傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

西松裏金事案:朝日新聞が報道した原発マネーについて(雑感)

2013-07-20 06:23:42 | 検察・メディア

朝日新聞が報道した西松建設裏金が原発関連に用立てされた事案は、18日、「日刊ゲンダイ」が報道、伊藤 博敏氏が「JBpress」に寄稿しているが、他のメディアは黙殺の様相ですね。
事業主体者の東電は、裏金をスーパーゼネコンには打診せず中堅ゼネコンの西松建設に声をかけるのは、世のパワーゲームの現実を見る思いですね。

西松建設裏金疑惑について、18日 「日刊ゲンダイ」は、一面トップに、『東電裏金疑惑 大物政治家浮上』の大見出しで、二面に記事『東電裏カネ疑惑 キーマンと亀井・仙谷の仲』で、朝日新聞が連日、東京電力の裏金疑惑を追及しているが、なぜ、各メディアは後追い報道が皆無なのかとし、司法関係者の話
”「朝日が問題視するのは、貯蔵施設の隣接用地買収の動き。地権者に土地の買い上げを求められた東電は、東電役員と面識のあった『警備会社会長』に交渉役を依頼。この会長の提案に従って、当時副社長の清水氏は07年11月ごろ、別の副社長と一緒に西松の経営トップと都内で面談、カネの工面を持ちかけたということです」”
と朝日新聞の記事概容を紹介。

そして、西松建設裏金事案の着地点は、小沢一郎事務所の違法献金事件とし、東京地検事情通の話
”「実は特捜部も当時、東電と西松のつながりをマークしていた。特に関心を寄せたのが、朝日に今回『東電のゴースト(影)』と書かれた警備会社会長の存在です。過去にも原発施設をめぐる金銭トラブルで名前がとりされた人物ですからね」”
とし、この会長は政界に幅広い人脈を持ち、中でも関係が古いのはみどりの風の亀井静香・元金融相と落選中の仙谷由人・元官房長官の二人と記述しています。

記事は、見出し”「なぜ他社は及び腰なのか」”で、東京地検関係者の話
”「事件化の可能性があれば他紙も色めき立ちますが、地検は朝日の報道に関心を持っていません。4年前に事件化できなかった。今さらムシ返す気はないようです。立件するにしても、東電サイドを罪に問うのは困難。東電関係者は全面否定だし、地権者も金をもらっていないと証言している。カネを捻出した西松側は何とか特別背任に問えそうですが、それこそ『何を今さら』。警備会社会長が過去に複数のメディアを名誉毀損で訴えたことも、及び腰の理由になっているようです」”
と書き、朝日新聞に、東電の「全面否定」を覆す新材料が待たれるとまとめています。

「日刊ゲンダイ」は、同紙に、記事『福島第2原発の楢葉町・草野前町長 西松建設から無担保融資 2億3000万円 返済なし』で、18日の朝日新聞が報道した記事『原発立地の前楢葉町長親族企業 西松建設が無担保融資 2,3億 焦げ付き』の内容を紹介しています。

また、伊藤 博敏氏が「JBpress」にコラム『再稼働を前にスキャンダル発覚 昔も今も原発マネーには有象無象が群がっている』で、朝日新聞が報道した青森県むつ市に建設中の核燃料中間貯蔵施設の用地買収に東電の交渉役の警備会社へ西松建設が裏金2億を用立てした事案、むつ市長に西松建設が裏金1億を資金支援をとりあげ、核燃料中間貯蔵施設の用地買収の経過説明し、今回の朝日新聞の報道は、新鮮味はないが、原発関連施設には、常に「儲かるから」と踏んで、政治家、ブローカー、反社などが、多数、群がって電力会社からカネをむしり取ろうとするスキャンダルは今後も起こると。

結びは、
”「「今回、買い占めた土地に登場するのは、元暴力団組員、暴力団とともに逮捕された前歴のある不動産業者、大型経済事件に何度も登場するブローカーなどです。とても東電のエリート社員の敵う相手ではない。どうしても調整役が要るし、資金だって表のカネからは出せないから、西松のようなゼネコンに頼ることになる」(電力業界事情通)。

それは東電だけではない。原発を抱える9電力のすべてが、使用済み核燃料の置き場所に困り、中間貯蔵施設を求めているのだが、足元をみた不動産業者などが各種工作をして高く売りつけようとして、そこには反社も政治家も絡む。

この手のスキャンダルは今後も起こる
もはや原子力発電所の新設は考えられないものの、再稼働は目前。原子力規制員会は、7月16日、電力4社から再稼働申請があった6原発12基のうち、5原発10基について調査する初会合を開いた。
調べるのは新規制基準に適合しているかどうかで、早期稼働を求める安倍政権への支持率の高さを考えれば、年内には審査が終わり、再稼働へ向けて進むのだろうが、使用済み核燃料の問題は、核燃料サイクルと併せ、宙に浮いたままである。

誰も近くに来てほしくないから、電力会社はカネで容認してもらうしかなく、そのカネを目当てに政治家を含む有象無象が群がり、捌き役、調整役、裏ガネ捻出役が必要となる。つまり、むつ市の中間貯蔵施設スキャンダルは、今後も起こるし、原発事業は今も昔もその構造にある。再稼働にあたって、使用済み核燃料問題が未解決であることを、再認識すべきだろう
。」”

と、原発事業は今も昔もその構造にあると論じています。

当方は、一連の西松裏金事案を接して、思ったことは、中堅ゼネコンの西松建設の営業現場の現実(スーパーと中堅の相違)を垣間見したということと、東京地検関係者の話の事件化に検察は関心がないということですね。
東電には原発事業の継続に核燃料中間貯蔵施設が不可避で、東電は汚れ役をスーパーゼネコンでなく、中堅ゼネコンの西松建設に声をかけ西松建設が応じたことですね。
西松建設の営業努力といえば営業努力で、東電案件受注見返りに裏金捻出してまでの受注活動の一環でしょうね。
朝日新聞が報道した一連の報道には、金融機関もスーパーゼネコンの名前が一切でず、中堅ゼネコンの西松建設だけが汚れ役を応じていますね。

本ブログ「西松建設の「調査報告書」は、会社延命への労作?」(2009-05-19)で、西松建設の外為法・政治資金規正法違反で、社内調査委員会が公表した「調査報告書」は、過去と決別する顛末書になっていますが、会社延命を第一に、各関係先への配慮が滲み出た内容という印象とし、5年間で総額26億円の特別支出金(使途秘匿金)は内訳明細が無く、調査報告書は、会社延命への懺悔書?、嘆願書?と書きました。

本ブログ「西松事件:國澤幹雄前社長ら即日結審の報道に接して!」(2009-06-14)で、國澤幹雄前社長は、西松建設の延命を第一とし、裁判の長期化しないと思っていましたので予想通りと書きましたが、小沢一郎氏への献金疑惑事案は、特別支出金(使途秘匿金)の氷山の一角に過ぎず、裏金捻出は電力会社らへの受注見返りの電力会社らへの便宜への工作費用だったのでしょうね。
マアー、中堅ゼネコンの悲哀ともいえ、金融機関もスーパーゼネコンも汚れ役を2番手、3番手の企業に委ね、自分らは安全地帯にいて美味しい商売をしているのが世の現実(硬直化社会)なのです。

「日刊ゲンダイ」が東京地検関係者の話として、”「地検は朝日の報道に関心を持っていません」”と小沢一郎事務所の政治資金規正法違反事件を過去の物と興味なしと報道し、伊藤 博敏氏は、”「むつ市の中間貯蔵施設スキャンダルは、今後も起こるし、原発事業は今も昔もその構造にある。再稼働にあたって、使用済み核燃料問題が未解決であることを、再認識すべきだろう。」”と原発マネー・スキャンダルは今後もおきるだろうと書いており、今後も原発推進に汚れ役に2番手、3番手、新興勢力が担うことになるでしょうね。

西松建設裏金の政治献金事案は、数億程度であったが、特別支出金(使途秘匿金)は5年間で総額26億であり、原子力施設関連に多額の金額が推察され、建設業界全体では総額は数倍であろうと推測されますね。
小沢一郎事務所への仰々しい強制捜査は、電力業界・スーパーゼネコン・自治体首長らの本命隠しのトカゲの尻尾きりであったと思え、これが日本社会の既得権堅持の宿弊なのです。
安倍首相が、”「日本を取り戻す」”と声高に叫んでいますが、”「既得権を取り戻す」”に聞こえますね。
マアー、この硬直化社会構造が建設業界に関わらず諸々の分野で新参・新興勢力の事業拡大が障害になっているのです。



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