入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「秋」(38)

2020年10月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など




 まだ夜も明けぬこの時刻、午前4時少し前、第1牧区の2頭の和牛のことを考えている。結局、昨日はこの牛たちの誘導に失敗した。昨日、一昨日、夕闇迫る中、それなりに誘導に応じようとする態度も見せたが、それでも、それまでの自由な生活の方を選び、その生活がずっと続くとでも思っているかのように、最後は2頭だけの世界に戻っていった。
 明るくなったら、取り敢えず第1牧区へ行ってみるが、人壁を作り、徐々に牧区から追い出すという最後の手段に頼るしかないかも知れない。もっとも、前回はそれさえも拒否した牛たちである。成功するかは分からない。体力と根気の要る厄介な仕事になると覚悟した方がいいだろう。
 
 一方、第4のA、Bと囲いの中の牛を含め35頭は、畜産課の課長と職員が上がってくる前に、二人の手を借りず全頭を囲いの中に誘導し終えた。
 午前中は霧が深く、群れを発見するのに手間取った。小入笠の頭までを含めA放牧地を一巡し、さらにB放牧地まで足を伸ばすも無駄な往復に終わってしまった。それでもB放牧地に歴代の牛たちが好む場所があり、再度そこへ行ってみると、案の定18頭の牛がいた。
 この牛たちは割に素直で、約1千数百メートルばかりの距離を追い立て、連れ込み、囲いの中にすでに誘導を終えていた17頭と合流させることができた。もっとも牛たちは急に頭数が増えて囲いが窮屈になり、その不満なのか後になって外へ出せと吠える牛たちもいた。昨日の歩数は2万歩に迫ったが、不思議なほど調子がよく、今こうしていても足に疲労感はない。
 
 全頭を無事に里に帰すということは、やはりそれなりの責任から解放されるという安堵感が当然にあるが、それと同時に、牛のいなくなった放牧地を歩けば、また1年が終わったという感慨も交えて寂しさや、虚脱感も感ずることになるだろう。
 さてさて、下牧が上手く行ったかどうか、きょうそれを昼ごろにはここで呟くことができるといいのだが。只今の気温、1度。

 19,246歩の戦いは終わった。その結末は、口にもしたくない惨敗。第1牧区の2頭の牛については、はなはだ不本意ながら残留させることになった。もう一度、調教のやり直しで、それにはまた10日くらいを要すると思われる。落胆、脱力。
 本日はこの辺で。

コメント
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