傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

急性期病床を削減するなら慢性期病床を増やすのが代替策と思うが?

2014-02-09 00:28:47 | 社会保障

7日の朝日新聞の記事『重症向け病床、1/4削減 医療費膨らみ方針転換』で、厚労省が医療費抑制に診療報酬の高い急性期病床を現状から1/4に削減策を14年度から実施と報道。
当方は、診療報酬と病院経営の仕組みについては無知であるが、厚労省の想定以上に急性期病床が増加しすぎでの医療費抑制策で、回復期病床、在宅医療の報酬を手厚くするとあるが、まずは、慢性期病床を増やすことが代替策と思うが?

朝日新聞の記事『重症向け病床、1/4削減 医療費膨らみ方針転換』を転載すると、

”「症状が重く手厚い看護が必要な入院患者向けのベッド(急性期病床)について、厚生労働省は、全体の4分の1にあたる約9万床を2015年度末までに減らす方針を固めた。高い報酬が払われる急性期病床が増えすぎて医療費の膨張につながったため、抑制方針に転換する。4月の診療報酬改定で報酬の算定要件を厳しくする。

 全国に約36万床ある急性期病床の削減は、診療報酬改定の目玉のひとつ。実際は急性期ではない患者が入院を続けるケースも目立ち、医療費の無駄遣いと指摘されてきた。急性期病床以外での看護師不足も招き、「診療報酬による政策誘導の失敗」といった批判も強まっていた。
 急性期病床を減らすため、厚労省は4月から、入院患者7人当たり看護師1人という手厚い配置をすると病院に支払われる「7対1入院基本料」の算定要件を見直す。
 
 具体的には、重症患者と認めるチェック項目を細かくするなどして、高い報酬を認める対象を絞り込む。
これにより14~15年度の2年間で「7対1病床」を約9万床減らす方針だ。まず14年度に医療費を600億円減らせる効果も見込む。
 7対1病床は、高度医療を充実させるため06年度に導入された。入院基本料は患者1人につき1日1万5660円。慢性期向け病床(患者15人あたり看護士1人)の1.6倍だ。全国の病院が収入増をねらって整備を進め、導入時の8倍の約36万床にまで増えた。一般的な病床の4割を占める。
厚労省の想定を上回る規模に膨らみ、この部分にかかる医療費は年間1兆数千億円とされる。厚労省は是正に乗り出すが、医療界から「一気に減らすと混乱する」と声があり、1年間程度、病院の収入減を補う激変緩和措置をとる。

 一方で、回復期向け病床や在宅医療の報酬は手厚くし、受け皿を確保する。急性期病床の入院患者の一部を、コストの低い医療に誘導し、医療費全体を抑える狙いだ。高齢化で慢性的な病状に悩む患者が急増する将来を見据えた提供体制の改革となる
。」”

と報道。

医療費削減に急性期病床の削減については、本ブログ『認知症高齢者の行く末と介護する家族の苦悩について・・・家族的な社会的入院も一考』(2013-09-02)で紹介したNHKの「クローズアップ現代」で2012年5月29日放送『もう病院で死ねない ~医療費抑制の波紋~』(全文テキスト)の医療費抑制による高齢者の医療難民のことと推察できます。
救急病院は、経営上、早期退院を促すことですが、退院後の受け皿に労力を費やすているのが現状ですね。

当方は、当該記事を一見し、机上の医療費抑制策で医療・介護難民を新たに生み出すのでないかと思いました。
本ブログ『医療・介護難民の戦犯は?』(2009-04-03)で、

”「文藝春秋(2008.09)に、元財務省課長補佐で、医療制度改革に携わった村上正泰氏が寄稿した「医療費削減の戦犯はだれだ」(霞ヶ関に絶望した若手官僚が告発する小泉改革の「病巣」)で、「歳出削減」の至上命題で、本末転倒した政策過程を述べており、その疑問と矛盾により、村上氏は、9年余りで32歳で退官しています。」”

と、元財務省課長補佐で、医療制度改革に携わった村上正泰氏の寄稿文を紹介し、

”「2005年に経済財政諮問委員会で民間議員が繰り広げた「伸び率管理」論は、持続可能な医療制度にするためには、名目GDPの伸びに合わせて社会保障給付費を管理するべきという曖昧な内容で、強制的に医療費を押さえつけるものではなく、あくまで目安を示すに過ぎず、医療費の総額は増えても構わないが、問題は給付金(税金と保険料を合わせた額)で押さえればよいという、国と企業の負担を増やしたくないということと、村上氏は書いています。

経済財務諮問会議と財務省からの社会保障費削減という巨大な圧力に、厚労省は抵抗できず、「伸び率管理」にかわる医療費適正化対策としてクローズアップされたのがメタボ健診であり、療養病床の見直しだった。

諸外国と比較して、日本は、患者や家族の生活上の理由から入院を続ける「社会的入院」の患者が多いのが特徴で、福祉施設の不足が社会的入院を生んでいるという事情もある。

村上氏は、「それをいきなり38万床あった療養病棟を、15万床にまで削減するという乱暴な方針が打ち出されたのである。しかも、受け皿となる老人保健施設やケアハウスなどの拡充が不確定のまま、削減数だけが突然頭ごなし決まってしまったのだ。これではベットを削減された23万人の患者は「医療・介護難民」になってしまう。」とし、「私(村上氏)は担当者でありながら、あまりにも行き当たりばったりの政策決定に戸惑わった。」と書いています
。」”

と、村上正泰氏は、社会保障費削減圧力に厚労省は、療養病床の削減を策定し、受け皿の絶対不足で医療・介護難民を生み出したと言及していました。

朝日新聞の記事『重症向け病床、1/4削減 医療費膨らみ方針転換』を一見すると、厚労省の想定以上に急性期病床が増加したことは、医療費の無駄と指摘され診療報酬改定し医療費抑制への方針転換と、厚労省が努力している印象を与えますね。
当方は、無駄の削減は当然であるが、削減する急性期病床を”「回復期向け病床や在宅医療の報酬は手厚くし、受け皿を確保」”し、”「高齢化で慢性的な病状に悩む患者が急増する将来を見据えた提供体制の改革」”には、疑問ですね。

当方は老母の介護・看護で、訪問医療による在宅看護・医療は家族に犠牲を強いると思っています。
前述の村上正泰氏の意見”「諸外国と比較して、日本は、患者や家族の生活上の理由から入院を続ける「社会的入院」の患者が多いのが特徴で、福祉施設の不足が社会的入院を生んでいるという事情もある」”に同感です。
日本社会は、高齢少子の核家族社会であり、社会的入院を削減したことで、特養入所待ち問題、介護離職問題の起因の一つと思いますね。
社会的入院を削減し受け皿の療養老人ホームを削減し特別療養老人ホームを不十分が背景にあると思っています。
特養入所待ちが問題となると、訪問医療による在宅介護・医療を打ち出しているが、当方は老母の在宅医療をも検討したが、訪問医療サービスが限定的で最後の看取りまでの家族負担を考えると訪問医療による在宅介護を断念しました。

当方の父親は最寄の医院の往診を受け、最後は大きな病院での検査入院中に死去した体験をしたこともあり、訪問医療は全面否定しませんが、核家族社会の現下、老老看護のご時世に、訪問医療による在宅介護・医療は家族犠牲を強いると思っており、社会的入院の緩和は必要と思っています。
よって、本ブログ『認知症高齢者の行く末と介護する家族の苦悩について・・・家族的な社会的入院も一考』(2013-09-02)で、社会的入院の緩和を提起しました。

問題は、施設入所で、高齢者に「現代の姥捨て山」の思いをにさせない努力を、家族、施設がすることです。
現在、訪問・通い・宿泊を組み合わせる「小規模多機能型居宅介護」が登場し家族の負担の軽減に効果が発揮ていますね。

それにしても、厚労省の施策は、医療費抑制の錦の御旗で、社会的入院を削減、急性期病床の削減と、医療・介護難民を生み出す元凶ですね。
救急病院は、早期退院を促すが退院先の受け皿に苦悩しており、認知症の高齢者の場合には精神科病院が入院先になります。
NHKの番組「クローズアップ現代」の2012年11月22日放送『”帰れない”認知症高齢者 急増する精神科入院』で認知症高齢者の精神科病院入院の急増の実態を放送しています。
認知症の高齢者を、訪問医療での在宅介護はで現実困難です。

本日、都知事選の投票日で、メディア予想では、舛添候補者が当選だそうで、某ニュースで、ある婦人がインタビューで、舛添候補は厚生労働大臣経験に7年間母親介護の体験され社会保障に精通しており、舛添候補に投票すると報道していたが、マアー、母親介護云々は別にしても、厚生労働省大臣だったからの理由であれば、当方は舛添候補には投票しませんね。



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