入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「秋」(37)

2023年09月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   追い上げ坂と第2牧区の一部を囲いの中の上段から撮影
 
 名前の知らない蝶が飛んでいった。それほど強くはないが、結構風に翻弄されているように見えて、ちゃんと目指す方向へ飛び去ったようだ。トンボも同じように高い空を素早く進路を変えたりしながら飛んでいたが、やがて見えなくなった。
 もし人間が最新鋭の戦闘機を使ってあんな飛び方をやったら、急激な重力がかかり失神は免れないだろう。それどころか、恐らく内臓破裂のような被害を受けるだろうに、か弱い昆虫や鳥があんな飛び方をできるのが不思議だ。
 林立する樹々の複雑な枝の間を巧みに擦り抜ける鳥、急斜面をかなりの速さで駆け下りていく鹿にしても、よくあんなふうな危険な行動を繰り返しながら、事故を起こさないものだと感心する。
 昆虫や鳥、野生動物にも高齢者はいるだろうし、そういう生き物は、人間界で起きているようなヘマを起こしそうなものだが、実際はどうなのだろうか。そういう例を目にしないし、耳にもしない。

 そこへいくと、家畜である牛は事故を起こすことがある。死亡することもある。大雨や嵐にもそれなりに耐え、強靭なところも見せるが、あまりにも呆気なく命を落とし、家畜ならではの弱さだろうが、これまでにそういう事例を幾度か見てきた。
 幸い、今年も死亡事故などはなくて、目下のところはどうやって4頭の残留牛を無事に下ろすかが課題である。昨日、その件に関して畜産課長から来月の6日に下ろしたいとの連絡が入った。
 草の状況や、4頭が11月に出産予定である点を考えれば受け入れるしかないが、まだ32番以外は手懐けることができないでいる。約1週間、その間には牛だけに専念できない事情もある。どうなるか。
 
 囲いの中で残留牛を手懐けようとしていたら、中年の女性登山者がテイ沢方面へ行く途中、和牛の姿が目に留まったらしく珍し気に眺めながら、軽く会釈して通り過ぎていった。きょうのような日なら、きっと一人で静かな渓を満喫できるだろう。今年は昨年と違って、9月の降雨量は少なかった。

 本年度の営業案内については下線部をクリックしてご覧ください。
 小屋の電話が不通でご不便をおかけしてます。予約、問い合わせは何卒JA上伊那東部支所組合員課、電話0265-94-2473にお願いいたします。
 本日はこの辺で。
 
 

 
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     ’23年「秋」(36)

2023年09月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

    牛の代わりに愛車である軽トラを入れて
 
 今朝は中アも北アも厚い布団のような雲にくるまれてしまい見ることができない。もっとも頭上の空は白い雲の間に澄み切った秋空が幾つも見え、広がったり閉じたりを繰り替ええしている。
 例年の狂騒とでも言いたくなるキノコ採りの時季が終わったのか、そういう人たちの姿が消えて山は静かになった。渓流釣りも、10月からだったか禁漁期に入るから、釣り人たちの季節も終わるはずだ。

 きょうは4名ほどの友人知人を招いて、午後から芋煮会をすることになっている。直接、間接に世話になった人たちで、ささやかなお礼の意味もある。
 芋は定番の里芋だけでなく、ジャガイモやサツマイモも使う。ゴボウやニンジンもそぎ切りにして入れるつもりだったが、うっかり買い忘れて残念なことをした。
 今迷っているのは豆腐、キャベツ、そして大根を使うか否かである。コンニャク、タケノコ、豚肉はすでに火が通って、薄く味付けも済んでいる。これに、最後は下処理の済んだヌメリカラマツタケも忘れていない。
 主菜は得意のサンマ飯で、下からは1匹500円くらいすると驚いていたが、ガタガタ言わずに買って来いと伝えておいた。
 秋はサンマとよく話題になるが、個人的にはそれほど世話になるつもりもない。少しぐらいは値が張ってもそれは自然界のすることで、イヤ人間の乱獲のせいもあるかも知れないが、とにかく買ってくればいい。

 酒はまず秘蔵の高級ワイン、酒の味の分からない者には勿体ないから飲ませるなという、送り主から注文の入っているシロモノだ。もちろん、日本酒もビールもこれに加わる。
 芋煮汁やサンマ飯があるかと思えば、青かびチーズのご本家ロックホールやゴルゴンゾラ、それに生ハムなどは、その高級ワインとされる飲み物のためで、かなり調和の取れない、素朴とハイカラが混在した取り合わせで、一体化するかまでは分からない。

 普段は世話の焼ける残留牛を相手に手を焼く日々だが、それでもあの4頭が山を下りれば、短い放牧の季節も同じように終わる。かくして、また牛守の一年も終わりつつあるということか。秋、終末の季節。

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     ’23年「秋」(35)

2023年09月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 4日ぶりだか5日ぶりだかで里に下ったら、たったそれだけの間にもう稲刈りの終わった田が大分目に付き驚いた。昨日の朝の気温は今季最も低かったと里の人も言っていたがそれはここも同じで、これから季節はさらに進み、深まり、自然界は人を様々な思いに誘うに違いない。喜びもあれば、哀しさや侘しさもあるだろうし、出会いもあれば別れもあるだろう。
 虫の声がする。多分今年初めて耳にする懐かしい秋の声である。

 下から持ってきた配合飼料に塩を混ぜて、囲いの中に行ってみた。4頭の牛は上部にいて姿はが見えなかったが、声を出し、人が近付いていくことは教えておいたつもりだ。互いの顔と顔が見えた段階で、やはり4頭は一列になって走り出した。
 驚かしたり、恐怖心を与えてはまずいから追わず、再びそこから100㍍ばかり離れた塩場まで下りてきて、手にした飼料を塩鉢に残して少し様子を見ることにした。
 
 4頭はまとまって行動しているようでいて、実際はそうではない。あの牛たちの中では最も警戒心を持たない牛が32番で、しかしこの牛は性格の悪い他の3頭に連れ回されているだけに見える。この中では角の曲がった30番が一番いけないワルだ。
 牛の見せる自己中心的な態度と、この地球に存在する多くの独裁国家の主たちとは、よく似ていると思う。進化の遅れたせいだろうか。
 
 しばらくしてその場を離れた。何かを持ってきたことは牛にも分かったはずで、それが好物の餌だと知れば相手の態度も変わると、これが今までに成功したやり方、算段だが、これは時間もかかるし根気も必要になる。そういう資質を持たない、同じく進化の遅れた者とっては、短気を起こさずに果たして思惑通りにいくのかどうか。

 今また餌場に行ってみたら、呆れたことに2羽のカラスが配合飼料に入っているトリキビを啄んでいた。牛たちは少し離れた所にいるが近くに水場もあるから、そこまで行けばいくら何でも餌鉢の中の物が分かるだろう。

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     ’23年「秋」(34)

2023年09月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 秋の空を締めくくる夕焼け、見慣れていてもやはり見入ってしまう。牛の去った放牧地、遠くの山並みが次第に陰を濃くし、残光が最後の力を振り絞らんばかりに燃え出す。そう、まさに「赫奕(かくやく)たる」光を放つ。無音の音に耳を澄ませ、しばらく湧いてくるあれやこれやの思いに時を過ごす。
 
 囲いの中の4頭の残留牛が乏しくなってきた草を食べている。以前より大分警戒心はなくなってきたが近寄れば逃げる。
 きょう、里に下り、配合飼料を持ち帰り、それに塩を混ぜて牛をおびき寄せるつもりだ。どうもこの牛たちは塩だけでは誘いに乗りそうもなく、塩鉢の中には先日与えた古いのが残ったままになっている。塩をあまり欲しがらないのは、今の時季とも関係があるのかも知れない。
 
 残留牛に関してはいろいろと苦労した。大勢で追っても、興奮し、走り逃げ回るようになればまず手の施しようがない。牛と人間では速さも、持久力も競争にならない。
 それでも、死なれるよりかは余程マシで、下牧の日が近くなってから、そういった事故牛が出た時ほどやりきれない思いをすることはない。探しにさがして、搬出できない沢の中で死んだ大きな図体の牛を、幾日もかけて一人で埋めたこともあった。

 今朝はどこも寒かったらしい。薄い真綿のような雲が青空からの鋭い光りを和らげ、時折気にならないほどの風がウメモドキノの葉を揺すっている。
 これから残留牛を少しからかって、それから昨日に続き第2牧区の草刈りをする。そして昼ごろ、きょうは秋日和の中、いつもと違う山道を道草を喰いながら下るつもりだ。

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     ’23年「秋」(33)

2023年09月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 また夜中に起きている。午前2時を回ったところだ。昨夜、アルコールにそそのかされて普段は自制している電話を何人かにかけ、どうも幾つかの失言を犯したことが報いとなったのか、浅い眠りになったようだ。
 それにしても、人はどこまで本音を語ることが許されるのか。

 それとは関係のないことだが、あの女性参議院議員が花の都のエッフェル塔の前で同僚議員と一緒に撮った1枚の写真が物議をかもし、党の要職から外れるという事件があった。この人の日頃の偉そうな物言いに反して、結構お茶目の面もあるのだと思ったくらいで、なぜあんな写真があそこまでの事態に行ってしまうのかと理解に苦しんだ。
 相も変わらず女性の地位向上とか、社会進出、発言を増やす場を作れとか盛んに言われているが、どうも女性の場合は同性からの支援が得られず、足軽の援護を受けぬまま単騎戦場へ突進していくような気がする。
 要するに仲間を増やし、後輩を育てることができず、一人自分だけが上昇しようとする傾向が見受けられるが、間違えているだろうか。もしそうでないと言うなら、思想目的を同じくする女性だけで一つの党を結成しても良さそうに思うが、そうならない。
「うん、うん」という返事の仕方は聞き苦しいが、それを指摘してくれる仲間がいないのだろうか、という問題はさて置き、折角当選してこんなことが原因で党の女性局長から身を引かなければならないとは、おかしな話だと思う。皮肉を込めて言うが、彼女に毎月国から支払われる歳費、手当を無駄にしないためにはもっともっと働いてもらえばいいわけで、維持に多額な費用がかかる扱いの難しい機械を、わざわざ遊ばせているようなものではないかと気になる。

 もちろん断るまでもなく、この独り言の主は政治にははなはだ疎く、彼女の思想信条を知る者でもない。昨夜の失言を糊塗し、忘れるための、眠れぬ夜のただの妄言だと付言しておきたい。

 赤羽さん、先日は文字の大きさを変換し損ない失礼しました。そうですか、やはりキシャヤツデの大量発生は7年前でしたか。そう思うと、光陰矢の如し、グラスの中のウイスキーがもっと飲めと言ってるようです。

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 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
 
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