傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

福島原発事故:福島県がヨウ素剤配布しなかった背景(邪推)

2013-11-10 20:04:27 | 社会

福島原発事故時に、ヨウ素剤配布・服用の是非を自治体に指示する連絡ファクスが所在不明で事実は闇の中。
事故当時、情報不足、錯綜した混乱の状況下で各人が忙殺されたことは推察できるが、混乱、情報不足の非常時こそトップの力量・決断力次第で、現場力が発揮されると思いましたね。
今頃になり、ヨウ素剤服用の是非の決定部門のトップが、「服用すべきだった」と後悔の言を聞いても何をいわんやと思いますね。

朝日新聞の特集連載〈プロメテウスの罠〉のタイトル【医師、前線へ】シリーズの11月10日付けサブタイトル【消えたファクス】では、長崎大学の山下俊一とともに安定ヨウ素剤の服用問題に大きな影響力を与えた放射線医学総合研究所(放医研)の緊急被曝医療研究センター長、明石真言へ6月時の取材内容です。

2011年3月14日放医研は原子力安全委員会の定めた服用法から逸脱(”「国や県の指示がない状態で飲むな」”)しないよう声明文を出した。
その声明文への問いに、明石真言は、
”「いま思えば、飲ませればよかった」”とし、
”「でも、あのころは自衛隊へのヨウ素剤服用指示や、傷病者の受け入れなど対応すべきことが多くて・・・・・・」”

記事は、服用に至らなかった経緯については、服用の判断を任された原子力安全委員会は、3月13日午前0時42分、午前10時半、経済産業省へ”【体表面の汚染1万カウント以上でヨウ素剤を投与すべきだ】”とファクス送信したが、そのファクスが行方不明になったと。
15日深夜、福島県庁に退いた国の現地対策本部に、”【20㌔圏内には入院患者等がいるのでヨウ素剤を服用させるように】”のファクス受信し、現地対策本部の医療班員だった放医研医師、立崎英夫の記憶では送信元は経済産業省だったと。
立崎英夫は、ヨウ素剤服用対象を入院患者から住民に広げた文面にし県にヨウ素剤服用の指示書を作成。
16日朝、立崎英夫は、現地対策本部長の許可をとり、本部内の県職員に指示書を手渡したが、県はヨウ素剤は理由不透明で配布せず。
17日昼、立崎英夫に放医研に戻り、医師の富永隆子と交代。
18日か19日、富永隆子は事前にヨウ素剤配布を県職員に提案し、職員は応諾し手配を着手したが、結果的にはヨウ素剤配布は実現しなかったと記述しています。

要は、18日午後、福島入りし福島県のアドバイザーに就任した長崎大学の山下俊一は、18日夕刻の福島県立医大での講演会で「ヨウ素剤不要論」を強弁しており、16日、放医研の立崎英夫は福島県にヨウ素剤服用の指示書を手渡しており、18日か19日に、放医研の富永隆子は、ヨウ素剤配布を福島県に提案していたが、福島県はノーアクションだったということです。
朝日新聞の記事からは、18日の長崎大学の山下俊一の「ヨウ素剤不要論」で福島県の現場はヨウ素剤配布を無い物にしたと邪推できますね。

記事で不可思議なのは、13日に2度、原子力安全委員会が”「ヨウ素剤投与すべき」”を経済産業省にFAX送信が所在不明なのに、15日、送信元が経済産業省から現地対策本部に、”【20㌔圏内には入院患者等がいるのでヨウ素剤を服用させるように】”のFAXを受信していることです。
多分、経済産業省の現場担当者は、15日、原発の危機状態を予見して事前に担当者レベルの私見を送信したのでしょうね。
しかしながら、福島県側はアドバイザーの山下俊一・長崎大学教授の「ヨウ素剤不要論」に遠慮があり、ヨウ素剤配布の機会を逸し、無い物にしたのでしょうね。
福島県はヨウ素剤配布の機会をミスたったことを認めることができずアドバイザーの山下俊一・長崎大学教授とその後も協働してきたと推察しますね。

先のブログで、情報もない指示もない三春町が独自調査で町の責任でヨウ素剤配布服用を遂行した内容のNHK番組『「福島県三春町」~ヨウ素剤・決断に至る4日間~』(2012年9月30日放送)を取り上げました。

詳細は、ブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」様の
エントリー『1.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)』、エントリー『2.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)』、エントリー『3完.福島県三春町ヨウ素剤決断に至る4日間 (内容書き出し)』で動画・画像・テキストで紹介しています。

三春町では、3月14日午後 三春町の保健師の竹之内様が福島県にヨウ素剤があるのが判り、福島県に調達に行った際、ヨウ素剤は廊下に雑然と置かれており、職員から大雑把に数量を入手できたとし、3月15日 午後13時から住民へヨウ素剤配布開始し、午後17時に、福島県(地域医療課)の職員から工藤浩之・保健福祉課長へ電話がある。

工藤浩之・保健福祉課長の弁によれば、
”「誰の指示か?
町の責任で町長の指示で動いています。
これは国とか県の対策本部からの連絡があって指示があって初めて配れる薬なんだよと?
ましてやお医者さんの立会いがないと配れない薬なのをどうして配っているんだ?
国県は指示系統がめちゃくちゃないですかとあとお医者さんの指示とおっしゃたけど、よく読んでいくと医療関係者 各意難所には医療関係者を配置しなさいとは書いてあるので、医師には限定していないはずだと、医師に特定していないはずですと反論させてもらいました。
       
地域医療課の1担当職員だったものですから、回収を指示しますって強い口調でおっしゃったのですから、指示となると知事命か何かのはずですとあなたは知事の権限をもっているのですかと反論させてもらったところ
彼は、いや、こういう緊急事態ですから
私の一存で回収を指示しますとおっしゃったんですね
であれば、私は聞けませんと反論させてもらって、あとは押し問答です。回収しろ、回収でいません もう飲ませてあるんで、あとは一方的に回収してくださいと言ったまま向こうの方から電話をきっちゃいましたので
もうそのまま続行しました
。」
 
と会話したと語っています。

14日、福島県の対策本部は情報が錯綜しており、県立医科大学は原子力医療は未経験であり、現場が混乱状態だったと推察できます。
朝日新聞の〈プロメテウスの罠〉のタイトル【医師、前線へ】シリーズによれば、福島県立医大では事故翌日の3月12日に、在庫の1000錠を内部に配布し、製薬卸会社から錠剤を調達し、15日昼までの配布数は4507錠を、15日に県から4000錠、16日には製薬卸会社から更に2000錠を調達し、服用は各職場判断としたが、多くの県立医科大学の職員は配布後、即服用したと。
また、県立医科大学関係者へヨウ素剤配布は内密扱いとしたと。

三春町は、14日午後、福島県にヨウ素剤を引き取りに行った際、福島県はヨウ素剤については関心が無かったが、一方、福島県立医科大学では、12日からヨウ素剤を配布が開始され、人によっては服用していたということですね。
福島県(地域医療課)は、県立医科大学が内々でヨウ素剤を配布していたことは知らなかったのでしょう。
三春町にヨウ素剤を安易に引き渡し後になって、ヨウ素剤配布・服用のマニュアルの存在を知り、慌てて、回収要請したと推察できますね。
マアー、福島県は原発事故被曝など想定しておらず、形式的(法律的?)にヨウ素剤を在庫を抱えていたのでしょうね。

当方が、問題視するのは、アドバイザーの山下俊一・長崎大学教授の言動であり、それに福島県が協働してきていることです。
ヨウ素剤配布・服用に関しては、混乱下であり配布服用が周知できなかったことが容認できますが、問題は、その後の甲状腺の健康調査です。



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