傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

高齢者の終末・・・長生きは社会のお荷物?(NO 3)

2013-02-12 11:19:57 | 社会保障

現在、認知症の老母(92歳)の終末期医療の問題を抱え在宅看護で看取るか検討中であるが、団塊世代の当方にも近い将来に直面する介護・看護・看取り問題は身近な問題で、高齢者の終末については関心事です。

NHKスペシャルの1月20日放送の『終(つい)の住処(すみか)はどこに 老人漂流社会』の番組紹介は、
”「『歳をとることは罪なのかーー
今、高齢者が自らの意志で「死に場所」すら決められない現実が広がっている。
ひとり暮らしで体調を壊し、自宅にいられなくなり、病院や介護施設も満床で入れない・・・「死に場所」なき高齢者は、短期入所できるタイプの一時的に高齢者を預かってくれる施設を数か月おきに漂流し続けなければならない。
「歳をとり、周囲に迷惑をかけるだけの存在になりたくない…」 施設を転々とする高齢者は同じようにつぶやき、そしてじっと耐え続けている。
超高齢社会を迎え、ひとり暮らしの高齢者(単身世帯)は、今年500万人を突破。「住まい」を追われ、“死に場所”を求めて漂流する高齢者があふれ出す異常事態が、すでに起き始めている。
ひとりで暮らせなくなった高齢者が殺到している場所のひとつがNPOが運営する通称「無料低額宿泊所」。かつてホームレスの臨時の保護施設だった無料低額宿泊所に、自治体から相次いで高齢者が斡旋されてくる事態が広がっているのだ。しかし、こうした民間の施設は「認知症」を患うといられなくなる。多くは、認知症を一時的に受け入れてくれる精神科病院へ移送。
症状が治まれば退院するが、その先も、病院→無届け施設→病院・・・と自らの意志とは無関係に延々と漂流が続いていく。
ささいなきっかけで漂流が始まり、自宅へ帰ることなく施設を転々とし続ける「老人漂流社会」に迫り、誰しもが他人事ではない老後の現実を描き出す。さらに国や自治体で始まった単身高齢者の受け皿作りについて検証する。その上で、高齢者が「尊厳」と「希望」を持って生きられる社会をどう実現できるのか、専門家の提言も交えて考えていく
。」”
と、65歳以上の高齢者が3000万人を突破し増加中の超高齢社会で、一人一人が老後を何処で、どのように過ごし、最後を迎えるか?が問われているが?と投げかけ。
政府は自宅介護を推進し、高齢者の受け皿の介護療養病床を5年以内(2017年)ゼロにする目標で、自宅で最後を迎えられる人は多くないと問題提起し、独居高齢者、孤立高齢者、低収入高齢者が安心して老後を過ごせず、安心して死んで行けない「声なき高齢者」たちの「老人漂流社会」を取り上げています。

ちなみに、原拓也ディレクターが「放送を終えて」のコメントに、
”「番組で登場した人たちは、ごく当たり前の人生を送ってきた人たちばかりです。
「日本社会を支えてきた市民が老後に安住の場さえ持てず“お荷物”扱いとも言えるような暮らしぶりにおかれている・・・
」”
とし、”「「老人漂流社会」は私自身にとっても遠い話ではないと痛感しています。」”と書いており、当方しかり高齢者も現役世代も「明日は我が身」の可能性があります。
いつまでもあると思うな親と金 いつまでも無いと思うな運と災難」と将来設計してても、不慮の事故、大病、未曾有の天災に遭遇することもあり、堅実な生き方しても将来保証がないのです。

番組が問題提起した「老人漂流社会」は、本ブログ「高齢者の終末・・・長生きは社会のお荷物?(NO 1)」でも紹介したブログ「医療・介護難民の戦犯は?」で書いた村上正泰氏の「医療費削減の戦犯はだれだ」が顕在化したのだけです。
自公政権時の「財政健全化」を「錦の御旗」とした「医療費適正化対策」が医療・介護難民を現出し「財政健全化して、国滅ぶ」が進行しているのです。

番組で、ホームレスの臨時の保護施設だった無料低額宿泊所に、生活保護受給の高齢者の「有料老人ホーム」となっている現実をも紹介していましたが、本ブログ「無届有料老人ホームの火災死亡事故は、介護実態(貧困ビジネスの存在)を露見」(2009-03-24)で、
”「群馬県渋川市の有料老人ホーム「静養ホーム花みずきたまゆら」(=NPO法人彩経会運営=)の10人死亡した火災事故は、高齢少子化社会における介護実態の貧弱さが露見。
今回の死亡事故を起こした施設側は無届、建築基準法違反の増改築など責任の第一はありますが、都内で生活保護費の受給者が都外の施設に入所者が多数いることは、介護施設が社会ニーズの合致していない証であり、社会的弱者を顧客にする貧困ビジネスの存在を知らしめる介護実態の縮図が露見した事故です
。」”
とし、
”「週刊ダイヤモンド(2009.03.21号)の「あなたの知らない貧困」では、「貧困ビジネス」の存在に疑問を投げかけています。
サブタイトルは「社会的弱者の敵か、味方か」とし、「ホームレスや派遣・請負労働者を”得意先”にする貧困ビジネスが世にはびこっている。これは社会的弱者の救済か、摂取か」とし、社会福祉法の生計困窮者向け無料・低額で宿泊施設を提供し、自立を支援する事業で設置される「無料低額宿泊所」の実態をレポートしています
。」”
と「無料低額宿泊所」が生活保護受給の高齢者の「有料老人ホーム」化してきたとし、
”「貧困ビジネスは必要悪であるが、社会がその必要悪を許しているのは、社会の未熟の証であり、積年の失政でもあります。
無届であっても、そのような施設を紹介せざるを得ない行政、また、その不評な施設でも入所せざる得ない生活保護受給者、近隣に施設がなく遠方でも高齢者をお願いせざるを得ない家族の存在などは、予想される事柄であり、それを静観・黙認してきたのは、日本社会全体の貧弱さの現われですね
。」”
と、NHKが取り上げた「老人漂流社会」については、失政と批判してきました。

メディアは、安倍政府の経済再生策をアベノミクスと賞賛し、「三本の矢」(金融緩和、財政出動、成長戦略)を好感し、長崎のグループホームの死亡事故を取り上げ、加湿器のショートが出火原因?、防火扉、スプリンクラー設置云々などは副次的問題を取り上げ、第一次責任はグループホーム側にはあるが、認知症高齢者を漂流させた受け皿がグループホームであり、漂流させたのは積年の自公政治の失政であり、主に批判されるべきは政治と思っています。

当方は、積年の失政のツケ(額に汗して働いたても報われず、老後は漂流するかも)の社会をメディアも国民も批判しないことが不可思議なのです。




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