作成日:2019.12.20|更新日:2019.12.22
地域循環共生圏概論Ⅱ
ESG地域金融を推進していくうえで、重要な役割を担
っているのが地域に精通している地域金融機関。滋賀県
を拠点として活動を行う滋賀銀行はESG地域金融を銀
行経営の要と位置付け、地域に根付いた環境経営に取り
組んでいる。地域金融機関として、どうESG地域金融
に寄与するのか。同行の取締役頭取に環境ビジネスが聴
取を行っているので、そこから汲み取るべきもの考えて
みましょう。
滋賀県に根づく『三方よし』の系液を実現
近江商人の商道徳、『三方よし』の精神
1933年に設立された滋賀銀行。 CSRにいち早く取
り組み、環境・福祉・文化を3本柱としてCSR経営を行
っています。特に環境については業界に先駆けて取り組
みを開始し、2017年には地方銀行初となる『SDGs宣
言』を行い、社会的課題解決に向けたビジネス創出を支
援しています。同行が早くから環境経営に取り組んでき
た背景には、滋賀県の地理的要因が大きく、滋賀銀行が
本拠を置く滋賀県の面積の2分の1は森林であり、また
6分の1は近畿エリア1,450万人の貴重な水源とな
っている琵琶湖が占めています。琵琶湖は世界で3番目
に古い湖で、"マザーレイグ"とも呼ばれています。こう
した豊かな自然を暮らしの背景としている県民や県内企
業の間には高い環境意識があります。また近江商人にル
ーツをもつ同行には、「売り手よし」「買い手よし」「世間
よし」の『三方よし』という商道徳が根付いてきました。
商いは、当事者が良いだけではいけない。社会が良くな
ることが大切であり、ひいてはそれが自分たちに還って
くるという経験知であり、伝統としての暗黙知として根
付いてきました。滋賀銀行の環境経営のベースには『三
方よし』の精神があります。周辺の環境を守ることは活
かすことにつながります。地域金融機関の役割として、
“お金の流れで地球環境を守る"という気概を持って 環
境経営に取り組んでいますと滋賀銀行取締役頭取高橋祥
二郎氏が件の記者に答えています。
本業として、ESG地域金融に挑む
現在、同行はESG地域金融として、SDGsに貢献する社
会的課題解決型の新規ビジネスに取り組む企業を資金だ
けでなく、情報提供やコンサルティングなどでも支援し
ています。これまで開催していた『エコビジネスマッチ
ングフェア』を、今年から『SDGsビジネス・マッチング
フェア』に拡大して社会的課題解決型ビジネスを幅広く
応援しています。またお取引先の経営にSDGsを取り入れ
ていただけるよう“SDGsコンサルティング"も行ってい
ま丸初めはSDGsをお客様に理解してもらうことから始め
ましたが、徐々に理解も広がり、現在はそれをビジネスに
つなげていただくための支援を行っていくとのことです。
地域循環共生圈へ向けた、滋賀銀行の取り組み
同行は、長期的な視点に基づき、地域活性化に貢献する企
業に対する金融支援を行っている。その背景には、従来
通りの価値観では、人口減少が進む時代に対応できない
という危機感があったとのことです。また、滋賀県は全
国では数少ない人口増加県だが、4年前から人口減少が
始まった。30年の統計予測では県人口は約4万人減少
名目GDPは 約4,000億円減少するという。廃業の
増加、地域縮小が進むという危機を打破するためには、
新たな需要を創造しなくてはいけない。いままでのよう
な銀行主体の目線ではなく、中長期的な社会基点での取
り組みが必要だと考え、さらに同行は、今後の地域にお
けるビジネスは“競合" するのではなく、“共創" する
時代であると語る。滋賀県のやり方が他の地域でも通用
するとは限らない。その地域の資源をその地域で活かす、
循環型の“地産地消"スタイル、つまり、『里山資本主
義-日本経済は「安心の原理」で動く』のような仕組み
が求められているという。かつてのように限られたパイ
を奪い合うような“競合" は存在しない。あるのは、
"共創(共に創る)" だと。18年に設立された産官金連
携の組織『滋賀SDGsxイノベーションハブ(しがハ
ブ)』では、商売上は競争相手である関西みらい銀行さ
んとともに人材などを提供し、垣根を越えたパートナー
シップのもとで滋賀の課題解決型ビジネスの取り組みを
サポートしています。地域の課題に対して互いに責任を
もってやっていくこと、これが持続可能な発展につなが
る、私たちの求めるESG地域金融であると。
そして、ESG地域金融をあくまでもビジネスとして推
し進めることが肝要で、環境経営はビジネスと捉えて取
り組まなければ長続きせず、事業の継続性が疑わしくな
ってしまいます。長期的なビジョンの中で、しっかりと
収益を上げながら好循環させることが重要となり、SDGs
を地域単位の言葉に置き換えるなら、地域活性化や地元
の方にとっての価値ある暮らしにつながる。社会的課題
解決という共通テーマに対し、地域金融機関と地域企業
がともに挑む。そのうえで、それぞれが適正な利益を上
げ、地域が元気になる。その地域に根ざした地域金融機
関の役割は、今後ますます重要になってくると語ってお
られます。(出典:滋賀県に根づく『三方よし』の経営
を実現, 環境ビジネス,2020年冬季号)
この項つづく
【エピソード】
我が家の檸檬が豊作です。会員で欲しい方がおられまし
たならご連絡下さい(携帯電話の方に)。
【脚注及びリンク】
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- 『ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジネ
ス 2020年冬季号 - 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現, 環境ビジ
ネス,2020年冬季号 - 米国 風力発電2019年水力を抜いて一躍トップに:ラス
トワンマイル23、ごくとうごくらく 2019.02.24 - 2070年平均気温が4℃上昇した世界 ごくとうご
くらく 2019.12.09 - 「よくもそんなことを」グレタ・トゥーンベリが気候
サミットに登壇 スピーチ全訳, BuzzFeed, 2019.09.24 - 気候変動が生む、新たな「アパルトヘイト」,GNV,2019.
12.15 - ほぼ日刊イトイ新聞 - 親鸞 Shinran、2007.10.12
- NHKスペシャル 被曝の森2018 見えてきた“汚
染循環” 赤かぶ 2018.02.25 - 天正地震 Wikipedia
- 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia
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