻く幾条ものコナシの帯、人に知られようとそうでなかろうと、天地の命を果たすその健気さ・・・、勝気性悪なコナシの見せる思いがけないその素直さに心揺れ、打たれる。

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   ’18年「初夏」 (12)

2018年05月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 今朝も、カッコーの律義な鳴き声に促されつつ、一日が始まる。AM8時30分、気温20℃晴天。長い1週間が終わりその間にあった出来事の多くは、そんな短い間に起きたこととはとても思えないほど、
今は遠い。
 キャンプ場に人が来て、ふた晩連続で上に泊まった。こういう日が続くと、酒量は増え、食料の手当がないから空腹感は募る。昨日は一度家に帰り、食料を用意して再び上がってきた。やはり、露天風呂の管理を、人に任せ放しにしておくわけにはいかないという事情がある。頂戴する料金に見合う労苦かは分からないが、それは利用する側にも言える。せいぜい、利用者には満足してもらいたいと願っているが、幸い評判はいい。





 素人ぽい仕事になってしまったが、この状態でしばらく様子を見てみたい。下から7番目の丸太橋の補修のことだが、代替する適当な場所がなく、材料にも乏しく、やむを得ない応急的なものになってしまった。また大水が出れば、流されてしまうかも知れない。最後の写真はいまだ取り残され、かろうじて1本のロープで繋がれた古い橋の残骸。
 この丸太橋の木は1本が5メートル、重い丸太を一人で担げず、例の一級建築士「山奥の先生」の手を借りた。そのことを思い出させたのは、当の丸太だった。先生には、先日は石の掘り出しにも救援してもらったばかりだが、テイ沢の丸太架けで支援を求めたのはこの時だけだった。背丈が違うので、結構苦労したことを肩が覚えていた。
 救援に関しては、山奥の先生よりもTDS君の方がよく手伝ってくれ、毎年テイ沢の草刈りにも応援して貰っている。その他いろいろな人の手を紛らわせた。切り倒したばかりの木の皮むきには女性の手すら借りた。決してすべてをひとりだけでやったわけではない。手伝ってくれた人たちを思い出し、感謝している。
  今年、最初に補修を考えていた橋は、「夫婦ガ渕」に架かる下から4番目の丸太橋だったのに、それが3番目、7番目に手がかかり、肝心な夫婦が淵の橋は丸太を2本換えただけのままだ。

 ゆーこーやさんを含め青柳隊からの通信有難く拝読。早速昨日、FKDさんの友人が来てくれました。通信、またの来訪を待っています。

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