入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(36)

2020年10月03日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 曇り空の天気になってしまった。それでも、最低雲高は高く、槍や穂高などは見えていた。こういう天気の方が周囲の林や森の色彩が一段と落ち着いて見えて、この季節に相応しいと眺めている。
 朝、Ume氏、N氏が立ち寄ってくれて、先程忙しそうに帰っていった。二人が揃って写真を撮りに来たのは久しぶりのことだ。彼らによれば、100㍍ばかり標高の高いヒルデエラ(大阿原)は、ここよりか秋が進んでいるという。改めて目に入る景色を見れば、全体の色調は黄色や黄土色に変わってきた。権兵衛山も、その手前の国有林も、すっかり緑の色合いが消えてしまっている。

 下牧の予定を思い違いしていた。7日だとずっと思っていたら6日だった。1日早まっただけだが、それでも気分的には少し慌てている。それに、きょうのPHのような光景がもうすぐ見られなくなるのは、やはり寂しいものだ。
 14年の牛守稼業は我が人生の職歴としてはかつて一番に長かった仕事と並び、まさかここまで続くとは思いもしなかった。しかも70歳を超えてまで。ただ、その長さの割に、牛のことをどれほど知ったかと訊かれたら、はなはだ覚束ない。むしろ、それも大したことはないが、鹿の生態の方が詳しいと言えるかも分からない。
 昨日は牛の調教、一昨日はその牛たちが失踪したかと探索、森や林の中を連日1万歩以上歩き回っている。何本か電話やメールが届いていたが、そういう場合、電波の関係などで応答ができないことはよくある。そのために心配してくれる人には有難く、また申し訳なくも思う。ところが、中には怒る人がいる。そういう人に分かってもらおうとは思わないが、多くの場合は谷の中にいたり、牛の後を必死で追いかけていたりと、他のことにかまけている余裕などない時で、知らないはずはないが本業は牛守である。キャンプであれ、小屋であれ、それらの予約と、牛の安否の重要性とを比べたら・・・、言わなくても分かるだろう。
 雨の降る日に忙しい思いをしながら外にいて、電話に応じてみれば駐車場からキャンプ場までどのくらいの距離かとの質問、そして執拗に問い続ける。訊く方にしたら至極もっともな質問だろうが、ここは設営場所によりいろいろと違いがあり、返答に窮した。まさかだが、「計りに来い!」と言ったかも知れない。

 「鳥なき里の蝙蝠」、野生化の進むに任せてここまで来た。本日はこの辺で。
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