入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(52)

2020年10月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ここ幾日かを残留牛のこと、撮影の打ち合わせや準備などで忙しく暮らしていたら、その間に季節は進み、秋は深まった。落葉が山道を埋め、コナシの木などはすっかり黄色い葉を落としてしまった枝もあり、周囲の風景は華やかさをかき消し、一段と渋さを増した。ことにきょうのような曇天では、その渋さが侘しさまでも感じさせる。これで白樺の落葉がさらに進み、落葉松の葉が黄金に染まれば、その先にはもう次の季節が待っていよう。今年の秋はその殆どを山の中で過ごし、里の様子は知らないが、いつもの年よりか呆気なさを感じている。年々年歳々、そうした思いは強まっていくに違いない。

 残留牛の下牧についてはまだ一波乱あるかも知れないが、一応の目途が付いた。餌を持っていき、呼べば決まって牛がコの字の柵の中へ来て食べるようになったら、牛の扱いの上手い職員を手配し、縄を打ち、トラックに乗せて里に下ろす。
 準備や試し撮りに長く、手間のかかった「ネイチャーピアノ」と冠した平澤真希さんの撮影も昨日で終わった。これは文化庁がからむ企画で、商業的な内容とは少しく趣を異にするようだが、この企画を統括する上でのプロデューサー役がいなかったため、進行に時間がかかった。
 終わってみれば、それでも苦労の甲斐があったというべきだろう。搬入、食当を担当した縄文大工の雨宮氏、管理人のご機嫌を損ねないように気を遣って何日も撮影を繰り返したプロカメラマンの久保氏、夜中に駆けつけた収音のベテラン平家の末裔小松氏、調律を担当した最高年齢の紳士然たる牧田氏、みんなこれを呟いている野生化の進んだ人間とは別人種のような、毒気のない実にいい人ばかりだった。忙しくて現場には殆ど行けなかったが、もちろん、楽天家のピアニスト平澤真希さんは気苦労しながらも雰囲気を盛り上げ、監督兼主演者の役を演じ切ったはずだ。
 ここで「良かったナ、みんなお疲れさん!」と言っておこう。公開されれば、また詳しく呟くことにしたい。


 この本は山奥氏、一級建築士、にも進呈する

 きょうはこれから里へ下る。東部支所に立ち寄り、ついでに少し気になることもあり、家にも帰ってみるつもりだ。郵便局へも足を運ばなければならない。牛の機嫌を窺う3時までには戻る。
 昨日は配達の中止を頼んである新聞の販売店からも問い合わせが来た。ここにいて、一番の不自由はその新聞が読めないこと。遠慮なく風呂に入りずらいこと。
 本日はこの辺で、また明日。




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