傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

西松建設の「調査報告書」は、会社延命への労作?

2009-05-19 06:00:37 | 検察・メディア


西松建設の外為法・政治資金規正法違反で、社内調査委員会が15日に公表した「調査報告書」を一読しましたが、調査報告書は、過去と決別する顛末書になっていますが、会社延命を第一に、各関係先への配慮が滲み出た内容という印象をもちましたね。
調査報告書は、小沢秘書問題では、偏向基調の産経新聞の記事「【疑惑の濁流】ちらつく「わいろ」「政治」 西松建設“裏金”はどこに流れた 」(2008.11.30)の内容を補填した程度であり、産経新聞の「西松建設内部調査「上場企業と思えぬ」 (2009.5.18)が、西松建設の調査報告内容を酷評していますが、メディアは、西松建設の延命に許容するのでしょうか?
当方には、調査報告書は、國澤社長が保釈され、6月から、國澤社長、小沢秘書の公判が始まる前に、元最高裁判事の才口千晴弁護士ら外部委員(外部諮問委員会)の空々しい助言を受け、公表されていますが、内部調査報告書ではなく、「会社延命」への嘆願書と思えますね。

西松建設の高原・元社員(海外事業部:副事業部長)が、東京地検に告発し、西松建設が外為法違反で東京地検特捜部から平成20昨年6月に家宅捜索され、同年11月に、告発した高原・元社員が業務上横領の被疑事実で逮捕があり、平成20年12年に、國澤・前社長の主導で、内部調査委員会の設置したが、平成21年1月には、藤巻・副社長が外為法違反で逮捕、國澤社長が逮捕され、新社長の下で、「調査委員会」を刷新し、平成21年2月に、調査委員会を指導・助言の「外部諮問委員会」を設立。
5月15日に、西松建設が調査委員会の報告書(「外部諮問委員会」所見)を公表する。

報告書でも記述されていますが、平成14年から、9億の裏金捻出が、着服の嫌疑の社員(最終的には逮捕)からの内部告発で表面化し、内部調査で、政界側への脱法献金総額は約4億7000万で、新たに、特別支出金(使途秘匿金)が過去5年間で総額約26億円も存在したことは、会社組織の体をなしていなかったことですね。

報告書によれば、西松建設事案の発端は、裏金を捻出工作した高原・海外事業部:副事業部長に裏金の一部を着服の嫌疑が社内で浮かび、返還の追及の目前に、退職し、副事業部長は、副社長の軋轢から東京地検特捜部に告発し、西松建設は外為法違反で家宅捜索され、告発した元・副事業部長は横領で逮捕される事態になる。

本ブログでも書きましたが、金銭的な告発(リーク)は、利害関係の「もつれ」で、不利益を蒙った人間からのリークが大半であり、この度も、正義感を持ってリークしたのでなく、元・副事業部長が不利益・不当扱いの被害者意識をもち、逮捕覚悟で、西松建設(トップ)を告発したのでしょう。

告発・逮捕された高原・副事業部長は、着服もしたが、
「自分も悪事したが、もっと巨悪なのは、命令した副社長
 ・社長だ!」、
「俺は命令され、悪事を働き、一部を私的に(危険手当?
 として)着服しただけだ!」
「藤巻・副社長は、悪事をすべて俺に押し付け、自分らは
 良い子になっている!」
「会社は、俺だけを悪者と追及するのは、頭にきた!」
として、感情的に切れ、証拠金2000万をもって、東京地検特捜部に告発したと、報告書が語っていますね。

國澤・社長・藤巻・副社長が、不明朗な海外事業部門での、社内問題(高原・副事業部長の着服の疑い)を、社員個人問題に責任転嫁で終息しようとした調整の失敗が、告発になり、東京地検に知る所になるが、多分、西松建設は、東京地検に、高原・副事業部長の個人が私服を肥やす為に、裏金を捻出してたとし、西松建設としては、横領の嫌疑中と検察に説明したのでしょうね。
それが、社内横領とともに外為法違反も顕在化し、検察は、裏金の使用用途が政治献金目的と知る所になったのでしょう。

報告書は、西松建設は、平成7年の「夏」頃に、政治団体を設立し、政治献金を行ったきたとし、献金の行う趣旨に関しては、
”「工事の発注を得たいという積極的な動機よりも、受注活動を妨害しないでほしいという消極的な理由もあったと供述する者もいた。」”
と報告しています。

この政治献金の行う趣旨の文面は、意味深の表現ですね。
國澤・前社長の公判が決定しており、小沢・前代表秘書の公判をも予定されており、西松建設としては、与野党の政治家を「悪者」するような記述は一切書けませんので、上述の表現が精一杯なのでしょうね。

報告書で政治献金問題については、「西松建設が政治団体(新政治問題研究会、未来産業研究会)を設立した上、政治団体からの献金を装って政治家個人の政治団体等に献金することを画策した。」として、「西松建設が、政治団体がどの議員関係にいくら献金するかは、政治団体ではなく、当社(西松)が決定した。当社内部の意思決定は、國澤(前社長)が行っていた模様である」と、記述しています。

西松建設が「どの議員関係にいくら献金するか」を決定していたということは、「逮捕された小沢前代表秘書の大久保秘書が主導的に、献金額を決定していた」という新聞報道と不一致ですね。

そして、報告書の「政治団体の収支」については、転載すると

”『 7 政治団体の収支
当社が支給した特別賞与加算金の負担額と、政治献金の実績を比較検討した結果は、以下のとおりである。

(当社の負担額)

二つの政治団体である「新政治問題研究会」及び「未来産業研究会」による与野党国会議員関係などへの政治献金や、パーティー券購入などの総額は、両団体の政治資金収支報告書等の記載からある程度明らかとなるものではあるが、この政治献金の原資は、実質的に当社によって支払われていたもので、当社の負担額は、当該社員らの税金分を含むために、これよりもはるかに多大であり、特別賞与加算金の総合計では11 億円の規模に達し、これにパーティー券分52,420 千円が加算されるものと認められる。

この特別賞与加算金制度は、平成7 年の冬季賞与から始まっており、この加算制度によって、多くの社員に対して一定金額を支給してきた実績があった。平成17 年の冬季賞与まで通算21 回の支給で延べ3,128 人、総額1,103,280 千円が当社の負担により、社員に支給されている。

(両政治団体の収入金額)

特別賞与加算金の交付を受けた社員は、必ずどちらかの政治団体の会員になっており、政治団体から指定された会費を支払っていた。
上記のとおり、当社は、特別賞与加算金として約11 億円を支給し、両政治団体に対してのパーティー券購入として52,420 千円を支出したものの、社員らの税金負担等で差し引かれ、政治団体に届いた金銭は、合計で591,357 千円(会費による納入額とパーティー券収入の合計額)と推定される。

(両政治団体の支出金額)

両政治団体では、総収入591,814 千円のうち、103,758 千円を人件費など政治団体の運営等に使用した。政治活動に使用されたのは488,055 千円で、他の政治団体への献金やパーティー券購入に使用されたのは478,239 千円、政治活動の経費として9,816 千円が支出されている
」”

と報告しております。

この報告部分は、消化不良気味ですが、西松建設は、ダミー社員会員には、平成7年から平成17年の冬までに、特別賞与加算金として、総額11億が振り込し、パーティー券購入に5200万を支出したが、政治団体には、5億9千万円が計上されていた。
そして、政治活動には、4億7000万が使用された。としていますね。

西松建設がダミー会員社員には、11億を振込みしているが、政治団体の収入が5億9000万とすれば、その差額は、ダミー会員社員が税金分を差し引いても多額すぎるのではないかと思いますね。
ダミー会員社員には、貰い得していた社員もいたのかな?
そうであれば、社長も社長であるが、社員も社員ですね。
そのような企業であれば、市場から去るのが当然だと思いますが?

報告書で特筆すべきなのは、「特別支出金」(使途秘匿金)の金額とその処理ですね。
報告書では、

”「平成16 年度から平成20 年度までの過去5 年間に、本社及び各支店において計上した特別支出金は総額約26 億円」”

”「特別支出金が実際に相手方に支払われているのか否かについての証拠化が行われていないことが挙げられる。仮に担当社員が特別支出金を着服し、実際には相手方に交付しないというケースが生じても、これを証拠上確定することができない仕組みになっていた。」”

”「(本社の経理部長は、支持された資金を調達し)、経理部長は、各支店担当者から当該資金の受取書を徴求するが、毎月末に一覧表を作成した上で、社長と管理本部長にこれを提示して報告し、その直後には受取書をシュレッダーで廃棄していた。
一か月を過ぎて問題がなかったものは、完全に決裁が終わったものとし、その後どのように特別支出金が処理されたかを問わないというのが、不文律であった
。」”

”「その具体的な使途に関しては、元営業本部長にあった者及び各支店長からの聞取り調査を行ったが、大別すると、いわゆる近隣対策費及び民間同士でのリベート等での支出が主たるものであった」”

と報告しております。

特別支出金」(使途秘匿金))で、政治献金の原資にしてかどうか、報告書に一切、記述がありませんが、意味深の記述ですね。
ネコババが許容できる管理体制であり、トップの交際費はフリーパスで、1ヶ月後に、関係書類を破棄処分では、後から追求できないという言い訳にはなりますね。

西松建設の政治献金向け不透明な処理には、

① 平成7年から、西松建設が、ダミー社員会員経由で、
  設立した政治団体経由で、 政治献金へ
② 平成14年からは、海外事業部関連で、政治献金向け
  裏金を 捻出

は、調査報告書には、記述しているが、

③ 特別支出金(使途秘匿金)・・・・平成16年~20年度で、
  総額約26億円を計上

の特別支出金(使途秘匿金)の一部が、政治献金の原資になっていたと憶測できるが、調査報告書は、その事については、一切、記述しておらず、及び、政治献金の内訳・明細など具体的な客観的資料の無い調査報告書ですね。

調査報告書は、会社延命への懺悔書?、嘆願書?

不祥事が発生した場合に、世の中、内部調査委員会を設置し、不祥事の原因・背景・責任問題を具体的な客観性資料(当該関係者氏名など)、金額、などを明記するが、西松建設の調査報告書は、公表部分は、59ページであり、客観的資料の無い総括に過ぎないですね。
多分、検察に押収されていない資料類、メモ類、調査面談記録などはあったが、調査報告書は、社長の独断専行許容してきた体質の懺悔し、それを教訓として、再犯防止策として、ガバナンス体制及びコンプライアンス体制を構築し、新生・西松建設への嘆願書ですね。


内部調査報告書に対して、元最高裁判事の才口千晴弁護士ら外部委員(外部諮問委員会)が、限定的な環境としての調査内容は妥当とし、内部調査報告書への助言の「結語」を転載すると、

”「結語信頼を獲得するには多くの歳月を要するが、信頼を喪失するのは一瞬であるのが世の習いである。

西松建設は、ダムやトンネル等の大規模土木工事を得意とし、高い技術力を持った企業との評価を受けているが、その評価と信用は、一朝一夕に築かれたものではなく、創業以来135 余年かけて培われた貴重な財産である。

今回の一連の不祥事により、西松建設が永年かけて築き上げた信頼は大きく損なわれ、失墜した信頼を回復するための道程には多くの困難と時間が伴うものと予測される。
しかし、会社の状況は、財務内容が安定しており、受注高も微減にとどまり、資金繰りにおいても特段の支障はなく、金融機関の協力を得られている状況にある。

また、約3,500 人の従業員とその家族、国内外の現場合計467 箇所と月平均の取引業者4,000 社以上を抱えている現状を踏まえれば、西松建設は、本件不祥事を契機として「新生西松」として早期に第二の創業を図る必要があり、全社一丸となって、不退転の決意で再発防止策の実現に取り組み、前途に再生の光明を見出されることを期待する
。」”

と結んでいます。

正直、当方は、内部調査報告書を読み、やはり、「会社人間は、会社を守るのが第一」の感想を持ちましたね。
客観的な資料は残っていなくても、当該担当者は、必ず、個人メモ類を保管しているはずであり、特別支出金(使途秘匿金)は、一番神経を使っている事柄であり、全件、埋めることは容易ですね。

外部諮問委員会の結語は、会社の意向・要請を踏まえて、「西松建設には、培ってきた技術があり、金融機関も好意的であり、業績見通しも安定しており」、新生・西松建設に「ご理解・ご支援」を・・・・という「ちょうちん見解」ですね。
このような中途半端な調査報告書(外部諮問委員会の所見)を、メディアは、許容するのでしょうか?
社会的・政治的な事件をおこした西松建設の延命が、社長の外為法、政治資金規正法違反だけで、社会は、どこまで許容されるのか?
西松建設は、指名停止は、3ヶ月プラス1ヶ月程度の処分で、政治的な問題を引き起こした処分が妥当かどうかな?・・・・

当方は、内部調査報告書は、まだ、評価できませんね。
本名を出せとまでは、要求をしませんが、死人(自殺者)がでている事件であり、仮名でも、新聞沙汰になっている二階グループらとの関係の記述が一切ない調査報告書など評価できず、歴代の小沢秘書との過去からの経緯についても、当事者の西松建設としての内部調査に一切記述がなく、このような調査報告書内容で、外部諮問委員会が「良し」として、更に、「ちょうちん見解」を付与すること自体、西松建設の関係者が「延命第一」の労作しか思えないのです。
マアー、会社人間とすれば、しょうがないかな!・・・・

本ブログでも書いてきましたが、西松建設が、正直に、暴露すれば、「西松建設は、信用できない!」と、業界から、干され、静かに、退場させられるでしょう。
西松建設の人間にとっては、会社延命が第一で、

”「西松建設が政治団体(新政治問題研究会、未来産業研究会)を設立した上、政治団体からの献金を装って政治家個人の政治団体等に献金することを画策した。」”、
”「西松建設が、政治団体がどの議員関係にいくら献金するかは、政治団体ではなく、当社(西松)が決定した。当社内部の意思決定は、國澤(前社長)が行っていた模様である」”
”「特別支出金(使途秘匿金)は、その具体的な使途に関しては、元営業本部長にあった者及び各支店長からの聞取り調査を行ったが、大別すると、いわゆる近隣対策費及び民間同士でのリベート等での支出が主たるものであった
」”

と記述するのが精一杯なのでしょうね。
西松献金事件は、外為法違反、政治資金規正法違反の形式犯の次元の問題ではなく、次期総理就任の可能性があった野党第一党の代表を失脚させた事案であり、その当事者の西松建設が、顛末書、嘆願書の類の調査報告書で社会は許されるのかどうか、当方には、解せないのです。

小沢元代表には、社会(報道機関、世論)は、「説明責任」「代表辞任」「更に、離党、議員辞職まで」を要求しているのに、一方の当事者である西松建設は、社会から追求の声が出てこないことが不可思議で思えますね。
やはり、西松建設は、國澤・前社長、小沢議員秘書の公判とは別にして、詳細を公表すべきですね。
もしくは、中途半端な社内調査報告書などは、公表などすべきではないですね。
公判で、西松建設は、立場を明らかにすべきですね。

5月1日に、主犯の國澤・前社長が保釈され、5月11日に、小沢代表が西松建設献金問題で代表辞任し、國澤・前社長の公判が6月から始まり時期に、15日の内部調査報告書の内容が、今後の國澤・前社長、小沢秘書の公判に、どういう影響があるのか興味はありますね。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。