入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    古い山の歌から

2014年07月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  「シカのダンス」                                Photo by Ume氏

 「黄昏の灯は ほのかに点りて なつかしき山小舎は 麓の小径よ」(「山小舎の灯」)
 
 懐かしい、古い歌である。この曲は、作詞・作曲者の米山正夫が、戦後のシベリア抑留中に作ったそうだ。
 何度か訪れた「山小舎」であったが、戦争によりそれも中断して、遥か異国で虜囚の身を余儀なくされながら故郷や、青春を思い出しているうちに生まれたのだろうか。
 それとも、「山小舎」も「君」も、過酷な抑留生活を慰め、また耐えるための心のよすがで、想像の産物だったのだろうか。
 
「思い出の窓に凭り 君を偲べば 風は過ぎし日の 歌をば囁くよ」

 この歌ができたとき、米山はシベリアにいたわけだから、「思い出の窓に凭り君を偲ぶ」ことはかなわぬはずで、だから、いつの日にか無事帰ることができたならば、「なつかしき山小舎」を訪ねて、そこで思い出の女性のことを懐かしんでみたいという願望なのかも知れない。

 山へはよく行ったが、この歌に唄われるような「なつかしき山小舎」は、残念ながらない。山行は幕営が主流で、小屋泊まりは余程のことがない限りしなかった。また、そんなわけで抑留者ではなくても、また遠い異国にあっても、山小屋での出会いを懐かしみ、思い出す女性はいなかった。
 いつかここを去ったら、こここそが、そういう山小屋になってくれるだろう。それで充分だ。偲ぶ女(ひと)に出会うことはなかったが・・・、あっ牛が水を飲みに降りてきた。これから彼女らを囲い罠に誘導だ。うまくいけばよいが。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては7月9,13日のブログをご覧ください。
 今日も、改行やパラグラフが、勝手放題、アシカラズ。FC/Yさん、心強いコメントありがとうございました。期待してます。Umeさん、なんとか解決しました。多謝。NTR君のお蔭。 
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   夏の夜空に思うこと

2014年07月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  北アメリカ星雲とペリカン星雲(右)                    Photo by かんと氏

 夏の夜空を眺めながら、われわれは良い時代に生まれてきたものだと、しみじみ思う。
 
 確かに今も、東日本大震災の未解決な問題が山積し、それに苦しむ人がいる。毎日のように殺人事件やら、凶悪犯罪は絶えない。病気に苦しむ人も多かろう。それでもしかし、地球的な規模でみて、はたまた歴史的に見て、現在の日本は平和ないい国だと思う。戦争がない。圧政もない。貧困もほぼ克服され、教育もそれなりに行われている。これからもこの国はなんとか続いていってはくれるだろう。しかしでは、今以上の自然および社会環境を、この国の将来に期待することができるだろうかと問われれば、はなはだ悲観的である。
 同じように、今後も人類はこの小さな地球の上で、人口を増やしつつ存続していくと思われるが、果たして世界中の人々が、例えば現在の平均的な日本人が享受しているようなレベルの文明に達するまで、人類の歴史は続いていってくれるだろうか、地球は待ってくれるのだろうか。案ずれば、はなはだ悲観的である。

 だから、広大な宇宙の、無限につづくと言っても許されるような長い時間の中で、偶々戦争のないこの時代の、独裁のないこの国に生まれたことを、幸運だと思うべきだ。
 人類は、これから先も、これまでの文明や科学を総括し、新しい今までとは違った方向に進もうとはしないだろう、できないと思う。その結果の悲劇を、もしも予測できたとしても、多分止められまい。
 人間の限界と諦めて、広大無辺の宇宙を眺めてみよう。落葉松の梢の上に見えているあのさそり座のアンタレスから発せられた光が、500年後のこの地球に届くころには、もしかすればとっくに人間圏や、人類は消滅してしまっているかも知れないが・・・、とりあえず今夜は、たまゆらの幸福感に浸ろう。祭りを始めよう、満天の星の下でだ。

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   影の薄い入笠の伊那

2014年07月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  「牧に集う」                             PH提供:Ume氏


 こんなころもあった。涼しい風が吹いて、この貴婦人の丘は牛にもお気に入りの場所。ために同類の鹿にも大分泣かされた。今あの鹿たちは、集団で姿を見せることがすっかり少なくなってしまった。
 
 と思っていたら、驚いた。今朝来る途中、牧場内を流れる初の沢は禁漁にしているが、その注意書きの前にわざわざ車を停めて魚釣りに入っている者がいる。あまりに悪質で見過ごすわけにいかず、久しぶりに沢に降りてみた。なんと、釣り人と鹿の足跡が縦横についていて、さんざん苦労して張った牧柵は、いたるところでズタズタに切られしまってている。こんなふうになってしまったのは、入牧頭数の激減したここ1,2年の間のことだ。

 ここまでするのか人も鹿も。今では希少なヤマトイワアナの生息する、限られた沢だというのに。この車も諏訪ナンバーで、牧場内に侵入する車の中では松本ナンバーと比べ圧倒的に多い。春の山菜、秋の茸、エライ台数が道路のあちこちに駐車していて、これまたマナーのよろしくない車が目立つ。

 昔も、諏訪を治める高島藩と伊那を治める高遠藩の間には、領地の問題が絶えなかったと聞く。具体的な地名を挙げることは避けるが、諏訪側に押され気味であったことを示す地域、つまり不自然な行政区は現在も残っている。そして残念ながら現代も入笠は、諏訪、茅野、富士見の前に伊那は影が薄い、というような気がするのだが・・・。

 このブログに予約を下さる方もいるようになりました。井上さん、了解でござる。名古屋のまあさん、いい反応です。H子さんは来たのかな。Chiyさん、毎日拝読してます。食べ物の話題が多ございますね。クク。カールママさんにも遅いお礼、中山さん、またよろしくお願いいたします。Umeさん、まだうまくいかずすいません。今日使わせてもらったPHは、別のホルダーのものです。夏雲の湧くまき場、ぜひともここに載せさせていただきます。明日はかんと氏の天体写真、ご期待ください。

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    かんと氏の実力、入笠牧場の実力

2014年07月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     網状星雲                                  Photo by かんと

 かんと氏は一昨夜、超新星爆発の名残と言われる「網状星雲」を、今回持ち込んだ新兵器で見事に捉えてくれた。深い宇宙に起きた遠い昔の出来事を、やっとたどり着いた光が今、知らせてくれている。

 アリゾナの砂漠の一隅、岩の上に建てられた小さな教会。長方形の形をした木製の建物は、下方にいくに従い心持ち広がって見える。その正面に、やはり木製の大きな十字架が建物と一体化して、その奇妙な建築物が何であるかを教えてくれている。教会の中にはランタンが灯されていても、人影はない。
 そしてその頭上、息をのむような美しい星空が広がっている。天頂近くには琴座のベガが煌めき、目を地平線近くまで移せば赤い岩の上には片翼しか見せていない白鳥座が、広大な夜空に、静かに舞い上がろうとしている。

 星座のことは知らないと、何度かこれにも書いた。しかしこの頃気が変わって、代表的な星座ぐらいは覚えようかと考えていた矢先、N君が1冊の星座の本を持ってきてくれた。この本の良いところは、世界中の美しい夜空が紹介されていることで、偶々アリゾナ砂漠の星空が目にとまった。その写真を掲載するわけにはいかないので、文章で書いてみようとしたのだが、とても言葉などでは尽くせない。

 ここなら、神はいるかも知れない。どうも神は静穏を好まれるような気がする。中東の、アフリカの、東ヨーロッパのケイオスを尻目にか無視してか、ただ沈黙を守っている。そうするには、星降るアリゾナの砂漠は打って付けの場所だろう。
 神はご自分の子が訳の分からぬ理屈で争い、殺しあう様など見たくも、知りたくもないようだ。たくさんの無辜の命が巻き添えにされているというのに、すでに、諦めていなさるのか。
 「九00年先の未来のことを心配してもしかたないかもしれない。ただし、万が一その頃まで現在の文明が存続していたとすると云々」(「地球システムの崩壊」松井孝典著)。「万が一」だと!

 かんと氏の素晴らしい作品は、明日も登場します。お楽しみに。
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”Full of stars!"で思い出すこと

2014年07月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   天気が良すぎた昨日の夕焼け

 確かにN君、君の指摘は正しい。かんと氏の新兵器、いくらなんでもせめて闇の中に置いて撮るべきだったと。牧人はいろいろあってのう、余裕がないのだな、ウムー。

 ところで、昨夜の星空は素晴らしかった。同夜、天体観測をしていたアマチュアの天文ファンの中で、ここ入笠牧場は突出した条件に恵まれていたはずだ。まさしく”Full of stars!" である。
 因みにこの台詞は、名作「2001年 宇宙の旅」の中で、木星の近傍に浮遊していたモノリスに、宇宙飛行士デイブ・ボーマンが強行着陸をしようとした際に発した、人として最後の言葉で、そのあとこの映画(および本)は意想外な展開を見せていく。
 1968年に発表されたが、SFの巨匠アーサー・C・クラークがストーリーを描き、それに並行するように、これまた映画の巨匠スタンレー・キューブリックが監督して映画化するという、大変に贅沢かつ珍しい作品。本と映画とでは、結末において違いを見せるが、二人の巨匠がそれぞれの個性を主張している。
 後年クラークは、自分のことはこの作品ではなく、「遙かなる地球の歌声」で思い出してほしいという意味のことを
語っているが、どうだろうか。ただ、その気持ちは分かるような気がする。それだけこの作品に対しては、キューブリックと映画の存在・貢献が大きかったと言えよう。
 SFに格別な興味もないし、さして読んでもいない。にもかかわらず、山が現在の暮らし方に繋がったように、「2001年 宇宙の旅」は、宇宙や星空を身近にさせてくれた。

 霧が部屋の中まで入ってくる。爽涼感この上なし。
 
 一雨あったし、夕焼けも星空も昨夜以上の期待が持てそう。しかし今夜は、後ろ髪を引かれる思いだが、かんと氏に後を任せて薄明の中、山を下ろう。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては、7月9,13日のブログをご覧ください。
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