昨日、高遠から帰ってくる時に目にした風景が気になる。三峰川の水量の少ないなんとも殺風景だった河原が、柳の緑の初々しさで一変し、その新鮮な眺めに気を取られて桜の方に注意が向かなかった。主菜を食べずに添え物に執心してしまった、と言ったら柳に悪い気がするほど、いかにも春らしい気の晴れる眺めだった。
花と言えば桜だが、本来の花はもっと楚々とした小さな花弁をつける山桜のことだと聞きかじったことがある。牧場にそんな花が咲くにはまだ1ヶ月くらい先だが、標高差1千メートルの通勤が、里の風景をゆっくりと再現してくれるわけで、それはこの仕事が与えてくれた特権だと思っている。
以前に、小屋なら分かるが、なぜキャンプ場まで予約が必要なのかと考えたことがあった。この頃は山小屋も予約制のようだが、昔はそうでなかった。小屋泊まりの経験はあまりないが、昔は悪天時に登山者を断ったら事故につながる可能性があるというわけで、予約なしでも宿泊を受け入れ、登山者もそういうものだと思い、窮屈を我慢した。ましてテント場など、どこまでが小屋の管理の範囲かも曖昧なまま、とにかくテントを張れる場所さえ見付かれば、料金を取られて客にしてくれた。
富士見側の交通規制が行われるようになって何年にもなる。ただ、牧場の小屋及びキャンプ場の利用者の車なら、富士見側の通行規制から除外され、そのお蔭で、便利な用品がたくさん持ち込まれ、テント、タープ類は大型化が目立つ。時代遅れの登山者には想像できなかっただけでなく、当初に考えていたような余裕のあるキャンプ場の運営が簡単ではないことを知らされた。入笠山周辺ではキャンプ場は他になかったが、近年もう一カ所「キャンプできます」の張り紙が出たこともあり、不本意ながら予約制を取り入れることにした。
そこへ、covid-19が追い討ちをかけてきた。昨年は、利用者の年齢構成とかも考え、あの広さの、4カ所ある設営場でも、一応10組を受け付ける上での限度とした。さらにまた、家族以外は、友人同士など同一テントでの複数の利用も避けてもらうよう、お願いした。小屋に関しては48畳の広さの畳の部屋が望めば4カ所、12畳毎に仕切れるようになっているが、同時に2組以上を受けない方針を今年も守るしかないと考えている。
本日はこの辺で。